佐藤優のレビュー一覧
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2016年に書かれた論考が今起こっているロシアのウクライナ侵攻を理解するために大いに参考になりその必然性すら感じさせられる。ということは、佐藤優はインテリジェンス専門家としてはなかなかの人であるということか。
国際情勢を読み解くために「歴史」のアナロジー的なものの見方と「地理」の動かない要因(国家戦略に活用したものが地政学)を掛け合わせて思考すること。その教養を深めることが必須であるとして、唯一の具体例が「プーチンのユーラシア主義」であることに彼の分析予言能力の凄さを見た。
英米、独、露、中東、中国とそれぞれ明快に分析されている。反芻して頭にインプットしておくべきものと痛感する。 -
Posted by ブクログ
新緑の中に身を置くと心も体もピッカピカ。今の季節は何処に行っても気持ちいい。静かだとなお良い。
最近は静かなのが心地よい。自宅では意識してテレビを消す様にしている。音を伴う映像を見ると疲れを感じるのはやはり歳のせいか。
なので、本を読む時間が自然と増えてきた。小説が多いけど、ノンフィクションもたまに読む。
小説以外の本を読む時は、適当に選ぶと当たり外れが大きいので、立花隆や佐藤優の書評を参考にすることが多い。
すると、この2人が対談している新書を偶々見つけたので早速読んでみた。知性の塊りみたいな2人だがユーモアがあるし、人間味の温かさも感じて昔からファンだ。
立花隆の書斎「猫ビル」が近隣にあって、ジョギングでよく脇を通った。生前、本人を見かけたこともあるが、家族らしき人の肩に手をかけてゆっくり歩いていた。
佐藤優は著作を読むと超ストイックな印象だが、メタボっぽいし、声のトーンも高くて可愛い感じ。ただ、最近はかなり痩せてきた。遂にダイエットに成功したのかもしれない。
今回読んだ新書「ぼくらの頭脳の鍛え方」は、2人合計で400冊の本を勧めているが、歯応えの強そうな本が多く、全部読みこなすのはかなりしんどそう。
紹介された本は歴史、哲学物が多い印象だが、柔らかい本もある。しかしなんと言っても2人の対談内容がバツグンに面白く、それだけでも読む価値ありと思った。
マルクスやフロイトなど、2人の評価がけっこう違う本も多いし、著作に関するエピソード、コメントが楽しい。立花隆の学生時代の話や、佐藤優の外交官時代の話、刑務所にいた時の話など大変興味深い。
常に傍に置いて、次に読む本の手引き書みたいに使うことにしよう。 -
Posted by ブクログ
外務省時代には、在ロシア日本大使館に勤務し、北方領土問題など対ロシア外交に尽力した著者。(巻末の著者略歴より)拘置所に512日間勾留されたときも、メンタルを病まなかったという。
拘置所という言葉を目にした時点で、悪いことした人が書いた本?と疑心暗鬼になって積読にしていました。
時間を置いて手に取ると、図々しい下品で利己的な人間が生きやすい世の中、その通りだよ〜と同感の部分が多いです。理解しやすいです。必死に仕事に没入してメンタルを病んでしまったり、早め早めに対処し準備しても仕事は減らないことはなるほどと納得しました。マイペースで快適に働き続けることが大きな成果を得ることよりも大切だと学びました。
周りに合わせずマイペース、苦手なのでもう少しゆっくりと話すことから始めます(^^) -
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ネタバレ「”不倖せの再生産”は避けようと、心の奥底で誰もが感じている」と説く。言い得て妙な表現です。
今、感じる。やっぱり息苦しい、ちょっと違う、なんかずれている、どうして責められるの、どうすればよかったの、ちょっとした不満が重なって積もって沈んで…。自分の中に潜む”こうではない”社会。
「働き方改革は正しくない」と説く。8時間以上働きません、勉強しません。そんなことをしていると、使い物にならない人材ばかりになる、と。たぶん、その通りかな。量が質を凌駕するではないけど、制限してはいけなかったと、この歳になって感じる。
「カタカナ語、絵文字は知的堕落だ」と説く。二言もありません。反省です。
「ノブレス・オブリージュが欠けている」と説く。ひっとしたら、誰もノブレスでないかもしれない。あるいは、ノブレスに含まれているかもしれない。もしノブレスならばすべきことがあるのでは、と、感じる。 -
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佐藤優の読書法がひたすら書いてある本。第一章の文章がまとまっていた。「基礎知識は熟読によってしか身につけることはできない。しかし、熟読できる本の数は限られている。そのため、熟読する本を絞り込む、時間を確保するための本の精査として、速読が必要になるのである。」
以下参考になった点
基本書は奇数。初読はシャーペンで線引き・囲み、結論を自分なりにまとめる(今やってる作業)
速読は気になる点だけ印。
高校の基礎知識は超大事!!
