佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は2024年7月の刊行で、トランプvsバイデンの大統領選を前提に書かれたもの。
バイデンの撤退も多少考慮されているが、カマラ・ハリスでは支持が得られないという雰囲気が感じ取れる。
実際に、トランプvsハリスとなり、トランプの圧勝という結果が出た。
トランプ人気はトランプ本人の政治家としての資質に期待するものではなく、反バイデンや反民主党によるところが大きいようだ。
トランプ・共和党vsバイデン・民主党は、かつての安倍・自民党vs野田・民主党の構図に似ているようにも思う。
政権党は何かと叩かれるのは、どこの国も同じだ。
そうさせないためには、ロシアや中国のように独裁政治にするしかない。
今週から第二次トランプ政権が始まったが、(私の価値観では悪夢の)第二次安倍政権と似た体制となるように感じる。
これはすぐに人事に現れるだろう、基本的にイエスマンで固め、権力の集中を強めるにちがいない。
いずれにせよ、トランプやイーロン・マスクのような人がアメリカの国政のかじ取りをするということだ。
韓国も超不安定国家になってしまったが、中国も政府に不満を持つ市民が増えているし、ヨーロッパも多くの問題を抱えている。
日本は政治もビジネス(スポーツ・芸能含む)もモラルの低下が著しいし、経済的にもゆとりのない国民が増えている。
こんなご時世でトランプが今後の4年間、世界中をかき回し続けることを覚悟しなくてはならない。
自分さえよければ他人がどうなろうと関係ないというのがトランプなので、アメリカ国内のみならず国外のいろんな人が苦労するだろう。
人種や宗教の問題を含めて、トランプの基本的思想が多少アップデートされた。
しかし、なぜ、トランプは大統領になろうと思ったのだろうか?その動機はわからないままだ。 -
Posted by ブクログ
色んな人たちとの対談を収録しているわけだが、さすがに12人ともなると一人一人が薄くなってしまっている。
今回は私が名を知っている人は誰も居なかったため、誰か自分のテーマと合致する興味深い人はいるだろうか、という視点で読み進めた。哲学者、社会学者が多いが、やはり私の本業とも関わってくるテクノロジー方面ということで、新井紀子氏との対談がこの中では最も興味深く読めた。
本書全体で、私の場合は大きな驚きや発見、感動はなかったが、新井氏のいう「ゴリラ力」は参考になり、且つ視点も面白かった。
佐藤氏が新井氏に即座に返している通り、余裕のある対応をできるのは経済的にも余裕のある人だったりする。
期待値を下げれば、現代日本は十分すぎるほど裕福で安全で恵まれた環境だ。
資本主義に包摂されて心を失くしてしまっている人が多いからこそ、社会の仕組みと心の仕組みを理解して自分の苦しみや悩みがどこから生じているかを見定め、心の余裕を取り戻してもらいたいところである。
そして恵まれた現代日本社会の中でも、様々な要因で取りこぼされてしまっている人も当然多くいる。そのような人々をどのように掬い上げるかという方策も、経済的サポートや行政サポートだけでなく、心理的、時間的、互恵的サポートまで含めて実現していく必要が、ゴリラ力の実装のためにあると思う。
私のアクションとしては、知識を伝えることによる啓蒙であったり、ITによる時間創出であったり、便利屋業として生活上の問題解決と対話という切り口から関わっていくことになるはずだ。 -
Posted by ブクログ
読み始めた時は、鬼ヶ島の子守唄を思い出した。
「お母さん怖いよ、桃太郎が来るよ」
昔話の英雄も見方を変えれば侵略者。
読み進める内にそんな単純な話じゃないって事は理解したけど。侵略行為、軍事行為は決して許される事ではないけれど、ロシアにも言い分はある、アメリカを筆頭とする西側諸国の振舞いに配慮が足りない部分はあった、何よりコミュニケーションが成立していない、そんな事は理解したと思う。
公式ホームページに原文が掲載されているから誰でも当たれる、って言うけど、読むのも理解するのも大変。背景まで理解して解説してもらっても充分に理解出来る自信はない。報道してる側でチェックしてるもんだとばっかり思ってたけど、そうでもないのね。
「グローバリゼーション」と呼ばれるものは普遍的価値観ではなく、アメリカにとって都合がいいゲームのルールに過ぎない
西側にいてロシアやそれ以外の国の立場を理解しようとするのは、地球にいながら地動説を理解するのが難しかった中世の民衆と同じくらい難しいかもしれない、という事を肝に銘じつつ、せめてこういった良書に当たっていく努力は惜しまずにいようと思う。
関係ないがトルコ、という国にとても興味を持った。海難事故の救助活動をきっかけに親日感情を持って下さっているという彼の国は、外交の場でとても存在感があるイメージ。トルコの事も知りたくなった。 -
Posted by ブクログ
元外交官の佐藤優氏が12人の専門家と対談した記録。12名の専門家たちは、哲学、AI、教育、都市、心理学といった各分野の先端で活躍しており、若い人も多い。現代社会の問題を鋭く指摘しつつ、笑顔を交えながら気軽に対談している雰囲気で、読んでいて臨場感かある。各対談も短めなので難しい内容ではなく、深刻な議論でもないので、リラックスして読みやすい。短いながら読者に興味を持たせ、各トピックへの問いを投げかけている。単に本書を読んで終わるのではなく、興味を持った対談内容の関連図書に誘導して、知性を鍛えることが目的なのだろう。私は早速、AI教育に関する本を注文してみた。積読にならないよう、お正月あたりに読んでみたい。
