佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
佐藤氏の他の著作と比べると、本書は引用、参考文献の提示が多く、丁寧にされている。
分析、解説に主軸を置いた一冊ということだろう。
分析内容、見立てには納得感がある。
分析や解説に力点を置いているだけに、逆に佐藤氏の感情や好みの部分はばっさり落とされている。
なお他著でも繰り返し論じられた主張がメインなので、真新しいものは少ない。
日本が関連した過去の戦禍からの距離が遠い故に、私はどうしても「戦争を避ける」「人命優先」という至上命題が根底にあることを忘れてしまいがちになる。
だから表面的なトランプの認知操作的攻撃に振り回されて、イライラさせられる。これは感情が本能的に反応しているものなので仕方ないとはいえ、EU的な価値観の方に吸い寄せられてしまい、高圧的で、下品で、喧嘩腰で、経済的豊かさばかりを主張し、反知性的で、妄信的で、皇帝のようにふるまう傲慢さを兼ね備えた人間性にこの上ない嫌悪感を感じてしまう。
しかし佐藤優が見抜いているように、最優先すべきは平和の希求である。
絶対に第三次世界大戦のような大きな戦争を起こさないこと、そして日本がそこに巻き込まれること(あるいは自ら飛び込まないこと)を主軸に置かねばならない。
そのために冷静に、現実的に、反吐が出る相手とも手を握る「大人な」対応が不可欠だ。
あくまで立場として「敵か味方か」と見ている人との対応は、ゲームのプレイヤー同士の関係性であって、そこに人間的な善悪を持ち込むこと自体がナンセンスと言われかねない。
ダレスの恫喝もそうだし、経済、農林水産業、法律、軍事、信仰まであらゆる面で、第二次世界大戦でのアメリカに対する敗北が現代にまで尾を引いている。この現状から一歩抜け出す上では、トランプがいるタイミングは好機といえる。
日本が更なる自律へと歩みを進めるために、この混乱を利用しない手はない。 -
Posted by ブクログ
年齢を経て、考え方は変化する。
佐藤優さんは、同志社で神学を学び、ノンキャリで入った外務省においてロシア外交で活躍、42歳で逮捕され、45歳で著作を発表、49歳で有罪確定・外務省失職、53歳で執行期間満了。慢性腎臓病に伴う人工透析、がん治療を経て、現在65歳。こんな人が語る話に含蓄が無いはずがない。最近は死の直前を迎えている人の言うことは比較的信頼できると考えている。山崎努さんとか。残された人生で何かを伝えようとしているわけで、まさに命をかけていると思うから。
還暦はまだまだ先だけど、自分も歳をとって考えるのは、自分の残りの人生の期間とまだ続く人生への向き合い方。これまでの人生で、良いことも悪いこともあった。これまでの人生は変えることはできない。しかしなぜだか最近はあまり良くない思い出、しかもどうでもいいことばかりが思い起こされ、自分を悩ませる。何故だろう?取り戻せない過去への後悔か?更年期障害か?今が平和で暇だからネガティヴ思考で安心するなと本能が働きかけているのか?よくわからない。
この本を読むと、確かに、日本人の定年後はやりようによっては楽園って感じもする。日本という恵まれた国の仕組みがいつまで続くかはわからない。定年後でも死ぬまでは生きねばならず、ストレス低めで楽しく生きなあかんなと思った。
内容自体は扇情的でもなく至って穏健。友達を大切にせよ、投資は保守的にせよ、隠れ家を持てなどなど。波乱の人生の佐藤優さんでも普通なのか、あえて普通の人の目線に合わせて書いたのかどちらかはわからないけど、個人的には佐藤優さんが普通の事を言っているのに価値があると思った。
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Posted by ブクログ
僕はリーダーシップに興味があって色々な本を読んだりしています。そんな文脈で新・リーダー論というタイトルに惹かれてこの本を読んだ訳ですが、タイトルと内容の不一致が大きいなと思いました。
この本は、各国の政治のリーダーや情勢について、池上氏と佐藤氏がひたすらあれこれ話しているという対談本です。内容は本当に知識豊富な2人が、深い議論をしていて、色々と考えさせられるもので面白かったです。政治経済に関する背景知識がないと理解できないところも多く、普段あまりニュースも見ない、新聞も読まない僕にとっては難しいとも思える本でした。
この本の想定している読者層がどういった方なのか分かりませんが、イントロが無いままに難しい議論が始まる章が多いです。個人的には池上彰氏のもう一つの特徴は分かりやすくニュースを伝えるところだと思うので、基礎知識などを池上氏がイントロでもう少し丁寧に書いてくれたら読者層の幅が広がるのにな〜というもったいなさは少し感じました。
2016年の本ということで出版からだいぶ経っていますが、トランプ、プーチン、習近平と大国のリーダーが今も変わっていないのであまり違和感なく読めました。 -
Posted by ブクログ
タイトルから内容がわかりにくい。出版は佐藤氏の腎臓移植とほぼ同時期。一見相容れないような佐藤氏の剛という感じと、片岡先生の柔とが調和している不思議な雰囲気の本。片岡先生のお人柄があちこちに感じられる。
料理に例えると、美味くもない、なんなのかよくわからない、ときどき鈍い苦味のような変な味がする、けど食べた経験が残る、、そんな本か。
新自由主義のくだりが興味深かった。何でもかんでも個人の自由平等を振りまわすのは社会全体のためによくない、と。
「イガイガトゲトゲの多い二項対立の御時世」を佐藤氏と二人で憂い、無駄に希望を持たせない、悲観的な気配が流れている。しかし投げやりではない。諦念というべきか。生きることへの強さも感じる。