漫画は「代理経験」「人間関係の縮図」
読書録を付け始めて一冊への向き合い方が真剣になったし、エッセンスも頭の中に残りやすくなった。自分は速読は好きではないが、知識獲得としての手段ならしょうがない(これからそういう場面がでてくる)ので頑張りたい。
とりあえず受験勉強は知への近道
2021/12 -
Posted by ブクログ
佐藤優氏が、同志社大学生命医科学部「サイエンスコミュニケーター養成副専攻」において『進化論と神の問題』について3日間にわたり行った集中講義の内容を記したもの。進化論の解釈において歴代のアメリカにおける政策や、ナチスドイツの考え方について異論もあるが、神学、哲学、数学、天文学や科学技術、芸術などのつながりに焦点を当て、深い内容の講義をしている。講義形式なので、論理的に説明をしているわけではないが、さまざまな知識が随所にちりばめられており、勉強になった。
「研究職は別として、総合職としてマネージメントをやっている人の中で、Ph.Dを持っている人がどれくらいいるかな? 修士を取っている人だってほとんどいない。経営の決定権を持っている人にMBAを有している人も少ない。これは国際基準からすれば著しい低学歴社会だ。こうした状況はいずれ変わっていかざるをえない」p62
「「昔はよかった」という人たちは下降史観なんだよ」p75
「人種主義は第二次世界大戦で完全に封印されて、アメリカも公民権運動で封印されたことになっているけれども、それは建て前の世界だ。裁判官も陪審員も半分女性、半分男性で、なおかつ白人と黒人、ヒスパニックの比率もだいたい同じになっている。実態においては絶対にそんなことはない。そういうアメリカの建て前はよく理解しておいたほうがいい。見えないところに人種意識がある」p79
「60歳を回ったとたんに、しょぼくれる男は多いよ。それも年収1800万円くらい。つまり月平均で150万円くらいの収入のあった人たちが特にひどい。一気にしょぼくれちゃう。年収1800万円といったら、サラリーマンの頂点ですよ。そういう人たちが60で定年退職する。年金が出るのは65歳からだから、それまで働かないわけにはいかない。そこで元の会社に再雇用になるんだけど、それだと月給が30万円で固定。客観的には少なくはないけど、一気に月収が1/6になるわけだから本人にとってもショックは大きい。でも、再雇用だと仕事は楽になるから、そんなところが相場になる。「俺、人間の価値が1/5になったみたいだ」と言うんだよ。しょせん再雇用なんて年金が出るまでのつなぎなんだから、ひと月30万円入ればいいじゃないと言っても、全然そういう感覚になれない。本当にそこで老け込んじゃう。あるいは、大学病院に行くでしょ。朝の6時ぐらいから60代後半から70代前半くらいの人たちが待っている。病院の番号札を少しでも若いのを引きたい。それで「俺は何番だった」と自慢してるわけ。彼らは特に病気があって通院しているわけでもなくて、病院で定期検査をするだけなんだけれども、そんなところで競争して、若い番号札を取るのに燃えている。それもまた承認依存症の一種だ」p86
「私は学者を評価する時には必ず翻訳業績があるかどうかを見る。翻訳は大変。訳をすればかならず誤訳が出てくる。文句もつけられるし。それから翻訳というのは印税が安いし、あまり売れないし、全然金儲けにならないからやりたい人しかやらない」p95
「(欧米の考え方)人間には原罪があるからどんなに文明が発展しても平和な世界を作ることはできない。かならず戦争が起こるという建付けがあるから「実際に戦争が起こったらどうするか」というところから、戦時国際法を作ろうというアイデアが出てくる。戦争はやるけれども、やりすぎないように自制する。そのためのルールが必要だというわけだ。こうした人間観は日本人にはないから、その理解はひじょうに重要になる」p141
「「ヒトラーの思想は首尾一貫している」と言ったけれども、それは彼の頭の中での話で、思想としての体系として見た場合には、アマルガム、つぎはぎでしかない。その意味では、ナチズムはデタラメで、知的な水準としては取るに足らないほど低いのだけれども、その思想が世界を破滅の危機にまでおいやったわけなんだ」p164
「マルクス主義は資本主義そのものをなくして、新たなシステムを作る、つまり社会主義、共産主義の革命を起こすことによって格差を解消していくというアプローチになるんだけれども、ファシズムの場合は資本主義はそのままにしたうえで、国家という暴力装置によって労働者の利益を保全するという考えに立つ。すなわち資本主義の利潤の一部を国家の強制力で労働者に再分配し、その代わりに労働者にはスト権を認めない。また雇用に関しても、資本家に雇用を確保させる。こうしたコーポラティズム、一種の協同組合主義として、ナチスの経済政策は始まっているわけだ」p171
