【感想・ネタバレ】メンタルの強化書のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2021年7月18日記述

メンタルの強化書
佐藤優氏による著作。
2020年1月1日初版発行。

題名にあるように思うようにはならない世の中を生き抜く上で大切なマインドセットは何かを佐藤優の視点から解説している本。
もちろん何か特別なウルトラCが書かれているわけではない。
(むしろそんなものは怪しいだろう)
良い本というものはある程度、類似性があるものだということを痛感する。

印象に残った部分

とくに現在のような二極化が進む世の中では、期待を裏切られることの方が増えるでしょう。
一歩引いた目線で冷静に世の中と向き合う。
最低限の努力はしながらも、過大な期待をしないくらいの距離感が心の安定には良いと思います。

「諦め」とは様々な苦い体験を経て、「人間にはどうすることもできないものがある」ということを知ることです。
自らの限界を知らない存在は傲慢になります。
それは時として人を傷つけ、暴力を振るうことにつながっていきます。

「意気地」=譲れない一線をしっかり持っているからこそ、それ以外の部分では妥協することもできる。
柔らかくしたたかに生きることができるとも言えます。

現代社会でたくましく強く生きるためには、1つはできるだけ信頼でき社会的価値が高いと評価されているアソシエーションに属することです。
そしてもう1つが、現代社会の中で解体され失われつつあるコミュニティを復活させ、そこに属することです。

自分の置かれている状況を分析し、相手が何を求め、何を避けようとしているかがわかれば、心乱すことなく対応ができます。

怒りだけではなく、人間は行動によって感情を作り出すという事実を示しています。
つまり悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなる。
面白いから笑うのではなく、笑うから面白くなる。

睡眠時間が6時間未満の人は7~8時間の人に比べて死亡率が2倍以上になるという調査結果もあります。
何よりもまず、質の良い睡眠を取ることから始めましょう。

そのようなメンタルの病気に罹ったことを、あえて自分で公表する必要はありません。
というのも、世の中にはまだまだ偏見も多く、メンタルを病んだ過去があることで様々な色眼鏡で見られる可能性があります。
自分の過去を全て話す必要は無い、というのが私の考えです。
聞かれたら答えるという姿勢でいればよく、聞かれない事を話す必要はありません。
外交の世界でよくやることですが、自分に都合の悪い情報はあえて相手に伝えないというのがあります。
もちろん聞かれれば答えますが、聞かれなければ答えない。
多少のズルさも、生き抜く上では必要だと思います。

どんなに意識が高まり、制度が整ったとしてもパワハラやセクハラは無くならない、というのが私の結論です。
なぜなら人間自体が悪を内在させているからです。


悲観的楽観論・・最悪の事態を想定し、そのシュミレーションをしておけば
どんな事態が起きたとしても慌てず、パニックになることなく対処することができます。

組織というのは基本的に上司の味方だと考えましょう。
組織のバックがある人物には到底かないません。

組織の中で生き残るには「味方を増やし、敵を減らすこと」が重要です。

直訴するタイプの人間、上に歯向かう人間を、組織は基本的に歓迎しません。

仕事ができない人は、単純な仕事を複雑にする。
仕事ができる人は複雑な仕事を単純にする。

パソコンの中のデータ整理も、むやみにフォルダ分けをしません。
すべて1つのフォルダにしまい込む。
書類が必要な場合はキーワード検索すれば出てきます。
フォルダ分けすると見た目はいいのですが、フォルダ自体がどこへ行ったかわからなくなり、間違えて違うフォルダに放り込んでしまうと、
探すのにひと苦労することになります。
書類や資料を探す時間を極力減らすことが、日常の仕事の効率アップにつながります。
(この辺は野口悠紀雄氏の超整理法に通じるものを感じる)

経験則から下手にテーマなどで分類するより、時系列で並べた方が探しやすいと自分でわかっています。

むしろサラリーパーソンの方が顧客や得意先など、仕事上の付き合いを絞り込むことができます。
フリーランスはそうは行きません。
それこそ幅広く人脈を広げていかねばなりません。
ストレス度はどちらが高いか一概には言えませんが、少なくともフリーランスだから自由だという安直な考えは事実とは大きく違っているということです。

