佐藤優のレビュー一覧
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私にとっての読書とは、情緒面への影響を期待して読むか、知的欲求を満たすために読むか、それらを含む娯楽として読むか、に目的が類別される。後は、それぞれの程度がどうか、という事だ。正月には、思う存分読んでやろうと思うのだが、中々そうもいかない。自分一人、異世界に没頭するのを許さぬ文化なのだ。ゆえに、ライトで斜め読みに適した本ばかり選んでしまう。だからだろう、読書の目的に対する収穫が少なく、一種の飢えを感じていた。正月の所為だけではなく、最近生活が変わった事で、気持ちを切り替えるような啓蒙本に偏った事も一因である。この飢えに対して、佐藤優が効く。手応え、重量感のある久々の読書だ。気持ちが満たされてい
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ネタバレ元外務省のノンキャリアとキャリア、また外務省のロシアンスクールとアラビストの対談が面白い。前に(文藝春秋?)二人の対談を読んだが、その対談では、佐藤氏が細部に議論を持ち込んで、対談をリードした感じがしたが、今回は宮家氏が、「外務省のラスプーチン」に対してさすがキャリアと思わせる知識と理論を組み立てて、堂々と論陣を張って、読み応えがあり非常に面白かった。
宮家氏は、「私は中東分析を六次元連立方程式に譬えています。変数には①欧州vs北アフリカの地中海変数、②イスラエルvsパレスチナ・アラブのレバノン変数、③イランvs湾岸アラブの湾岸変数、④世俗主義・アラブ民族主義vsイスラム主義の世俗変 -
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山内昌之氏と佐藤優氏の現代政治情勢対談シリーズの1冊。
地政学といえば地政学だが、紛争・問題点などを1章ごとに対談している形で、時期の旬を過ぎるとあまり意味がないのではと思った。
1章 ISと中東情勢 ロシアやアメリカやトルコなどの主要各国、中東各国の思惑が説明されている。
2章 ナショナリズムの深層(スコットランド、ウクライナ、沖縄)この後にイギリスのEU離脱も決まったが、世の中はグローバル化ともにナショナリズムが復権していることも視野に入れたほうがよいと思う。
3章 難民危機 シリア難民の受け入れ対応などによって、各国の思惑が見え隠れする。
4章 シリアのヨーロッパの対応、ロシア -
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あとがきにも本人が書いてらっしゃったけど、半藤さんが楽しそうに喋ってんなぁー、というのが印象的でした。戦時史に関する相当な知識や経験を持っているという自負があろう私が、まだ新たな気づきや学びが得られたという知的満足感からなのかなと思ってます。議論は同じレベルか、それ以上の人とやらないと自分を高められないですね。
ないようとしては、対談形式なので、互いがフォローしたり、質問しあったりと非常に読みやすかった。ロシア人の合理的な考え方からすると、今回のプーチン来日は成果がないだろうなと思えて仕方ない。
軍部の学ばなさをなぜ後世で学ばないのかが甚だ不満。過去を否定するには近すぎるのだろうけど、それでき -
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ネタバレ歴史をアナロジカル(類比的)な視点で見るという考え方を
現代の問題を例に挙げて説明してくれています。
そういう視点を持つ事自体が極意ということなんでしょうね。
帝国主義、民族意識、ナショナリズム、宗教など多少難しい言葉も出てきますが
入門編のような感じなので分かりやすく説明してくれています。
印象に残ったところ。
1918年に第一次世界大戦が終了した時点でヨーロッパでは
科学による合理主義や無神論的な思想の限界を知ったことで
神学としての新しい見地が生まれてきたとのこと。
アメリカは合理主義や物質主義で第2次世界大戦まで切り抜けてしまったがためにそういった思想の限界を意識することなくその延 -
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先日の電通女性社員の過労自殺のはなしから。
女性の進出!地位向上!を叫ぶ連中は、
ついに女性も男性社員と同じく過労自殺する時代だと証明された!これぞ男女平等の現れ!と喜べばいいじゃないか。
都合が悪くなると黙り込むのがむかつく。必要なのは働きたい人が働けることと、人権尊重なのに、そんな声は上がらない。
一億総活躍社会、女性に移民に高齢者にと労働者人口を増やすことで労働生産量を補おうとしているが、
