佐藤優のレビュー一覧
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ネタバレこのコンビの本はいつも面白く読ませてもらっている。佐藤優の類いまれな分析力を基に展開されるやや小難しい話を、池上彰がうまく大衆レベルに落とし込んでくれる。池上彰がただのニュース解説おじさんではないことがよくわかる。今回のテーマは「リーダー」について。フランスのサルコジから始まり、プーチン、トランプ、橋元徹まで、現代のリーダーを鋭く分析し、なぜかパナマ文書、教育無償化の話に飛び火して、最後はリーダー論でまとめている。面白く読めたが、せっかくなので過去の偉大なリーダーたちをもっと引き合いに出すなどして、リーダー論的な部分をさらに深く聞かせてほしかった。
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Posted by ブクログ
『私のマルクス』(文春文庫)に続く、著者の思想的自叙伝です。ソ連で外交官として活動する中で見聞したさまざまな事実に絡めて、ソ連が崩壊するに至った原因についての考察が展開されています。
前半は、モスクワ国立大学でプロテスタント神学の講義をおこなったことが、学生たちとの交流を含めて語られています。そこでは、社会主義から資本主義へと方向展開しつつあるソ連の若きエリートたちが直面していた困難が印象的に綴られるとともに、資本主義の内在的論理を解明したマルクスの経済学の立場と、「わたしは自分の望む善は行わず、望まない悪を行っている」と述べたパウロの告白をみずからの問題として受け止めようとするキリスト教神学の立場をクロス・オーヴァーさせながら、学生たちに向き合ってきた著者の姿が描かれています。
後半は、ソ連科学アカデミー民俗学研究所を訪問し、副所長を務めるセルゲイ・チェシュコという人物と、ソ連の民族問題について語り合ったことが中心となっています。バルト三国の独立運動からゴルバチョフが軟禁されたクーデタを経てソ連の崩壊へ向かって進んでいく一連の動きが、民族政策の失敗という観点から明らかにされるとともに、現在のプーチン大統領によるロシアの「帝国主義」的な動きが、とくに「ユーラシア同盟」と関連づけながら予見されています。
これまで著者の本を読んでいて、文明論的な視点についていけないと感じることがあったのですが、著者がこうした視点から世界情勢を解釈するようになった理由が少し見えてきたような気がします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあの外務省で、外交官として、頑張って働いてきた筆者。
その筆者が、無実の罪を着せられて牢獄に。
それも、政治家鈴木宗男氏の逮捕を不服として、ハンガーストライキまでした人だ。
その報道がある最中、佐藤優という人はどんな人物なんだと何もわからなかった。
当時は、マスコミが悪人を仕立て上げ、大騒ぎしていた。
今、牢獄から出て、悲惨な、人生の体験をしたあと、
佐藤優氏が次々と語ってくれている。
ありがたいことだと思う。
その内容は、思い出したくないくらい、きつかったことも、
冷静に遠くから 見て語っている。
だから、頭に染みてくる。
キリスト教を学生時代、深く学んだ筆者。
だから、無実の罪の人を 知らんぷりできなかった。
その、キリスト教的思想の きちんとした基盤の上に、「世の中の ヒトの有り様 」を、冷静に 見ていることが、
揺らがない 事実として 伝わってくる。
はたらく人間は、四種類。
①能力もあり、意欲もある 人間。
②能力はあるが、意欲がない 人間。
③能力は無いのに、意欲がある 人間。
④能力もなく、意欲もない 人間。
組織にとって、一番 厄介なのは、
③の人間である。
〔2001年、北方領土をめぐるロシアとの交渉が、
「歯舞、色丹2島先行返還」で、大きく前進しようとしていました。〕(162ページ)
その時に、東郷欧州局長に、
「君は平時ならロシア課長が務まるが、今は大変大事な時だ。・・・」と大事な時だから、能力が及ばないということで、配置がえされた ロシア課長。
就任間もない 小泉内閣の田中真紀子外務大臣に
そのロシア課長が、泣きついた。
そのロシア課長は、東郷さんの評価では、
ふだんは、④なのだが、時々③になるから、困る。
という人物だ。
当時のロシア課長は、「外務省がいかに鈴木宗男や佐藤優に食い物にされているか」を直訴。
「宗男悪人説」を刷り込まれた田中真紀子外務大臣は、
鈴木宗男議員との対立を深めていく。
翌2002年 「鈴木宗男事件」が、勃発。
東郷さんは、罷免。退官。
鈴木宗男氏と佐藤優氏は 逮捕。
1人の 無能だが、意欲だけある 人間の
嫉妬心で
2人が逮捕。1人は退官。
日本の悲願の 北方領土返還交渉も、
間際までいっていたものが、15年間、お蔵入りになったのだ。
また、
2000年4月、