国家も大企業も、そしてお役所も、国民1人ひとりの健康や幸せを願うというよりも、国家や企業としての活力をどう維持していくか?
それが最大の関心事なのです。それゆえ彼らは常に現実を、労働力や経済力というマクロな数字=抽象的な概念に置き換えて考える。
そういう体質と癖を持っています。
ですから国民1人ひとりのミクロな利害と
国家としてのマクロな利害がぶつかった時は、国家は迷わずマクロな視点、マクロな利害を優先します。
働き方改革で働く国民を幸福にするというのは、
あくまでも建前であることを肝に銘じておきましょう。

その本音と目的は超高齢化社会、少子化社会がさらに加速する中で、いかに健全な労働力を継続的に確保するかということに尽きます。
ただでさえ労働力が減っていく中で、途中で燃え尽きてしまわないように細く長く働いてもらう。
それが労働力確保の意味でも、医療費や社会保障費などの削減の意味でも必要不可欠な命題なのです。

人よりも半歩遅れて進むという考え方をお勧めします。
世の中の流れと一緒になって、前のめりに進むのではなく、あえて「半歩遅れて」物事をみるのです。

私は、非正規雇用者に向けられた「自己責任論」は本来取るべき責任を、自由度の少ない弱者に転嫁する「責任転嫁論」に他ならないと考えます。
むしろ「自己責任」を追及されるべきは雇用者側ではないでしょうか?

努力は本人が自主的、主体的にするものであって、第三者が努力しろと強制する権利は本来どこにもありませんし、努力しなければいけないという義務など存在しないのです。
当然そこに責任など生じるものではありません。

雇われた人達が労働力という商品であるとしたら、そもそもそこに「自由」があるでしょうか?
労働力を商品化し、搾取が行われている構造の中で、
労働者は自由意志を持った存在とは到底言えません。
「自由なき所に責任無し」です。

「前のめり」に情報に飛びつくと、ミスリードされてしまいます。
そこで立ち止まって、
「そもそもなぜこんな情報が出てくるのか?」
「どこから流れた情報なのか?」
「その目的はどういうものか?」
と考えることが大事です。

私は「立ち止まることができる力こそが教養である」と考えます。
前のめりに突き進むのではなく、周囲の人達が、社会が前のめりになって同じ方向に突き進んでいる時、「ちょっと待てよ」とか「あれ、おかしいぞ」と立ち止まることができるか?

個人的には消費税を20~25%に上げるなど税金を増やして社会保障を充実させ、生活の不安をなくす北欧型経済こそ、日本人の体質に合っていると考えます。

むしろ増税によるメリットを明確に示し、将来この国をどうしていくのか、そのビジョンを明らかにすることが必要です。

私なら消費税を20%あるいは25%に上げて、大学までの教育費を全て無料にします。
私立はもちろんですが国公立の大学の授業料は軒並み上がっています。
2016年の文部科学省の調査では、大学の年間授業料は国立大学で53万5800円、
私立大学の平均が87万7735円となっています。
1985年の授業料と比べると、私立大学、国立大学ともに約2倍になっています。

子供を私立一貫校で教育を受けさせることなど、一般家庭ではとても難しい。
いまや子供の教育にお金を掛けるか、それともマイホーム購入かどちらか一つを選択しなければならない時代になっています。
親が受けた教育よりも子供が低い教育しか受けられない社会は明らかに衰退していきます。
消費税を上げることで国民が教育費から解放されれば
家計も救われ、教育レベルの下方スパイラルも避けられるのです。

環境と因子の関係で誰もがうつ病になる可能性がある。発病の閾値がそれぞれにあり自分の耐性を意識しながら、その閾値の範囲内にいるように気をつけることがメンタルを保つ上で大切です。
心を病んだからと言って一概に自分を責めるのも間違っているし、逆に環境のせいだけにすることもおかしいのです。
しなやかで折れない「強い心」を作るためには、自分自身の考え方や心の構え方を変えると同時に折れにくい環境を整えるよう心掛けることが肝要です。

労働者に賃金を支払いますが、その賃金の本質は利益の分配ではありません。
それは資本家が労働者を労働力という「商品」として購入する「代金」に過ぎないのです。

ですからどんなに利益が上がった所で、それを労働者に分配することはありません。
どんな状況であれ、とにかく安く労働力を購入した方が利益が上がります。
資本家は常に利益の最大化を図り、他社との競争を勝ち抜くために拡大再生産を行おうとするのです。
利益の分配は誰とやるのか?
それは役員や株主との間で行います。
労働者は人格を持たない商品ですから分配する対象ではないのです。

