あらすじ
階級を生んだ松方デフレ、大逆事件の衝撃、白熱のアナ・ボル論争、弾圧と知識人の「転向」。
日本左翼の原点とは何だったのか?
シリーズ累計15万部の「左翼史」シリーズ、社会運動の源泉を探る【戦前編】。
【本書の内容】
・右翼と左翼が未分化だった戦前
・絶大な存在感を示した大本教
・資本主義を確立させた「松方デフレ」
・太宰治が悩まされた「後ろめたさ」の正体
・近代史上最大の農民蜂起「秩父事件」
・キリスト者・内村鑑三と足尾鉱毒事件
・「平民新聞」が打ち出した非戦論
・無政府主義が日本で「ウケた」理由
・幸徳秋水と「アナルコ・サンディカリズム」
・社会主義者に打撃を与えた「赤旗事件」
・高畠素之が見抜いたロシア革命の本質
・「22年テーゼ」と第一次共産党弾圧
・第二次共産党の再建と「福本イズム」
・エンタメ性抜群のプロレタリア文学
・佐野・鍋山転向声明の衝撃
・疑心暗鬼を募らせた共産党と小畑達夫の死
・転向者が出た講座派、出なかった労農派 ……ほか
【本書の目次】
序章 「戦前左翼史」とは何か
第一章 「松方デフレ」と自由民権運動
第二章 社会主義運動と「大逆事件」
第三章 ロシア革命と「アナ・ボル論争」
第四章 日本共産党の結成と「転向」の問題
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
戦前の左翼の活動を歴史的にまとめた本。
2.よかった点を3~5つ
・日本共産党を過大評価したコミンテルン(p179)
→コミンテルンから裏金が共産党に流れていたのは驚きだった。
・辻潤(p141)
→尺八を吹くことと詩を書くこと以外ほとんど何もせず生活の糧は物乞いをしている放浪生活を送りました。究極の個人主義者ででいたんだなと驚いた。
・大逆事件の衝撃(p127)
→当時の政府のやり方はかなり無茶な部分があったと感じた。
・社会運動をやる上では入り口がものすごく大事だと思いますね。自分たちで働いてお金を集めるなり、薄く広くカンパを集める手段を最初から確立していれば、コミンテルンからの援助が断たれても、(略)銀行強盗に行き着くことはなかったはずですし、そもそもコミンテルンに絶対服従する必要も生じなかったはずです。(p245)
→この部分の失敗が今後に生かせれる教訓だと思う。前回の読書会の「香川にモスクができるまで」ではこの入り口の部分がうまくいっていたのだと思う。
・日本共産党は百年史を刊行していません。(p246)
→意外だった。池上彰の指摘するように、そもそも反論するだけの理論的蓄積を持った人材が払底してしまっているのか?
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・資料の引用が多かった。
3.実践してみようとおもうこと
・
5.全体の感想・その他
・戦後すぐの左翼史をだいぶ忘れてしまっているので、今回の本とのつながりを再確認する必要があると思った。
・日本右翼史という本も誰か書いて欲しいと思った。