【感想・ネタバレ】プーチンの野望のレビュー

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Posted by ブクログ

■2014年2月当時、ウクライナで進行していた事態は「革命」にほかならない。この背景には歴史的、文化的に根深い対立構造がある。半政権側は西ウクライナ(ガリツィア地方)に基盤を置く民族主義勢力だ。帝政ロシア時代、ウクライナは「小ロシア」と呼ばれていた。現在も「自分は広義のロシア人だ」という自己意識を持っているウクライナ人は、ウクライナの東部や南部に少なからず存在する。 また東部には軍産複合体や宇宙関連企業があるので、軍事的にも経済的にもロシアと緊密な関係を維持している。
 これに対してガリツィア地方と呼ばれる西部は歴史的にハプスブルク帝国の版図であり、同帝国解体後はポーランドに属していた。ガリツィア地方がソ連領ウクライナと統合されるのは第二次世界大戦後のことだ。
 ガリツィア地方のウクライナ人は日常的にウクライナ語を話す。これに対して東部、南部のウクライナ人は日常的にロシア語を話す。ウクライナ人の大多数は正教徒だがガリツィア地方のウクライナ人はカトリック教徒他多数派だ。このガリツィア地方の人々はロシアを嫌いEUとの統合を強く望んでいる。軍産複合体、宇宙関連企業と結びついた東部のウクライナ人はロシアとの連携強化を望む。また、東部、南部では、ウクライナ人、ロシア人の意識が未分化な人も多い。
 ウクライナは決して一枚岩ではない。国民のアインティティがまだら模様であることが革命とウクライナ危機をもたらした。

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2022年08月07日

Posted by ブクログ

流石ロシア分析の第一人者だけある。佐藤優氏の真骨頂。プーチンの思考回路とロシア気質から見えるウクライナとの戦争の意味合いが非常によく理解できる。現在のウクライナ侵攻は許されざる蛮行ではあるが、どのような落としどころを考えなければならないかがよく理解できる一冊。如何に新聞・テレビ・ネットニュースが浅はかな論拠で記事化してるかよくわかる。佐藤氏には体調に留意いただき、今後も貴重な発信をし続けていただきたい。。

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2022年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

専門家の知識・分析が、とりわけ後半に出てくる。私は、国土というのは、歴史的に、ある程度ひとまとまりのもののはずだという先入観を持っていたが、この本に書いてあるウクライナはちがう。肥沃な農地のある国というイメージを持っていたが、西部と東部で、農業の基盤としても、また工業地帯としてもポテンシャルがちがうんだということも知らなかった。とてもためになる本でした。 

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2022年06月07日

Posted by ブクログ

この本のための書き下ろしではなく、過去の原稿に加筆修正を行ったもの、ということだけど、今の情勢で知っておきたい基礎がおさえられたいい本。それぞれの内容についてより深く知りたくなる。

特にウクライナ問題については、基本知識が分かりやすく書かれていて現状理解にすごく役立った。欲を言えば地図と年表が欲しい。(特に地図。)

北方領土問題については、当事者だけあって圧巻の臨場感。読みごたえあった。

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2024年02月19日

Posted by ブクログ

エリツィンに取り入れられ、メドベージェフを巧みに操り大統領に長く君臨するプーチン。
ウクライナは正義なのか?これがこの書で1番印象に残る

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2022年08月02日

Posted by ブクログ

ロシアとウクライナの戦争が始まって、一方的にロシアが悪い風潮が流れているが、各国の思惑もあり、ロシア側にも言い分があり、感情抜きに情勢を見る力が必要なのだ。
1人で調べたり考えたりしても結局感情的になってしまっている自分がいるので、本書は冷静にロシアの分析をされているのでとても勉強になった。

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2022年07月27日

Posted by ブクログ

この方はやはり良い意味での宗教者なのですね
外交官時代に詰腹切らされるほど、ロシアーソ連に精通しているのは間違いない上に、一歩踏み込んだ精神性の面から物事を語る事ができる方

だから他の政治の専門家さんとは視点が少し異なっています。

その部分が受け入れられない人にしてみれば、ちょっとと思うかもしれませんが。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

タイムリーな書き下ろし…ではなく、2005年以降くらいの過去の各誌への寄稿を「プーチン」「北方領土問題」「クリミア併合」そして今回の「ウクライナ侵攻」など各章のテーマに従って集めて再構成した内容なのでかなり話が重複する。よってやや読みづらいが著者の見方を歴史をやや遡ってざっと概観できるので今一度基本事項の理解の整理となり大変参考になった。

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2022年06月20日

Posted by ブクログ

独裁者・プーチンを徹底解明!その内在的論理を理解しなければ、ウクライナ侵攻を理解することはできない。外務官僚時代、大統領となる前の若き日のプーチンにも出会った著者だからこそ論及できる、プーチンの行動と思想。
実は以前に著者が書かれていたものが多くて再編集されているのだが、まるで未来が見えていたのかと思うくらいに違和感がない。ロシアが悪いのは間違いない。でも果たしてプーチンを非難すれば現実が上向くのかというと、そういうわけではなく、ウクライナ国民が次々と犠牲になっている。国際社会でどう立ち向かっていくのがよいのか、非常に悩ましい問題であり、かつ結局北方領土の問題は解決まで至っていないため、著者の主張が全て正しいとも判断できないが、この膠着した事態から打開する交渉力のある人に頑張ってほしいと願う。

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2023年02月09日

Posted by ブクログ

同じ事柄に関して、それぞれの真実があるということ。悲しいけれど、戦争はそのために起きる。

それはわかるけど、チキンレースはそろそろおしまいにしてほしい。

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2022年07月17日

Posted by ブクログ

佐藤優氏の鋭い目が光る内容であったが、そりゃそうだよなという、「普通の内容」でもあった。どちらか一方が正しく、どちらか一方が間違っているという二元論ではないというのは、ニュースの上っ面しか見ていない方には考えてほしいとも感じた。

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

緊急出版だそうな。
確かに、今出せば売れるだろう。

内容は前半は、これまで既出の記事の寄せ集め、どこかで見聞きした(実際に読んだことのある)話だ(2005~2021年にさまざまなメディアに発表したもの)。

本書の価値は終盤の第5章、第6章あたりか。
2014年クリミア併合あたりからの分析ではあるが、有料メールマガジンの記事だけにインテリジェンス価値は高いと見る。
書下ろし終章は、池田大作先生礼賛に振れはするが、今のロシア・ウクライナ戦争を「宗教的観点からからも考えてみる必要がある」と、他にはない視点を示している点も特筆してよさそうだ。

さすがの佐藤優も、プーチンを擁護することはないが(”既存の国際法に違反する”と冒頭に名言している)、今の日本の、ある種のウクライナ・ブームには警鐘を鳴らしている。また、ロシアの行為に対する弾劾、国際法違反への批判は行いつつも、

「しかしそのことは、キーウの現政権を手放しで支持することにはつながらない」

と言う。これは、ウクライナ国民が支持するか否か、ということではなく、我々に日本人の立場として、冷静に情報を分析して考えた上でどうすべきかを言っているのだ。

刮目に値する指摘、分析、視点が数々示されている。

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2022年06月21日

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