資本主義のこの構図を知れば、お金持ちになるには搾取する側、すなわち資本家にならなければ駄目だということがわかるでしょう。

私に言わせれば現代の競争社会の中で勝ち残っている人は、特異な能力があるかあるいは親の遺産を引き継ぎ、最初からスタートラインが違っているか、
さもなければよほど図太く、図々しい人物であるかのいずれかだと思います。

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2021年12月12日

Posted by ブクログ

この世の中は矛盾ばかりである。佐藤さんが言うように下品な世の中である。そんな世の中をどのようにして生き抜くべきかが書かれており、これからの生き方の一助となった本であった。

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2021年10月05日

Posted by ブクログ

現代社会を鋭い視点で考察し、独自の
理論を多くの著作で披露している佐藤
氏には、最近メンタルに関する相談が
多いらしいです。

確かに先の見えない社会を「こうだ」
と説く姿には強いメンタルを感じさせ
るからでしょう。

しかし佐藤氏は全くメンタルに関して
は門外漢と言います。

今起こって、これから来たるべき未来
に対して「かくあるべき」と語る姿勢
には、やはりタフなハートを持ってい
るのだと思ってしまいます。

しかし、いずれにしろビジネスパーソ
ンには参考とするべき金言が多くあり
進むべき方向がボンヤリながらも見え
てくる一冊です。

「立ち止まることができる力こそ教養
である」という言葉に勇気をもらえま
す。

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2021年07月22日

Posted by ブクログ

「努力を続けて成功することが正しい」「努力しなかった人間が貧困にあえぐのは自己責任」といった近年の風潮を否定し、他人を労働力として扱いのしあがっていく人は「下品」であると喝破する。
新自由主義が蔓延する世の中というのは、繊細な人達にとって生きづらい。そういう人達のために、心が折れないための考え方や行動についていくつか紹介されている。特に、一番最後に述べられた「媚態」「意気地」「諦め」の3つは、自分の経験からも、非常に有効的な考え方だと思う。

また、自分が常々、社会の不条理と感じていておりながら上手く表現できなかった事象を、「属性排除」「脅迫としての教養」「責任転嫁論」といったワードで言語化されたことは、たいへん有用であった。

量的に物足りなさはあるが、淡々とした筆調でありながら世の悩む人達への冷静な優しさの滲み出る著作である。星5つとしたい。

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2021年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

佐藤優氏の今までの著書のジャンルとはちょっと違っていて、いつも以上に面白かったです。

折れない心は、堅くて強い心ではなく、しなやかな心。しなやかさを持ち、下品に落ちることなく強く生きるには、内面を強化することと環境を変えること。

前のめりに生きるのをやめて、立ち止まる。
心が折れた時には、休む。良質な睡眠をとる。

ごもっともです!

自分にとって快適な環境づくりが大事で。
だから今日も私は昼寝をするし、気が乗らない仕事は後回しにする(笑)。

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2020年10月07日

Posted by ブクログ

「負けない」「折れない」「疲れない」

著者の「ズルさのすすめ」とおなじく、生き方、考え方指南の書。

かぶっている記述も多いが、逆に言えば重要だからこそ何度も出ているわけで、むしろ頭に入れるべき内容である。

これからも、疲れたり、壁にぶつかったりしたらまた再読することは間違いなさそうといえる書である。

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2020年12月20日

Posted by ブクログ

この世の中、普通の精神では心を折れてしまう
本書は、あなたのこころを守る「しなる心」を手に入れる法です。

■下品化する社会
・孤独の中で抱えきれない仕事を負う
・膨大な仕事を抱え、成果をあげなけれあばならないプレッシャーと人間関係のストレスの中で、精神的にも肉体的にも追い詰められいるのが現在のビジネスパーソンの姿ではないでしょうか。
・繊細で優しい人は勝ち組になれない
・下品な三かく人間が出世する社会
 義理を欠く
 情を欠く
 恥をかく
・堅いものはいつか折れる。柔らかさこそ本当の強さ
・私の考える「強さ」は堅い強さではなく、柔らかく「しなる」強さです。
・メンタルを強くするために必要な2つのこと
 一つは、自分自身の内面を強くしていくこと
 もう一つは、自分を取り巻く環境を変えていくということ
・厳しい時代だからこそ、束、になる事が大事、ちなみにしぶとく生き抜くためのキーワードは何か
 それは、自助、公助、共助
 自助;自分で自分を助ける
 公助:公の助けを求める
 共助:仲間同士で助け合う

