佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「企業は、利益を社員には分配しない」
このことは、マルクスが『資本論』で明確に指摘しています。
佐藤優が資本主義を語るときにはマルクスの資本論が必ず引き合いに出される。
だからといって、作者は資本主義を否定することがない。金があれば物を買える。
お金は物の価値をわかりやすくするのだ。
直近の国税局の調査では、平均年収が414万円であることを指摘しているが、平均は高所得者に引っ張られた結果である。
中央値は300万円台であろうと指摘している。
では、もっと給料を高くしようとするにはどうすればいいか?という本ではない。
収入を増やすことができないのであれば、支出を減らす。
支出を減らしても、豊かに生きるためにはどうすればよいのか。
それを筆者は、人との繋がりだ、と主張する。
どんな時にでもお金の問題はつきものだ。しかし、お金に振り回される生き方をしたくはない。
そのための生き方が180ページほどの新書でまとめてあるので、さっくり読めてしまう。
借金ダメ絶対!
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Posted by ブクログ
現在の世界情勢を理解するために歴史的背景を探るというスタンスで、資本主義、民族・ナショナリズム、宗教に絞って流れを概観している。
<資本主義>
マルクスは、資本主義社会の本質は労働力の商品化であると考えた。労働力の商品化には、自由に移動でき、土地や生産手段を持たず、労働力を維持するための生活費、労働者階級を再生産する養育費、時代の進歩についていくための教育費をまかなうことができる賃金を得る必要がある。
近代資本主義は、15〜16世紀のイギリスで始まった。ヨーロッパの寒冷化によって毛織物の需要が高まったため、羊を飼うための囲い込みが進み、追い出された農民は都市に流れて毛織物工場で働いた。スペインやポルトガルでは、金銀は浪費されたり、教会に寄進されたりして、資本は蓄積されなかった。オランダには羊を育てるのに適した土地がなかった。
16世紀以降、資本主義は、重商主義→自由主義→帝国主義→国家独占資本主義→新自由主義と変遷してきた。重商主義は国家がスポンサーになって国富を蓄積するもので、他国の鉱山を開発して奪う重金主義(16c)、貿易黒字を重視する貿易差額主義(17c)、国内輸出産業を保護育成する産業保護主義と移った。産業革命が起きて産業資本が強くなったイギリスで、19世紀半ばに国家の規制を廃した自由貿易が確立した。1870年代に鉄鋼や内燃機関、電気などの分野で技術革新が起こって重化学工業が進み、ドイツやアメリカが成長すると、資本が国家と結びついた帝国主義の時代になった。1920年代にムッソリーニが展開したファシズムはナチズムとはまったく異なるもので、自由主義的資本主義がもたらした失業、貧困、格差などの社会問題を、国家が雇用を確保して所得を再分配するなどの介入をして解決することを目指した。
1917年のロシア革命によって社会主義体制ができて冷戦期になると、社会主義革命を阻止するために、純粋な利益追求に歯止めをかけて福祉政策や失業対策などの政策をとる国家独占資本主義の時代になった。1991年にソ連が崩壊すると、新自由主義が主導権を握ってグローバル化が進んだ。グローバル化が進むと、国家は徴税機能が弱体化するため、機能を強化する方向に向かう。
覇権国家が存在する時代には自由主義になるが、覇権国家が弱体化すると帝国主義の時代になる。2000年代に新興国経済が発展し、2008年にはリーマンショックでアメリカの弱体化が進み、新帝国主義の時代に突入したと著者は考える。2008年のロシア・グルジア戦争は、グルジアとつながりが深かったアメリカが弱体化したことが背景にある。南スーダンを独立させたのはアメリカの工作で、石油開発によって生じた資金がイスラム過激派に流れることを阻止することも目的だったと考えられる。アメリカがミャンマーとの関係を改善したのは、中国のインド洋へのルートやイランとのパイプラインを阻止するためだった。
<民族・ナショナリズム>
