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  • 心の浮力
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    1巻2,200円 (税込)
    李箱文学賞受賞作「心の浮力」を含む最新短編集。 喪失と疎外、自責と愛などをテーマに、家族や介護、格差など同時代の社会問題を通して現代人の生を描く。 「言葉の届かない場所にあるはずの、人の心の複雑な薄闇に、李承雨は言葉で見事に光をあてる。精緻きわまりない八編。」――江國香織 「僕が感じてきたように、母も常に感じてきた、そうでなくてもいつか感じることになる深い後悔と罪悪感については思いが及ばなかった。喪失感と悲しみは時とともに和らぐが、後悔と罪悪感は時が経つほど濃くなることに、喪失感と悲しみはある出来事に対する自覚的な反応だが、後悔と罪悪感は自分の感情への無自覚な反応で、はるかにコントロールが難しいということに気づけなかった。」 母は僕を、もうこの世にいない兄の名前で呼ぶようになった。 夢を追い不器用に生きた兄と、堅実に歩む僕。兄弟と老いた母の愛の形を描いた李箱文学賞受賞作「心の浮力」を含む最新短編集。 【目次】 消火栓のバルブを回すと水が溢れた 空き家 心の浮力 電話に出る(出ない)べきだった 帰宅 声たち 水の上の眠り サイレンが鳴る時─剝製になった天才のために 作家の言葉 訳者あとがき 日本の読者のみなさんへ 【著者】 李承雨 1959 年生まれ、韓国全羅南道長興出身。1981 年、「エリュシクトーンの肖像」が「韓国文学」新人賞に選ばれデビュー。長編小説に『生の裏面』『植物たちの私生活』(ともに藤原書店)、中編小説に『真昼の視線』(岩波書店)、短編集に『香港パク』(講談社)などがある。大山文学賞、東仁文学賞、李箱文学賞など受賞多数。 平原奈央子 1980 年生まれ、福岡市出身。九州大学文学部史学科(朝鮮史学研究室)卒業。ソウルの梨花女子大学で語学研修、西江大学へ留学。
  • ペール・ラーゲルクヴィスト 三部作・マリアムネ
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    神という恐るべき謎に挑み続けた、北欧のノーベル賞作家ラーゲルクヴィスト。その孤高の作品群がここに全貌を現わす…! 神という恐るべき謎に挑み続けた、北欧のノーベル賞作家ラーゲルクヴィスト。その孤高の作品群がここに全貌を現わし、巡礼の果てに焼き尽くされた人間の罪が、聖なる地の澄明な風景としてよみがえる。20世紀の最重要作家を、「刑史」「こびと」の名訳で紹介した山口琢磨が、その渾身の力で遺した待望の翻訳が刊行されることは、ひとつの文学的事件である。(文芸評論家 富岡幸一郎) 【目次】 アハスヴェルスの死 海上の巡礼 聖地 マリアムネ ラーゲルクヴィスト著作目録〈山口琢磨編〉 あとがき〈中川美智子〉 【著者】 ペール・ファビアン・ラーゲルクヴィスト ペール・ファビアン・ラーゲルクヴィスト(Pär Fabian Lagerkvist) 1891年5月23日~1974年7月11日。スウェーデンの作家、詩人、劇作家、エッセイスト。スモーランド地方ヴェクショーに生まれ、伝統的なキリスト教信仰の環境下で育つ。生涯に亘って神と人間、善と悪という普遍的なテーマを追求し続けた。最も知られる小説「バラバ」は、1951年度ノーベル文学賞受賞の対象作品になった。1956年、本三部作の前編となる「巫女」を発表。 山口 琢磨 山口琢磨(やまぐち たくま) 1925年1月4日~2021年7月9日。旧制松江高等学校、東京大学第一工学部船舶工学科卒業。大学院進学後、療養生活中に独学でスウェーデン語をはじめとする4ヵ国語を習得。2010年、運輸界のノーベル賞といわれるエルマー・A・スペリー賞受賞。東京大学応援歌「ただ一つ」の作曲者。 訳書『ノーベル文学賞全集 11 フォークナー/ラーゲルクヴィスト』所収「刑吏」「こびと」(主婦の友社)他。
  • ハテラス船長の冒険(上)
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    ヴェルヌの「驚異の旅」は1863年の「気球旅行」でスタートし、「地底」「月世界」と続いたが、本書は67年刊で、「グラント船長」や「海底二万リーグ」より前であった。本書の訳者は「これほど面白い作品がどうして邦訳されていないのか」と述べる。冒頭から、帆船フォワード号を取り巻く謎で、読者の心を掴む。その行先は分からず、船長は姿を現わさず何者であるかも分からない。同号は船長からの秘密の指令によって北極へ向かう。ついに姿を現わした船長は北極征服熱一色に染め上げられた誇り高きイギリス人であった。この人物は単一の情熱に支配され、目標に向かって邁進する。極北の酷寒、乗務員の反乱、未踏の地の不確実性との戦いに、冒険心と知識欲に駆られたハテラスの勇気と決意は微塵ともしない。推理小説と冒険小説が渾然一体となった傑作。
  • まぶしい便り
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    悲しみのトンネルの先にあふれる明るい光のように 長い時間を経て届いた切ない和解の挨拶 「遠い国や長い歴史を超えて、封印していた恋の秘密が解き明かされるとき、私たちはきっと前よりも少し成長している。」――島本理生(小説家) 美しい文章とあたたかなまなざしで描くペク・スリンの初長編にして最高傑作 派遣看護師としてドイツに渡っていた伯母を頼り、母と幼い妹とともに西ドイツに移り住んだヘミ。悲劇的な事故により心に傷を負ったまま、孤独な日々を過ごすヘミだったが、伯母と同じ派遣看護師のおばさんたちの子どもであるレナ、ハンスと過ごすうち、徐々に日常を取り戻していく。ある日ハンスから、再発の可能性がある大病を抱える母親・ソンジャの初恋の相手を探してほしいと頼まれる。ソンジャおばさんの日記を手がかりに捜索を始めたヘミだったが、急遽家族で帰国することに。 大人になったヘミは、ある日、大学時代にほのかな恋愛感情を抱いていたウジェと偶然再会する。彼との会話をきっかけに、ヘミは再び、ソンジャおばさんの初恋の相手探しを再開する。 【目次】 まぶしい便り 参考文献 著者あとがき 訳者あとがき 【著者】 ペク・スリン 短編小説「嘘の練習」(2011年京郷新聞新春文藝)でデビュー。2015年、2017年、2019年若い作家賞、2018年文知文学賞、李海朝文学賞、2020年現代文学賞、韓国日報文学賞。著書に短編集『惨憺たる光』『夏のヴィラ』(書肆侃侃房刊)『フォーリング・イン・ポール』、掌編小説『今夜は消えないで』、中編小説『親愛なる、親愛なる』、エッセー『やさしい毎日毎日』『とても久しぶりに幸せだという感じ』、近刊に『春の夜のすべて』などがある。 カン・バンファ 岡山県倉敷市生まれ。岡山商科大学法律学科、梨花女子大学通訳翻訳大学院卒、高麗大学文芸創作科博士課程修了。梨花女子大学通訳翻訳大学院、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー、同院アトリエなどで教える。韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。和訳書にペク・スリン『惨憺たる光』『夏のヴィラ』、チョン・ユジョン『七年の夜』『種の起源』、キム・チョヨプ『地球の果ての温室で』『派遣者たち』『惑星語書店』など。児童書の韓訳も手掛ける。著書に『일본어 번역 스킬(日本語翻訳スキル)』(共著)。
  • 空と風と星と詩 尹東柱日韓対訳選詩集
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    1巻2,090円 (税込)
    2025年2月16日没後80年 彼の詩を読みながら、ゆかりの地をたどり、彼の歩いた地と彼の心を感じてほしい。 空を仰ぎ、星をかぞえ、 時代の朝を待った尹東柱(1917−1945) 自選の19篇を中心にした日韓対訳選詩集 韓国で最も愛される澄明な詩群 詩人の生涯を詩と写真でたどる旅 日本語と韓国語の詩をそれぞれ収載 【目次】 はじめに 2023 シンガポール 体感と独断による正直現地情報 シンガポール絵日記 2023 インド 体感と独断による正直現地情報 インド絵日記 2024 ウズベキスタン+日帰りタジキスタン 体感と独断による正直現地情報 ウズベキスタン、日帰りタジキスタン絵日記 2024 内モンゴル 体感と独断による正直現地情報 内モンゴル絵日記 2025 ふたたびのインド 南インド絵日記 あとがき 【著者】 尹東柱 1917年12月30日、旧満洲の北間島(現・中国延辺朝鮮族自治州)生まれ。1941年ソウルの延禧専門学校(現・延世大学校)を卒業。1942年日本に留学。東京の立教大学を経て、京都の同志社大学在学中の1943年に治安維持法違反(独立運動)の容疑で捕えられ、懲役2年を宣告される。福岡刑務所に収監され1945年2月16日に獄死した。1948年遺族と友人たちにより、尹東柱が遺した詩集『空と風と星と詩』が出版された。 伊吹郷 1940年生まれ。1984年『尹東柱全詩集 空と風と星と詩』(記録社/影書房)翻訳出版。1990年李陸史詩文集『青ぶどう』、1991年宋友恵著『尹東柱評伝』の抄訳版『尹東柱 青春の詩人』を筑摩書房より出版。 尹仁石 1956年生まれ。成均館大学校名誉教授。尹東柱の甥。尹一柱の長男。遺族代表として、長年にわたり保管していた尹東柱の遺稿・遺品を、2013年に尹東柱の母校・延禧専門学校(現・延世大学校)に寄贈。『写真版尹東柱自筆詩稿全集』(民音社、1999年)、『空と風と星と詩―原本対照尹東柱全集―』(延世大学校出版部、2004年)の編集に参与。
  • ラフカディオ・ハーンの耳、語る女たち 声のざわめき
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    1巻2,500円 (税込)
    ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)、聲[こえ]の旅人、その作品と生涯へ読者を招待する。渾身のハーン論を一挙集成し、大幅に加筆&集成した「大増補&改訂新版」。たくさんの絵図・写真も掲載する。 ギリシャ、アイルランド、米国、マルチニークをめぐり歩き、1890年に、40歳を前にしてラフカディオ・ハーンは来日した。 盲目の女性芸能民の三味線、行商人の下駄のひびき、大黒舞[だいこくまい]の踊りと歌、道ゆく笛の音……。富国強兵に突き進む近代化のなかで「雑音」として切り捨てられた口承文芸の調べ、民衆の暮らしの音が、ざわめきとなってハーンの耳を圧倒する。 シンシナーティやマルチニークでの濃厚な声もまた、潮騒のようにハーンに押し寄せる。「海の声は…たくさんの声がかもしだすざわめき」なのである。 このざわめきを聴き取るために、ハーンが小泉セツに怪談を語らせるさい、彼女にこう求めた――「ただあなたの話、あなたの言葉、あなたの考でなければ、いけません」。セツのそばで耳の孔をおしひろげながら、彼は「小泉八雲」となった。 凍てつく息を男の顔にふきかける「雪おんな」。耳をひきちぎられる琵琶弾きの盲僧「芳一[ほういち]」。変わり果てた故郷の姿に絶望する「浦島[うらしま]」。 小泉セツ、女たち、病者、獣、死者がざわめく声に、ハーンは耳の奥で、何かを聞いたのだ。 【目次】 【Ⅰ】ハーンの耳 序 文字の王国/大黒舞/ざわめく本妙寺/門づけ体験/ハーメルンの笛吹き/耳なし芳一 考 【Ⅱ】ハーンと女たち 語る女の系譜 「女の記憶」という名の図書館 【Ⅲ】ハーンと文字 文字所有者の優位から文字の優位ヘ:カフカ・ハーン・アルトー 盲者と文芸:ハーンからアルトーへ 【Ⅳ】宿命の女 「おしどり」とマゾヒズム 怪談 浦島太郎 【Ⅴ】ハーンと世紀末 ラフカディオ・ハーンの世紀末:黄禍論を越えて ハーンを交えて議論してみたいこと 【著者】 西成彦 西成彦 1955年生。立命館大学名誉教授。専攻はポーランド文学、比較文学。他の著書として、『森のゲリラ 宮澤賢治』(平凡社ライブラリー版 2004)、『ターミナルライフ 終末期の風景』(作品社 2011)、『胸さわぎの鴎外』(人文書院 2013)、『外地巡礼――「越境的」日本語文学論』(みすず書房 2018)、『多言語的なアメリカ 移動文学論 Ⅲ』(作品社 2024)ほか。また訳書として、ショレム・アレイヘム『牛乳屋テヴィエ』(岩波文庫 2012)ほか。
  • ユートピア文学選集
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    ユゴーにゾラ、タルドからリラダンまで、19世紀のフランスで書かれた、来るべき社会を描きだすユートピア文学の結晶。
  • 村上春樹 翻訳ライブラリー 最後の大君