鈴木宗男氏が、大統領に当選したばかりのプーチンと会談したことを、
東郷さんから、
先輩政治家、中曽根康弘氏、橋本龍太郎氏、三塚博氏、中山太郎氏に 報告。
その時の、後輩鈴木宗男氏に 対する 元総理の 嫉妬心も すごいものがあった。(49ページ)
筆者は、社会で生きていくための
嫉妬のかわしかた は
ジャーナリスト竹村健一氏に学ぶ。
竹村健一氏が活躍していた当時、
人からやっかみを受けないために実践していた行動(172ページから)
①お願い事がある時には、必ず自分から相手の所に出向くこと。→大ベテランになってからも、人を呼びつけるようなことはしなかった。
②逆に自分よりも力が上の人間から「会いたい」と言われた場合には、
「絶対に相手の許に行かない」というのが竹村さんのポリシー。→力のある相手のホームグランドに足をふみいれたら、そこで丸め込まれてしまう危険性がなきにしもあらず。
③そして、「人の悪口を言わないこと」。
○また竹村氏は「お金が必要でテレビコマーシャルに出ようと思ったら、すごく注意したほうがいい。」
→商品を褒めたり、『私も使っています』と言ったりしてはダメ。→その商品がらみのトラブルが発生したとき、余波を被る可能性があるから。
○そして「テレビと、書く仕事を兼ねるべきではない。」とも言われた。→「テレビの世界に入ると消耗戦になります。あなたは活字に絞ったほうがいいよ。」
そんな竹村さんはテレビからも言い方は変ですがきれいに消えていきました。(175ページ)
1人の 無能だが 意欲のある 人間の 嫉妬で
逮捕 有罪判決を 受けた 筆者の 激しい人生の 体験。
これを 読書することで 共通の認識を得られる 有り難さ。
もっとも、
ここ10年は、
その 嫉妬心が 薄れ、
自己愛 人間が 増殖中 という現実に加え、
2016年芥川賞受賞の 『コンビニ人間』(村田紗耶香さん著)にいたっては、
自己愛ゼロ の人間が 登場し、受け入れられている。
最終的に
筆者の 嫉妬と自己愛のマネジメントの 極意は・・・
☆キーに、なるのは、「言葉」(199ページー)
【相手の、コンプレックスに 触れるな!】→ それを、触れられると、狂います。そして、発言者に対する 嫉妬と怒り でいっぱいになります。
→鍛えるのは、「自分が言われたら、どう感じるか」という健全なる他者性です。
【自らを、マネジメントして、心の平静を保つ。】(202ページー)
*誰かの 発言や行動に 腹を立てない。また、過度に感動したりしない。
*売り言葉に、買い言葉のー修羅場を避ける。
例 2014年10月に橋下徹大阪市長の公開討論会
→〔◎物事に動じない心は、いろんな知識、教養を身につけることで養われます。〕
ある人間の 信じ難い言動も、その背後にあるものを 「知って」いれば、余裕をもって 対処できる。
→どうしても、反論したくなったとき、怒りたくなったときは、意識して、大きな声を出さない。早口もNG。
◎「ゆっくりと、静かな声で、理詰めの話をするように心がける。」
→人は、自分のー発した声に興奮する。すると相手も、大声で、負けじと反応する。これは、動物のー本能の世界。
【叱り方、褒め方のノウハウ】(204ページー)
昔は、叱る時は、1人の時。褒める時は、みんなの前。
でも、今は、嫉妬を防ぐため、
叱る時も、褒める時も、1人の時に。
そして、自己愛時代の 人間は、極力、叱らない。恥ずかしくなるくらい褒めて丁度いい。
チームとして仕事するには、
実力0の人間には、シカトする。
数字をしめさせて、外していく。
ただ、パワハラ、セクハラと言われないよう、気をつける。
まさしく 筆者自身の
痛みを伴った 壮絶な経験による 知恵が ここにはある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小6社会科の教科書が教える表の社会科と、元外務省主任分析官の作家と経済ジャーナリスト出身の政治家の著者二人の経験も含めた裏の社会科。国会、内閣、裁判所、憲法、三権分立、税金、選挙について、基礎的な知識と興味深いうがった見方も含めた教養に触れることができる。
もちろん著者の立場から本書の情報にも偏向はあると理解しながらも、憲法改正議論や靖国問題などで諸外国がどのように受け止めるのかの想像力が欠けているという主張は、(それだけで十分な訳ではないが)大切な視点だと感じた。
あくまでも基礎なので、より深い情報には参考図書に当たることが期待されているのだろうし、多角的な情報には開かれていない点はやむを得ない。
17-45 -
Posted by ブクログ
佐藤さんは反知性主義に関しての発言も、本もあったので、第五章を期待して読んだ。
その点では、あれ?と思う。
あまり正面から反知性主義を論じていないから。