ベネディクト・アンダーソンは、エリート層が国家を統治する目的でナショナリズムを利用したと考える道具主義を提示した。16世紀前半に発達した出版業によって出版用の言語がつくられ、標準語となっていった。一方、学校の授業で言語を教育することによって支配者層が「国民」を創出した公定ナショナリズムも進められた。アーネスト・ゲルナーは、産業社会が進んで人々が移動の自由を獲得し、社会が流動化するとコミュニケーションの能力が必要になるため、国家が教育制度を整えて言語が標準化され、同質性が生まれたと考えた。一方、アントニー・D.スミスは、ネイションを形成する共通する祖先・歴史・文化を持ち、連帯感をもつことのできる「エトニ」があると考えた。
16世紀のヨーロッパでルターが始めた宗教批判は、神聖ローマ帝国で1618年に始まった三十年戦争でピークに達した。1648年のウェストファリア条約によって、各国が内政権と外交権を持つ主権国家体制が確立した。
<宗教>
フランス革命から第一次世界大戦が勃発する1914年までの「長い19世紀」は啓蒙の時代で、科学技術と人間の理性によって理想的な社会をつくることができると考えられていた。一方で、これはナショナリズムの時代でもあり、その結果として起きた2つの世界大戦によって啓蒙の時代は終わりを告げた。しかし、勝利を収めたアメリカは啓蒙思想や合理的思考がもたらす負の帰結に対する洞察を得ることなく現在まで続いている。
イスラム教スンニ派は4つの法学派に分かれており、そのひとつであrハンバリー学派の中にワッハーブ派がある。ワッハーブ派は、コーランとハディースしか認めず、原始イスラム教への回帰を唱え、極端な禁欲主義を掲げる。アルカイダ、IS、タリバンなどの過激派は、すべてワッハーブ派の系統。
EUの価値観の根底には、ユダヤ・キリスト教、ギリシア古典哲学、ローマ法の3つから構成されたコルプス・クリスティアヌム(キリスト教共同体)という概念がある。20世紀初頭に神学者トレルチが提示したもので、EUは2度の世界大戦を経てナショナリズムを抑制するために生まれた。 -
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研ぎ澄まされたインテリジェンスを駆使し、外交の世界で生きてきた経験のある筆者が語る「お金に強くなる生き方」であるが、実にオーソドックスなことを淡々と綴ったものである。
第1章 私たちを衝き動かすお金という幻想
第2章 大格差時代を生き抜くお金の極意
第3章 プロに騙されずにお金を増やすには
第4章 人生を台なしにしないお金の実学
第5章 お金と人間の幸福な関係を考える
という内容です。結局、身の丈にあった生活を恬淡とおくるために、リスク管理、欲望を如何にコントロールできるか。
超読書家の筆者が引用していた「評価経済」という概念、岡田斗司夫さんの本を次に読んでみようと思います。
お金では買えない「価値」それは、自分にとって有用な「情報」です(笑)。 -
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ネタバレ外務省出身の佐藤優さん。いろいろあり、退官後、作家として活躍中の方です。
「ズルさ」という日本語は、微妙な表現に感じる。
でも、他国後では、肯定的な意味になると教えてくれる。
◆人と比べない
◆問題から目をそむけない
◆頭で考えない
◆時間に追われない
◆酒に飲まれない
◆失言しない
◆約束を破らない
◆恩を仇で返さない
◆嫌われることを恐れない
◆人を見た目で判断しない
◆上下関係を軽んじない
1つ1つの章の内容に意外性はなく、常識的。
ズルさって何?とタイトルを見直してまうほど。
ただし、モスクワのトイレ掃除の話は、なんとも驚きましたが、やはり、外務省の序列環境の話も、予想はしていましたが、厳しい現実なのだと知りました。 -
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ネタバレ最近は社会派の新書を読むときには、常に「アウトソーシング社会」という言葉を念頭に置いて読んでいる。
ここ数年で確信しているのは、社会のアウトソーシング化が進んでいるということだ。
自分で解決するよりは、知っている人に任せたほうがうまくいく。
インターネットの発達で情報を簡単に手に入れられるようになり、また専門家に頼むことも容易になってきた。
その結果、何が起きたか。反知性主義につながっている。
自分より知性の高い人、物をよく知っている人、そういう人が無数にいるならば、ではそういう人に任せよう。
