佐藤優のレビュー一覧
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社会主義と言うと、どうしても共産主義と混同しがちである。
最近は社会主義を見直そうと言う思想も出てきているが、とかくイメージが悪く、なんだかちょっと怖い気もしていた。
しかし、「左翼」を私はよく知らない。
そこで前回からこのシリーズを読み始めている。
まず驚いたのはリベラルと左翼は本来は対立的概念であると言うこと。
平和イコール左翼ではないなんて、目から鱗だ。
人間の理性は不完全であり、だからこそ漸進的に社会を変えようとするのが右翼。
国民の心情、精神に改造を施すというのは右翼は本来大嫌いで…となると、今までの私の感じていた右派左派が完全に逆転する。
なんてこった。
革マル派最高指導者、黒田寛一の思想にも驚きを隠せない。
社会の一人ひとりが思想を通じ個々に人間革命を起こし…って人間革命?
創価学会と同じ?!(殺人を肯定するか否かと言う違いはあるが源流に類似性がある)どちらも正直よく知らないけれど、
政治思想と議席を得ることは矛盾していてもよくて、となると…。
各党の主張がどれも信じられなくなってくる。
さらに左翼を下支えする労働組合も、労働は美徳と言いながらサボればサボるほど革命に近づく(旧国鉄)など…
果たして私がイメージしていた左翼ってなんだったんだ?
シリーズを全て読めば多少はわかるのか。
シリーズ3作目に何が書いてあるのか、怖いけれど楽しみでならない。 -
Posted by ブクログ
2015年におこなわれた著者の講座の内容をまとめた本です。
1939年に京都大学でおこなわれた田辺元の講演『歴史的現実』のテクスト全文を読み、著者が解説をおこなっています。ほかに、国策映画『敵機来襲』を鑑賞し、また柄谷行人の『帝国の構造』の一部を読むこともおこなわれています。また、講座参加者との質疑応答のやりとりも収録されていて、臨場感をあじわうことができるように思いました。
哲学のテクストをていねいに読み解く講座を書籍化するという試みは、仲正昌樹がおこなっており、本書もそうした内容を期待していたのですが、仲正の本とはかなり異なる印象を受けます。
著者は、田辺が『歴史的現実』の講義によって受講者である学生たちを戦争へと駆り立てていったと述べています。そのうえで、戦争の危機がしだいにせまりつつある現代において、こうした扇動に引っかからないための処方箋として、『歴史的現実』のテクストを読むという目的を語っています。そのためなのか著者の解釈は、『歴史的現実』のテクストに含まれているアジテーションとして有効な議論のしくみを暴くということにのみ向かっており、仲正の講義のように哲学のテクストの背後にあるさまざまな文脈をひとつずつ拾いあげるということには向かっていません。
もちろん著者自身の専門のひとつである神学にかんする補足情報や、現代の国際政治の問題に通じるような観点が含まれていることを指摘するなど、多少テクストの重層的な意味についての考察がなされているところはあるものの、全体としてはやや単線的な議論になってしまっているように感じてしまいました。 -
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サブタイトルはヒトラー我が闘争を読む。 元外交官の佐藤優氏が、ヒトラーの「我が闘争」を解説する。
「我が闘争」は、ヒトラーが第2次大戦以前、ナチスの総統になる前に書かれた本で、彼自身の思想や理論をまとめたもの。 ただし、内容は論理立っておらず、自分の考え方に都合のよい思想を拝借して、ツギハギだらけの著作になっている。 当時ドイツは第一次大戦から立ち直り、経済も良くなりつつある時代で、ドイツ人が自信を持ち始めた頃だった。 現在と同様に、格差が拡大し、ヘイトが蔓延し、社会的弱者への差別、そして人種的な偏見や他人に厳しい風潮があり、そこでナチスヒトラーが支持を集め拡大した。 ウンベルト・エーコのファシズムの話に始まり、「我が闘争」を理解しやすいように内容を並べ替え、ジョークを交えながら解説しており大変面白かった。 引用が多いので、一度著者の解説をざっくり読んでから、ヒトラーの記述を読んだ方が判りやすいと思う。
この時代の思想が現代にも生きていて、また繰り返されている。 プーチンはネオナチを叩くといいながら、ウクライナに侵攻しているが、やっていることはナチスと変わらない。人間は過去から学んでいるように見えても、実は何も学んでいないし、自分の都合の良い解釈だけを受け入れるのは、ヒトラーと同じだと思う。 -
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1.この本を一言で表すと?
現代の左翼がどうなってしまったのかを論じた本。
2.よかった点を3~5つ
・冷戦後も生き残った事実唯一の左翼政党である日本共産党が、ウクライナ戦争に対して「あらゆる戦争に反対する」と言う声明を出すことができず、逆にこのような祖国防衛戦争の論理を打ち出し始めたと言う事は、日本の左翼がもはや戦争の論理に完全に搦め捕られたと言うことを意味しています。(p177)
→これは今いる共産党の議員に聞いてみたい。志位委員長の発言はあなたの考えと矛盾していないのか?
・国労や動労の場合は自分たちの運動がひとつのきっかけになって流通革命を招き、それが組織力低下につながっていったと言うのはなんとも皮肉です。(p111)
→国鉄の労働運動と、ヤマト運輸の「宅急便」進出がちょうど重なっていたとは知らなかった。
・左翼ではなく「アナキスト」(p40)
→左翼とアナキストは似ているが、根本的には全く異なることはよく注意する必要がある。
・国鉄職員の場合、正確にはストではなく順法(遵法)闘争が基本的な闘争の仕方でした。(p64)
→スト権が無くてこのような手段で闘争していたのはり知らなかった。
・共産党vs社会党・新左翼という分節化に基づいて日本左翼史を論じた本は他にない。(p183)
→今まで共産党と社会党は同じ左翼との括りだったが、歴史的にも別物と考えた方が理解しやすいと思う。
3.参考にならなかった所(つっこみ所)
・左翼にとって価値判断の基準は「国家」でも「民族」でも「国民」でもない。基準は常に「階級」であり、戦争であろうと環境問題であろうと、「労働者階級にとってそれは何を意味するのか」と言う問題設定から全ては始まります。(p182)
→現代では、「労働者階級」と言う言葉自体が死語になってしまったのではないか?だからそのような問題設定が今の日本社会ではできないのではないか?