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    主人公はハリウッドの辣腕映画プロデューサー、モンロー・スター。 才覚と野心でのし上がり、映画製作の現場に君臨するこの男を待ち受けるのは、運命を揺るがす出会いと悲劇の影――。 創作メモに当たる「ノート」を含む未完の遺作が村上訳で甦る。 その早すぎる死の直前まで、フィッツジェラルドが書き続けた最後の長篇小説。
  • 完訳 フィッツジェラルド伝
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    「作家の評伝として最高の出来映え」(AP通信)と賞賛されたフィッツジェラルドの決定版伝記を完全復刻。
  • カラマーゾフの兄弟(1・2・3・4合本)
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    ドストエフスキー作品の謎に最も迫った翻訳者・江川卓による魂の訳業、初文庫化。 大審問官の問い、ゾシマ長老の死…… カラマーゾフ(黒塗)家の一族をめぐる壮大な愛憎劇は、やがて殺人事件へと向かう。(第2巻) カラマーゾフ家の人々の間にさまざまな思惑が入り乱れる中、ついに父フョードルが殺害される。はたして犯人は―(第3巻) 父フョードル殺害事件の裁判が進展する一方で、カラマーゾフの兄弟たちはそれぞれに転機を迎えていた。やがて、あの夜の真相が明らかになる。 彼らは、ロシアは、そして人類の運命は――「現代の予言書」として読み継がれてきた一大叙事詩はついにクライマックスへ!(第4巻)。 ※本コンテンツは、中公文庫『カラマーゾフの兄弟』1~4巻を合本化したものです。
  • 紅楼夢 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典
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    「源氏物語」とも並び称される清代の小説「紅楼夢」。長大な物語を、石の神話、恋愛譚、貴族生活崩壊譚、女性列伝、戒淫といった流れごとにダイジェスト。原文の魅力を損なわず読み通すことのできる入門編。
  • ソールズベリー伯爵夫人とエドワード三世 上巻
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    『ソールズベリー伯爵夫人とエドワード三世』上下2巻、は『三銃士』や『ホロスコープ』という歴史小説を書いて世界文学史上に金字塔を建てたアレクサンドル・デュマが1836年から新聞連載小説として世に出した最初の歴史小説である。時は1337年、ロンドンのウェストミンスター宮殿での宴会における「サギの誓い」と言われるロベール・ダルトワの挑発で始まった。イングランド国王エドワード3世がフランス王の正当継承権を賭けてフランス王国へ挑戦するところから英仏百年戦争は開始された。ウォルター・スコットに触発され、フランスに歴史小説を誕生させようと意欲満々の若きデュマの精力みなぎる作品となった。ソールズベリー伯爵夫人はエドワード三世の横恋慕で悲劇の最後を遂げるが、ガーター勲章のエピソードで英国史に残った。この小説はエドワードとソールズベリー伯爵夫人アリックスの悲恋の物語と1377年に没するまでエドワード3世が執念を燃やした王位継承戦争の年代記と言うべきものである。
  • ヨハンナ・シュピリ初期作品集
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    「ハイジ」の著者、ヨハンナ・シュピリ初期小説、本邦初訳登場!!アルムおじさんとその妻はどんな人だったのか?「アルプスの少女ハイジ」の深層が垣間見えるファン必読の小説集。
  • クラクフ・ゲットーの薬局
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    ゲットーで何が起き誰がどう生きたかを記録 1941年3月から43年12月まで設置されたクラクフ・ゲットー。その地で薬局を営むポーランド人の著者は、退去命令に従わず居座り、ユダヤ人への支援者、ナチの暴虐の記録者として2年半を過ごす。本書はその克明な回想録である。 ※本書は、大月書店刊『クラクフ・ゲットーの薬局』の電子書籍版です。 【目次】 初版まえがき 第二版まえがき 第一章 ゲットーの設置と編成―新しい生活―新しい知人たち 第二章 比較的平穏だった日々―最初の移送行動―ドイツの秘密諜報機関員―九四二年六月二日から四日にかけての移送行動 第三章 陸軍中尉ブスコ―一九四二年六月八日の移送行動―ゲットーの縮小―困難な生活環境―一九四二年十月二十八日の移送行動―迫害された人々の様子 第四章 プワシュフ収容所―ゲットー域の再縮小―プワシュフでの刑執行―移送者の確かな消息―ゲットーAとB―クラクフ以外から入ったゲットー住民―薬局閉店の試み―規則の厳罰化―児童施設の設置 第五章 プワシュフ収容所への移送―一九四三年三月十三日および十四日のゲットー撤収行動―心理的謎―病人および子どもたちの殺害―悪夢の光景 第六章 死者の町―ゲットーの「清掃」―ゲットーの死刑執行人―ユダヤ人警官の運命―一九四三年十二月 第三版あとがき チェスワフ・ブジョザ 訳者あとがき 登場人物一覧 【著者】 タデウシュ・パンキェヴィチ(Tadeusz Pankiewicz) タデウシュ・パンキェヴィチ 1908年サンボル(現・ウクライナ領)生まれ。ポーランドの薬剤師一家の出身。クラクフのヤギェウォ大学薬学部を卒業し薬学修士の学位を取得後、1933年父から “鷲”薬局を引き継ぎ店主となる。1947年本書の第1版刊行(1995年第3版)。1993年死去。 田村和子 たむら・かずこ ポーランド児童文学翻訳家。1944年生まれ。著書に『ワルシャワの日本人形』(岩波ジュニア新書)、訳書に『強制収容所のバイオリニスト』(新日本出版社)など。
  • ミーチャの恋・日射病 他十篇
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    「文字通り貫かれたのだ.この恐るべき日射病に,甚だしい愛に,甚だしい幸福に!」――亡命ロシア人作家イワン・ブーニン(1870-1953)は人間を捕らえる愛の諸相を精緻な文体で描いた.見知らぬ女性との一夜の記憶が鮮やかさを増す「日射病」,初恋の歓喜が嫉妬の情に蝕まれていく「ミーチャの恋」など,珠玉の中短篇集.

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  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 ヘミングウェイ 過酷な世界を生き抜く倫理
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    1巻1,100円 (税込)
    作品に投影された、体験にもとづく多様性と身体性、アメリカへの批判精神。 従軍体験がもたらしたナイーヴな身体性と意外な成育歴から見えてくる多様性が、ヘミングウェイ作品の核をなしていた! 『老人と海』『敗れざる者たち』『移動祝祭日』『日はまた昇る』の4作品に、気鋭の翻訳家・アメリカ文学者が、ファンも驚愕し納得する独自の視点から光を当てる。特異な幼少期を送り、死線をくぐり抜けた彼だからこそ持ちえた、多様性への共感や深い倫理観、自然への畏敬の念。それらは、揺れる人格とセクシュアリティに悩んだヘミングウェイの意外な一面と共振する。その「弱さ」や「ナイーヴィティ」こそが、アメリカ文学を変える傑作を生み出す源だったと著者はいう。新たな解釈や読み解きから、ヘミングウェイ作品の現代性を詳述、いまこそ読むべき作品の本質を提示する。 2021年10月に放送されたNHK「100分de名著 ヘミングウェイ スペシャル」テキストに描き下ろし1章を加えた「別冊 100分de名著 集中講義」シリーズ最新刊。著者は2025年度・朝日新聞「文芸時評」欄を担当するなど、文学作品の読み解きの新しさに定評がある。その切れ味と深い説得力が発揮された、知るだけでなく「面白く読める」解説書。
  • 花とハーブに囲まれたイギリスの物語
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    1巻2,090円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 15編の物語に出てくる植物に焦点を当て、お話のストーリーを楽しむとともに、咲き誇る花やハーブの知識を得るのに最適な本! 中学生の高学年ぐらいから大人まで、眼で見て楽しめるよう編集し、イギリスの物語の世界を知るだけでなく、そこにある美しい自然や庭園、花の世界を共に味わう〈ちょっと変わった〉案内書。 ▶各作品の編集項目◀①あらすじ ②注目したいセリフと描写 ③関連コラム(花、ハーブ他) 目次 はじめに ■パート 1 ゆっくり読みたい物語 1 ピーターラビットのおはなし 2 秘密の花園 3 不思議の国のアリス 4 幻のスパイス売り 5 小川のほとりで(『のばらの村のものがたり』シリーズより) 6 トムは真夜中の庭で 7 グレイラビットのたんじょう会 8 さくら通りのメアリー・ポピンズ 9 プー横丁にたった家 10 床下の小人たち 11 あかつきのパン笛(『たのしい川べ』より) 12 時の旅人 ■パート2 短くてかわいいお話 1 小さいお嬢さまのバラ 2 うさぎのフローレンス はじめてのダンスパーティ 3 チューリップ畑 ■この本で扱った作品の作者紹介 ◉ビアトリクス・ポター ◉フランシス・ホジソン・バーネット◉ルイス・キャロル ◉アリソン・アトリー ◉ジル・バークレム ◉アン・フィリッパ・ピアス◉P・L・トラヴァース◉A・A・ミルン◉メアリー・ノートン◉ケネス・グレーアム ◉エリナー・ファージョン◉リス・ノートン ◉イギリスの昔話より ■注目したいイギリスのイラストレーター 1 シシリー・メアリー・パーカー 2 バーナデット・ワッツ 3 ケイト・グリーナウェイ ■あとがき/主な参考文献
  • 環境と文学の彼方に エコクリティシズムと新しい創造の時代
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    1巻3,190円 (税込)
    ASLE-Japan/文学・環境学会 設立30周年記念出版 自然と環境を人文学の観点から照射する論考を収載 環境人文学の蓄積と現在地を提示する 目次 ◉はじめに──エコクリティシズムの「森」へようこそ【浜本隆三/甲南大学准教授】 ◉序章(鼎談)──環境文学研究のこの10年【小谷一明(新潟県立大学教授)×喜納育江(琉球大学教授)×結城正美(青山学院大学教授)】 第一部 環境理論の先へ ◉人新世文学のオルタナティブ──梨木香歩『ピスタチオ』における緑のエージェンシーと気候変動のサバイバル【芳賀浩一(城西国際大学教授】 ◉〈クィア・エコロジー〉〈トランスエコロジー〉の系譜学【森田系太郎(立教大学大学院兼任講師】 ◉空飛ぶサカナ──『ダーウィンの悪夢』とイメージの転移【塚田幸光(関西学院大学・大学院教授】 ◉「大デンマーク」幻想の解体と「幸福の国」への出発──ヘンリク・ポントピダン『幸福のピア』におけるユラン半島地方の開発【奥山裕介(摂南大学非常勤講師】 ◉映画『リリーのすべて』にみるトランスジェンダーの身体と自然表象【岩瀬由佳/東洋大学教授】 ◉映画『キラー・オブ・シープ』における日常としての屠畜場──1960~70年代のロサンゼルス・ワッツ地区を背景に【江口真規/筑波大学助教】 ◉隠喩としての猫を棄てる──動物愛護管理にまつわる構造的暴力と作家の倫理的選択【波戸岡景太/法政大学教授】 第二部 新しい共生を探して ◉(対談)文学と環境のはざまで【小谷一明×野田研一(立教大学名誉教授)】 ◉私とタスマニア──ピーター・コンラッドに関する考察【黒﨑真由美/関東学院大学教授】 ◉院生組織活動の歴史【伊東弘樹(早稲田大学大学院博士課程)・江川あゆみ(早稲田大学大学院博士課程)・笠間悠貴(明治大学非常勤講師)】 ◉アイヌ文学のニュー・アニミズム【松﨑慎也/群馬県立女子大学教授】 ◉ロバート・ハスとW・S・マーウィン──環境詩学による考察【高橋綾子/兵庫県立大学教授】 ◉つながる日加の水俣病──『ミナマタ』とアイリーン・美緒子・スミスの貢献【岸野英美/近畿大学准教授】 ◉柄谷行人の倫理と震災後文学【和氣久明/米国空軍士官学校助教授】 第三部 ネイチャーライティングの向こう側 ◉『テンペスト』の海をめぐって──見えない海、曖昧な人間【高橋実紗子/聖心女子大学専任講師】 ◉石牟礼道子と音──自伝『葭の渚』が語るサウンドスケープ【中村優子/順天堂大学、中央大学非常勤講師】 ◉石牟礼道子『十六夜橋』の自然と記憶【山田悠介/大東文化大学講師】 ◉ハイチ文学と環境──マリ・ヴュー・ショヴェ『愛、怒り、狂気』を中心に【齊藤みどり/都留文科大学教授】 ◉テリー・テンペスト・ウィリアムス『大地の時間』における見つめ返す風景──惑星を想像するネイチャーライティング【清水美貴/青山学院大学大学院博士後期課程】 ◉マーガレット・アトウッド『洪水の年』にみる言語の物質性と循環【巖谷 薫/早稲田大学大学院博士課程、日本工業大学非常勤講師】 ◉宮沢賢治と牛──モナドロジーから読むその宇宙【大田垣裕子/兵庫県立大学名誉教授】 ◉清潔さの暴力──フランク・ノリスの『ヴァンドーヴァーと野獣』におけるにおい【菅井大地/愛知学院大学准教授】 ◉終章 環境的不服従の未来【辻 和彦/近畿大学教授】 ◉おわりに【青田麻未/群馬県立女子大学専任講師】
