佐藤優のレビュー一覧
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雑誌の連載をまとめたものなので、結論的なものや題名から印象されるこの国の国家戦略の提示といったものでは基本的に無いので、それを期待した方には勧めません。
筆者の帝国主義時代到来という基本的な考え方をベースに、前半1部では帝国主義時代を生き残るために、宇野経済学から資本主義を定義し、その上で、ポストモダン後知識層がニヒリズムに逃げいて込んでいる今の状況を非難し、それが責任であると知識層にこれまでのものがたりであった自由主義から帝国主義時代の適合した「大きなものがたり」を再構築するように促していると思います。
後半2部では時々の時事を元にエマニュエル トッドを引用しつつ「帝国」としての日本が(その -
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当時外交官としてソ連で活動していた佐藤優の語る、ソ連崩壊前後の解説。普通の日本人には馴染みの薄いロシアや中央アジアのソ連の近現代史が生々しく描かれています。ブルブリスいわく、「ソ連崩壊は政治的チェルノブイリ事故」である。佐藤優の話を読んだ上で、最後の宮崎学のまとめの章を読むと特に面白く、ゴルバチョフの評価が低い(アホ呼ばわり)のが面白いし、日本の小泉元首相の政治手法との共通性を指摘してあるのが分かりやすい。ゴルバチョフ→チェルノブイリ原発事故→ソ連崩壊の歴史を振り返れば、小泉→福島原発事故→と来て、本格的に日本も崩壊に向かっている気がしてきた。
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週刊プレイボーイに連載を1冊にまとめたもの。形式は1つのテーマ(1週ごと)に2冊挙げて、その解説をしている。
内容は、人生を豊かにする書棚、日本という国がわかる書棚、世界情勢がわかる書棚、と対談という形である。筆者の経験が生かせる日本や世界の情勢がわかるところがよいのではないだろうか。
読書をするといっても、なじみのない分野の本をてにとっても、内容が入門者には難しすぎたり、ある思想に偏っていたり、分野の特定の部分にこだわっていたりすると、入門者がこれから知識を積み上げるための分野の構造を築くことが難しくなる。
その意味では入門者用のお勧めの本から読むことはよいのではないだろうか。筆者も書 -
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ネタバレ書評誌と経済誌からの二部建て再構成である。序論が書き下ろし、第Ⅰ部が理論編、第Ⅱ部が実践編という構成となっている。
第Ⅰ部では浅田彰の「構造と力」をもって日本もポストモダニズムへと移行していることを挙げ、日本は神話(歴史・伝統・文化)の構築をしてゆくべきだと説いている。また、世界最強の偶像たる「国家」「貨幣」についてはマルクスの資本主義観察がもっとも本質を突いているとし、ポストモダンからマルクス経済学労農派の宇野弘蔵の論理に退却し、われわれの立ち位置を見いだすべきという主張をしている。
第Ⅱ部では検察特捜部の解体に触れ、結果として警察権力の増大を招ききわめて政治性の強い捜査が行われる -
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「知の怪物」の異名をとる「外務省のラスプーチン」こと佐藤優氏がネットや活字メディアを通じて発信し続けた「3.11」に関する論考です。過激な言葉の中に彼の持つインテリジェンスの感覚が窺がえます。
この記事を書いている現在、原発事故の事故は第一段階が終了したとのことらしいのですが、まだまだ予断を許せる状態ではありません。この本は僕の好きな論客で『知の巨人』の異名をとる佐藤優さんが3.11の日からインターネットや活字媒体を通して自らの思いを発信し続けてきたものをまとめたものです。その中では結構刺激的な言葉、たとえば『国家翼賛体制』ですとか『大和魂』など、普段の理知的な論理を展開する筆者が日頃使わ