■前のめりをやめる
・常に不安感、孤独感にさいなまれている
・共同体の一員から孤独な個としての存在へ
・キリスト教では不完全な人間の責任を問わない

■自分のための働き方改革
・仕事の快適度と、達成度で、タイプ診断
 達成度+、快適度+ ハイパータイプ
 達成度+、快適度ー ワーカーホリックタイプ
 達成度ー、快適度ー バーンアウトタイプ
 達成度ー、快適度+ マイペースタイプ
問題になるのは、 バーンアウトタイプ(燃え尽きタイプ) 次は、ワーカーホリックタイプ(いやいや仕事しているので、いずれバーンアウトする可能性あり)、逆に、マイペースタイプは、仕事が快適なので、ハイパータイプに化けることも

・生産性を上げるためには、仕事の細かいムダを省く ⇒ノートや手帳を1冊にまとめておけば1冊だけをみればいい
・やる気が起きない時は身の回りを整理する ⇒ 仕事の仕方もできるだけ習慣化する、毎日のタイムスケジュールもできる限り、習慣化しておく

■心が折れた時の動き方・考え方
・とにかく休むこと
・とにかく逃げること、仕事から離れて、休む
・復帰する時は、以前の6掛けでよしとする
・睡眠の質が下がるとメンタルも落ち込む
 PC,スマホを練る前に触らない
 寝室にスマホをもちこまない
 寝酒もよくない
・朝のスタートが早ければ、始業と同時にフルスロットで仕事ができる
・飲み会、1次会は付き合い、2次会は、3回に1回はゆき、2回は行かない
・仕事以外で小さな目標を設定してみる

目次
第1章 下品化する社会とどうつき合うか?
第2章 「前のめり」な生き方をやめる
第3章 折れない!疲れない!自分のための働き方改革
第4章 心が折れた時の動き方・考え方
第5章 コミュニティとアソシエーションで乗り越える

サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
商品コード 9784295403845
NDC分類 159
Cコード C2034

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2023年11月17日

Posted by ブクログ

前のめりな生き方は利用される→不安にあおられない。今あるものを大切にする。
自己責任と言う言葉に惑わされない→責任を取れると考えること自体が愚か。人間は不完全。人間にはどうすることもできないものがある。自分の限界を知る。
明日できる事は今日やらない→優先順位をつける。
やる気が起きない時→身の回りの整理整頓をする。
余計なエネルギーを使わない働き方をする→シンプルにする。習慣化する。周りの人と信頼関係を作る(アンガーコントロール→ 私を取り巻く環境・状況を客観的に把握する)
上品な人とのつながりを持つには「いき」になる→媚態(外)、意気地(内)、諦め(執着を捨てる、全体性)。
よく眠る。

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2022年12月04日

Posted by ブクログ

【1章】下品化する社会とどうつき合うか?
◎むしろ今の世の中にあって、どこか違和感があると感じる、適応し切れていないものを抱えているのではないでしょうか?
↳どうかご安心して下さい。だとしたら、皆さんは私の仲間です。
◎私の考える「強さ」は硬い強さではなく、柔らかく「しなる」強さです。
◎メンタルを強化するために必要な2つのこと
↳①自身の内面を強くしていくこと②自分を取り巻く環境を変えていくこと
【3章】まとめ
◎仕事の「達成感」と「快適度」のバランスを見直してみる。
◎頑張りすぎない。ある種の“いい加減”さも必要。
◎余計なエネルギーを使わない働き方を目指す。
【4章】まとめ
◎心が折れそうになったら、休む、もしくは逃げること
◎不安だからといって何かに依存するのは逆効果。
◎恐怖や怒りをコントロールすることで心を整える。
【5章】まとめ
◎コミュニティとアソシエーションを構築する。
◎最大のセーフティネットは人とのつながり。

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2022年03月21日

Posted by ブクログ

モヤモヤとして言語化していなかった自分の思いや考えと合い通ずるものがあった。
出版当時より2年経った今、書いている内容が身近に迫る感じがあるのかもしれない。

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

弱肉強食の現代社会にいかにしなやかにしたたかに生きていくかべきが記された教科書。
筆者の主張に共感できること多々あった。

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2021年06月26日

Posted by ブクログ

ストレスの多い社会の中で
特別なことを意気込んでするのではなく、
静かに強くしなやかに生きていく方法を説いていてなかなか参考になった。
この人の考えは仏教の諦観に近い気がする。

