佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ朝鮮半島を巡る情勢を中心に、米中の衝突について、手嶋・佐藤両氏の対談で語られます。
面白いと思ったのは、第2章。”OSを共有する米朝トップが「歴史的合意」を演出した”というタイトル。OSとは何か、というと、①反知性主義と②宗教(キリスト教長老派)、の2つ。
まず、”反知性主義”について。反知性主義とは、”日本語から受ける印象は、「知性がない人たち」になるのですが、それは違うのです。その考え方をごく簡単に言えば、「知性と権威が結びつき、エリートが国の舵取りを担うことに激しく抗う」ということになるでしょうか”(手嶋氏、66ページ)。トランプ大統領の強さの源泉として紹介されています。その考え方が行動に現れた場合、”すべての決断は組織のトップである自分がする。そして、その決断の結果責任は自分が取る”(手嶋氏、67ページ)ということになり、対談で直接的に触れられてはいませんが、金正恩氏にも当てはまりそうです。
もう一つ、宗教について。佐藤氏は”日本ではあまり注目されないのだけれど、彼はキリスト教プロテスタントの「プレスビテリアン」(長老派)だというのが、とても重要”と主張します。長老派では、予定説といって、”神様は救われる人と滅びる人を生まれる前から決めていて、自分は「選ばれた人間」なのだ、と考えている”、”だから、どんな試練にも耐え抜くことができるし、耐え抜いて成功させる歴史的使命がある、という固い信念を持つ”ということで、トランプ大統領の言動を説き明かしています(以上、67ページ)。金正恩氏の祖父、金日成氏も熱心なクリスチャンで長老派で、金日成主義にも長老派の思想が貫かれており、それを継承する金正恩氏にも影響していることが2013年の論文集のタイトル、『最後の勝利を目指して』にあらわれている、と。
そんな「歴史的使命」感を「共通OS」をして持つ2人。佐藤氏によれば、トランプ大統領からみて、安倍首相も同類=「光の子」。書かれていませんが、ドイツのメルケル首相は「闇の子」ということになるのでしょうか。 -
Posted by ブクログ
さくっと読めて、深い内容。
特に私のように政治法律関係に疎い(が、いま勉強しないといけない)人間には面白かった。
<ほんとうの市民社会の論理>
国民は政治をやらないで「欲望」を追求するんです。経済活動なり、文化活動なりの欲望を追求する。それで税金を納める。それによって社会が発展していくんだというのが、基本的な資本主義社会、市民社会の考え方です。
<刑事と民事>
裁判というのは、大きく分けると「民事裁判」と「刑事裁判」があります。この教科書でも「争い事や犯罪」ときちんと分けて書かれていますね。
「争い事」が民事、「犯罪」が刑事というわけですね。
<近代社会は複雑性>
そこで、その複雑なものをいかにらくに解決するかというときに、「信頼」という複雑性の軽減メカニズムが出てくるわけです。
<政治はことばの芸術>
候補者が、政策や訴えをどう言語化しているかに注目する。 -
Posted by ブクログ
"基礎学力として、数学、英語、歴史が重要。
語学に関しては、初級のレベルにいる限りは毎日欠かさず行わないと、あっという間にレベルは落ち込む。最低でも毎日30分。初級からの学習時は、最初の1か月間はかなりの時間を割いて集中的に一つの科目のみ行う。その後、平日3時間、土日は5時間学習を続けること。初級レベルを脱するには、100時間から200時間が必要。
学習に最適なテキストの紹介もある。
本書はキリスト教を学ぶことが前提の学生に向けた講義なので、難しいと感じる部分があるが、21億人(1993年の調査)の人々が信仰している宗教を学ぶ良い機会。
世界宗教信者の割合では、キリスト教33%、イスラム教22%、ヒンドゥー教15%、仏教6%、儒教・道教4%、無宗教14%、他6%程度と言われている。
ほかの国の方々との交流は避けて通れない時代ゆえ、話し相手となる品物のバックグラウンドを理解しておく必要があり、宗教についてもある程度の知識は持っておかないといけない。" -
Posted by ブクログ
宇野弘蔵の経済学の理論に分析の方法を借り、日本の資本主義の成立を後付け、現状分析をした本。
本書はさらに、外部がない資本主義下で、個人はどうすべきかについても提言している。
宇野弘蔵については、全く知らなかった。
マルクス主義経済学をベースに、資本主義社会の分析をした人の由。
本書で分析に枠組みとして利用するのは、宇野の「三段階説」。
資本主義の純粋な形態を明らかにする「原理論」。
やがて資本主義に国家が介入する時代がきて、その介入の在り方により、重商主義的、自由主義的、帝国主義的資本主義へと移り変わる。
この状況を分析するのが「段階論」。
最後にそれらを踏まえての「現状分析」。
この三つの分析を組み合わせる方法だという。
この分析は、「日本の特殊性」に胡坐をかいて思考停止状態に陥らずにすむ点で優れていると思った。
個人的に面白かったのは、共産主義の「講座派」と「労農派」の違いについての言及。
講座派(日本共産党系)は、まず天皇制打破を行い、日本に本当の資本主義を招来してから、社会主義革命を起こすという二段階革命説をとる。
一方、労農派は明治維新をブルジョア革命と捉え、ただちに資本家を倒す革命を起こせばいい、という一段階革命説をとる。
この二派の対立が、現在まで続く思考の鋳型になっているというのだ。
日本特殊論に傾きがちな講座派と、グローバルスタンダードで押し通す労農派、ということらしい。
佐藤さんは何となく労農派に肩入れしているようにも思えたが?
あとは、ファシズムとナチズムの違いについても、やっとわかった感じを得た(いい年して!)。
ファシズムは資本主義を守るために、資本主義下のひずみを国家の介入により是正する運動。
ただし、恩恵を受けるのは「束」となったその国民だけで、排外主義をとる。
一方、ナチズムはファシズムに包摂されるが、人種主義に依拠する点がファシズムと異なる。
現在の資本主義で生まれる格差を、国家の再分配機能を強化して是正せよというピケティの主張は、ファシズムに転じる可能性があるという。
あんなに流行ったピケティが、一過性のブームとして葬り去られたのはそのせいなのか?
まだ私たちはファシズムを飼いならせる技を身に着けてはいない。
巻末の「現状分析」は読むのがつらくなってくる。
個人としてできることは、資本主義に取り殺されない程度に働き、金を媒介としない人間関係を作ることなのだそうだ。
それがー難しいことなんだけどね。