佐藤優のレビュー一覧
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今この世界で起こっている事象が、どのような「内在的論理」によって起こっていることなのか。第2章、第3章あたりでその具体的事例が簡単に(とは言えはかなり難解だと思うが)説明されているが、このような高度に政治的な事柄は、本来"エリート"と呼ばれる人たちが考えるべきであって、こうしたエリートを強化すべきであるという主張。ここで言う"エリート"というのが、社会の上層を指す所謂エリートだけでなく、各階層にそれぞれエリートが存在している、という考え方は面白い、というかなぜだか勇気付けられる。
「国家の存続」という至極根本的な問題を考えていくとき、国民それぞれが考えるよりも、一部のエリートが知恵を絞ったほう -
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■『結論を言うと、イサムさんの現在の状況は決して悪くありません。<民間企業で働く会社員やパート労働者の昨年1年間の平均給与は435万円で、前年に比べて2万円少なく、9年連続で減少したことが国税庁の民間給与実態統計調査でわかった。年収別で見ると、200万円以下の人は前年に比べて42万人増え、1023万人と21年ぶりに1000万人を超えた。一方、年収が1000万円を超えた人は9マン50000人増加して224万人となり、格差の広がりを示す結果となった。>という実情に鑑みるならば、手取りで15マネンということは額面で20万円強、しかも住む家があるのだから、東京の感覚で言えば400万円ぐらいの年収がある
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被差別部落に生まれながら、老獪な政治手法を用い、内閣の中枢に登りつめ、「影の総理」とまで言われた野中広務の姿を描いた一冊。「潮目を読むこと」に長け、一貫した政治姿勢がないようにも見える野中には、弱者への優しいまなざしと差別の再生産を憎む気持ちがあった。
野中はときに政敵を恫喝し、ときにトリッキーな手法を駆使しして政界を生き抜いてきた。その姿だけをみると、決して評価されるべき政治家ではないようにも思える。しかし、ハンセン病患者らによる裁判での国の控訴見送りは野中の尽力なくしてはあり得なかった。不当な差別を受け続けてきた野中の心には、弱者に対する思いやりと弱者を虐げる社会への強い憤りが生まれて -
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「そもそも民主主義について考えた場合、国民一人ひとりが常に政治に関心をもっている体制は、いい体制ではないのです。」
どのように思考し、行動すれば、国家が生き残れるかについて書かれている。
あくまで国家に視点が定められており、そこに国民は考慮されていない。
最近では、個人がいかに生きるか、や、個人がいかに尊重されるべきか、についての本が多いが、そういった類にものではない。
第6章の「読書人階級を再生せよ」において、小説を含めた様々な種類の本を読む人は、自分たちが特異な人物であることを意識する必要があると述べており、読書人が本を読まない他者よりも優秀であると暗示している。
教養を身に付けた本当 -
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『知の巨人』佐藤優が挑む戦前の知性大川周明の『英米東亜侵略史』。なぜ日本は対米英戦争に踏み切ったのか。『戦わなければならない理由』と混迷を極める現代日本を解説した知的好奇心に満ちた1冊でした。
本書は『知の怪物』といわれる佐藤優氏が戦前の知性である大川周明の”米英東亜侵略史”の解説をしながら、現在との類似性をたどり、日本の針路への提言をしているものであります。
大川周明に関しての著作を読んだのは、これが初めてでございました。非常に読みやすく、それと交互に収録されている佐藤優氏の現代事情を踏まえた解説は今読んでも本当に面白かったです。
佐藤氏と大川周明の共通項は、獄中にて思索を重 -
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めも:ユーモア
話す場合はどこかで笑いという間がないといけない。でもそのユーモアを適切なときに、的確なボリュームで効果的に使えるかどうかは、大変高度な教養が必要とされる。
点数がいいということわ理解できてるということ、頭がいいということは夫々違う。暗記だけしてたら成績はいいかもしれないが、本当の意味での考える力、理解力はつかない。それが長じてその子の生きる力になるか。幸せに繋がるのか。
暗記だけで乗り切ると、高校に入ってからついていけなくなる。英語と数学は高校で覚えなければならない事項が極端に増える。特に数学で躓くと、論理力が弱くなる。
受験はさせる。受験勉強で身についた知識は一生役に立つ。
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読書の危険なところは「自分の頭で考えなくなってしまうこと」と言う。確かに本を読んでいるうちにその内容があたかも自分の意見であるかのように感じてしまうことがある。特に内容に共感できるものほどそうなのかもしれない。個人的にはそれでも読まないより全然マシだと思っているし他の意見のいいところをうまく編集して自分のものにすればいいと思っているのだが、佐藤氏はさらにその内容をどのフェーズで使う事ができるのかを意識しながら読んでいると言う。それも全く想像もできない使い方も含まれていて興味深かった。具体的にあげられている本も参考になるが、その読み方自体が参考になると思う。自分も功利主義なのでそういった本の読み
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【読書その28】元外務省の官僚で「外務省のラスプーチン」と呼ばれた佐藤優氏の著書。佐藤氏の著書はいつも非常に得るものが多い。今回も森元首相が新聞をボールペンを片手に読み、気になる部分をビリッと破って書類袋にいれるという箇所が印象に残った。自分自身、あとで読もうと介護関係の業界紙を色々抜粋したり、新聞の切り抜きしたりしているのだが、毎日の仕事で忙殺され、あとで読もうと持ってもなかなか読めず、その情報としての価値を活かせずに終わることが多い。それは本書で著者が指摘していること。結果が出ないと意味がない。何事も記憶として定着することを念頭に進めたい。