  • 脱中心の詩学 エドガー・アラン・ポーの比類なき冒険
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    1巻2,860円 (税込)
    本書はポーの作品をめぐる批評集である。三部立て構成となっており、1つの章で1つの作品をとりあげ、厳密に読み解いてゆく。それぞれの章では異なった作品を扱うが、各部ごとに連関したテーマを含む。第1部は「ゴシック・ホラーの喪とメランコリー」。ポーのゴシック的な詩や小説における「横たわる」ことのモチーフに焦点を絞り、それが有する現世主義に対する「脱中心性」を読み解く。第2部は「SFの時空間」。ポーのSF的な冒険小説を取り上げ、そこにおける時空間や身体の超越の問題について批評し、「いま・ここ・わたし」を起点とする人間中心主義的思考を「脱中心化する想像力」を抽出することを試みた。第3部は「起源のミステリーとミステリーの起源」。一見すれば推理仕立ての小説にみえるポーの作品が、本当に謎解きを本質としたものなのか?その疑問から仮面の下にひそむモチーフに注目し、「脱中心性」をあきらかにする。そして補足補完すべく3つのエセーを付し、ポーの短篇小説を翻訳する。それは、ポー文学の脱中心性を知る上で、格好のものとなるのが小説だからである。 目次 序章  なぜ「脱中心」なのか 第1部 ゴシック・ホラーの喪とメランコリー 第1章 死者と横たわること――「大鴉」をめぐって 第2章 横たわることの詩学――「アッシャー家の崩壊」の謎をとく エセー(1)「夜の訪問者」 第2部 サイエンス・フィクションの時空間 第3章 空気の隠喩――「ハンス・プファールの比類なき冒険」探索 第4章 自我なき海への郷愁     ――「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」SF・脱中心 エセー(2)萩尾望マンガの脱中心性 第3部 起源のミステリーとミステリーの起源 第5章 太陽の指針――「黄金虫」と「スタイラス」の図像学 第6章 脱中心の詩学――「モルグ街の殺人」における遊戯の規則 エセー(3)動物好きに捧ぐ 付録  翻訳「楕円形の肖像」「週に三度の日曜日」       「ウイサヒコンの朝」「本能と理性」
  • ジオノに挨拶するために ジオノ作品の世界への誘い
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    1巻2,860円 (税込)
    自然、人間、本当の豊かさとは?「現在の都市文明には限界が感じられる…喜びは金では買えない。自然のなかで暮らし、愛情や友情や隣人愛に包まれ、よく食べ、よく飲み、よく遊ぶことが必要である…現代文明が等閑に付してきたもの…そのことを考え直そうというような心境にさせるような着想が、ジオノ文学には満ちあふれている」(「天性の小説家 ジャン・ジオノ」(彩流社、2014))。本書は、ジオノ作品をこれまで10冊以上翻訳してきた山本氏により描かれた、その物語の魅力を広く紹介しようとする作品論集である。翻訳してきたジオノ文学作品の巻末に付してきた解説を、すでに出版からかなりの時間が経っているため、それぞれの解説文をより的確な表現となるよう練上げ、さらに多角的に、作品相互を論じることで、ジオノ文学に近づけるようにした。何といってもジオノの作品の中では『木を植えた男』が最も知られているので、まずは『木を植えた男』についての文章を冒頭に置き、次いで反響がよかった『青い目のジャン』を2番目に並べることにした。最後は『喜びは永遠に残る』についての文章にしたいため、3番目には、その『喜びは永遠に残る』と密接な関わりを持っている『本当の豊かさ』を配置し、そして、さらには個人的に大いに気に入っている謎に満ちた画家の物語『逃亡者』を4番目に登場させることとした。著者は、今後の読者からの評価次第であるとはいうものの、このジオノ論の第2集、第3集の刊行に向けた準備も始めている。 目次 『木を植えた男』――森林は水を生み出し人々を招き寄せる 『青い目のジャン』――子供の成長の記録 『本当の豊かさ』――鄙びた田舎に潜んでいる豊かさ 『逃亡者』――謎に包まれた画家の生涯 『喜びは永遠に残る』――それは、途方もなく美しい夜だった
  • ナンシーの博士論文「ジプシーの世界」
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    プラネタ賞受賞のスペイン・亡命作家の幻の名作が甦る! フラメンコに象徴される『情熱的実体』の解明に奔走する女子大生……レヴィ=ストロースを始め文化人類学の時代の風を受け、迷信、呪術、生活習慣などに大きな関心が向いた時代に、アメリカの女子大生ナンシーがスペインのセビーリャに留学したとの設定で、アメリカの娘からすれば、スペイン社会は「ジプシーの世界(情熱的実体)」そのものであるとするナンシーの博士論文を巡って、人や社会、歴史が縦横無尽に疾走する様がユーモアあふれる筆致で描かれる、スペイン社会のもう一つの世界“ロマ社会”を表現しきった長編ロマン! 目次 第1部  アンダルシアがナンシーを発見する 手紙 I  ナンシー、セビーリャを発見する 手紙 Ⅱ  ナンシー、ジプシー世界に入る 手紙 III  ナンシーと映画館の冒険 手紙 IV  ナンシーのハイキングとカフェの集会 手紙 V  ナンシーならびにしゃべる鹿 手紙 VI  ナンシーと金色スズメ蜂 手紙 VII 中庭、ライバルそして魔法の井戸 手紙 VIII ナンシーと花 手紙 IX  ガスーレスでの通夜 手紙 X ガスーレスでの顛末 第2部  ナンシーの博士論文『ジプシーの世界』 I   方向指定の座標 II   ニューヨークからの手紙とバルデペーニャのジプシー III   バル1・2・3にて IV   移り気なナンシーとブッダ V   アカデミックでドラマチックなナンシー VI   歴史的考察 VII  ジプシーの弁証法ならびに《ホッカノ・バロ》 VIII  いくつかの適切な代理人 IX   ブレリアス、ファルッカ、グラナディーナス X   ソレアとトリアーナのジプシー XI   《毒》、ボレロとログローニョの書肆 XII   カルセレラと彷徨える魂 XIII   サエタ XIV   笑いと戦慄の幕間 XV  《大悪霊》、ベルセブブと隻眼達 XVI   カントゥエソがガンディーについて意見を言う
  • ジョージ・エリオットのリアリズムと道徳観
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    1巻3,850円 (税込)
    ジョージ・エリオットのリアリズムの進展と作者自身の道徳観の成熟の関係を探る。ジョージ・エリオットは道徳の基礎にシンパシー(共感)を置き、彼女のリアリズムの目的は、読者の登場人物への理解とシンパシーを高めて「人類の団結」を図ることであった。本書は「リアリズム」を、「登場人物の心理や外部事実の合理的で詳細な記述があること」と「物語中の出来事の蓋然性が高いこと」という基本的要件で捉える。そして物語中のシンパシーに乏しい人間の描き方のリアリズムの進展に焦点を当て、その背後にある作者自身のシンパシーの対象が拡大していることを読み取る。作品のリアリズムの進展は作品から見て取ることができ、また作者のシンパシーの対象の広がりはシンパシーに乏しい人間の描写に顕著に表れるからである。エリオット作品のリアリズムを通時的に論じる場合、初期作品はリアリズムに沿っているが中期作品以降は「道徳的寓話」であると見なすのが、エリオット存命の時代から20世紀半ばまでの定説であった。1948年に発表されたF・R・リーヴィス『偉大なる伝統』以降は、エリオットの後期作品が19世紀イギリスのリアリズム小説の傑作と見なされるようになった。しかし作品に登場するシンパシーに乏しい人物は、相変わらず個人もしくは社会にとって一律に有害であると考えられ、彼らの被害者的心理や、個人もしくは社会に対する影響の吟味はなされなかった。本書は従来の見方とは異なり、シンパシーに乏しい人物が、家族や社会にとって有害で追放されるか改悛させられねばならない存在から、後期作品においてシンパシーに乏しいままで家族をより大きな絶望から救うという肯定的価値をもつ存在へ、あるいはその被害者的心理も描かれる存在へと変化しているというリアリズムの進展をテキストの「描写」および「物語の時代背景」から検証する。このことは同時に、作者のシンパシーの対象の拡大を示している。 目次 第1章 エリオットの小説のリアリズム 第2章 エリオットの道徳観とシンパシーとリアリズム     ──「ジャネットの悔悟」の比喩表現を例として 第3章 語り手の心の鏡に映らないヘティ     ──『アダム・ビード』のリアリズム再考 第4章 洪水の結末とシンパセティックなトム     ──『フロス河畔の水車場』におけるリアリズムの進展 第5章 シンパシーとシンパシーの欠如の交差     ──『ミドルマーチ』における道徳観の成熟とリアリズムの進展 第6章 『ダニエル・デロンダ』におけるモダニズム的手法の採用     ──人間の根本的善性への信頼の揺らぎ
  • アメリカ文学における終末論的想像力 アメリカ例外主義の展開とその方向性
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    米文学史は植民地時代を含め、アメリカ例外主義と絡み合い、それに立ち向かってきた。アメリカ例外主義とは、米国は神に選ばれた自由と民主主義を標榜する大洋に挟まれた例外的な近代国家であり、世界の民主化を主導する義務がある、という考え方である。それはプロテスタントの教義によって強化され、国家の根幹をなし、黙示録的な終末を演じることで米国を帝国化してきた。マサチューセッツ植民地の形成から独立戦争、メキシコ戦争、そして南北戦争と世界の終末を思わせるレトリックで政治家や説教師、ジャーナリストらが差し迫った危機を語り、国民の団結を呼びかけてきた。20世紀以降も二つの大戦に、大恐慌、ベトナム戦争、そして9・11の攻撃、イラク戦争など大きな危機に遭遇する度に、民主主義の伝播、善悪の戦い、対テロの戦いなど、多くの言説が用いられ国民を方向づけていた。現代においてこの終末論的想像力は、第三次世界大戦という用語により世界に拡散され、プロバガンダとして大いに利用され、世界的パンデミックの不安と恐怖までもが後押しする形で、国民は将来の見通しを立てることができないような強迫的な寄る辺なさに苛まれることになってしまっている。トランプ政権において露わになることとなったアメリカ例外主義への反発からは、自国優先の政策に舵を切ることを望む人々も多く出てきている。そして、トランプの支持基盤であった極右集団QAnonは、トランプを世界の終末を阻止するためにやって来た救世主として扱っているのである。今を生きる我々が、この事態、現実を、乗り越える手立てを見出すことは容易ではない。本書は、米国が体験してきた不安や恐怖、それらを克服する過程を、作家たちがいかに描いてきたかを読み解き、そうした危機的状況やそれに乗じた終末論的プロパガンダ、それと絡み合うアメリカ例外主義の展開と分裂を視野に入れ、文学作品が、いかなる意義を生成してきたのかを読み取ろうと試みるものである。 目次 寄稿「アメリカ大統領と終末論的想像力」(巽孝之・慶應義塾NY 学院長) 「〈風景〉とマニフェスト・デスティニー」(成田雅彦・専修大学教授) 「わたしたちはどう生きるか―エマソンの『自己信頼』におけるヴァルネラビリティの倫理」(生田和也・長崎県立大学准教授) 「独身女性が書く家事手引書―キャサリン・ビーチャーのベストセラー改訂版」(秋好礼子・福岡大学准教授) 「反時代的考察者としてのヘンリー・アダムズ」(砂川典子・北海道教育大学准教授) 「絶滅という思想―十九世紀アメリカにおける環境終末論」(高橋勤・九州大学名誉教授) 「『大理石の牧神』における絵画と身体」(川下剛・京都産業大学講師) 「『ハックルベリー・フィンの冒険』とその批評的冒険にみる(非)ヘーゲル的精神の冒険」(吉津京平・北九州市立大学非常勤講師) 「『船乗りビリー・バッド』における黙示録的運命」(竹内勝徳・鹿児島大学教授) 「ポストアポカリプス的想像力とデモクラシーの「未来」」(渡邉克昭・名古屋外国語大学教授) 「彼らの夢は実現したのか——トウェインとフィッツジェラルドに見る夢の迷走」(江頭理江・福岡教育大学教授) 「『怒りの葡萄』の終末描写に見るスタインベックのアメリカ像」(前田譲治・北九州市立大学教授) 「「丘の上の町」は安住の地か」(綱智子・佐賀大学・久留米大学 非常勤講師) 「「終わり」のない旅―スティーヴン・キングのダーク・タワーの先に」(宮内妃奈・福岡女学院大学教授)
