佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界の覇権構造が大きく揺らぐ中で、アメリカの動向は国際政治に決定的な影響を与え続けています。佐藤優氏の『トランプの世界戦略』は、その中心に立つドナルド・トランプという人物を通して、米国の外交・軍事・経済戦略の本質を鋭く読み解く一冊です。
本書の中で特に印象的なのは、トランプが意図的に社会の分断を煽ってきたという指摘です。知識層 vs 反知識層、富裕層 vs 労働者階級、政府 vs 国民といった対立軸を際立たせることで、特定の支持層を結集し、政治的影響力を強めていった手法は、従来の民主主義的価値観とは一線を画すものです。
また、著者はトランプの外交手法を「マッドマン・セオリー(狂人理論)」と -
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Posted by ブクログ
元外交官の佐藤優氏と元東京都知事や元厚生労働大臣の舛添要一氏の対談集です。
この本では舛添要一氏のセリフに興味を覚えました。
都庁職員は霞が関の役人よりも高給をもらっており、勤務時間も短く、都議会で舛添氏が自分の言葉で説明したところ、役人から「どうして台本通りに読まないのですか、そのため5時に終わらなかったじゃありませんか。勝手な答弁はしないでください」と言われたようです。(60P)
また、厚生労働大臣の時代には石破総理が防衛大臣や農林水産大臣であったため、懇意にしており、石破さんの地元鳥取で一緒に蟹を食べていたようです。石破総理は田中角栄の薫陶を受けた方であるため、日本のリーダーに相応しい -
Posted by ブクログ
激しい知的興奮を感じたとても刺激的な一冊!
圧倒的な読書量を誇るお二人だけあって、名著にまつわる対話を聞いているだけで教養が身に付いた気がしてしまいます。
特に第三章「ニセものに騙されないために」と第四章「真の教養は解毒剤になる」は面白かった。
興味深いポイントを何点か列記すると…
・日本人に欠けている最大の教養はゲオポリティクス(地政学)であり、これが分からぬゆえ、大戦中に「欧州の天地は複雑怪奇」ということで総理が辞職してしまう。
・人間のダークサイドに関する情報が現代の教養教育に徹底的に欠けている。虚偽とは何か、詭弁とは何かについて学んでおくべき。
・いざ大変なことが起こると、日本の官僚 -
Posted by ブクログ
多分、腎臓の悪い方か移植手術を行った方(またはその家族)以外には、本当の意味で刺さらない内容の本。自身が9年前に生体肝移植のレシピエントで実兄がドナーだった経験からすべてにおいて深い納得感を覚えた。移植手術の実態や色々な立場からの問題点、移植コーディネーターの役割、患者としての心構えである患者学のススメ等、多岐にわたる示唆と提言には感動する。腎臓と肝臓という部位は違うといえ、与えられた命を疎かにはできない気持ちで毎日を過ごさねばならないと改めて実感した。グラセプタとセルセプトを一生涯服用する仲間として、佐藤氏の作品を拝読しつつ応援したい。
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Posted by ブクログ
昔から民主主義とはなんぞやと常々思っていたので、一つの考え方が知れて面白かった。
私は民主主義の罠だと思っていて、例えば民主的と言わざるを得ない手続きを踏んで、独裁的(ポピュリスト的)な政権が生まれる状態を、手続に瑕疵がないばかりに民主的として認めざるを得ない状態を勝手にそう呼んでいた。なるほど権力のサイクルというものもあるし、その国ごとの民主主義というものがあって、アングロサクソン型だけを果たして民主主義と言えるのかという見方もあるとの視点を得て、なるほどなあと思った。非常に短絡的な喩えで言えば、アメリカやイギリス英語が正しい英語であり、インドやフィリピンの英語は「訛っている」という考え方