佐藤優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
初めて佐藤優の著作を読んだが、著者は相当に博識。
同志社大学の講義をまとめたもので、アンダーソンの『想像の共同体』、ゲルナーの『民族とナショナリズム』といったナショナリズム論の古典的著作を取り上げて解説している。著者の文章自体は読みやすいのだが、引用されたテキストが難解でわかりにくい。
ソ連の民族政策の話が面白かった。
ソ連は、共産主義というイデオロギーによって支配された国であり、ロシア人が異民族を植民地的に支配していたわけではない。だからこそ、グルジア生まれのオセット人であるスターリンが、独裁者として君臨できたのだ、という。
つまり、ソ連という国は、少なくとも民族問題に対してはうまくやっていた。旧ソ連の少数民族言語の保全状況が比較的良いのは、そのためだろう。
そして、ソ連が崩壊するや、一気に民族紛争が噴出するようになった。
「だからソビエトの実験が失敗したことは、実は人類にとっては非常に不幸なことでもあるといえるんです。つまり、民族を超える概念は当面、存在しない。だから民族問題も解決しない、ということになる。」
本書の出版は2017年であるにもかかわらず、ウクライナ問題を取り上げているのがタイムリーだ。
また、沖縄人は日本の少数民族であり、著者自身のルーツ(の半分)でもあることから、沖縄問題についても言及している。私自身は琉球独立に賛成なのだが、1990年代なら可能だったかもしれないが、昨今の国際情勢では到底無理だし、これから状況はますます厳しくなっていくだろう。 -
Posted by ブクログ
独裁者・プーチンを徹底解明!その内在的論理を理解しなければ、ウクライナ侵攻を理解することはできない。外務官僚時代、大統領となる前の若き日のプーチンにも出会った著者だからこそ論及できる、プーチンの行動と思想。
実は以前に著者が書かれていたものが多くて再編集されているのだが、まるで未来が見えていたのかと思うくらいに違和感がない。ロシアが悪いのは間違いない。でも果たしてプーチンを非難すれば現実が上向くのかというと、そういうわけではなく、ウクライナ国民が次々と犠牲になっている。国際社会でどう立ち向かっていくのがよいのか、非常に悩ましい問題であり、かつ結局北方領土の問題は解決まで至っていないため、著者の主張が全て正しいとも判断できないが、この膠着した事態から打開する交渉力のある人に頑張ってほしいと願う。 -
Posted by ブクログ
以下、引用
S (略)あるいは日本の新左翼運動が残したのは、島耕作型のサラリーマンを大量生産したことかもしれません。
(略)
S 個としての自立にはこだわるけれど、目の前の利益にだけ執着するという生き方です。島耕作は社内の派閥に属さないけれど仕事はでき、出世のチャンスも逃さないという男でしょう?新左翼の連中は信頼していた仲間に裏切られ、党も何も信用できず頼れるのは自分だけ、という局面を程度の差こそあれ経験しているから、運動から身を引いた後にこのタイプのサラリーマンになった人たちは多かったはずです。もうひとつは「最後に信用できるのは家族だけ」という意識から発する生活保守主義です。政治など社会の問題に対して、自分たちと地続きの問題として真剣に捉えず、たまに話題とすることがあっても居酒屋論議レベルの無責任な議論しかしない。「政治」や「社会」と、自分たちの「生活」を完全に切り離して自分の生活だけ大事にし、あとは自分のキャリアアップのためだけに頑張る。そういう新自由主義の母体を造ったという意味では新左翼運動の影響は大いにあったと思います。
I 日本人を「総ノンポリ」化してしまった面は間違いなくあったでしょうね。
S 公安は情報を集めたうえであえてどちらも放置し、結果的に中核派だけでなく、このような事件に関しては被害者側になった革マルも、両方社会から遊離するように仕向けるんです。権力側はそれくらいのことは常にやっていますし、権力というのはそういうものです。だから結局、生存のための戦略という点に限っていえば、新左翼よりも権力側のほうが知恵があったということでしょう。 -
Posted by ブクログ
日露関係・北方領土問題良く判る。必須のテキスト。
特に北方領土問題は政府・マスコミがタブー化して国民を欺いているのは、国益を毀損している。
1.北方領土問題
1855 安政元年日露通好条約
1875 明治8 樺太・千島交換条約
1950朝鮮戦争
1951サンフランシスコ講和条約peace treaty
国後・択捉を放棄
1956日ソ共同宣言歯舞・色丹は返還 国後・択捉は不可
「北方領土」用語の誕生
1960日米安全保障条約
1961グロムイコ覚書 外国軍隊駐留の排除
2001プーチン「イルクーツク秘密提案」森喜朗
1956宣言の確認 両国批准済み
2.3.4.5. -
Posted by ブクログ
佐藤優・池上彰の両氏は現代日本の知の巨人と同時に貴重な時代の批判者。特に後者について学ぶこと多い。
佐藤優氏の知識・知見は圧倒的。Globalの力を見せつける
1.ソ連は資本主義を善導していた→修正資本主義
社会福祉・教育・格差など アンチ新自由主義
ソ連崩壊の後、西側体制も放任・劣化した
2.需給調整 長期的に生産的なのは?