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2021年06月21日

Posted by ブクログ

この本には、「これからは生き方が多様化し、選択肢が増えていくので、自分に合った選択をしてストレスを減らして生きていくことが大切だよ!」と書かれていました。
まず、自分が何を優先するのかをよく考え、自分に合った生き方を探していこうと思いました。
参考になりましたー❕
ぜひぜひ読んでみてください

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2021年04月01日

Posted by ブクログ

世の中の構造を、私が知らなかった観点から教えてもらった。
勉強になった。

吾輩は猫であるの、三かく人間 義理を欠く、情を欠く、恥をかく が出世する

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2021年03月13日

Posted by ブクログ

メンタル以外にも記述が多い分収穫は大きいかった。ただ本題のメンタル強化というところについては収穫がぼちぼちといったところ。

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2021年02月20日

Posted by ブクログ

ビフォーコロナ、つまりコロナ禍の前に出版された本ですが、佐藤優氏が示した5年から10年後の未来予想図はパンデミックが起きたことで、その世界が早まった感があります。
また、官僚というものの考え方が具体的で分かりやすかった。

シュリンクしていく世界を恐れるのではなく、選択肢があって、そのリスクや対処法、また最悪な事態になった場合の考え方まで記されていて、最後まで好感持って読みました。

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2020年10月15日

Posted by ブクログ

自己責任という言葉と概念を自分自身も頻繁に使ってしまっている。自由に伴い発生するものであり、努力が求められるものではなく努力の概念自体含むものでもないということは新鮮だった。相手に対してこの概念を使う時には意味合いをしっかり認識した上で使うようにしたい。

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2022年08月15日

Posted by ブクログ

いかにもメンタル強そうな佐藤優さんが、メンタルを強化するためのノウハウを語ってくれるのかなと思いましたが、若干異なりました。

ノウハウ本ではなく、現代の状況と考え方をエッセイ風に語るもの。

筆者が、収監された経験でなぜ鬱などにならなかったかというと、鬱になる因子がなかったということと、状況を客観的に把握できたから、とのこと。

宗教の話など、佐藤さんが造詣深い部分の考え方など、面白かった。

以下気になったフレーズ
_____
人類の歴史は不幸と労苦の積み重ねでもありました。人々はその間、何をしてきたか?不幸や苦しみを、社会を改善し進歩させることで減らすのではなく、ただ神に祈りを捧げ、救われることを願うことで紛らわせてきた。
(中略)
つまり、宗教は現実に対して判断停止を行わせるものだということ。そして、宗教の作り出した空想的なストーリーによって現実を説明し、一種の陶酔感の中で人々を幻想の中で納得させます。
(中略)
私はマルクスの言うように宗教というものが、人間が作り出した一種のファンタジーであり、それが客観的に現実を把握することを妨げる部分があることを認めます。
それによって人間が不幸や苦痛から解放される幻覚を見せることも、同時にさまざまな規制と戒律で私たちを縛り、自由を奪うことも知っています。
ただし、宗教がマルクスの言う意味での「現実」ではなく、非合理的で空想的な百科事典であったとしても、人間が生きる上での、1つのリアリティであることも強調せずにはいられません。人間は理性と合理性だけでは割り切れない存在であり、はみ出したものを持っている存在なのです。
(中略)
私自身は宗教的な視点と、マルクスのような客観的で合理的な視点のバランスが、心折れずに、しなやかに生きる上で大きなポイントになると考えます。
____

「諦め」とはさまざまな苦い体験を経て、「人間にはどうすることもできないものがある」ということを知ることです。
自らの限界を知らない存在は傲慢になります。それは時として人を傷つけ、暴力を振るうことにつながっていきます。
(中略)
飽くことなき成長と拡大を求め、資本の最大化をつねに目論む資本主義は、その意味でいつまでたっても諦めを知らない、青臭いシロモノかもしれません。そんな社会の中では常に努力して上を目指すことが美徳とされます。
努力を続けない人間は劣った人間であり、排除されても自己責任だという論理は、諦めを知らない野暮な人間たちからしか生まれてきません。
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2022年08月13日

Posted by ブクログ

外務省時代には、在ロシア日本大使館に勤務し、北方領土問題など対ロシア外交に尽力した著者。(巻末の著者略歴より)拘置所に512日間勾留されたときも、メンタルを病まなかったという。

