佐藤優のレビュー一覧
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11/1に発行されたばかりの新刊である。本書は、尖閣国有化宣言とその後の中国の動き、中国の空母、シリア内戦長期化、TPP対応問題、などまさに今の外交課題についての著者二人による対談本である。それらは、日本では二国間の外交問題として、或いは経済問題としての報道がほとんどだが、本書では世界全体の中でどう見るか、見られているかの観点での議論が多く、視点がとても新鮮に感じる。特に佐藤優氏は外交の第一線の経験があり、その意見には説得力がある。本書を読むと、政治家も、外交官も、マスコミも勉強不足か世界を知らなさ過ぎると思えるし、自分の視野の狭さも実感してしまう。ホットな話題を扱っているので早く読んで、そしてまた1年後に読み返すとおもしろいだろう。
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Posted by ブクログ
現代を悲観的にみて危機をあおるやり方は、知の巨人と言われる佐藤氏としては、いかがなものかと思うし、それを強引に新帝国主義の時代を迎えたことをもってその原因としているのは、あまり飛躍しすぎていて説得力がないように思う。
そして、その解決方法が、個人も国家もストーリーが必要で、第3者的な立場でみるのではなく、それを実践し、体現していくことが重要だとの結論。
新帝国主義という時代認識は、与那覇潤氏の「中国化する日本」にも通じるものがある。
そして、国家にも個人にもストーリーが不可欠だというのは、人間の本性には「因果論」が組み込まれているという(「(日本人)橘玲著」)事実から、過去も今も将来も変わらないでしょう。
とはいえ、内容の面白さとその博識ぶりに感心しながら、一気に読み進めるとが出来る興味深い本なので、一読するに値する本だと思います。 -
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ネタバレ・この筆者では久しぶりの評論モノ。今は、新帝国主義であると説く。この弱肉強食がさらに進むであろう世界での生き方をわかり易く語っている。
考え方の参考として読んでおくには良い一冊。
・マルクス主義者である、カール カウツキーの「超帝国主義論」は、21世紀の超帝国主義的な平和の維持を、読み解く上でカギになると見ている。
・中国はいまネーション・ビルディング(民族形成)をしている最中で、「漢人」ではなく、「中国人」という民族が生まれてきている。
・中国が航空母艦を持てば、沖縄は海兵隊を置くには近すぎて危険になるので、普天間基地が県外に移設される可能性が出てくる。
・民主主義の起源は、良き者を選ぶというより、悪しき者を排除すること。
・外交においては、詰めた方がいいことと曖昧にしておいたほうがいいことがある。
・国家本来は、絶対的に「力」によって成り立っている。では日本の力の要素は何なのかというと、日米安全保障条約です。
・タブーのない社会は悪い社会です。
・民主主義について考えた場合、国民一人ひとりが常に政治に感心を持っている体制は、いい体制ではない。生産活動が疎かになってしまうから。
・代議制民主主義は、本来独裁への道を開く可能性をはらんでいる。
日本が独裁の方向へ進むとしたら、それは民主主義の危機ではなくて、民主主義が純化されようとしている。
・橋下ブームは実は民主主義の危機ではなくて、自由主義の危機。
・テレビで流行るドラマなどは、一種の時代の転換を表している。だから、インテリジェンスの世界の人間は、視聴率の高いドラマを見るのです。
・結局、人間はナショナリズム、啓蒙の思想、人権の思想、そういうもので動くのだと思うのです。ただし、それらの思想はまやかしなのです。それを承知でいかにイメージ操作をしていくかというのが課題。
・言いかえれば、物語をつくること。ストーリーテリングの能力が大事。
・身近な同胞意識をもち、かつ民族だけに縛られない。二重性を認識しておくのが大事。
・日本で読書が習慣になったのは、昭和のはじめ。いずれにしても、現代でも日常的に読書する人間は特殊な階級に属しているという自己意識を持つ必要がある。
・読書階級はどの国でも総人口の5%前後。彼らは共通の言語を持っている。そしてその人たちによって、世の中は変わっていくと思うのです。
・他人の内在的論理を捉えるために、最低2つの古典を持て。
・ゲーテのファウストから、内在的論理とは次の4つから成り立っている。「言葉」「心」「力」「行為」。
・新帝国主義の時代を生きるうえで必要なのは、案外に小説的な教養なのです。
・人口学から、テロの原因を若年世代の人口過剰の問題に還元している。一家族に三人以上の男の子がいるとテロリズムもしくは犯罪がおこるという。
・戦前の日本も人口が過剰だったので、対外侵略をしたという仮説で、人口学者は一致している。
・インテリは国を超えて共通言語を持っている。
・日本人一人ひとりが言葉の使い方を変えて、国民を統合する物語を作り出すしかない。そして、目に見えないものに想いをはせる。 -
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田原総一郎、宮崎学、そして佐藤優。この『懲りない面々』が繰り広げる明日の日本をどうするか?というテーマで語りつくした鼎談本です。一人一人の意見が本当にディープで参考になると思われます。
田原総一郎、宮崎学。そして佐藤優。この非常に濃ゆい面々が今の日本と世界を語りつくす鼎談本です。鼎談ということもあって、比較的すぐに読めました。
『確かに、今の日本は危機を迎えている。でも、そこで「もうだめだ」と思うか、「おもしろいことが起きそうだ」と考えるかだ』この言葉に象徴されているとおり、確かに日本は危機的な状況に見舞われています。しかし、ここに書かれていることをきちんと認識さえすれば、ある程度のことには対処できるのではないかと、勝手に考えております。
特に佐藤優の言う
「きれいな資本主義などない、きれいなウンコがないのと同じく」