  • 非日常のアメリカ文学――ポスト・コロナの地平を探る
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    1巻2,376円 (税込)
    20世紀的な「日常」を問い直し、ポスト・コロナの地平を探る、野心的な米文学論! コロナ・ウイルスが引き起こしたパンデミックによって、私たちはいま、従来の20世紀的な日常とはすこし異なる「非日常」の世界を生きている。 本書『非日常のアメリカ文学』は、コロナという人知を超えた災厄と対峙する知恵を、ヘンリー・ソロー、マーク・トウェイン、スコット・F・フィッツジェラルド、カート・ヴォネガットらの作品から、先住民作家ヴェルマ・ウォーリス、カリフォルニアのビッグ・サー文学作家やベイエリア現代詩の詩人、身体の日常/非日常を問うファット・リベレーション作家の諸作品まで、「非日常」という共通項を軸に探る。 本書が提案する「非日常」をアメリカ文学に探る試みは、単なる「アウトサイド」な文学の系譜をたどるばかりか、アウトサイドから日常を見直し、ひいては現代文明を問い直す視座をもたらすことになるだろう。コロナ禍とはつまるところ、これまでの文明社会の見直しが迫られた経験であったとはいえまいか。本書を通して、ポスト・コロナの地平を見通す視座を、十人のアメリカ文学研究者達が探る。
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト17]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第17課「シャルル・ボードレール『窓』『スー プと雲』」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト16]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第16課「ジョルジュ・サンド 『花たちのおしゃべり』」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト15]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第15課「イレーヌ・ネミロフスキー『舞踏会』」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト14]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第14課「オノレ・ド・ バルザック『砂漠の情熱』」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト13]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第13課「アラン=フルニエ『グラン・モーヌ』」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト12]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第12課「ギョーム・アポリネール『オレンジエード』」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • [音声DL付き]ことばの色 ──中級からのフランス文学読本[分冊版:テクスト11]
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈音声データ付き、ダウンロード方式で提供!〉 フランス文学を無理なく読んで、しっかりレベルアップ!<b/> 初級文法を終えた学習者に、無理なく読めて、かつ手ごたえのあるテクストに取り組んでもらい、中級へのレベルアップをはかりたい……。そんなフランス語教員共通の願いから、このアンソロジーは生まれました。いわゆる名作選ではなく、近現代を中心に、家族、友情、恋愛、都市生活、戦争、芸術、自然、動物など、多岐にわたるテーマの文章をそろえ、現代人の幅広い関心にこたえます。 テクストは20課で、難易度順に構成されています。本書は、そのなかの第11課「アルチュール・ランボー『夜明け』」」をピックアップした分冊版です。作品紹介と詳細な「読解のヒント」、巻末の「中級文法解説」は、自宅学習の大きな助けになるはずです。教室では辞書を用い、文脈に合った語義をていねいに選び出す訓練を重ねてください。末尾の「作者について」のコラムでは、かくも個性的なテクストを書いた作家たちの横顔をコンパクトに伝えます。(2020年初版)
  • 祭暦
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    本書は、古代ローマ「黄金時代」後期を代表する詩人オウィディウス(前43-後17/18年)が『変身物語』とともに手がけた、もう一つの代表作です。 愛する男女の往復書簡という体裁をとる『ヘーロイデース』、恋愛詩人としての本領を発揮した『恋の歌』といった初期作品で知られるオウィディウスは、愛を成就させるための技法を性的なものまで含めて赤裸々に指南する『愛の技術』を書いたことが一因となって、のちに流刑の憂き目に遭いました。そのあと後期の円熟を迎えるオウィディウスが唯一の叙事詩である『変身物語』とともに着手したのが、本書『祭暦(Fasti)』です。 ローマの祝日や祭礼の縁起をエレゲイア詩で歌うこの作品は、『金枝篇』で知られるジェイムズ・フレイザーをはじめ、多くの歴史学者、宗教学者、人類学者の関心を惹いてきました。月ごとに構成される本書は、しかし流刑のため未完に終わり、現存しているのは一月から六月まで、つまり一年の半分にとどまっています。今日はこの出来事があり、今夜はこの星座が見られ、明日にはあの祝祭が行われる……といった記述がカレンダーのように積み重ねられていく形式は、前例のない大胆な試みです。そのような大衆受けしそうな形式をとった本書で扱われるのが国家的な性格をもつローマの祭祀であることは一見矛盾しているように思えます。しかし、そのような自己アイロニーによるユーモアこそ、本書を文学的伝統の中で類を見ない稀有な作品たらしめていることもまた事実です。 大詩人が残したもう一つの代表作、初の文庫版をここにお届けいたします。 [本書の内容] 第一巻 ヤーヌス月 第二巻 フェブルア月 第三巻 マルス月 第四巻 アプリーリス月 第五巻 マーイウス月 第六巻 ユーニウス月 訳者解説 補 遺 ローマの暦 学術文庫版訳者あとがき 固有名索引
  • 水脈を聴く男
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    井戸で発見された溺死体のお腹から取り出された胎児。彼には大地の「水脈を聴く」能力が宿っていた──。 ひどい頭痛に悩まされるマリアムは井戸の深淵からの「おいで、おいで」という囁きに導かれ、ついには溺死体として発見される。しかし、その体には胎児が宿っていた。無事(サーレム)に救われたことでサーレムと名付けられた息子は、耳を澄ませると地中を流れる水の音が聴こえるようになる。その噂はあっという間に広がり、避けられ孤立するようになるが、水源を探し当て村を襲った干ばつから救うことで必要とされるようになる。その評判は遠方まで轟き、15歳の少年は「水追い師」として各地で引く手あまたになるのだが──。 アラビア半島に位置し、雨のほとんど降らない小国オマーン。地下水路(ファラジュ)による独自の灌漑システムは、峻険な岩山や荒涼とした砂漠の地を潤してきた。『バグダードのフランケンシュタイン』などが過去に受賞したアラビア語圏最高の文学賞「アラブ小説国際賞」に輝いた、水をめぐる傑作長編。 「気候変動や水資源の枯渇が世界的な課題となっている今日、この小説が描く「水に囚われる人間の姿」は、過去の物語ではなく、今まさに現代社会が直面する現実の縮図として読み解くことができる」(本書解説より) 【目次】 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 第八章 第九章 第十章 第十一章 エピローグ 解説 訳者あとがき 【著者】 ザフラーン・アルカースィミー(Zahran Alqasmi) 1974年オマーン生まれの小説家・詩人。これまでに4冊の小説と10冊の詩集を刊行している。4作目となる『水脈を聴く男』(2022年)が、2023年度のアラブ小説国際賞(International Prize for Arabic Fiction)を受賞し、一躍注目を集める。 ⼭本薫 慶應義塾⼤学総合政策学部准教授。東京外国語⼤学外国語学部アラビア語学科卒業、東京外国語⼤学博⼠(⽂学)。専⾨はアラブ⽂学。訳書にエミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(作品社、2006年)、アダニーヤ・シブリー『とるに⾜りない細部』(河出書房新社、2024年)など。 マイサラ・アフィーフィー(Maisara Afifi) エジプト出⾝。カイロ⼤学卒業後、1996年に来⽇。通訳者として働きながら、平野啓⼀郎『⽇蝕』、村上春樹『騎⼠団⻑殺し』ほか、森鴎外、太宰治、三島由紀夫らの⽇本語⼩説をこれまでに約20冊、アラビア語に翻訳している。
  • エリザベス・ボウエン鑑賞事典
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    1巻4,400円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 アイルランドとイギリスの狭間に生きた女性作家ボウエンを味わうための本格ガイドブック。長編・短編・ノンフィクション・評論の代表作から作品と生涯を読み解くためのキーワード、作品舞台や重要トピックまで充実した資料を収録。ボウエン研究必携の書。
  • 新訳 ウィニー・ザ・プー&ハウス・アト・プー・コーナー
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    1巻1,320円 (税込)
    本書は、英国の作家、A.A.ミルンが書いた児童文学の名作、『Winnie-the-Pooh』と『The House at Pooh Corner』の2作を現代風に翻訳したものである。 本書は三つのパーツから成り立っている。一つ目は2作品の訳文である。本文の翻訳に当たっては、訳として正確であることを期するのは当然であるが、多くの方々に親近感をもってもらえるよう口語表現を多用することを心がけた。冒頭の「現代風に翻訳した」とはそのような意味である。 二つ目は各章末の注である。ここでは、原文のなかの難解な単語や表現を著者なりに解説している。また、内容理解を深めるために参考となるような事柄も注のなかに記してある。 三つ目は本書の最終章「主なキャラクターについての寸評」である。ここでは、各キャラクターたちの特徴を簡単に述べるとともに、併せて、ミルンが描きたかった世界観・人間観について触れている。この20世紀初頭の英国に生まれた児童文学が、21世紀の我が国の現状を予言し、さらにそれに対する厳しい批判となっていることについて、例を挙げながら説明している。 最後に、本書は絵本の形を取っていないことを述べておく。プー・シリーズ2作品の魅力の一つにE.H.シェパードのイラストがあるが、本書では著作権の関係でイラストは一切使用していない。
  • 山よりほかに友はなし――マヌス監獄を生きたあるクルド難民の物語
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    イラン生まれのクルド人ジャーナリストで難民となったベフルーズ・ブチャニーが、オーストラリアの悪名高いマヌス島の難民収容所に6年にわたって収容された実体験をもとに書かれた物語。本書は収容施設の監視の目を掻い潜って携帯電話のテキストメッセージとして書かれ、支援者の手によって出版された。 国家権力による恐怖と支配にさらされた人々の生を、鋭い観察眼と洞察力をもって克明につづったモノグラフでもあり、あらゆる抑圧に抗う究極の反戦文学、ポストコロニアル文学、そして収容所文学ともいえる。