拘置所という言葉を目にした時点で、悪いことした人が書いた本?と疑心暗鬼になって積読にしていました。

時間を置いて手に取ると、図々しい下品で利己的な人間が生きやすい世の中、その通りだよ〜と同感の部分が多いです。理解しやすいです。必死に仕事に没入してメンタルを病んでしまったり、早め早めに対処し準備しても仕事は減らないことはなるほどと納得しました。マイペースで快適に働き続けることが大きな成果を得ることよりも大切だと学びました。

周りに合わせずマイペース、苦手なのでもう少しゆっくりと話すことから始めます(^^)

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2022年04月13日

Posted by ブクログ

メンタルの強化に必要なのは、人を蹴落としても動じない下品さを持つこと。だが、本著はこれで終わらない…という触れ込みなのだが、人を蹴落とす下品さは、メンタルが強いゆえの結果であり、強くするための手段ではない。ここがピンと来なかった。

本著を手に取る人は、小さな事にクヨクヨ囚われて、中々立ち直れない人ではないか。そうした人への本著からのメッセージは、端的に言うなら、休め、無理するな、逃げろだ。何だか達観しているが、これが真理なのかも知れない。他人を蹴落とせない人が、クヨクヨしがちなのだ。しなやかになんて生きられない。責任が取れるなんて傲慢な考えだというのは、優しくしっくりくる考えだ。

生真面目が自己暗示ならば、それを緩める自己暗示が解決してくれるだろう。人を蹴落とさなくても良いが、せめて、人に気兼ねせず、自らのペースが保てるような精神的負担の回避を。

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2022年03月08日

Posted by ブクログ

特に目新しいことは書かれていない、しなやかに生きていくことの勧めが全般にわたって語られている。どうやってメンタルを強くするか、というよりかは、どういう心の持ちようで、日々の見方を変えていくか、というところに焦点がある。

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2021年11月30日

Posted by ブクログ

社会、歴史、宗教学などなど様々な著作を残す佐藤優さんが、心優しい人ほど生きづらい現代で、いかにメンタルを保ちつつ渡っていくかについて述べた本。佐藤さんの世界史関係の本はよく読んでいたので、メンタルについて語っているのは意外だった。共感できる部分もそうでな部分もあるが、特に最後の「いき」の話など様々なヒントが散りばめられている本だった。

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2021年06月11日

Posted by ブクログ

周囲にも心を病んでしまう人はいるが、それは周囲との関係性、仕事のプレッシャー…著者のいう下品な社会の影響なのだと思う。

そうした中では、しなやかに生きること、周囲のコミュニティを広げること、そして粋な美意識に立ち返ることが大事なのだろう。

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2021年05月17日

Posted by ブクログ

序盤はとにかく現代社会の批判。着眼点として理解できるが、かつての共同体社会の理不尽な軛から現代の「孤独な群衆」はとりあえずは離脱可能である、という正の側面に触れておらずフェアじないように感じた。
後半の解決策については概ね納得。
●脱落を防ぐためにまずは質の高い睡眠とメンタルを病まないための専門機関の活用が重要
●「いき」(「媚」「意気地」「諦め」)をモットーに上品に生きる
●上品なもの同士での共同体を形成し人のネットワークをセーフティネットにする
という方向性か。

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2021年05月16日

Posted by ブクログ

いまはやりの「意識高い系の押しつけはやめよ」ってところは同意。さほどロジカルな反論、主張をこの書でしているわけでもない。メンタル強化なのかな? メンタルにそこそこ自信のある自分としては、さほどその点は感じられなかった。「脅迫としての教養」「教養は精神的なゆとりのなかで育まれるもの」「自己責任はいつしか自助努力と同一視」(一部意訳)といった筆者の主張。学ぶべきところはあった

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2021年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭と部分的に共感できる内容だった。
(先輩から借りた本)
・ラベリングによる、逸脱者創出への不信感や(ひきこもりが犯罪を犯す等)、プレッシャー(努力しなきゃ負け組に)がある。
・「前のめり」な生き方はつらい、自分はどう生きるか?(総合職として執行役員を目指すのか?)
・アソシエーションに所属することにより、「共助」を持つ(今は自分だけが勝つという生存競争になっていてつらい)