労働生産量=一人当たりの生産能力×労働者だ。増やすべきは前者だろう。
本書によると1899(明治32)年の工場労働者数45万人のうち65%が婦人労働者だった。日清戦争後も依然として -
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今回の大統領選挙についての章があったので、読んでみました。
新自由主義、グローバリズムにより、社会がアトム化し(コミュニティが失われ)している現代。人々の不満は鬱積し、そこにポピュリズムが蔓延る土壌ができる。英国のEU離脱や、今回のトランプ現象はその流れで起きている。
一方で、ポピュリズムに対抗するものとして、歪んだエリート意識が跋扈することが危惧される。エリートが大衆を軽んじて、法的根拠ないまま自分たちの思うままに社会を動かそうとする、ポピュリズムへの反動的な動きを警戒すべきである。
中東、欧州、北朝鮮、日本の政治、核武装について等、どれも鋭い切り口で、なるほどと思わせてくれます。お二人 -
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労働のコモディティ化、教育格差の問題は間違いなく存在する。各所で指摘されているとおりだ。
これに対して反知性主義は論外として、二つの論陣が張られているように思う。
第一は資本主義の論理に飲み込まれないよう自己啓発、もしくは独立するというもの。これは個々人の能力による。
第二は日本社会全体の改善に向けて社会、政治を変えていこうというもの。
本書では後者の論陣を張る。反知性主義に陥らず、資本主義の構造を知るの重要性を説く。
かつて大学の経済学はマルクス経済学の講座もあったが、現在でマルクス主義は時代遅れと考えられてきた。
しかし、リーマンショックが起こり、これってマルク -
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日本史が通しで説明されているから分かりやすい。
特に理系にとっては歴史を本気で勉強することなかったから知らない(覚えていない?)ことだらけなのを自覚した。
そして、歴史は似た事象を繰り返す、ということが読み取れる。
特にそれを強く思ったのが、古代大和政権の朝鮮半島経営について。
大和政権は朝鮮半島の任那にて半島経営をしていました。
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唐新羅連合軍に白村江の戦いでボコされて撤退
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唐文化にかぶれて仏教伝来
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やっぱ和の心大事だよね。日本文化が花開く
なんか明治維新後から現在に続く日本そのままじゃね?
唐新羅連合軍がアメリカに、和歌やかなの平安文化がクールジャパ -
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佐藤優と公明党・山口那津男代表の対談。公明党と創価学会との関係性、自公体制における公明党の役割を冷静な目で見つめ直す事が出来た。国民ではなく、大衆と共にという言葉の意味合いは深い。メモ。
1.自分の力を他者のために生かしたい。どこまで行っても人は大衆と共に生きるのだ。
2.イスラム教であれどんな宗教を信じる人であれどういう文化を持つ人であれ、人間一人ひとりに光を当てた人間の安全保障のそ重要です。誰もが教育を受け平和な社会で暮らし、行きがいを持って仕事が出来る環境を整えていく。これこそ政治の大事な役割です。
3.財務省に編集権を与えるのではなく民衆に編集権を取り戻す。これが公明党流の政治的アプロ -
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元外務省の二人が語る、俯瞰した現代の世界情勢。そのエリアごとに連鎖する変数を読み解く事で、確かな未来を想像させる。国家の欲望はどこに向かっているのか。第四次グレートゲームにおける各国の論理を紐解く。
対話形式で進む本著は、目で追うだけでも知的刺激に溢れ、飽きさせる事がない。しかし、その対話に自分が参加しているような臨場感をもった楽しさは得られない。なぜなら、内容が専門的過ぎ、聞き役に回らざるを得ないからだ。この手の対話本によくある、聞き手が素人、という図式ではなく、専門家同士の対話だ。だからこそ、読む価値があるし、得るものも大きい。そうであるし、専門家同士といっても語るテーマは、よく聞くホッ