佐藤優のレビュー一覧
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60年安保から60年代の社・共両党と新左翼のヘゲモニー争い、そして1968年からの東大全共闘、日大全共闘の活動、この時代は市民と信頼関係があったにも関わらず、なぜ新左翼が市民から遊離していかざるを得なかったのか。共産党が言うように「権力によって泳がされ、利用された」との批判はその意味で当たっている。わずか50数年前の出来事が今は理想に生きる人たちが多く存在した夢のような時代に感じられる。その中では当時の共産党の姿勢が理想とは遠く、党派を優先する姿勢に終始し、混乱を与えていたには改めて残念に思う。いまや左翼は共産党しか存在しない中で、リベラルな主張をしているように感じるが、警戒すべき存在だと改
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外交ジャーナリストで元NHKの手嶋龍一氏と元外交官のラスプーチンこと佐藤優氏がウクライナ戦争について語る。
西側の視点からしか見ない日本人からすると新鮮なとらえ方がいくつも出てくる。
「アメリカはウクライナを勝たせるつもりなはない」(管理した戦争)「在庫一掃セール」などなど。また、NATO拡大の超えてはならないラインだとか、英国のエリートの消滅、ウクライナの複雑な民族文化構成や歴史、「破綻国家」(腐敗と汚職と財政難)の側面などなど。
国際政治のバランスは思った以上に西側に不利になってきているらしい。そうした中、核大国・ロシアに対して「正義」を声高に主張してもしょうがない。現実的な平和への道 -
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安倍政権では官邸への権力集中に反比例して、霞が関(官僚)に緩みが生じた。
こんな政治の状態を放置しておくと日本は奈落の底に沈む、というのが佐藤優さんの心配事だ。
出版時は菅政権だったのでこんなタイトルだが、現状理解のために自民党政権の変遷や世界の状況も再確認している。
本書は菅政権の問題点を明らかにし、その解決策を示そうとしたものだ。
だが、菅政権の分析は2章までの70ページで、総じて民主主義の危機を論じている。
スウェーデンに民主主義の多様性の調査機関V-Demがある。
この機関によると、民主主義から権威主義へは
「選挙によって政権獲得 → メディアと市民社会の弾圧 → 社会を分断 → -
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地政学の基礎を把握するのにためになった。非常に分かりやすくまとまっている。
気になる点としては、
中東におけるアメリカの新たなパートナーとして、サウジの代わりにイランが浮上していて鞍替えの可能性が考えられるというもの。
サウジにおける残産油量はどんなものなのだろうか。アメリカはサウジにダラーオイルの楔を打ち込んでいるだろうが、イランにはどうだろうか?
また最近ではイラン各地で反政府デモが女性を中心に起こっているが、これはアメリカとしては好都合だろう。さすがにこれで盤石なイランの独裁体制が揺らぐとは考えられないが、注視する必要がある。国家のかじ取りは大変だ。
またアフターコロナの覇権を取るもの -
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官僚になる人はスーパーエリートに違いないのだが、近年??と思うことも目立つ。
安倍政権の時に、森友・加計案件が問題視された。
このように後で問題が発覚した時に、事実確認と問題の原因を検証するために記録がある。
正直に文書を開示すればいいだけなのに、なぜかそうしない。
これが日本の政治か?官僚のモラルはどうなっているのか?と悲しくなった。
・森友公文書改ざん問題での佐川宣寿(当時財務省理財局長)の黙秘
・加計学園問題での文科省「総理のご意向」文書の存在隠しや公開拒否
と、官僚がなぜ真実を隠す行動に出るのか、何に怯えているのか、理由が分からなかった。
安倍政権が設置した内閣人事局。これで首相 -
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トランプ大統領の大使館をエルサレムに移転するニュースから、戦争が始まるのでは?と危機感を抱いた後、その後大きなニュースはなく、良かったとは思いつつ、どうなってるんだろう、と気になっていた。
そんなイスラエルの最近の情勢と、欧米とイスラエルの経済交流について書かれている。
読んだ内容を非常に感覚的に総括すると、結局イスラエルは経済的に成功し、欧米と経済的な関係を深め密接になったから欧米としてはなあなあになり、そして土地を奪われた形となったアラブ人的には自国政府(やハマス)が信用できない状態で、諦めムードということだろうか。
著者の立場はわりと中立的。だが、タイトルの通り、イスラエルとユダ -