ウクライナやモンゴルなどの「柔らかい脇腹」とされる地域から、核兵器をはじめとする軍事技術が拡散していってしまうこと、小保方さんのような人が生物兵器の開発にリクルートされる可能性があること、もはや普遍宗教になった創価学会が集団的自衛権の議論にどんな役割を果たしたか―という話にハッとさせられた。
イスラム国については、いろいろ本を読んではみるものの、いまだによくつかめていない。
どのような本から読んでいくといいんだろう? -
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「嫉妬」や「自己愛」への対処法を論じた本。
本書では、6つの小説を紐解き、「嫉妬」を抱く世代から、「(歪んだ)自己愛」を増殖させる世代へ、さらにその「自己愛」さえも喪われようとしているという時代の流れを追っている。
「嫉妬」も巻き込まれると致命傷になりかねない危険なものであるが、「嫉妬」にはまだ、嫉妬する他者の存在がある。
しかし、現代の「自己愛」は、競争の土俵から降りてしまうことで自分を守るため、他者性が排除され、歪んだ形で自己愛を肥大化させてしまっていることが多いと筆者は説く。
そこで、ストーカーや引きこもりの人も持っている「歪んだ自己愛」を、健全な自己愛へと修復できるのが望ましい。
そのためには、「よき他者との出会いの機会をできるだけたくさん作りましょう(本でも可)(斎藤氏談)」というのが本書の大筋かと思う。
個人的に、取り上げられている小説が、なかなか刺激的で面白そうだと興味を持った。
特に、『ウォーク・イン・クローゼット』収録の「いなか、の、すとーかー」と、『コンビニ人間』は、どういう結末を迎えるのか気になったので、小説を読んでみようかと思う。(上手い事乗せられる図)
第二章で出てくる対談相手も、ひきこもりを扱う精神科医の斎藤環氏や、ストーカー被害者から要請を受けて500人以上のストーカー加害者にカウンセリングを行う小早川明子氏と、現場の方達ならではの話で勉強になった。
後半では、細かく「嫉妬」を買わないための対策等も載っている。そのため、「気をつけたい」と思う人は勿論、「自分は嫉妬なんか買わないから大丈夫」という人も(むしろ後者の人の方が特に)一読しておいて損はないだろう。 -
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積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 36/56
'17/02/17 了
この手の本は苦手なのに、本書は一気に読み切ってしまった。
建前論が少なく、内容が主張がストレートなので頭に入ってきやすかった。
この本は今後の人生で読み返す事がありそうだ。
この本は父親から「これあげるよ」と言われて貰った本だが、僕は自分が読みたくて買った本ですら積んでしまって読まない男だ。
人から与えられた本など読むわけがない。
そんなことを思っていたが、かなり気に入ったので食わず嫌いせずにもっと早く読んでしまえば良かった。
「お金そのものがすでに自然物ではないバーチャルなものなのに、そのお金がいまやIT化で形を失ったデジタルな数字と化し、ますますリアルから遠ざかっているのです。」(P153)
「国家の裁きに執行猶予はつくかもしれませんが、自分の良心の裁きに執行猶予はありません」(P187) -
Posted by ブクログ
世界史というより、現代社会を歴史の視点から理解しようという内容。
アラブの春によって、イスラムと民主主義はなじまないことがはっきりした。アラブの分裂に乗じて、イランとトルコが帝国として自らの影響力を拡大するチャンスと考え、拡張主義的政策をとっている。
1979年のソ連によるアフガン侵攻の際、アフガニスタン人の難民キャンプにパキスタンはイスラム神学校をつくり、子どもたちに極端な原理主義を叩き込んだ。その学生たちに資金と武器を与えてアフガニスタンに戻らせたのがタリバンの由来。
モンゴルは、13世紀に帝国を築いた時にチベット仏教に帰依した。「ダライ・ラマ」の称号は、16世紀にモンゴル諸部族の指導者からチベットに贈られたもの。
中国共産党が画数の少ない簡体字を導入したのは、国民をそれ以前の知識から遠ざけ、共産党支配以降に認められた言説だけを流通させるためだった。ロシア革命の後にも、文字を4つ消して革命前の宗教書や反共的な文書は読めなくなった。ナチスドイツがひげ文字のアルファベットから英語と同じアルファベットに変更したのも同様の理由。
反知性主義とは、ピルグリム・ファーザーズ(ピューリタン)がアメリカに上陸したときにつくった、神学的知識を持ったエリートの共同体に反発して出てきたもの。佐藤は、これは特定の時代に一定の意味があったにすぎないとし、実証性や客観性を軽視・無視して、自分が欲するように世界を理解する態度と定義し、政治エリートに反知性主義者がいるのは危険だという観点で論ずべきという。池上は、国際的スタンダードの反知性主義者として、安倍や橋下を名指ししている。