そうして自己修練を怠り、結果、日本全体の知的教養の低下につながっている。
そういった確信をもって本書を読み進めていると、上記の私の考えに結びつく事例が挙げられる。
P122「外務省の新人研修でロシア語を教えていた時、ドングリの背比べのうちはみんな一所懸命、勉強するんですが、語学はセンスによるところがありますから、突出した人間が出てくると、二番以下が一気にやる気を失う(笑)」
自分がやるよりも、自分よりできる人がやったほうがうまくいく。だから自分はもういいや、という考え方が表れている。
「教養は最強の武器である」と銘打たれた本書、教養を身に着けるに大事なことは「物事を自分で考え理解する」なのだと思った。
自分にはわからないから考えなくていいといった考えることをやめた無理解が政治に対して、世界に対して、社会に対して不信を招いている。 -
Posted by ブクログ
耳が痛い本だったなぁ。
より良い自分になりたいと日々やってきてるけど、色々足りてない部分を突きつけられた感じだ。
後回しにしてることいっぱいあるし、危機管理も不十分。
やりたいことはあるのに結局日々の生活に流されほとんどができてないよね。
若い時に無駄にした時間が本当にもったいない。
外交の裏側がちらりと知れたのは面白かったです。外交官、経験豊富すぎてすごい。
勉強とかじゃなくて人として生きていく頭の良さが欲しい…
タイトルは別にもっとリンクしたものがあるのではと思ってしまった。
第1章 人と比べない
第2章 問題から目をそむけない
第3章 頭で考えない
第4章 時間に追われない
第5章 酒に飲まれない
第6章 失言しない
第7章 約束を破らない
第8章 恩を仇で返さない
第9章 嫌われることを恐れない
第10章 人を見た目で判断しない
第11章 上下関係を軽んじない -
Posted by ブクログ
ネタバレ1920年、大正時代に書かれた樋口麗陽著「小説 日米戦争未来図」を現代語にして解説を加えて纏められたのが本書である。
20世紀終わり、太平洋に向かい合うアメリカと日本は国力が拮抗していた。
日本の台頭に危機感を抱いたアメリカは情報戦により日本を孤立へ追いこもうとするが、経済的に日本を抑え込もうとするアメリカの意図は他国にとっても自明であり、国際連盟はアメリカの勝手を許さなかった。
そしてアメリカは国際連盟を脱退したのち日本に宣戦布告し、また日本もアメリカに宣戦布告した。
世界最強の海軍を有する日本は当然の勝利を確信しアメリカ海軍とハワイ西方で抗戦するも、アメリカの最新兵器の前に手も足も出ないままに全滅し、進軍を阻止すべく日本を出発した第二艦隊もあえなく全滅する。
アメリカ海軍の本土上陸を前に民間からも事態を打開するため民間発明者に協力を募ると、ある老教授が20年前から新兵器を開発していることを知り、急ぎ新兵器の生産を開始する。
また、メキシコとの同盟によりアメリカ本土への攻撃が始まり、逆にアメリカはシナ朝鮮と同盟を結び台湾・満州の土地が奪われることになり、オーストラリアもアメリカに追随することになる。
結果、国際連盟の勧告を経て両国は停戦へと至ったが、果たしてそれで戦争が終わったのだろうか。
という内容だった。実際には原著が書かれた20年後には大東亜戦争が勃発する。
さらに、作者の解説により原著を分かりやすくしている。
原著では情報戦による包囲により、アメリカが国際連盟を脱退して日本に対して宣戦布告するが、現実は逆だった。
日本は開国して以来、情報戦に弱い。現在でも慰安婦問題では日本が悪いという中国・韓国の情報戦に対して有効に対処できているとは思えない。
本音と建前を使い分ける割には、本気の二枚舌外交には全く対処できない。どちらかと言うと日本は性善説に立ち、義を通せば分かってくれるというローカルルールがある。
しかし、グローバル化はローカルルールを許さないことにある。世界のルールは、いかに味方を多くつけるかという事にある。
この点、慰安婦問題とナチスのホロコーストを結び付ける中韓のやり方はヨーロッパに対して、日本への悪印象を持たせるのに有効である。
原著ではさらにイノベーションの必要性、反知性主義への警告、思想の無さに警鐘を鳴らしている。
原著が書かれた目的は、日米戦争を回避するためだった。しかし、現実に戦争は起きた。
歴史は繰り返すとよく言われるが、太平洋戦争前に日米戦争の勃発を予見していた原著は思索に富む。