・創共協定(p90)
→共産党が公明党批判してたらしいが、池田大作と共産党は意気投合していたのでは?
4.議論したいこと
・左翼史を振り返って、今後に活かせる教訓は何か?
・今後の日本で左翼的価値観が見直される事はあるのだろうか?
・日本左翼史シリーズをお通してどのように感じたか?
5.全体の感想・その他
・左翼の終焉という言葉が出てきているが、それは日本共産党のは変節ぶりに現れていると感じた。
・日本の左翼は、少しでも考え方の違う人を受け入れなかったために自滅したのではないか、と自分なりに解釈した。
・中曽根首相がいかに重要な功績を残したかがわかった。
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2014年11月に出版された当時の世界情勢についての池上彰氏と佐藤優氏の対談内容をまとめた新書です。
2022年9月現在、ロシアによるウクライナへの侵攻が続く中、ロシアによるクリミア半島併合があった2014年当時のことを復習したくて読みました。
「ウクライナ問題が解決しない理由は、まだ殺し足りないから。これ以上犠牲が出ることは嫌だとお互いが思わなければ、和解は成立しない。」という佐藤氏の発言が印象に残りました。
先の見えない現在のウクライナ情勢。「犠牲(家族等の死)」が「領土(ナショナリズム)」に勝つには、もう少し時間がかかりそうな気がします。
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左翼、ってなんだ?
マルクス、スターリン、日本赤軍、ブント…聞いたことはあるけれど、「なんかやべー奴ら」としか思っていなかった。
左翼といえば革命。
革命を担うは労働者、労働者の権利といえば労働組合。
誤解なきようはじめに言うと、労働組合そのものは労働者の権利であって全く悪いものではない。
だが、「九条、沖縄、団結せよ!」しか言わない(しかも組合費の使途は不透明でやたら高い上に私の給料も待遇も上がらないし)会社の労働組合はとっくに抜けた。
せいせいした〜
だが、その程度の認識でいいのか?よく知らないままでいいのか?
「なんかやべー奴ら」の歴史を知りたい。
学校や資格試験の勉強、普段の仕事では出てこないことをちゃんと知りたい。
本書は佐藤優氏と池上彰氏の対談形式。
どちらもまだ学生運動華やかなりし頃に学生時代を過ごしている。
左翼の思想から学ぶことは多い、と彼らは言う。少し構えた。
しかし彼らは何も暴力革命を煽っているわけではない。
本書は可能な限りフラットに語ろうとしているように思えた。
分裂していく思想、政党の変遷…こうしたものを見ると、人間の善き面だけではない多様性を感じた。
確かにどこからでも学ぶべきものはある。
まだ、私は左翼を知らない。 -
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この数年ドストエフスキーを読み、Eテレの亀山先生の100分de名著を視聴している。おさらいのつもりで購読。
「罪と罰」小学生のころ、読んだきり。
主人王はシベリア送りの後も反省や後悔はしていないとの指摘。へ~。読まないといかんなあ。
「白痴」高校時代に読み、40年後に読み直す。
ムイシュキンを無垢で純粋なだけの人間とする見方に佐藤さんは疑問を投げ掛ける。攻撃的で、自分の偏狭な価値観に固執し、周囲を破壊していく存在と。
ロゴージンの暗い情熱とナスターシャの破滅志向がこの恐ろしい物語の原因だと思っていたが、佐藤さんはムイシュキンが触媒になっているという。
ロシアのキリスト教の話は面白った。しっかり理解できたかというと怪しいけれど。この罪深い物語のような世界だから、救済は逆説で、無力で、神は沈黙せざるを得なく、そこに神の愛のリアリティが示されるというのは、正直納得していない。
「悪霊」数年前に読む。スタヴローギンをもっと描いてほしかったと思った。
ステハンは滑稽な道化役と思ったが、人民の中に入っていけというナロードニキを表しているんだろう。対して、ニヒリストたちは農民の教化は無理だから、社会の上層部を抹殺して、自分たちが入れ替わればよいとすると佐藤さんは示す。築くべき社会の展望もなく、破壊のみを目的とする。
しかし、スタヴローギンは彼らと交わろうとするわけでもない。神と同じく悪霊もこの世に満ち満ちている。悪霊を信じることで、神の愛のリアリティを感じるというのは、正直、難しくて判らない。
「未成年」読んでない、というか、この小説知らなかった。
ドストエフスキーが資本主義を理解していなかったというのは納得。カラマーゾフでも長男ミーチャが金を借りようと騒動を起こしまくるけど、働くという思考は皆無だ。ホリエモンも未成年だという指摘は成程ねえと思う。
「カラマーゾフの兄弟」数年前に読んだ。時間がたつと、一番重要なのは次男のイワンのことなんだなと思う。長男ミーチャのことが面白くて、主題が分からなくなるけれど。
佐藤さんは大審問官について詳細に分析。イワンと悪魔との対話もやって欲しかったな。
長老ゾシマはキリスト教として異端という指摘は意外だった。死後の遺体腐食もそこに原因があるという。
未読の罪と罰、未成年を読んで、いくつか読み返したほうが良いんだろうな。