「ファシズムも福祉国家政策とともに国家が私的な経済活動に介入して、富の再配分を行うという点においては共通である」p172
「どれだけ中欧、東欧において、ナチズム政党が躍進したのか。まさに、ナチズムやファシズムの支持率はヨーロッパ全土で圧倒的に伸びたんだ」p179
「途中で「派遣社員の方が気楽だと思っていたけれども、これではダメだから、やはり正社員になろう」と思っても、そういうキャリアアップの道は日本ではほとんどない。新卒の段階で派遣を選んだら、一生、派遣社員になってしまって、その先には希望がない」p308
「よく「新卒採用がダメでも、第二新卒があるから」とか「就活なんて過去の遺物だよ」という人がいるけれども、それはまったく正しくない。特に企業において、ことにトップクラスの企業においては終身雇用制は維持される。これはアメリカでも実は同じで、よい企業の方が長く勤めるものだし、企業もそうした社員を圧遇する」p308
「(弁証法)自分が何かについての考えを述べる。それに対して、相手が反駁する。そこでその相手の指摘を踏まえて、自分の考えをさらに深めていく。論理のやりとりの中で事柄への理解が進んでいくことを弁証法という」p334
「(ナチスのアイヒマンについて)凡庸な男が地位と権限を与えられると、人類史上、例のないほどの大虐殺をやる。人間とは本質的に、そういうもんなのだ」p388
「プロフェッショナルになること、研究者になること、その道の専門家になることは何も悪いことではない。だけれども、マクロな視点から見たら、今、自分がやっていることが社会にどのようなつながりを持つのか、という大枠を見る訓練をしておくのはひじょうに必要とされる」p390
「みんなに身につけてもらいたいのは、形式的な学位とかそういった資格ではなくて、社会に出てから本当に役に立つ力だ。競争社会というのは問題もたくさんあるけれども、力のある人にとっては全然悪い場所じゃない。そこの競争の中で生き残れるから」p393
「ロシア語では「彼はずいぶんとずるい」ということを「中国人100人分くらいずるい」と平気で言う。ロシア人にとっての中国イメージというのはそれほど悪い」p419
「(バッファー)ロシアにとってモンゴルもポーランドもチェコも、みんなバッファーなんだよ。このバッファー国家に対して、ロシアはいつでも好きなタイミングでソ連軍を展開できる。そういう領域を常にソ連は必要としている。そうして安全保障を200%担保するわけだ。ソ連の建て前としては、これらのバッファー国家、衛星国はあくまでも独立国であって、保護国ではないし、傀儡国家でもない」p420
「ローレンツは優れた発見や観察をたくさんしているんだけれども、1つだけ間違ったのは、動物の行動は種を維持するためにあると考えたところだと、ドーキンスは考える。今では動物の行動は種全体ではなくて、それぞれの個体が生き延びるためにあり、それを子孫に伝えるのが遺伝子の働きだというのが主流説になっている」p451
「自分を基準にして、教え子に「このくらいの問題だったら、だいたい自力でやれるだろう」とか「今の実力だったら、あと2割くらい負担をかけてもいいな」と思うんだけれども、そこは今と昔ではいろいろ違うから、それをだいたい八掛け、七掛けにしたぐらいの感じで課題を出すわけ。それで大丈夫な人もいるし、ダメな人もいる。そのへんが本当に難しいと思う」p490
「科学リテラシーを持たない人々が増えることによる経済的損失も大きく、社会の隅々にまで科学を理解する人を養成することが、今後わが国の将来を左右するといっても過言ではありません」p532 -
Posted by ブクログ
佐藤優さんと池上彰さんが対談しながら、日本の左翼の変遷について教えてくれる。この2人だからこそ、対談してまとめるだけでしっかりした新書が一冊できあがるというのは羨ましいかぎり。
第1弾の本書では、戦後から1960年ぐらいまで。日本共産党の戦後初期の動き、社会党の変遷、55年体制の完成と、日米安保改定による極左の誕生あたりまでが語られます。極左は共産党ではなく社会党が育てていたことなど、全く知らなかった。
本書のあとがきにあるように、コロナ禍後を見据え、格差が拡大しつつする日本で再び起き上がりつつある左翼が、忘れ去れつつある過去の誤ちを繰り返さないよう、その過去を振り返っておこうという主旨で企画されたようです。
学生時代、革マルだとか中核派だとかをチラホラと目にした年代ですが、基本的にそっちには全く拘わらなかったのでほとんど何も知らないものの、一体どういう経緯で何をしているのか興味はあった。自分より1世代、2世代前の人々にとって共産党だとか左翼の諸派がどのように見なされているのかも感覚的には理解できなかったが、知りたかった。本書の続編も読んで、そいうことを知識として知るだけでなく、理解したいと思う。