佐藤優のレビュー一覧
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外交の裏側が垣間見れて面白い。こんなに書いていいのかと思うくらいだ。読み物として面白く、ためになる。
交渉には3つあるという。
交渉しないという交渉。
暴力で押さえつける交渉。
取引による交渉。
また、取引を行う上でのシナリオ、物語の描き方、登場人物の動かせ方、情報の取り方などなど勉強になる。
そういう交渉術の一方、最後は人間力なんだなとも思わされる。首脳同士の相性によって国家関係はかなり変わってくる。
また、度々出てくる「職業的良心」という言葉が気になった。民間企業でいえば受注確保、利益増大のために奉仕する、ということになるだろうか。
佐藤優の職業的良心が強く感じられる本であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ元外務省のノンキャリアとキャリア、また外務省のロシアンスクールとアラビストの対談が面白い。前に(文藝春秋?)二人の対談を読んだが、その対談では、佐藤氏が細部に議論を持ち込んで、対談をリードした感じがしたが、今回は宮家氏が、「外務省のラスプーチン」に対してさすがキャリアと思わせる知識と理論を組み立てて、堂々と論陣を張って、読み応えがあり非常に面白かった。
宮家氏は、「私は中東分析を六次元連立方程式に譬えています。変数には①欧州vs北アフリカの地中海変数、②イスラエルvsパレスチナ・アラブのレバノン変数、③イランvs湾岸アラブの湾岸変数、④世俗主義・アラブ民族主義vsイスラム主義の世俗変数、⑤穏健イスラム主義vsイスラム過激主義のイスラム変数、⑥少数派政権vs多数派政治エリートの少数派変数。すべて中東地域の地政学とも関連する伝統的な政治的対立軸ですが、諸変数の相関関係をみることによって中東情勢の流れをある程度予測することは可能です」と言って、「アラブの春の失敗」した理由などを具体的にコメントしていく。そして「部族的権威主義が色濃く残る中東で政治の自由化だけを進めれば、専制以外の統治手段に慣れていない政治エリートたちの統治能力を逆に減じて、イスラム勢力の台頭を許す。結果として、それまで機能していた国家統治システム自体を破壊することになる」といった分析力はなかなかのものであり、中央アジアの分析も面白かった。
一方、佐藤氏も「フランスやイギリスはアサド政権を潰すために急ごしらえで反体制派を作り、それにスンニ派国家のサウジやカタールが支援し、シリア内戦を生み出し、そこにISが付け込んで入り込み今日のシリアの泥沼化を招いた」と読み解く。
彼らの見方は、現在の中東の混乱は「民主化が正義」とする欧米が招いた結果であり、さらにアメリカの中東政策のパートナーが従来のサウジアラビアからイランに変わりつつある現状に対して、サウジのロシア接近や、更にトルコのエルドアン大統領のオスマントルコ帝国復活の思惑等が絡み合い、IS問題が片付いた後も、核の拡散などのリスクが高まり、中東の安定化は難しいと予見する。
また中国についても、宮家氏は「中華のアイデンティは、多民族の統合によってネーションを生み出す近代思想とは異質なものでした。数千年来の伝統である周囲の蛮族を漢人に同化させる発想から抜け出ていない」
佐藤氏も「アメリカや日本といった世界標準の近代国家のなかにめざすべきモデルを見出さず、『過去の中華帝国の再発見』というかたちで自国の未来を構築しようとしている」
宮家氏は、その中国の国家目標はアヘン戦争以来の屈辱を晴らすため、アメリカを東アジアから追い出そうとしており、そのために中国はアメリカとだけ手を握ろうとしていて、日本、韓国、台湾、東南アジア諸国は最初から相手にしていない。それは「アメリカよ同盟国を見捨てろ」と言うに相応しい。まさに中国こそが「戦後レジームへの挑戦者」だと断言する。
等々と、二人の対話の面白さに引き込まれ、読み応えたっぷりでした。 -
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山内昌之氏と佐藤優氏の現代政治情勢対談シリーズの1冊。
地政学といえば地政学だが、紛争・問題点などを1章ごとに対談している形で、時期の旬を過ぎるとあまり意味がないのではと思った。
1章 ISと中東情勢 ロシアやアメリカやトルコなどの主要各国、中東各国の思惑が説明されている。
2章 ナショナリズムの深層(スコットランド、ウクライナ、沖縄)この後にイギリスのEU離脱も決まったが、世の中はグローバル化ともにナショナリズムが復権していることも視野に入れたほうがよいと思う。
3章 難民危機 シリア難民の受け入れ対応などによって、各国の思惑が見え隠れする。
4章 シリアのヨーロッパの対応、ロシアのリアリズム ロシアのリアリズム路線が存在感を増していることを書いている。
5章 中東の重視は石油の重視ということでもある。各国のエネルギー戦略が根底にあることの検証。
6章 対中、対韓、対露、「安倍談話」を巡る国としての歴史観についてなど
7章 世界史のリーダーシップ リーダーが必要な時代に必要な資質や能力とは。
ざっと読むのが良い本で、一つずつ検証するという本ではないような気がした。対談だといつものように読みやすい本だったとは思う。 -
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あとがきにも本人が書いてらっしゃったけど、半藤さんが楽しそうに喋ってんなぁー、というのが印象的でした。戦時史に関する相当な知識や経験を持っているという自負があろう私が、まだ新たな気づきや学びが得られたという知的満足感からなのかなと思ってます。議論は同じレベルか、それ以上の人とやらないと自分を高められないですね。
ないようとしては、対談形式なので、互いがフォローしたり、質問しあったりと非常に読みやすかった。ロシア人の合理的な考え方からすると、今回のプーチン来日は成果がないだろうなと思えて仕方ない。
軍部の学ばなさをなぜ後世で学ばないのかが甚だ不満。過去を否定するには近すぎるのだろうけど、それできなかったら変われないよ。気づかれたらトランプ待望論が日本にも出てくるよ、きっと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史をアナロジカル(類比的)な視点で見るという考え方を
現代の問題を例に挙げて説明してくれています。
そういう視点を持つ事自体が極意ということなんでしょうね。
帝国主義、民族意識、ナショナリズム、宗教など多少難しい言葉も出てきますが
入門編のような感じなので分かりやすく説明してくれています。
印象に残ったところ。
1918年に第一次世界大戦が終了した時点でヨーロッパでは
科学による合理主義や無神論的な思想の限界を知ったことで
神学としての新しい見地が生まれてきたとのこと。
アメリカは合理主義や物質主義で第2次世界大戦まで切り抜けてしまったがためにそういった思想の限界を意識することなくその延長線上にいる。
なるほどなぁと思いました。
日本は戦後米軍占領下でアメリカ的な思想が根付いてしまったんですかね。
色々と考えさせられました。