  • トリストラントとイザルデ
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    本書は、ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》で知られる「トリスタン伝説」の最古の姿を伝える書の本邦初となる全訳です。 ケルト起源のトリスタン伝説は、11世紀後半から12世紀初頭にウェールズとブルターニュに伝えられ、語り継がれていったと推測されます。多様に発展した物語を12世紀後半に古フランス語でまとめたものがトリスタン伝説の原典(エストワール)ですが、残念ながらこれは散逸しています。 しかし、この原典に基づいて物語を作る人たちが現れます。その一人が同じく12世紀後半に活躍したフランスの詩人ベルールでしたが、作品は断片しか残されていません。それと同じ時期、同じ原典に基づいてドイツ語で物語を書いたのがアイルハルトであり、その作品こそ本書にほかなりません。完全な姿で残されたこの作品によって、私たちは原典の内容を推測できます。ここにはトリスタン伝説の最古の姿があるのです。 韻文で書かれた本書は、その後「民衆本」と呼ばれる散文作品として流布し、16世紀にはハンス・ザックスによって戯曲『トリストラントと美しきイザルトの悲恋』に翻案されました。一方、ベルールと同様に原典(エストワール)を基にして12世紀後半にフランス語で『トリスタン物語』を書いたトマの系列としては、ドイツ語で叙事詩『トリスタンとイゾルデ』を書いたゴットフリートがおり、ワーグナーに着想を与えました。 複雑な経緯をたどって伝承されたトリスタン伝説は、現代でも小説にされたり(ローズマリー・サトクリフ)、映画にされたり(ジャン・ドラノワ)、多くの人を魅了し続けています。その最古の姿がようやく日本語で味わえるようになります。 [本書の内容] 1 聴衆への前置き 2 トリストラントの出生と養育 3 トリストラントのマルケ王宮廷への旅 4 トリストラントとモーロルトの闘い 5 トリストラントの傷を治すためのアイルランドへの旅 6 トリストラントのアイルランド求婚の旅 7 愛の媚薬 8 ブランゲーネ 9 トリストラントとイザルデの愛をめぐっての揉め事 10 有罪の判決と逃走 11 森での生活 12 アルトゥース騎士ヴァルヴァーンとトリストラント 13 追放後のトリストラントとイザルデの一度目の逢瀬 14 ハヴェリーン王のもとでのトリストラント 15 追放後のトリストラントとイザルデの二度目の逢瀬 16 追放後のトリストラントとイザルデの三度目の逢瀬 17 ケヘニスとガリオーレ(1) 18 追放後のトリストラントとイザルデの四度目の逢瀬 19 追放後のトリストラントとイザルデの五度目の逢瀬 20 ケヘニスとガリオーレ(2) 21 トリストラントとイザルデの愛の死
  • 英和対訳 クリスマス・キャロル
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    1巻499円 (税込)
    チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』の英文すべてに日本語訳と、必要に応じて単語の意味や解説がつけられ、英文の朗読ファイルも用意されています。 「英文の朗読を聞きながら英語の本を読む」という "視覚や聴覚などの五感をフルに活用して体全体で英語を感じる、まったく新しい読書体験" をお楽しみください。 『クリスマス・キャロル』は、経済的に成功したどケチで自己中心的な金貸しの老人スクルージが、クリスマスに過去・現在・未来の三人の精霊と出会い、時空を超えた旅をすることで改心するという、あまりにも有名な作品です。 目 次 はじめに  この本の使い方 STEVE I 第一章 マーレイの幽霊 STAVE II. 第二章 第一の精霊 STAVE III. 第三章 第二の精霊 STAVE IV. 第四章 第三の精霊 STAVE V. 第五章 エピローグ あとがき
  • タイタス・アンドロニカス 七五調訳シェイクスピアシリーズ〈13〉
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    1巻396円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『タイタス・アンドロニカス』は、1588年~1593年あたりに書かれた最初の悲劇で、残酷な復讐劇である。この作品はローマの歴史劇の設定であるが、フィクションである。残酷趣味のタイタス皇帝が、奴隷らをライオンのいるアリーナに投げ込んで殺されるのを見て楽しんでいたが、ある日アンドロニカスという奴隷を投げ込んだら、ライオンが平伏した。皇帝が理由を問い質すと、ライオンの足に棘(とげ)が刺さっているのを抜いてやったことがあるとのことだった。それが題名になった。この作品には「わけもなく簡単に人を殺し、死体を洞窟に投げ捨て、その妻を自らの性欲を満たすために、兄弟二人で凌辱し、自分たちの罪を告げる手段を失くすために、その両手を切断し、舌を切り取る」話がある。人としてあるまじき行為である。天罰が下るのか。報復行為があるのか。正義とは何かを考えさせられる作品である。シリーズの「13」番目の表紙の色は黒くした。
  • ツールの司祭
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    1巻550円 (税込)
    「ツールの司祭」とはビロトー神父を指すが、この善人はたまたま借り受けた部屋の女主人ガマール嬢に嫌われる。その背景には中産市民である嬢の、貴族の仲間になろうとする神父への嫉妬と憎悪があった。そうしたなかに積年の野心を抑えられてきたトルーベール師が登場する。師は権謀術数を用いて…この表題作のほかに「女とは」という問題を論じ合う短編「復讐」、作者の社会観・宗教観が披瀝される「フランドルの基督」の2短編を収める。3編とも、新字新仮名遣いに改めてある。
  • 絶対の探求
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    1巻770円 (税込)
    フランスの王政復古の地方都市を舞台に、「絶対」の研究に憑かれ、果てしない情熱でもってそれに打ち込むバルタザール・クラース。裕福だった財産は底をつき、妻ジョゼフィーヌはひたすら夫に献身し犠牲をはらいながら倒れ、娘マルグリットは何とか家を立て直そうと必死になる。だがこのクラース家のドラマは、破滅に向かってひたすら驀進する男の姿の前に音をたてて壊れる。「憑かれた人間」を描いたバルザックの代表作。
  • インドへの道
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    イギリスの植民地だった第一次大戦後のインドを舞台にした物語。英国人女性アデラはインド在住の治安判事で婚約したロニーのもとを訪ねてくる。二人はインド人医師アジズや哲学者ゴッドボール、英国人教授フィールディングらと近しくなる。だがある時、アジズの提案でマラバー洞窟へ出かけ、アジズとアデラは二人だけで洞窟に入ることに。アデラは原因不明の錯乱状態になって洞窟から出てきて、性的暴行を訴え、ついにアジズを告訴する。裁判の経過とともに、英国人とインド人との軋轢が高まっていく。最終的には和解にたどり着くが、それには長い道のりが必要だった。英国の作家フォースターの代表作。
  • マンハッタンの哀愁
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    「四十歳になって、突然私は女たちを理解したいという欲求に駆られた。そのときまで、私は小説のなかで女を、男の登場人物の単なる相手役にすぎないような扱い方をしていた。しかし、実のところ、私は一種類の女しか知らなかったのだ。急に、他の女たちとも出会いたいと思った……デニーズと出会ってから、私は以前とおなじ目線で女と愛をもはや見られなくなった」これはシムノンの告白で、デニーズとは彼がニューヨークで出会った女であり、本作はその時を綴った自伝的小説と見られている。
  • 女王の復活
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    ハガードの秘境冒険小説『洞窟の女王』の続編。前作で猿のミイラのような醜怪な姿となってコールの洞窟で息絶えた不死の女王アッシャの、なんと18年後の復活! 『洞窟の女王』の最後で、ホレース・ホリーはつぎのように、はっきりとアッシャの復活を予言していた。「科学と現実の世界に関するかぎり、これでこの物語は終る。レオと私に関しては、この物語がいつになったら終るのか、私には推測もつかない。二千年以上も前にはじまった物語なのだ。漠とした遠い未来まで、はるかにつづくかもしれない」…そして復活は、輪廻の思想の国チベットを舞台にして始まる。
  • レベッカの青春
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    「少女レベッカ」の続編と言ってもよく、「少女レベッカ」の場合とおなじように、女性としての自覚にめざめてゆく一人の少女の心理過程が現実的なさまざまなエピソードとともに語られていく。ただ前作とちがい、それらの出来事は、レベッカ自身の手記や回想という形で描かれ、記述がいっそう内面的になっている。後半には、青春期を迎えた十八歳のレベッカが登場して、繊細な感受性をたたえた、静けさと内省を愛する一人の女性に生長していく。作者は、米国フィラデルフィアで生まれの作家で、英米の若い世代から熱狂的に迎えられ、やがてその名はひろく世界に知られるようになった。
  • 少女レベッカ
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    原題は「サニーブルック農園のレベッカ」…ほこりだらけの田舎道を、旧式な馬車が、がたごと揺れながら走っている。馬車の窓から黒い髪の少女が乗っているのが見える…そういう情景がバックとなって、空想家で、たいへんな情熱家でもあるレベッカの、少女時代から、しだいに女としてめざめてゆく過程を描いた物語だ。発表されるとすぐ評判となり、『若草物語』とならんでアメリカ家庭小説の古典として、いまなお愛読されている。女史は米国フィラデルフィア生まれの作家で多くの児童文学を書いたが、幼児教育にも力を注いだ。
  • フロス河の水車小屋(上)
    完結
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    運命の激流、許されぬ恋、新訳決定版 19世紀半ば、セント・オグズの町はずれを流れるフロス河と、代々受け継がれてきた水車の周辺を庭にして、トムとマギーは育った。お転婆な妹を兄がからかい仲よく遊ぶ牧歌的な生活は、父がある裁判に負けたことから一変。マギーは質素な禁欲生活を送るようになるが、やがて兄の元学友で父の宿敵の息子フィリップや大好きな従妹の婚約者スティーヴンに出会ったことから、運命がさらに大きく動き出す……。 本書は、夏目漱石が読むべき英国女性作家に挙げ、プルーストやヴァージニア・ウルフなど後の欧米文学に大きな影響を与えた作家の、最も自伝的とされる作品である。マギーに投影される著者の膨大な教養は、既訳書では長い訳註つきで物語が分断される形で紹介されることが多かったが、本書では生き生きした描写、脚注なしでスムーズに読め、心に深く響く。激しく切ない愛の物語、新訳決定版。
  • 天界の戦い
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    ロンドンの出版社で、殺害された男の死体が発見される。 警察の捜査が難航するなか、社で刊行される原稿をめぐり、奇怪な人物たちが動きだす。 キリストの遺物=聖杯が、じつは英国に実在する!? この至高の宝をめぐり、聖と邪の争闘がいまはじまる…… トールキンやC・S・ルイスらの文芸集団〈インクリングズ〉に参加、ドロシイ・セイヤーズの『神曲』英訳に影響をあたえ、T・S・エリオットから作品を「超自然的スリラー」と称賛された、作家チャールズ・ウィリアムズのデビュー長編、ついに登場。
  • 物語の作り方 ガルシア=マルケスのシナリオ教室
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    おもしろい物語はどのようにして作るのか? いったい何がきっかけで物語は成長し,新たに生まれ変わるのか? ガルシア=マルケスとプロのシナリオライターの仲間たちがキューバに集結.視聴者に訴えかけるストーリーづくりの秘法を語り合う.稀代のストーリーテラー,ガルシア=マルケスによる,実践的〈物語の作り方〉道場!