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ナチズムやスターリニズム、中国共産主義など一般人が見たら読むのもはばかれるであろう過激でかつ危険な思想を扱った書物を敢えて多角的な視点で見解して読み解いていて再評価していこうとする本である
その過激な思想の裏には人間としての普遍的なテーマや思想性などが意外と散りばめられていてビジネス書や自己啓発書としての役割も果たす事が出来るようである
例えば毛沢東の書籍にも優れたアイデアを作り出すにはそれを作り出す調査が必要でその調査を錬って熟す事ではじめて優れたアイデアが生まれる事やマニュアルより現場を大事にしてかならず各種職業の人間を調査会に呼ぶなどのビジネス観点から見てもかなり実践的な面で勉強になれる -
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コロナが全面に出過ぎてて、なんとなく思っていた(期待していた)内容と違う…となった。でも、〈会うのは暴力〉は真意だと思った。
p.80 約束の時間が近づくと、妙に緊張したり、不安になったりもします。ところが、不思議なことに、実際にあった話をすると、途端に心が楽になる。毎回、この繰り返しで、あえば楽になるのがわかっているのに、会うまでは苦痛を感じたりするわけです。
人に会うと言うのは、どんなに相手が優しい人であっても、お互いが気を使い合っていたとしても、それぞれのもつれを生きよう侵犯し合う行為なのです。相手の境界を越えなければ、会話自体が成り立ちませんから。
私は、コロナによる外出、自粛 -
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本書が出版されたのが2022年10月、あれから間も無く9ヶ月が経とうとしている。22年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻からは既に17ヶ月になる(2023年6月末時点)。一時期はニュース報道やインターネットも日々ウクライナの戦況を解説する様な番組で目白押しとなっていたが、自分の関心が薄れたのか、現実取り扱う番組も減ったのか、中々毎日は見なくなってしまった。
未だ終わる気配は無いが、それでもこの1ヶ月は大きな進展があった可能性もある。ドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、南部ヘルソンと昨年のロシア侵攻以来同国に占領されている地域に対する、大規模な反転攻勢が開始されている。数ヶ月の膠着状態を経 -
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タイトルにある「読書術」は本書の内容とほとんど関係なく、正直なところ誤解を招くものだった。
まえがきに「『週刊SPA!』での連載並びに本書の刊行に当たっては(後略)」とあるので、連載されていたQ&Aをまとめたものと考えられる。
全80回分の、匿名の読者からの質問に対して著者の佐藤優氏が回答していくスタイル。
質問内容は多岐にわたっていて、政治、国際情勢、人間関係など幅広い。また質問文が攻撃的であったり、悲観的であったり、思わず「ん?この人の認識はよろしくないな」って部分が多々あるが、佐藤氏は時に質問者の気持ちに寄り添い、時には、例えば齟齬や危うい思想があった場合には丁寧に指摘し、間違 -
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①怒らない、②びびらない、③飾らない、④侮らない、⑤断らない、⑥お金に振り回されない、⑦あきらめない、⑧先送りしない、以上8つをテーマに、著者が過酷な競争社会をいかにして生き抜くべきかを説いた実用書。
今回本書を読んで、第1章の上手に怒れる人の心理状態、第3章の人間関係の距離の取り方が今後、人と関わるうえで役立つと思った。怒られることは誰もが嫌がるだろうが、どのような理由で怒られたかを分析すると、実は怒った側が心配して、そのような行為に走ったという場合がある。逆に、自分が誰かを怒る際、単なる八つ当たりにしてはならず、簡単な作業ほど注意しなくてはならない。
また、第3章で本音をいうことを良し -
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本書は2016年末に出版された本で、大きくは3部構成になっています。第1部がエマニュエル・トッド氏へのインタビュー記事。第2部はトランプの共和党候補指名受諾演説、第3部は佐藤優氏による論考です。出版から3ヶ月以上経ち、トランプ政権の動向が少しずつわかってきている中で本書を読んだ感想ですが、エマニュエル・トッド氏の分析は非常に面白い。新自由主義的資本主義に対する民主主義の反撃であって、何も恐れることはない。今回最も明らかになったのが、エリート層およびそれを擁護するアカデミクス(経済学者を念頭に置いている)がいかに現状分析を間違ったか、という点である。トッド氏の最大の特徴は、世界の多様性を重視する