あらすじ
社会で生き抜くために最も有効な武器である「教養」とは何か。特捜事件での逮捕・勾留・裁判を経験し、いま言論界で大活躍する著者が、この武器を読者と共有したいという思いで、これまでに発表した論考、座談会、外交官時代の論文などを厳選して一冊にまとめた。著者の実践的思考法のすべてがわかる10のインテリジェンス講座。
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Posted by ブクログ
知とは方法だ。良くも悪くも、知は人を動かし、世界を動かす
知―教養は、最強の武器だ。インテリジェンスの最前線にいた著書が、世界を伍していくための、知の方法論を展開してくれる。
血のにおいがする情報、ぎりぎりの知的な戦いを行うための武器を手にするためのガイダンスです
すぐに役に立つような情報は、寿命が短い 何の役にも立たないように見える教養こそが、中長期的な視点からは、役に立つ
量をこなすには、時間を有効に使わなければならないし、ものすごく集中しなければならない
記憶の定着率を上げるには物事を連関させて憶えるのが効果的です
話の要点に際して1つ2つと折って数えておく。すると、聴取のあとでもテーマの数が思い出され、そこからシーンをよみがえらせることができる
脳はエネルギー源としてブドウ糖しか利用できません。
本はとにかく汚して読め
・まず、最初に大事なことは、読まなくてもいい本をはじき出すことです
・熟読すべき本を読むときに用意するのは、シャーペン、消しゴム、ノートの3種の神器、熟読の方法は、3回読むことです
ノートは1冊にまとめよ すべてを1冊に集約することが大事です。読んだ本の抜き書き、スケジュール、日誌、語学の練習問題と解答などなど。とにかく、記録、仕事、学習に関することすべてを1冊のノートに記すのです
情報:インフォメーションには、誤情報:ミスインフォメーション と ニセ情報:ディスインフォメーションが含まれている
インテリジェンスにおいて、真理は細部に潜んでいる
上に行きたかったら、新聞をよめ
やはり、数学的思考力がある人は最終的に強い
知ったかぶりをしないこと、素直にそれって、どういうことですかと聞いてみることです、そして後できっちり調べることです
本は、紙版がいい。それは、折目をつけたり、書き込みをしたり、汚く、読めるのから。
本は、最後までページをめくってみるのがいい。そうしておくと、以外に記憶にのこるので
教養人として、ここまで得られればいいという見切りをもっておくことも必要
これからの、日本人は外にでていくしかない。そのとき、情報や思考力を持っていなかったらどうしようもない。そこで振り落とされないための武器が、新聞を読むことであり、数学や歴史を勉強することなんです。
インテリジェンズの世界で信頼関係をつくるための3つの方法。①一緒に女遊びをする、②一緒に糞をする、③一緒にメシを食う
失敗しても、裏切られても、淡々と敵とつきあうことがインテリジェンス屋に求められる国際スタンダードです。
情報を集めるのがインテリジェンスの本分ではなく、敵と取引することが本来の仕事といえる
性悪説にもとづいて、相手を利用することだけを徹底的に考えている。だからこそ、ぎりぎりの信頼関係が生まれるわけです。
話す力とつけるためには、逆説的ですが、読む力をつけることだ
結局、筋を通した選択をした方が、死ぬときに満足できるのではないかと思ってからです
リーダシップの要諦は2つ 1つは天分、もう一つは、現実主義である
もっとも、リーダの資質が問われるのは危機や有事の際です
危機を切り抜けるための英知は、やはり、歴史に求めざるをえない ⇒ 歴史を学べ
知見を広げ、感覚を磨く機会は、なにも読者だけではない、賢い人に会って刺激をうけてもいいわけです
新しい教養って、なんだろうと考えると、疑いをもって、簡単に納得したりだまられたりしないための体力なんじゃないかという気がします
永田町の用語で、お人よしとは、間抜けということだ。
知は総力戦、知は生きる手段である
かって仲間を告発したものが、その後ものすごい惨めな生活をするのを見てますから
法と掟の違い、仲間を裏切らないのが掟
政治的指導者を評価する際に重要なことは、その指導者の施策が次世代以降に継承されたかどうかというのが基準です。
ローマ帝国の自由と寛容、蛮族でさえも、兵役の義務を果たせば、ローマ市民として取り入れる懐の深さがあったんですね。こうした帝国は珍しいですよ
この黒猫は黒い、あの白犬は白いというのが分析だ。これに対して、この黒猫は賢い、あの白猫は愚かだ というのは、主語からは導かれない判断だ。これを総合という
事実、中国はまぎれもない帝国主義国家だと思います。宣伝戦や反日デモなどの経済的圧力などを駆使して、近隣国家の権益を収奪するというソフトな新帝国主義を実践しているだけです。
知の教室 教養は最強の武器である
文春文庫 さ-52-5
目次
まえがき
【第1講座】佐藤優の知的技術のヒント
【第2講座】情報を拾う、情報を使う
【第3講座】知をビジネスに取り込む
【第4講座】知の幹を作る最低限の読書
【第5講座】武器としての教養を蓄える
【第6講座】佐藤優式・闘い方を学ぶ
【第7講座】対話のテクニックを磨く
