佐藤優のレビュー一覧
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原作である佐藤優著『国家の罠』をほぼそのままなぞってコミカライズしたものです。
人名や団体名は微妙にぼやかしていますが、まず実名がわからないことはないと思います。
原作者・佐藤優氏は今でこそ「知の巨人」などと言われ、知識人としての名声を不動のものとしていますが、『国家の罠』上梓前は世間的にはそれこそ犯罪者のイメージしかありませんでした。外務省は伏魔殿と言われ、そこに巣食う怪僧というキャラクターでした。そして、それを一変させたのが本書です。
本書は2つの場面を転換しながら語られます。1つは佐藤氏が外交の裏舞台でインテリジェンスオフィサーとして活躍しながらも、やがて政争に巻き込まれていく様を活写し -
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以前読んだ手嶋さんとの対談が面白かったのでつい手に取った。
読み物としては、思ったより面白く、割合ぐいぐいと読んでいくことの出来る本。
内容としては、前半の政治家達の話が面白く、大変興味深く読むことが出来た。作者が実際に係わったからこそ書けたのだろうと思われる。
だからこそ、内容に真実味がある。(どこまで真実なのかはわからないが。)
ただ、後半に行くにつれ、歴史的な話題や宗教的な話題をとりあげるようになり、前半に読んだ様な政治の舞台裏的な話を期待していた私としては、ちょっと「?」と思ってしまう部分があった。
とはいえ、過去の政治ネタをちょっと違う視点で眺め直すことが出来たし、超有名な政治家 -
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佐藤優という人の著作には、独特の吸引力がある。グイグイと人を引き付けて、本来ならあまり興味のない話題でも無理矢理読ませてしまう。本著でも、そういった力は十二分に発揮されており、特に前半の外交体験に関するエッセイは秀逸なものが多い。特に90年代後半から2000年代前半にかけての政治家と官僚の綱引きの内幕からは、人脈や政権運営の経験は持続してこそナンボのものであるということを感じずには居られなかった。本著の中に、「メディアの皆さんが一番弱いのは情報が無いことだ(中略)。情報も,情報を遮断する方法も、権力こそが持っているんです。」という鈴木宗男氏のコメントがあるが、権力そのものが情報の取り扱いに通暁
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政治や国際関係、官僚の裏話などがおもしろかった。取調室で検事を助けてやりたい気持ちになるという話は、恐ろしい。
2人がお互いに相手の話を引き出そうとしている雰囲気が伝わってくる。対談の本も意外に面白いと思えた。
<読んだ本>
古代文明と気候大変動(ブライアン・フェイガン)
<関心をもった本>
断る力(勝間 和代)
読書について(ショウペンハウエル)
打ちのめされるようなすごい本(米原 万里)
入門!論理学(野矢 茂樹)
宇宙をかき乱すべきか(F. ダイソン)
パワーズ オブ テン(フィリス・モリソン、フィリップ・モリソン)
元素111の新知識(桜井 弘)
生命を捉えなおす(清水 博)
二重 -
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小渕政権の官房長官であり、自民党幹事長であったコワモテで老獪なイメージだった政治家野中広務。彼の出自について知ったのは、辛淑玉さんとの対談本である『差別と日本人』(角川oneテーマ21)で、その「いかにも老獪そうなニッポンの保守派政治家」といったイメージの一方、辛淑玉さんとの対談の中で語った、その人生を通しての差別との戦いに圧倒され、第四章は野中氏と辛淑玉さんの二人の言葉に、涙でページを繰る手も止まったガブ。今回、同書を貸した友人から、返礼のように(?)貸してもらったのが本書である。
対談本とは異なり、本書はプロのジャーナリストが綿密な取材と、巧みな構成によって紡ぎ出した、いわば現代政治史ノ -
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現在、具体的な悩みがあるわけでもなく、中島らも他凡百の人生相談本と同じように、多少毛色の変わったエッセイのつもりで読んでいると、途中で号泣してしまった。自分は著者のようなキリスト者ではないし、特定の宗教に帰依しているものでもない、寧ろ多くの日本人と同じように、祈りは日常の中にはほとんど無いのである。その自分が、大げさに言えば、神の愛を地上で実践しようとする人に触れてしまったと考えるしか無い、不思議な体験だった。この本には、下品な描写もあるし、それを不快に思う人もいるだろう。只、実際に悩みの底にいる人に、手を伸ばしさえすれば、助ける人は必ずいるという希望を与えてくれる本であるのは間違いない。
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ジャンル分けに困る本だった。彼がいろんな雑誌等に書いたコラムとかを集めて手直ししたもの。話題が広くしかも結構突っ込むときもあるのでそれなりに知識がないと理解しきるのは難しい。
国策捜査とか日本の司法の拙さみたいのが垣間見える。これが民主国家かと思うような。
いろんな哲学の話とか全部おもしろかったけど一番心に残ってるのは一級のスパイマスターたちの共通点。それらの人が自国、自民族のために命を捧げる気構えがあるがそれが物語でしかないことも知っている、そして愚行権、他者へ危害を加えないならその人の物語を認めること。
あとは恐慌と戦争を繰り返し生き続ける資本主義を考察する上でマルクス経済学が助けとなるこ -
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元共同通信社記者である著者による、講談社ノンフィクション賞受賞作。
被差別部落出身でありながら、様々な苦難にぶつかりながらも自民党の幹事長まで務めた野中広務という政治家について、その軌跡を赤裸々に綴ったノンフィクション作品。
野中自身も、この著書の出版にはかなり嫌な思いを持っていたようである。
野中広務といえば、ありとあらゆる権謀術数を駆使して権力を握ってきた印象が強いが、その出自のためか、反面弱者に対する慈しみの思いも強く持っていることがわかる。
部落問題という、腫れ物に触るようにして扱われてきた非常にデリケートなテーマ(私はそうは思っていないが)ではあるが、ジャーナリストとして中立的 -
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国策捜査は時代のけじめ。カネを稼ぐがカチ。カネで買えないものはナイ。そういう行き過ぎは駄目だよって。検察は釣り糸を垂らす。必ず釣ってやるから。って。カエシの鋭利な釣り針ですな。時代を転換するために何か象徴的な事件を作り出してそれを断罪する。運が悪かった人だけが捕まる。もし歯車が噛み合っていれば社会的成功者として賞賛されていた。はず。世論は大きな後押し。怖いよ。ほんと。あの時代、この時代を駆け抜けていった嵐のような象徴的な事件の数々。それが終わると何食わぬ様子であれは一体なんだったんだろうねって。真夏の花火は闇夜に消えて。祭りは終わり。人は散りぢり。ここまででやめておけ。ここまでならいいから。や