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  • 時代で読み解く一八世紀フランス文学:旧体制下の読書熱、サロン、哲学者たちの闘い
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    1巻2,860円 (税込)
    時代を知ると、文学がもっと面白くなる!魅惑の18世紀フランス文学の世界 18世紀は理性に導かれる啓蒙の世紀であり、かつ19世紀のロマン主義の源流ともなる感傷と感情の発露の世紀でもある。このような世紀の精神は、17世紀末から18世紀初頭の宗教的、政治的、経済的危機を起源とする。フランス革命、マリー=アントワネット、ロココ文化、啓蒙思想……「暴力」と「優雅繊細」、そして「思想」を連結する18世紀フランス文学とはどのようなものなのか。高まる読書熱の中声高に叫ばれた小説有害論、サロンとカフェが文学の発展において果たした役割、厳しい統制の中で作品を発表した哲学者たちの闘いなど、文学をとりまくさまざまな要素をわかりやすく解説。時代を知り、読書をもっと楽しむための教養書。 コロナ禍にオンラインで行われた大阪大学外国語学部の授業の講義原稿をもとに再構成した臨場感あふれる語り口で時代とともにテクストを読み解き、読者を魅惑の世界へいざなう。取り上げるテクストの一部のフランス語原文を文法解説とともに読めるweb付録つき。
  • 水棲生物  水の底のアフリカ
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    アカデミー・フランセーズ賞フランス語文学賞、全アフリカ文学賞、アマドゥ・クルマ文学賞……カメルーン出身のドキュメンタリー監督による、賞総なめの衝撃作! ジェンダーをめぐる差別が根強く抑圧的な社会で「自分」を生きるために闘う人を映しとる! 貧富の格差、女性差別、性的マイノリティへの弾圧。 家父長制と因習に縛られ、権力闘争が渦巻く国ザンブエナ。かつて教師として働いていたカトメは、野心的な政治家の妻として夫を支えるかたわら、親友のアーティスト、サミーの創作活動を支援していた。反体制的な表現者、そして同性愛者であるサミーの個展の幕開け、それは二人の運命の新たな扉でもあった。 私たちは皆、水の底で生きている。
  • 過去は異国
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    1989年、バーリ。僕はあの出会いにいまも限りない郷愁を覚えている── 金原瑞人氏、推薦! 「あるべき自分から少しずつずれて、やがて一気に堕ちていく恐怖を見事にとらえた犯罪心理小説」 イタリアで10万部突破、バンカレッラ賞を受賞したベストセラー、ついに上陸! マフィア対策検察官という経歴を持つイタリア・ミステリ界の巨匠による、半自伝的犯罪小説。 「パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』を彷彿とさせるサスペンスフルでスリリングなイタリアの青春小説」 ──インデペンデント紙 1989年、バーリ。憲兵隊(カラビニエリ)のキーティ中尉は連続レイプ事件の捜査に頭を悩ませていた。一方、法学専攻の大学生ジョルジョの順風満帆ながらも退屈な生活は、ある夜を境に一変する。パーティーの場で出会ったフランチェスコは謎めいた魅力を持ついかさまギャンブラーで、彼に誘われるがままにコンビを組んだジョルジョはすぐに、ポーカーで勝利をかさね、大金を得るという刺激的な日々の虜となる。だがそれは逃れられない転落のはじまりでもあり……。イタリア・ミステリ界の巨匠渾身の一作。〈解説・杉江松恋〉
  • 〈ファストアイス〉計画の災厄を食い止めろ(上)
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    南極に眠る破滅の種 南氷洋で何者かに急襲された調査船には、全地球を揺るがす恐るべき秘密が隠されていた! 南氷洋を航行中の極地探査船に、突然、氷山が衝突する。 氷山のほうが船へぶつかってきたのだ。 さらに、迷彩服を着た武装兵士たちが氷山から降下。 アサルトライフルとナイフを所持した彼らにくわえ、非情な狙撃手によって、船内は修羅場と化す。 卑劣な攻撃をしかける敵はいったい何者か? ほどなく国立海洋海中機関(NUMA)のカート・オースチンのもとに事件の一報がもたらされた。 探査船には元同僚の科学者が乗船していたのだ。 オースチンは相棒ザバーラとともに地球の南の果てへ飛んだ。
  • ウェルギリウス小品集
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    古代ローマ文学の「黄金時代」前期を代表する詩人プブリウス・ウェルギリウス・マロー(前70-前19年)について、確かな真筆として伝わるのは『牧歌』全10歌、『農耕詩』全4歌、そして『アエネーイス』全12歌の三作品のみである。しかし、これらの作品より前に詩人が若い頃に書いた詩があったことには古代の証言がある。本書は、それらの作品の集成であり、古来Appendix Vergiliana(ウェルギリウス作品の補遺ないし拾遺、あるいは付録といった意味)として伝わるものの本邦初訳となる。 本書に収録された作品の中には、ウェルギリウスの真筆でないことが明らかなものも含まれている。末尾に位置する『有徳の士の教育について』、『「そうだ」と「否」について』、『生まれ出ずるバラ』は後4世紀の詩人アウソニウスの作であり、『マエケーナースに捧げるエレゲイア』もウェルギリウス真筆でないことは明白である。他の詩編についても、多かれ少なかれ真作かどうかについて疑問がもたれている。しかし、これらの作品には価値がないのかといえば、そうではない。 古代には、権威ある大家の名のもとに、あるいは、その名前に関係づけられて伝わる作品が多数存在しており、そこには作品の受容とテキストの伝承の様態が関わっている。大家としてある詩人の権威が確立すると、そこに群がるように、さまざまな形で別の無名の詩人による作品が生まれる。大家の作風や表現を模倣しながら別の詩形式や主題で詩作したもの、大家が描いた物語の続編、大家の作品のパロディーなどがそれである。そうした伝統は、古典文学の最初期から、すなわちホメーロスにおいてすでに認められるが、大家の作に帰せられた無名詩人の作品は、現代のわれわれが「偽作」や「贋作」といった言葉で考えるものとはおよそ異なっている。それらはむしろ核をなす傑出した詩作のまわりに文学伝統の山裾を広げる営みであり、実際、本集成についても、頂きが高ければ高いほど山裾が八方に大きく広がるように、内容面でも形式面でも実に多様な詩から成っていることが分かる。 つまり、本書は「ウェルギリウス」という偉大な名の求心力によって形成された古代文学の遺産であり、貴重な文学的財産にほかならない。文学とは、文化とは、こうした巨大な裾野をも含めた営みであることを、本邦初訳となる本書とともに体感していただくことができれば幸いである。 [本書の内容] 呪いの歌(/リューディア) ブヨの歌 アエトナ 女将 マエケーナースに捧げるエレゲイア キーリス プリアーポスの歌 カタレプトン モレートゥム 有徳の士の教育について 「そうだ」と「否」について 生まれ出ずるバラ 付録 訳者解説
  • シェイクスピア New四大悲劇 マクベス/リア王/ハムレット/オセロ
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    1巻1,760円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 37あるシェイクスピアの作品の中で悲劇の最高傑作4つが「四大悲劇」と呼ばれている。エリザベス朝時代の悲劇とは、高貴な人物がその立場から転落して死に至るというものであった。王を暗殺して王位を簒奪した「マクベス」は、彼により妻や子供達、一族郎党を皆殺しにされたマクダフの復讐の刃に倒れる。「リア王」は権力も財産も生前贈与するという愚かさと、最も可愛がっていた末娘が自分に対する愛情を言葉で表現しないからという愚かな理由で勘当しことや、牢獄で末娘が殺されたことで、自分の犯した罪の重さを知り死んでいく。「オセロ」将軍は、悪意をもった部下が作り出す妻の不貞のニセ情報に翻弄され、嫉妬心を掻き立てられて最愛の妻を殺してしまうが、それが作り話だと知り自害する。「ハムレッ」トは、当時のイングランドの常識では近親相姦に当たる亡き夫の弟と結婚した母親への不信感と、毒殺されたと語る父親の亡霊の出現により叔父へ復讐を誓うが、悪魔に唆されているのではと思い、役者に依頼して父親毒殺の場面を演じてもらい、叔父の反応を見て確信を得る。叔父は剣術の試合の機会を設け、その際に毒殺しようと計画したが、その毒によりハムレットも母親も自分も死んでしまう。4つの作品はどれも、天国に行けるはずだった人間が地獄へ転落する物語である。我々はこれらの悲劇から、人間の犯す愚かな過ちを学び、自分の人生の行く先を考えることができるだろう。
  • お気に召すまま 七五調訳シェイクスピアシリーズ〈12〉
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    1巻495円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『お気に召すまま』(1599)は、喜劇時代の系譜の中では後期に属すものである。シェイクスピアはこの作品を作るにあたり、田園礼賛のロマン溢れる牧歌劇をベースにしているが、森や田園の肯定的な面を踏襲しつつも、それまでには描かれなかった否定的な面をも新たなキャラクターを登場させて語らせている。現実世界では起こり得ないと思われる(変装によって)親子や恋人同士が認識できないことなど、おとぎの国の世界でしかあり得ないことが舞台上で繰り広げられるが、舞台そのものが虚構の世界なので、架空の世界が現れても納得できる。この喜劇は観客や読者がどの視点に立っても堪能できるように工夫されている。森はあたかも神様のように人の運命を左右する。「森の精」がフレデリックの汚れた心を清め、武器を捨て、世俗の地位を去る決意をさせるのである。さらに、婚姻の神が現れて、4組のカップルが誕生し、ハッピーエンドでこの劇は終わる。
  • ロミオ&ジュリエット 七五調訳シェイクスピアシリーズ〈11〉
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    1巻495円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 シェイクスピアの作品には種本がある。『ロミウスとジュリエットの悲劇の物語』として1562年に詩の形式で英語に翻訳されていたもので、オリジナルはイタリアの作品である。シェイクスピアの偉大さは、その原作品をはるかに超えた不朽の名作に仕上げたことである。シェイクスピアの劇には「四大悲劇」と呼ばれる主要作品があるが、最も知名度が高く若者に絶大な人気を誇るのは『ロミオ&ジュリエット』である。主人公はイタリアのヴェローナの10代の男女である。ジュリエットはまだ14歳になっていない。彼女の家で開かれた仮面舞踏会に、宿敵の家のロミオがやって来て、お互いに「一目ぼれ」をして、その直後のバルコニーの場面で、庭に忍び込んだロミオとジュリエットは愛の誓いを交わし、翌日に二人だけで神父に結婚式を挙げてもらう。先導するのはジュリエットである。衝動的だし、衝撃的である。 この作品には、早々と死んでしまうマキューショというロミオの親友がいる。家同士の反目がそもそも悲劇の下地にあるのだが、このマキューショの死が発端となって、不幸な出来事が次々に起こり、死の連鎖が生じる。二人の「愛」の芽生えから「死」に至るプロセスがスピーディーで、その究極が、プロローグで予知されていた“star-crossed lovers” [幸な星の下に生まれた恋人達]の「運命」による行き違いが起こり、ロミオとジュリエットの死で悲劇が完結する。
  • 文学理論の名著50
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    1巻6,237円 (税込)
    文学理論とはなにか? ポストモダンからジェンダー批評まで、文学の新しい読み方を提示し、批評を切り開いた名著を徹底解説。
  • パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生