「『脱原発』というものが金持ちのおもちゃになっている。朝日新聞の読者は相対的に金持ちで格差がひらいても朝日は生き残れる」
という箇所には読んでいて衝撃を受けました。
この3人は今の世相からすると『異端』を行く方々ですが、彼らの声に真剣に耳を傾けることで、自分の立ち居地というものを確認できる、そんな1冊であるなと思っております。 -
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インテリジェンスの世界では、嘘をつかないというのが最低限の常識。ただ、それは全てを正直に話すと言うことではなく、消極的正直ということ。
相手が大切な話をぽろりと言ったようなときは、聞き返さない。聞き返すと、相手は大切なことを言ってしまった、大切なことを相手が知とうとしていると思い警戒する。
人とつきあう秘訣として「教えて下さい」というスタンスで対応する。
自分の金銭を相手のために使う心づもりでいろ。
嘘をつかずに、大切なことを言わずに、相手を引っかける手法もあり。
相手が自分を試すために、小さな嘘をつくことがある。あまり知ったかぶりにならない方が良い。
会話を続ける秘訣は、相手の話を繰り返すこと。
相手に、「自分を怒らせたら怖い」と思わせる。
相手の論理を知れ。
小説を読み、色々なパターンを研究せよ。 -
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昨今の国際社会のルールが、かつての帝国主義に似たもの=「新・帝国主義」になっている、というのが主題。
資本主義の最高段階が帝国主義だが、それはいつか限界が来て革命が起こり、社会主義社会、共産主義社会に発展するというのがマルクスの主張であり、世界共通の歴史観だった。
しかしソ連崩壊によって社会主義は失敗したため、世界は「新・帝国主義」となった。
「新・帝国主義」は自国の利益を最大限主張するが、相手国が抵抗し、国際社会も反発すると国際協調に転じる、というのが基本ルール。
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MEMO:
p205
新書を読むような人は読書人階級に属している。ものごとの理屈とか意味を知りたいという欲望が強く、他の人とは少し違う。
読書人口はどの国でも総人口の5%程度。その人たちによって世の中は変わっていく。 -
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佐藤優さんが「フジサンケイビジネス ビジネスアイ」に連載している、
「地球を斬る」というコラムを集めた一冊になります(今も連載中です)。
素材となっているのが2006-2007年の情勢なため、
現在(2012年8月)から見ると、ちょっと懐かしい感じも否めません。
ただ、佐藤さんの軸のぶれなさは相変わらずで、興味深く読めました。
中でも印象深かったのは、第1章の17、"日ロ外交のヒントとしての『美しい国へ』"の一説。
- 安倍晋太郎氏は外相職を去った後も、政治生命を賭して日ソ関係の改善に努力した。
- わたしは、約束をはたしました。桜がそろそろ咲きますよ
ゴルバチョフ氏が"桜"とのフレーズを使うのに意外さと恐ろしさを感じました。
日本人のエトスに響く言葉を使えるということは、それだけ調べているということ。
利益を共有できるのであれば、価値観が共有できなくても、協業はできると思いますが、
きちんと距離感をもってつきあえるのであれば、頼もしいのかなとも感じました。 -
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ネタバレ第一部、第二部ともに雑誌に連載されていたコンテンツ。これに序文を足して二部構成にして一冊の本にしているが、だからと言って論がバラつく訳ではないのが著者の力量か。
第一部は『資本論』をベースにした内容のため、経済学のベースがそれなりにないと読解は難しい。実際、最初はあまり理解できず、2回ほど通読してようやくある程度掴めてきた、という感じ。
この第一部の内容が連載されていたのは2007年だが、この時点で既に小沢一郎の地金を見抜き、「小沢や福田などの思想や哲学のない政治家が思想を外部から注入され、第三者に全く関係のない諍いを展開している。自民党も民主党も政策に大差がないので、意図的に小さな差異を作り、その疑似争点を巡って闘うというゲームをしている。小沢氏に信念があれば政治が切磋琢磨されるはずだったが、それがなかったのを見抜けなかった不徳を自己批判したい」という点にまで論を展開しているのは流石。
第二部は連載されていた2011年6月以降の時事を取り上げつつ、それらのニュースをどのような視座で見極め、読み解いていくべきかが開設されている。第一部に比べて圧倒的に読みやすい。著者のバックグラウンドにキリスト教、保守、ロシア、沖縄というキーワードがあるため、それらを念頭に置いて第二部を読むと、どんな土台であれ、土台をしっかり持っている人はこういう論点を見出すことができるのか、ということに気づく。
読みやすい本ではないので万人向けではないが、時事問題を読むための脳のトレーニングとしては良書。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ功利主義、いわゆる読書の為の読書ではなく、日常で益となるという観点で本が紹介されている。普通のレビューとは違って非常に思想的かつ哲学的な要素を盛り込みながら各書を紹介している。
そして本書のまえがき・冒頭でも述べられているように、確かに読書それ自体は、特に目的意識の欠いた読書は他人の頭で考える域を出ない。
さらに言えばある特定の視座に立たない読書法はともすれば自分の思考が大きく揺さぶられ、それだけでなく揺さぶられた思考に対しての責任は誰にも追及することができないという一種の危機意識を私は感じた。
確かに読書を通して知識は着くが、限られた時間の中でいかに、そしてどのような本を読めば良いのか。そのヒントを本書から得ることができると思う。