p. 73 「今の日本はなんというか、国中が偏差値教育で疲弊しているような気がします。(中略)役所や会社の中で、ごくごくたまに「自分は東大法学部の出身で、二次試験の数学では4問中3問正解した」などと言うことを同僚に自慢するような人間もいますが、そういう人はそういう価値でしか自己アピールできない、とても可哀想な人です(笑)。組織の中ではまず間違いなく劣位集団に属しています。そう考えると、偏差値というよりも、その学校の工夫などを基準に大学を選んだ方がいいかもしれません。」
p. 74 「文系理系に分かれているのは結論から言うと、後進国・途上国が他の教育の残滓なんですね。開国直後の明治政府は、近代国家化に合わせて大量の官僚を促成栽培で養成する必要があった。ところが、すべての学生にすべての教育を施すことはできない。特に実験設備などでお金のかかる理系は志望者を減らす必要があった。そこで数学の試験をもとに全学生を文系・理系に振り分けることにしたーーと言うものです。この文系と理系でも分けっぱなしにするというのは日本独特のシステムです。」
p. 108 「浦高みたいな学校の教育のいいところはですね、OS、つまり自分頭というコンピュータを動かすための「総合知」という名のオペレーティングシステムをしっかりと作ってくれるんです。」
p. 112 「この浜松西高は2002年に中高一貫校になって、さっき話したような「中学・高校1年間のムダ」を無くしています。しかもこの学校も文科系、理科系を基本的に分けずに、数III以外のほぼすべての科目を2年生までにやらせる。こういうやり方ですから知識の欠損がないんです。それだから大学に入ってきたらすごく伸びるし、このまま教養をつけていけばケンブリッジ大学やオックスフォード大学に出しても十分通用するぐらいに地力があるんですね。」
p. 120「大学入学共通テストの導入や学習指導要綱の改訂は、(中略)安定した後というのはスペックが高い車体、機体ですからずっと長く乗り継がれるようになります。これと同様にいまから20年後の大学生たちのスペックというのはおそらく非常に高くなります。(中略)つまり20年後のまだ現役の世代は、新基準のスペックを身につけておかないと後から学んだ学生たちに簡単に追い抜かれます。いま20代、30代の人たちにとって、これはすごく深刻な問題になるはずです。」
→思わぬところで自分にも影響のある話が来た!