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    残された膨大な日記と手紙、インタビューから 謎のベールに包まれたサスペンスの巨匠の全貌に迫る 生まれながらに背徳と残虐、愛への渇望に苦しむ。「愛される」よりも「愛する」を選んだ孤独の女性作家。生誕100年を迎え、いま明らかにされる苦悩と野心、ゆがんだ愛。母親への愛憎のすべては小説作品の中に埋め込まれた――。 ハイスミスが保管していた資料、友人、敵、仲間の思い出、そして強迫観念的な人生の貴重な記録。(Financial Times紙) 力強く、時に美しい伝記であり、1ページたりとも無駄がない。細部の積み重ねにより、20世紀の偉大な作家の忘れがたい肖像を生み出している。 ーーNew Statesman紙 ハイスミスは、彼女のいたずら好きなヒーローと同じように、逸脱した風変わりな人だった。 ーーJ. G. Ballard, Daily Telegraph Summer Reads トルーマン・カポーティが絶賛した才能 20世紀を代表する作家 パトリシア・ハイスミス 代表作 『キャロル』自らの体験を基に男性作家名で発表したレズビアン小説 『見知らぬ乗客』ヒッチコックによって映画化された長編デビュー作 『太陽がいっぱい』アラン・ドロン主演で知られる名作映画の原作 【目次】 プロローグ 第1章 彷徨い続ける者 1921以前 第2章 暗い星のもとに 1921 ‐ 1927 第3章 ばらばらな家族 1927 ‐ 1933 第4章 抑圧 1933 ‐ 1938 第5章 自由の味 1938 ‐ 1940 第6章 愛の遍歴 1940 ‐ 1942 第7章 自分という牢獄 1942 ‐ 1943 第8章 念入りに培われたボヘミアン 1943 ‐ 1945 第9章 未知のかすかな恐怖 1945 ‐ 1948 第10章 愛しのヴァージニアたち 1945 ‐ 1948 第11章 ヤドー、シャドー、シャドー、ヤドー! 1948 第12章 わたしはひと目で恋に落ちた 1948 ‐ 1949 第13章 どの街にもキャロルはいる 1949 ‐ 1951 第14章 ふたつのアイデンティティ 犠牲者にして殺人者 1951 ‐ 1953 第15章 パット・H 別名リプリー 1953 ‐ 1955 第16章 内なる妖怪の支配 1955 ‐ 1958 第17章 愛しすぎた男 1958 ‐1959 第18章 法を破る人々へのひそやかなる好意 1959 ‐ 1960 第19章 究極の神経症 1960 ‐ 1962 第20章 しがらみからの自由 1962 ‐ 1964 第21章 愛は外へと出ていくもの 1964 ‐ 1967 第22章 きらめく虚空 1967 ‐ 1968 第23章 嘘・偽物・贋作 1968 ‐ 1969 他 【著者】 アンドリュー・ウィルソン イギリスのジャーナリスト、小説家、伝記作家。「オブザーバー」、「デイリー・テレグラフ」、「ザ・ガーディアン」といった一流紙で活躍後、ハイスミスの伝記で伝記作家としてデビュー。ハイスミス以外にもハロルド・ロビンズ、シルヴィア・プラス、アレキサンダー・マックイーンなどの伝記を手掛ける。本書『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』は2004年度エドガー・アラン・ポー賞を受賞している。 柿沼瑛子 英米文学翻訳家。主訳書『妄想の世界史 10の奇想天外な話』(ビクトリア・シェパード)、『誰?』(アルジス・バドリス)、『Gストリング殺人事件』(ジプシー・ローズ・リー)、『魔術師の帝国』(C・A・スミス、共訳)、『わが愛しのホームズ』(ローズ・ピアシー)、『キャロル』(パトリシア・ハイスミス)、『ヴァンパイア・クロニクルズ』シリーズ/『眠り姫』シリーズ(アン・ライス)など訳書多数。
  • 理想の彼女だったなら
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    こんな未来なんて想像もできなかった。そもそも未来なんて思い描けなかった━━。 トランス女性の作者による声や経験が主体性を持って読者に届けられる。 ストーンウォール図書賞受賞はじめ大きな支持を集めたトランスガールの青春小説。川野芽生さん推薦! むしろ、ごくありふれた、青春の物語。それが、彼女には、彼女たちには、なかった。これまでは。 ━━━━川野芽生 「本書の、最もすばらしい部分は(略)トランスジェンダーの若者が、自分を尊重できるようになっていく物語、となるだろう」(訳者あとがきより) 【あらすじ】 アマンダ・ハーディは、ある出来事から高校最後の年を新しい街で過ごすことになる。彼女にはある目的があった━━できるだけ目立たず、人との関わりを避け、ただ日々をやり過ごす。卒業したら自分を知る者のいない場所に消える。すべては自分の人生を生きられる未来のため。ここは通過点にすぎない。それでも転校先での数々の出会いは、彼女の心の氷を溶かしてゆく。その先に見出したものとは━━? 【目次】 理想の彼女だったなら 作者からの覚え書き 謝辞 訳者あとがき 【著者】 メレディス・ルッソ テネシー州チャタヌーガ出身。『理想の彼女だったなら』はストーンウォール図書賞ヤングアダルト部門を受賞したほか、ラムダ文学賞とウォルター・ディーン・マイヤーズ賞でファイナリストに選出されるなど大きな評価を得ている。長篇第二作目Birthday(2019)のほか短篇“The Coronation”(2020)や、エッセイ“The Most Important Act of Resistance” (2017)なども発表。彼女の作品はこれまで11言語に翻訳されている。 佐々木楓 クィアな文学や映画を研究。フェミニスト。トラウマやPTSD、発達障害の問題に関心がある。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020)。
  • 裏組織の脚本家
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    1巻2,200円 (税込)
    人生の台本を書き換えられるとしたら、誰の人生を“サンプル”にしますか? 台北・西門町にある浮木(フームー)という居酒屋には、闇の組織「ワラビ」のメンバーが潜伏している。屋根裏の小部屋「ワラビの部屋」に「新しい人生の台本」を抱えて入れば、人生を変えることができる。ただし、それには条件があった……。 台湾発のSFファンタジー <あらすじ> 恋人と母を自動車事故で失った何景城(ホージンチョン)は、物語のなかで彼女たちを生かしたいと、二人が登場する小説をインターネットで発表していた。ある日、謎の組織「ワラビ」から声がかかり、人生の台本を書く「脚本家」として組織に加わることになる。 病気のため車椅子になった林雨琦は、順風満帆な羅夫人の人生をサンプルとし新しい人生を生きようとするが、彼女が亡くなったと聞き……「トラックを駆ける女」。事故死した恋人の劇団仲間、劉筱漁が事故のあと劇団を去り、借金のためナイトクラブで働いていると知った何景城は「ワラビの部屋」の話を持ち掛けるのだが……「マクベス夫人」など。 手に入れた人生は正しかったのか。恋人の死は偶然ではなかったのか。ワラビの部屋とは……。依頼者たちの人生が交錯していくミステリー仕立てのファンタジー小説。 【目次】 第1章 トラックを駆ける女 第2章 暗闇に覆われた英語教師 第3章 マクベス夫人 エピローグ 番外編 巨人の悩み 訳者あとがき 【著者】 林庭毅 1986年、台中生まれ。作家。主な著作に長編小説『災難預言事務所』(台北・奇幻基地出版、2023年)、『冤伸倶楽部』(台北・奇幻基地出版、2022年)、短編小説集『夜夜夜談 BBS marvel板詭異誌』(台北・城邦原創出版、2013年)など。 明田川聡士 1981年、千葉県生まれ。獨協大学国際教養学部准教授。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門分野は華語文学・華語映画。近年の主な著書に『戦後台湾の文学と歴史・社会』(単著、関西学院大学出版会、2022年)、『中国語現代文学案内』(共著、ひつじ書房、2024年)、『越境する中国文学』(共著、東方書店、2018年)など。近年の主な翻訳に劉梓潔『愛しいあなた』(書肆侃侃房、2022年)、黄崇凱『冥王星より遠いところ』(書肆侃侃房、2021年)など。
  • ゴリアール派中世ラテン詩歌集
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    1巻4,950円 (税込)
    十二世紀ヨーロッパ。「ゴリアール派」と呼ばれる若者たちは運命の女神に翻弄されて身を持ち崩しながらも、堕落した高位聖職者らを鋭い舌鋒で批判・諷刺した詩歌や、酒、女、賭け事を主題にした多くの享楽的なラテン語の詩を後世へ遺した。
  • いつもおなじ雪といつもおなじおじさん ヘルタ・ミュラー エッセイ集
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    ノーベル文学賞受賞作家、ヘルタ・ミュラーの世界に踏み入るための入口 生の経験と虚構作品の「あいだ」にある、架橋しがたい関係の機微と知と情から練り上げられた魅力を垣間みる珠玉のエッセイ集 本書に所収されたエッセイは、ヘルタ・ミュラーの父母、祖父母から、詩人オスカー・パスティオールを経て、作家ユルゲン・フックス、詩人テオドール・クラーマー、歌手マリア・タナセにいたるまで、いずれも一つもしくは二つの全体主義の刻印を受けた人びとの生を描いたテクストということができるだろう。[……]  ヘルタ・ミュラーの長編小説を読み解くためのサブ・テクストとして、また、彼女ならではの創作論、読書論、歌唱論として読んでいただければ幸いである。ヘルタ・ミュラーのドイツ語は、手でつかめそうなほどに具象的でありながら、個別の事例を越えて普遍へいたるような高度な抽象性を備えている。短く簡潔でありながら、背後に深い経験、広い世界を感じさせる。[……]〈もの〉そのものにひとつひとつの生の経験、さらには歴史経験を語らせるような、凝縮度の高いドイツ語原文での語りを実現すべく、翻訳に際しては意味のみならず、言葉の響きに配慮することを心がけた。ヘルタ・ミュラーはことあるごとに「わたしは言葉を信じていない」と記す、きわめて注意深い書き手である。しかしながら、そう書いている彼女の文章は、読み手のうちに疑いなく言葉への信頼をもたらしてくれる。 (「訳者あとがき」より)
  • エドガア・ポオ論考 芥川龍之介とエドガア・ポオ
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 エドガア・アラン・ポー(1809ー1849)は、アメリカの詩人・小説家で、文筆活動で生計を立てた初期の著名な人物のひとりでもあります。 ゴシック風の恐怖小説「アッシャー家の崩壊」「黒猫」やはよく知られています。また、詩では「大鴉」がよく知られ、アメリカよりもむしろヨーロッパでの評判が高く、ボードレールの翻訳によって、紹介されました。後の象徴派に大きな影響を与えました。「モルグ街の殺人」は世界初の推理小説と目され、登場人物のオーギュスト・デュパンはその後の探偵の原型となりました。また、暗号小説の草分け「黄金虫」などの短編作品を多く発表しました。また、出版社を渡り歩き、編集者としても活動をした異才でした。しかし、人間関係でトラブルを引き起こすことが多かったとされています。 芥川竜之介(1892ー1927)とこの作家を比較することで、文学とはなにか? 日米の相違点、時代背景による文学のあり方などを読み解いていきます。 【目次】 序説 一 近代文学の創始者としてのポオ 二 アメリカ文学の疎外者としてのポオ観 三 ポオ観修正のこころみとその着眼点 四 世界の文学のなかに生きるポオ 第一部 二十世紀から見たエドガア・ポオの意義 第一章 ポオ評価の変遷 一 アメリカにおけるポオ評価の概観 二 ポオと同時代の人々の評価 三 十九世紀後半から二十世紀にかけてのポオの評価 第二章 ポオとその社会的環境 一 ポオの南部人気質について 二 社会批評家としてのポオ 三 文芸批評家としてのポオ 第三章 ポオとその文学的環境 一 ポオと「南方文学通信」 二 十九世紀前半の南部の文学趣味 三 南部におけるローマン作家の流行とポオ 四 当時の雑誌文芸とポオとの関係 第二部 芥川龍之介とエドガア・ポオ 第一章 芸術観と意識的制作 一 芸術家の肖像 二 芥川におよぼしたポオの影響 三 作家の資質 理知と情熱 四 芸術観 美の創造 五 意識的制作 六 芥川の回心 第二章 短篇小説の技法 一 短篇小説家としてのポオと芥川 二 虚構の文学 芸術と生活 三 制作の手法 1 芸術的効果 2 背景 3 事件又は題材 4 迫真性 リアリズムの手法 第三章 鬼趣と鬼気について 一 〈鬼趣〉と〈鬼気〉 二 神秘と怪異への関心 三 芥川の作品における怪異性 四 ポオの作品における〈魂の怪異〉 五 晩年の芥川の鬼気 結語 ふたたびポオについて エドガア・ポオ年譜 註 あとがき 文献書目 索引 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 時を結ぶ魔法の鏡(上)
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    愛も謎も深まる、最新トリロジー第2弾 魔法の鏡の向こうには過去の世界が待っていた! 物語はいよいよ佳境へ 【概要】 結婚式を目前にして、フィアンセの信じられない裏切りに遭ったソニア。 すべてを立て直そうとする彼女にもたらされたのは、若くして亡くなった父が継ぐべき広大な屋敷だった。 海辺に立つヴィクトリア朝の建物にすっかり魅了されたソニアは、ここで新たな生活をスタートする。 大事な存在となった地元の弁護士トレイとの愛を育みながら…… ところが、館のなかで怪奇現象が続発する。 過去にこの屋敷で命を落とした代々の女性たち――すなわち〈失われた花嫁〉の魂が、いまもさまよっているのだ!
  • 『失われた時を求めて』の謎 隠された構造を探る
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    1巻7,480円 (税込)
    『失われた時を求めて』は幾重もの謎に包まれている.──長篇はいかに誕生したのか? 対比されているのはスワン家とゲルマント家なのか? ヒロイン・アルベルチーヌはなぜ捉えどころがないのか? 「私」という一人称の仕掛けとは?──小説と批評を総合した希有なる作品の隠された構造を,草稿研究の先駆者が精緻に読み解く.