理解できなかったのは、「自己責任」は最近の潮流であり、努力しなかった人に「負け組」の責任があるのはおかしいという論調。
著者は、「努力」は強要されるものではないといい、「自由」と「責任」は表裏であると主張している。その理論ならば、「努力」しなかった「自由」を取った人が、負け組に陥るのはそれは個人の責任では?と思ってしまう。
もちろん、政策や環境、遺伝子素因等で雇用されるのが難しく、責任がその個人のみにある、という考え方が違うのは理解できるけど…


けど、全体的に論拠が薄く、各所に矛盾が見られた。
物知りの先輩と飲みに行って説教聞いてる感覚。
文章を半分に削ればいいものになったかも。
この人のメンタルが強いのは、情報の整理能力と仮説を立てる能力、立てた仮説を信じ切る気持ちが強いからだと思う。

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2021年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

エリート社員は残業できないと困る。
彼らの間での競争は激しく競争相手に負けないためには所定内の時間では到底追いつけない。

明日できることは今日しない。
先延ばしにできることはできるだけ先延ばしにしよう。
その意味では、図太くズルくなることも大事。
精神衛生にもつながる。

身の回りの環境を整備することで、作業の効率が高まり、自分の頭の中も整理されすっきりする。
今日は引き出しの中だけとか本棚の一部とか、少しずつ進めていくやり方が良い。

一連の流れをパターン化する。
それによって脳を疲れさせず心の健康にもプラスになる。

最悪の事態を想定し、そのシミュレーションをしておけば、どんな事態が起きたとしても、慌てず、パニックになることなく対処することができる。
それが結果的に心をしなやかにし、強く生きることにつながる。

イライラしているときほど、静かに落ち着いた行動をとる。
立ち振る舞いもゆっくりと穏やかにする。
出来れば笑顔を作る。
口角を上げるだけでも、感情の動きが変わる。
怒りをコントロールすることが、心を整え、強くする。

自分が一方的に上司に追い詰められているのではなく、相手も何者かから追い詰められていることに気づく。
それを理解しているだけで、こちらの心に大きな余裕ができる。

最初の目標をあきらめ、それに関わるセカンドチョイスで成功している人はたくさんいる。
いい意味での諦めが柔軟な思考を呼び覚まし、人生をたくましく生き抜く原動力になる。

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2021年01月02日

Posted by ブクログ

マクロ的な視点で社会情勢をとらえ、上品にしなやかに生きることを説いた本。他の多くの本にも書いてある一般論が多かった印象が強い。長期にわたり東京拘置所に勾留され東京地検から取り調べを受けた著者がどうメンタルを保っていられたかをもっ具対的に知りたかったので、少し期待ハズレだった。
ただ、その文脈で書かれていた内容として、自分の置かれている状況を客観的にとらえ相手が自分に何を求め、相手がどんな状況にあるのかを分析することの重要性は実感がこもっていて腹に落ちた。

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2020年10月22日

Posted by ブクログ

メンタルがどうこうという話よりも、佐藤氏の時評が面白かった。最低賃金をあげようという流れができているのは知っているし、働き方改革という時短圧力も最近はきびしい。働き手のことを考えてくれているようで、中小企業にはキビシイ。国の狙いは何かといえば、正規労働者の非正規化と、中小企業の淘汰。国の狙いは一部の大企業、競争力のある会社を残してあとはつぶし、行き場のなくなった労働者を非正規化して安く使う。そうしなかれば国際競争力は保てないというのが、国の見方なのだという。怖い話だ。俺なんか、一発で淘汰されそうだなぁ。

そのすべてが正しいと思わないけど、ありそうな話だし、今の流れを説明するうえで説得力がある。

 そうした社会の流れに対して、どのように生き残っていくかが本書の主旨なんだけど、いろいろ考えさせられたね。最近の佐藤氏の本は、出版数が多いだけに読み終えてからどの本に何が書いてあったっけ?と残らないこともしばしばなんだけど、本書は刺激的だった。

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2020年09月06日

Posted by ブクログ

心を病まない方法を解説する本。
主に社会人向けに書かれている。
新自由主義が浸透しつつある日本では競争が激化していることや、職場にいる図々しく下品な人に心を削られて心を病む人が増えていると分析している。
そして心を病まない為の多くのヒントが述べられている。
記憶に残ったものを列挙します。
・自己責任という言葉に惑わされない
・7〜8時間寝る
・自助、公助、共助のバランス
・コミュニティに加わる
・いき
社会人におすすめです。

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2020年07月27日

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