「価格」
「行列」=「時間」のコストor配給・割り当て
→必然的に国家独占体制へ
停滞・非効率温存・競争力低下
3.安倍政権の迷走 新自由主義と国家独占主義
アクセルとブレーキを同時に押す愚かな国家運営
安倍政権は積極的にウソをつく
縁故主義 近親者以外を排除
4.ソ連の短命 しかし大日本帝国も短命
「短命国家」の原因は何か?
5.政治への諦め・絶望
→専制君主を望む ⇒ファシズム体制へ・排外主義 -
Posted by ブクログ
ネタバレ司馬遼太郎の「坂の上の雲」は、私の一番好きな本の一つです。(もっとも読んだのは大昔ですが・・・)
その本を月刊文藝春秋で、佐藤優と片山杜秀の対談で取り上げていたものが出版されたので、どんな対談か楽しみにして手にした次第です。
この「坂の上・・・」は筆者(司馬遼太郎)が、第4巻のあとがきで「この作品は、小説であるかどうか、じつに疑わしい」述べているように、通常の小説ではない。
通常の長編小説の延長線上で見れば、構成上の破綻があるし、その点では失敗作といえるかもしれないが、司馬の作品の中では「竜馬がゆく」に次いで人気が高く、累計で2000万部近く売れています。
何故かと言えば、読んだ人なら分かりますが、小説にグイグイと引き込まれて、のめり込んで行きます。司馬の筆力の賜物です。
また一方で、この本は司馬の作品の中でも一番物議を醸している小説です。本文の中で「乃木将軍」を愚将と痛烈に批判したことで、保守論客であった福田恒存から猛烈な批判を浴びたり、更に戦後歴史学の主流であった「講座派マルクス主義」と明治時代の認識に差があることで批判を浴びています。
近年は、前述のマルクス主義の戦後歴史学に批判的であった「自由主義史観」の言論人が、司馬作品、中でも「坂の上・・・」を「国民の正史」として見だしたことも論争が大きくなった原因のようです。
司馬とは関係のない所で、作者の意図しない方向へ進んでいるのは、読者として違和感を覚える次第です。
さて本題に入ります。構成は、以下の通りです。
序 章:今なぜ「坂の上の雲」を読み直すのか
第1章:乃木希典と東郷平八郎
第2章:夏目漱石と正岡子規
第3章:明石元次郎と広瀬武夫
第4章:日清・日露戦争と朝鮮半島
本著を読み終えた全体的な感じは、佐藤優の得意な「インテリジェンス」の分野に話が傾きがちで、「坂の上・・・」から外れた論点が多いように感じました。
まあ、佐藤優が登場してくれば、そちらに話が行くのは、出版社の思惑通りなのかも知れませんが・・・。
個別には、佐藤優が「日露戦争の白兵突撃はその後のヨーロッパでは模範とされ、第一次世界大戦の肉弾戦に繋がった」と述べているのは、大きな誤りで、彼はインテリジェンスの専門家であるが、戦史は門外漢というのが分かった。
この分野の専門家である永井陽之助によれば、「日露戦争には欧米諸国から多くの観戦武官が派遣されたが、その報告書は、敗戦国ロシアの後の赤軍とドイツ参謀本部を除いては、大半は本国では、無視され紙屑として捨てられた」
何故なら「極東の『猿』の戦闘などなんの参考になるかと、当代一流をもって任じていた戦略家たちは、頭からバカにしていた」そうだ。
ただドイツ参謀本部は膨大な資料を作成し真剣に検討したが「将来の大規模な欧州戦争について結論を引き出すには、冒険に過ぎる」とした。
203高地は巨大なコンクリートに覆われ、周囲は遮蔽物もなく鉄条網に囲われた城塞であった。さらに最新式の機関銃や多くの砲弾が飛び交う修羅場と化し、世界最初の大規模な近代戦が行われた戦場であった。
これらの欧米各国の日露戦争(特に203高地の死者の多さ)を観戦した結果が反映されることなく、第一次世界大戦への悲惨さに繋がって行く。
司馬は乃木への批判とは別に、乃木が傷つかないように密かに指揮権を取り上げ、日本軍の窮地を救った天才戦術家の児玉源太郎を描きたかったのだと思う。
一方、佐藤優が「坂の上・・・」は、ロシアの日本専門家の必読書というのは驚いた。
理由は、日本における「反露感情」がどのようにして醸成されているかを知るための材料だというが、これにも違和感を抱いた。「坂の上・・・」では、反露感情を醸し出すのとは反対に、日露戦争は南下するロシアに対しての祖国防衛戦争とは言っているが、個々にはロシア軍の司令官のクロパトキンに、好意的な見方をしているように、反露感情を醸成するような本ではないと思う。
本著は、全体的に、「坂の上・・・」の主題については違和感を抱く場面が多々あるが、むしろ本論から外れたところで面白かった。 -
Posted by ブクログ
人的には苦手なのだが、本の内容は心に響く内容が多く、ついつい本を手に取りたくなる著者のひとり。50になる前、40代でしておくことチェックの一環として読む。
■学
・よきメンターに巡り合うために「素直さ」が大切
相手を尊敬し、真剣に学びたいという姿勢、ひたむきな気持ちがあるか?
かわいがられるのは自分が知っていることでも、知らなかったように反応できる人「そうなのですね!勉強になります」
・上手に喧嘩ができることも必要(私には足りない部分)
上手に相手にぶつかることができるか?
大人のケンカができない人が増えている
ケンカに強い人は攻めより守りを固める