「しなやかな知性」という素敵な言葉が出てきたが、このようなキッカケから鍛えていくものだと思う。 -
Posted by ブクログ
アメリカ大統領選挙が決着し、予想通りというのか、予想に反してというのか、トランプ氏が前回2016年の勝利から通算2期目の大統領に選出された。私の周囲でも同氏が大統領になれば、また世界が混乱(混迷)するとか、親イスラエルだから同国による攻撃が盛んになるのでは、ウクライナはロシアに奪われた国土を取り戻せないまま、泣く泣く戦争が終結(ロシアの勝利)するといった様々な予想が飛び交った。一方、ハリス氏が勝てば、基本路線はバイデンと変わらないだろうから、逆にロシアやイスラエル、台湾を狙う中国の不穏な動きについても、大きく変わる事なく、それ自体が混迷を更に長続きさせるだけだとの悲観的意見も多い。果たして今現在を肯定的に見るか否定的に見るかで、トランプ氏再選の結果評価も大きく変わる。未だ就任していないのだから当面(2025年1月20日まで)は不安定な心情から容易に抜け出す事は無いだろう。ただでさえ先日の衆院選で歴史的大敗を経験したばかりの石破首相が不安な心持ちのまま、国内情勢ですら先の読み辛い状況で、一体どんな話を電話で話したのか気になるところだ。勿論具体的な話はなく、単なるお祝いのメッセージに止まったであろうが。アメリカはそもそも現政権バイデン大統領の民主党とトランプ氏の共和党の二大政党政治だから、現政権に対する世の中の不安や不満が結果に現れたのは間違いない。前述したような世界情勢の混迷だけでなく、国内の経済、社会的な問題を背景に「何かを変えなければならない」という国民の気持ちがトランプ氏を選んだ。前回オバマ大統領時代にオバマ氏自身が「change」を叫びながら、トランプ氏にchangeさせられた皮肉さが思い起こされる。いずれにしても「変化」を求めたアメリカ国民。再び世界が大きく変わるのは間違いないだろうが、良い方向に変わることを祈るばかりである。そんな最中、私の予想も外れた外れないは置いておいて、前回トランプ氏が勝利した大統領選の後に書かれた本書を読み、今回と比較することで、何らか当面の世界情勢の予測に役に立つのではないかと思い、改めて開いてみた。
結果としては、いつも通りのアメリカ政治の踏襲と、意外にも(?)まともな方向に転ぶのではないかという安心感、更にはトランプ氏の人となりについて、政治家というよりは根っからの商売人としてある意味読みやすいのではないかとの結論に至る。彼は商売の世界で大成功を収めた人間であるし、成功に導いたのは単に、時勢に乗ったからというよりは、交渉相手の心を見透かすことの出来る「本当の」交渉力なのではないかと思う。それは勿論、アメリカファーストが主体となりつつも、相手(この場合世界の国々)の出方を十分に察知し見極め、先手必勝で次々と手を出してくる、といった動きになるだろう。外交はそもそも将棋に似ていると思うが、先の先、何十手先まで見越して策を講じる事に非常に長けた人物である事に間違いない。対する諸外国も必死に手を繰り出す事にはなるが、常套手段では読まれてしまう。だからこそ時には奇抜な手を用いて、相手の予測を超える事も考えなければ、簡単に交渉から撤退せざるを得ない状況になる。国を動かす一大事であるから、余りに奇抜な手は用いようがないだろうが、相手が政治家であると考えていては勝てないだろう。
そして何より相手を熟知することの重要性が一層増してくる。今回の選挙戦においても、アメリカ国民が心の内に抱える想いや、それが闇に近いような部分でさえも、真意として汲み取り誇張しつつ解りやすい言葉で伝えてきた。前回の選挙と手法は大きく変わらない。本書の中で神学者ニーバーが聖書から引いた言葉「光の子と闇の子」を用いて説明されるが、アメリカが世界の警察として光の存在であり続けるよりも、国内問題解決を優先するというトランプ氏の主張は普段の生活に困窮する国民に伝わりやすい。それだけでなく、人間が本来抱えている原罪を理解し、その欲望や繁栄心を満たしたい気持ちに近づく手法には容易に太刀打ちできない事も解った。トランプ氏の前では皆、心の中をガラス越しに見られている様なものなのだと改めて理解した。
トランプ氏勝利により翌日のアメリカニューヨーク市場の株価は大幅に上がった。トランプ氏の存在を利用しようとする世の中と、トランプ次期政権との戦い、それを取り巻く世界の国々との新しい戦いが始まる。いずれにしても、相手を理解し、本心に向き合わなければ戦えない。奥ゆかしさを善しとする日本人が相手にするには、非常に難解な相手である。寧ろこの際、自民党政権なら小泉進次郎氏の方が読まれ辛い気さえする。政治においてはアメリカ大統領を2回目経験するトランプ氏にも気に入られそうだ。
また政治が面白くなる。どの様についていくか、中々目が離せないし、気が休まらない楽しい日々が始まった様だ。 -
Posted by ブクログ
お二人の著書を手に取るのは2回目。
わかりやすく伝えるプロとしての池上氏、元外交官でヒリヒリする場面を潜り抜けてきたであろう佐藤氏。
どのような極意かと思えば実にシンプルで基本的なことであった。
伝え方、対人関係には奇をてらったものは必要ない。
教養とは「知識の運用力」、聞いた話を「ノイズ」と「インフォメーション」に分ける。これらのフレーズは印象に残った。
知っていることをどう活かすか、情報過多から取り入れるべきものを選別する物差しを持つこと、は自分の考えを伝えるために大切なこと。
佐藤氏の実体験からのエピソードは日常生活からは得にくいもので興味深い。
自分自身、歳を重ねてきたこともあろうが書かれていることは実践しているものも多く、若い世代に読んでいただきたい一冊だ。