あらすじ
社会で生き抜くために最も有効な武器である「教養」とは何か。特捜事件での逮捕・勾留・裁判を経験し、いま言論界で大活躍する著者が、この武器を読者と共有したいという思いで、これまでに発表した論考、座談会、外交官時代の論文などを厳選して一冊にまとめた。著者の実践的思考法のすべてがわかる10のインテリジェンス講座。
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Posted by ブクログ
2015/8/4 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2018/4/1〜4/8
佐藤優氏の作家10周年記念出版。
全10講座からなるが、ベースにあるのは、「教養」。大学から教養教育が消え、実学志向が強まっているが、そのことが日本人を劣化させているような気がして仕方ない。成果主義が強まって、どこもかしこも、成果、成果であるが、短絡的なことだけでは、長期的なヴィジョンを持てないだろう。昔の教養に戻る必要は無いと思うが、新しい時代の教養教育が必要だと思う。
Posted by ブクログ
最近は社会派の新書を読むときには、常に「アウトソーシング社会」という言葉を念頭に置いて読んでいる。
ここ数年で確信しているのは、社会のアウトソーシング化が進んでいるということだ。
自分で解決するよりは、知っている人に任せたほうがうまくいく。
インターネットの発達で情報を簡単に手に入れられるようになり、また専門家に頼むことも容易になってきた。
その結果、何が起きたか。反知性主義につながっている。
自分より知性の高い人、物をよく知っている人、そういう人が無数にいるならば、ではそういう人に任せよう。
そうして自己修練を怠り、結果、日本全体の知的教養の低下につながっている。
そういった確信をもって本書を読み進めていると、上記の私の考えに結びつく事例が挙げられる。
P122「外務省の新人研修でロシア語を教えていた時、ドングリの背比べのうちはみんな一所懸命、勉強するんですが、語学はセンスによるところがありますから、突出した人間が出てくると、二番以下が一気にやる気を失う(笑)」
自分がやるよりも、自分よりできる人がやったほうがうまくいく。だから自分はもういいや、という考え方が表れている。
「教養は最強の武器である」と銘打たれた本書、教養を身に着けるに大事なことは「物事を自分で考え理解する」なのだと思った。
自分にはわからないから考えなくていいといった考えることをやめた無理解が政治に対して、世界に対して、社会に対して不信を招いている。