【第8講座】分析力を鍛える――国際情勢篇
【第9講座】分析力ケーススタディ――ロシア読解篇
【第10講座】佐藤優の実戦ライブゼミ
佐藤優「知の年表」
あとがき
登場者紹介
初出一覧
著:佐藤 優
ISBN:9784167904272
出版社:文藝春秋
判型:文庫
ページ数:480ページ
定価:850円(本体)
発売日:2015年08月10日第1刷
発売日:2015年08月30日第2刷
Posted by ブクログ
「知識0からの佐藤優入門」といった趣き。対談や寸評等をごった煮的に詰め込んだ内容で、どれから手にとっていいのか分かりかねていた私のような者には、まさに僥倖であった。ロシアの政治事情や聖書の活用法等、気になる部分に付箋を貼って読んでみたら、けっこうな数になった。折に触れてちょいちょい読み返すことだろう……
Posted by ブクログ
2015/8/4 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2018/4/1〜4/8
佐藤優氏の作家10周年記念出版。
全10講座からなるが、ベースにあるのは、「教養」。大学から教養教育が消え、実学志向が強まっているが、そのことが日本人を劣化させているような気がして仕方ない。成果主義が強まって、どこもかしこも、成果、成果であるが、短絡的なことだけでは、長期的なヴィジョンを持てないだろう。昔の教養に戻る必要は無いと思うが、新しい時代の教養教育が必要だと思う。
Posted by ブクログ
対話のテクニック、闘い方、武器としての教養。様々な切り口で、その分野に適したオススメ本も紹介しながらゲストとの対話を盛り上げる。そういえば、ホリエモンと佐藤優が対談しているのは、本著で初めて見た。そうした観点でも楽しめた一冊。ただ、ちょっと残念というか仕方ない事ながら、全てのテーマが外交官時代の経験に導かれ、ロシアトークに終始する事である。佐藤優はいつもこれなので、最近少しだけ食傷気味な感はある。
Posted by ブクログ
"個人のファンダメンタルズ、基礎をどのように構築すべきか、いわゆる教養をどのように身に着けるかの論考。
常に知性を磨き続ける努力を習慣づけることに尽きる。"
Posted by ブクログ
途中までで気になった点。
シベリアに住むブリヤード人は日本そっくりの顔つきで、日本向けのスパイとして使いやすい。
新聞を読むなら2紙とったほうが良い。
1紙は朝日、もう1紙はサンケイエクスプレスあたりがよい。
北方領土が帰ってきたら根室海峡の魚は日本の漁船がとりつくしてしまうという説。
Posted by ブクログ
最近は社会派の新書を読むときには、常に「アウトソーシング社会」という言葉を念頭に置いて読んでいる。
ここ数年で確信しているのは、社会のアウトソーシング化が進んでいるということだ。
自分で解決するよりは、知っている人に任せたほうがうまくいく。
インターネットの発達で情報を簡単に手に入れられるようになり、また専門家に頼むことも容易になってきた。
その結果、何が起きたか。反知性主義につながっている。
自分より知性の高い人、物をよく知っている人、そういう人が無数にいるならば、ではそういう人に任せよう。
そうして自己修練を怠り、結果、日本全体の知的教養の低下につながっている。
そういった確信をもって本書を読み進めていると、上記の私の考えに結びつく事例が挙げられる。
P122「外務省の新人研修でロシア語を教えていた時、ドングリの背比べのうちはみんな一所懸命、勉強するんですが、語学はセンスによるところがありますから、突出した人間が出てくると、二番以下が一気にやる気を失う(笑)」
自分がやるよりも、自分よりできる人がやったほうがうまくいく。だから自分はもういいや、という考え方が表れている。
「教養は最強の武器である」と銘打たれた本書、教養を身に着けるに大事なことは「物事を自分で考え理解する」なのだと思った。
自分にはわからないから考えなくていいといった考えることをやめた無理解が政治に対して、世界に対して、社会に対して不信を招いている。
Posted by ブクログ
外交官を辞めて専業作家となった著者が、これまでに発表してきた論文、エッセイ、対談、座談会などを集めた本です。
10の「講座」と銘打たれた章で構成されており、著者の知的関心のひろがりをうかがうことのできる内容になっています。塩野七生の『ローマ人の物語』の完結を受けておこなわれた、著者と塩野、そしてイスラム思想の専門家である池内恵の鼎談は、興味深く読みました。塩野自身がみずからの著作における「史観」を語っているところも興味深かったのですが、キリスト教とローマとの関係について著者が塩野とは異なる立場に立ちながらも、キリスト教のうちから一神教的価値観を乗り越える動きが現われていることに触れて、現代の国際政治の課題にまで説きおよんでいるところは、いかにも著者らしい歴史の「使い方」が示されているように感じました。
ほかにも、ホリエモンとの対談で検察との戦いかたについて語っているところや、マンガ家の伊藤潤二との対談でマンガという表現の可能性について考察を展開しているところなど、興味を惹かれる内容が含まれていて、おおむねおもしろく読むことができました。。