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  • 四名刀2・詩意中華 編
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    1巻1,650円 (税込)
    中国出身、中国在住、中国人が書いた、日本語の歴史小説! 盛朝は去って逝き、詩意だけが残る。 外に異族の馬蹄が関門を叩き、内に梟雄の陰謀が波瀾を起す。 将軍の銀刀が斬り下ろし、踊子の双剣が舞い上がる;毒姫が花雨を撒き散らし、刀者が血路を切り開く。 国の危機を誰が救え、江湖の紛争を誰が収める? 内容について 中国では「武俠小説」というジャンルがあり、日本では最も近い概念は「時代小説」となる。 物語の舞台は「武林」或いは「江湖」と呼ばれる武術に長ける者たちの世界、テーマ主に正邪の争いだ。 中国語で最も知られる武俠小説家は金庸と古龍、子供の頃からこの二人の先生の作品を楽しんできた。 そして中国には「布袋劇」という芸能があり、現在最も有名なのは台湾の霹靂布袋劇と金光布袋劇だ。 霹靂と金光の物語は武俠世界に基づいて、ファンタジー要素を加え、布袋劇の人形もアクションシーンを上手く表現できて、初めて観るとすぐに惚れた。 それ故、初めて書く日本語の小説は、金庸の語彙を古龍の構文で繋げ、布袋劇の様な物語を作りたいと思う。 ペンネームについて 昔Lang-8という言語学習サイトがあり、そこでshiiという名前の日本人と出会った。shiiさんは優しくて中国語が上手くて、いつも日本語の記事を添削してくれる。だが悲しいことに、ある日shiiさんは予兆もなくいなくなった。 そして数ヶ月や一年経ち、shiiさんは突然namikiという名前に変わって復帰し、あの時は本当に大喜びだった。しかしまた数ヶ月や一年経った時、namikiさんはまた消えてしまい、しかも今回はLang-8がサービス停止までも二度と戻っていなかった。 恐らく二度と会えない我が最も親しい外国の友人を記念するために、あの人が使った二つのハンドルネームを合わせて自分のペンネーム「椎名未聞(しいなみき)」を作った。 漢字は「しいさんの名を未だに聞いておらぬ」という意味になってしまうが、別に中の人の情報を取得するなど違法行為をするつもりはなく、ただ大好きな歌詞が歌う通り、「今でもあなたは私の光」、と言いたい。 本小説は、mogumogu、Tina、minoli、ジュライの四名の方に添削して頂きました。謹んで感謝致します。誠にありがとうございました。
  • 父と僕の終わらない歌
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    アルツハイマーになった父の人生に 「歌」がもう一度光をくれた──奇跡の実話! 映画化決定! 2025年5月23日(金)公開 出演:寺尾聰 松坂桃李 監督:小泉徳宏 その日、認知症の80歳男性が歌手デビューしたというニュースが世界中を駆けめぐった。彼の名前はテッド・マクダーモット。3年前にアルツハイマー型認知症と診断され、陽気な性格は怒りっぽくなり、息子のことも忘れ始めていた。そんななか家族でドライブ中、車内の曲に合わせテッドが歌い出した。それは奇跡の始まりだった──歌で笑顔を取り戻し、長年の夢を叶えた父テッドの半生を息子が綴る、感動の実話! *本書は、過去にハーパーコリンズ・ノンフィクションから配信されておりました『父と僕の終わらない歌』の文庫版となります。 本編に変更はありませんので、重複購入にご注意ください。
  • ダンテの『神曲』を読み解く
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    1巻2,640円 (税込)
    『神曲』研究の第一人者による超本格解説。 冒頭句の真実、作品全体に散りばめられた対称性、懲罰者不在の地獄とその原理、Armonia(調和)の主題など、これまで顧みられることのなかった視点から、読解例とともに深奥なる世界に分け入る。 第1章 予備的考察~ダンテの歴史観と四つの意味~ 第2章 『神曲』における天文学 第3章 『神曲』の論理学と修辞学 第4章 『神曲』における地獄の経済学 第5章 『神曲』における音楽学(和音)
  • ナラティヴとダイアローグの時代に読むポー
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    1巻2,420円 (税込)
    ポー作品をめぐる「結合の神秘」。 「ナラティヴ」と「ダイアローグ」を鍵概念にして、イタリア文学、仏文学、独文学、中国文学などの他領域の文学者や心理学、教育学、ジェンダー研究者といった異なる視点からポーという物語のなかに沈み込んだ「声」を照射する。「多様性の時代」に浮かび上がるポー!
  • 破滅の恋 ある家族の記憶
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ポルトガル文学史上これほど愛された小説はなかった、今も……。人妻との姦通事件で獄中にあったロマン派最大の作家カミーロが、禁じられた恋に“死”を賭した若き男女の生き様を描くポルトガル古典文学の代表作!
  • 歌いながら人生を アマリア・ロドリゲス詩集
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「アマリアの詩人の魂は大衆の歌 〈ファド〉」を芸術に高めた」(岩波ホール総支配人・高野悦子)。「暗いはしけ」を歌って、世界的名声を博したポルトガル・ファドの女王アマリアの魅力をあますところなく伝える全詩集!
  • クァーキーな女たちの伝統 米文学者による日本女性作家論
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    1巻2,860円 (税込)
    家父長的文化のなか、長く周縁に置かれてきた日本の女性作家たちは、独自の自己表現を求め苦闘し、社会に対しラディカルな問いかけをしてきた。近年の英語圏での日本の女性作家人気、現在のフェミニズムの状況を踏まえ、長年、日本女性文学の研究を続けてきた米文学者ならではの「読み」を提供する。大正~現代の日本女性作家のほか、在日・韓国文学も取り上げる。
  • ハムレット異説ガートルードの恋
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    1巻1,870円 (税込)
    原作以上におぞましい悲劇! 世界文学の「モナリザ」と言われるシェイクスピア「ハムレット」を翻案/パロディ化した異色の創作。実は、若き日の母ガートルードと義弟クローディアスは恋仲にあったのだ、とする仮定の妙。原作を超えるような抜き差しならぬ「夫殺し」と「父殺し」の交錯。数多の小説や戯曲がある中、本書は、作品ハムレットの本質にもっとも根源的に迫らんとする小説と言えよう。
  • ホロコーストと〈愛〉の物語 The Holocaust and Love Stories
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    1巻2,420円 (税込)
    執筆者(9名)の異なる視点からホロコースト下で繰り広げられる人間ドラマの分析! 本書の狙いは、ホロコーストを背景に持つ物語が、男女の愛情、関係に多くの描写を取っていることに着目し、「ホロコースト」という極限の状況下で、愛の果たす役割とその絆が、いかに描かれているかを吟味することである。一人でも多くの人に、積極的でたくましいホロコーストの新たな側面を感じ取っていただければ幸甚である。
  • ジョージ・エリオット書簡集【抄訳】
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    語りかける書簡からは肉声のような雰囲気が行間から立ちあがる。 1851~62年に書かれた手紙と日記を時期ごとに五章に分け、夫々の期間中に交わされた書簡、記録されたジャーナルを時系列的に訳し、解説を施す。 「私は敬愛という心情が本当に好きだが、それと同じくらい嫌悪するのは強い好奇心だ。しかし、長年の体験から実感するのは、残念ながら、人間一般には好奇心の方が敬愛よりはるかに顕著だということだ」(Letters Ⅲ376)
  • クララ カタツムリはカタツムリであることを知らない
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    スペイン大衆小説の登場! この小説を読もうと思ったら他の計画を立ててはならない。読み始めると、笑いこけ、泣きじゃくり、時には笑いこけながら泣いてしまうから、という理由だが、時には喉も詰まらせられる、とスペインの書評氏 テレサ は言う!主人公クララは35歳。離婚して、幼稚園児と小学生の二人の男の子を一人で育てている。仕事はテレビのプロダクション会社勤務。………やがてクララは誰の子か分からない子どもを生む。
  • 幽霊のはなし
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    「何かが近くにいるのがおわかりでしょう、キャプテン・ベイン」 アメリカ保守運動の「ゴッドファーザー」ラッセル・カークは〈闇が立ちこめた世界にふさわしいゴシック調の物語〉のベストセラー作家でもあった!荒廃した街に、古びた屋敷のなかに、不気味な幽鬼があらわれる。おびえる女、たたかう男。恐怖とロマンが織りなす傑作6編を、澤村修治の名で多くの文芸書・学術書の著者でもある横手拓治が初邦訳。
  • 世界を救うための教訓
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    地球温暖化、気候変動、医療過誤、幼児虐待、セックスレス、性的倒錯、コンピューターゲーム中毒、薬物乱用、内戦、爆弾テロなど、あらゆる問題が取り込まれた長編小説『Instrucciones para salvar el mundo』!発表当時、近未来的と取られた内容は15年後の現在では、まさに現代的問題となってそれが立ち現れる。
  • シャーロット・ブロンテ 過去から現在へ
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    新しいシャーロット・ブロンテ像を問う好著! シャーロットの作品と人生の関わりを読者に分かり易く伝える。本書は入門書ながら、最近の文学理論や批評を踏まえて独自の分析を行い、特に力関係──家族内、社会階層間、男女間──に重点をおいて議論を進め、作家の奥深さを剔っている。
  • ミドルマーチ(上)
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    十九世紀後半、イギリス地方都市を舞台に展開する人間模様、キリスト教と科学がせめぎあう時代相を凝視する女流作家の魂の軌跡!エリオットの文体が成熟期に達したと言われる作品、上巻。 結婚生活で夫と妻がお互いの要求を認め合い、折り合う妥協点をいかに見出してゆくか、それがいかに困難な挑戦なのか、読者は読んでゆくうちに、身につまされる。
  • 老人と海
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    巨匠の遺した永遠の名作――画期的新訳 ※本コンテンツは文春文庫『老人と海/殺し屋』(2025年1月4日刊行)のために訳し下ろされたもののうち、「老人と海」のみを収録しています。 老漁師はひとり、海に漕ぎ出した。やがて一匹の大魚が針にかかり、大海原での孤独な戦いがはじまる――。ノーベル文学賞受賞作家の不朽の名作の画期的新訳。 あの魚を殺したのは自分が生きるためだとか、売りつけて儲けるためだとか、そんな話じゃないんだ。俺があいつを殺ったのは矜持からであり、俺が漁師だからだ。俺はあいつが好きだった、奴が生きていた時も、そのあとも。(本文より)
  • コルシカの幻影を打ち破れ(上)
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    ダーク・ピット2年ぶりに登場! 恐怖の陰謀と歴史の謎を追え NUMAチームが発見したダイヤモンド原石 隠された真実と巨大な謎の存在が浮かびあがる 【内容】 1940年、ドイツ軍の侵攻が迫るパリ。 軍事博物館の学芸員に、ひとつの貨物が託された。 逃げまどう群衆で大混乱のなかを、なんとかノルマンディーの港町まで運びこんだものの、積載するはずの船はすでに沈没。 急降下爆撃機が襲いかかる決死の状況下、命にかえても国外への移送計画を成功させなければならない――「フランスの魂」と称される宝を、ナチスから守るために! 時は変わって、2025年。国立海中海洋機関(NUMA)長官ダーク・ピット率いる調査チームは、英仏海峡の海底で、意外なものを発見する。
  • 『ジャッカルの日 上下』+『オデッサ・ファイル』+『戦争の犬たち 上下』【5冊 合本版】
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    巨匠フレデリック・フォーサイスの不朽の名作『ジャッカルの日』、『オデッサ・ファイル』、『戦争の犬たち』3作品(5冊)の合本版。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
  • 噫無情【前篇①】
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    1~7巻275~319円 (税込)
    『レ・ミゼラブル』の明治日本における。〝リメイク版〟 黒岩涙香は『レ・ミゼラブル』という大河小説から、戎瓦戎(原作ではジャン・バルジャン)、蛇兵太(ジャビール)、手鳴田(テナルディエ)という3人の個性的な男の絡み合いと対決をストーリーの主軸として浮かび上がらせている。さらに注目すべきは涙香によって再創造された手鳴田の人物像である。戎瓦戎にまつわるすべての真相がこの悪党によって明らかにされていく最後の場面の訳文は冴えわたり、涙香が編み直したこの物語を、手に汗握る緊張度を持続したまま終結にまで導く。 【目次】 (一)一人(にん)の旅人(りよじん) (二)其家(そのいへ)を窺(のぞ)き初めた (三)高僧と前科者 (四)銀の皿と、銀の燭台(しよくだい) (五)神の心と云ふ者だ (六)寝台(ねだい)の上に起直(おきなほ)り (七)社会(しやくわい)の罪 (八)恍(くわう)とした見惚(みと)れた (九)恐る可き分岐点(ぶんきてん) (十)愚と云はふか、不幸と云はふか (十一)甚(ひど)いなア、甚(ひど)いなア 作品案内/村瀬巷宇 【著者】 ビクトル・ユゴー 1802年〜1885年。フランス・ロマン主義を代表する詩人・小説家・戯作家。10代で詩人としてデビュー、国王ルイ18世に認められるなど早くから頭角をあらわす。1831年に『ノートル=ダム・ド・パリ』、1862年にフランス文学界の頂点といわれる『レ・ミゼラブル』を発表。 黒岩涙香 1862〈文久2〉年〜1920〈大正9〉年。高知県生まれ。本名は周六。ジャーナリスト、翻訳家、文筆家。大坂英語学校に学んだのち17歳で上京、慶応義塾中退。『絵入自由新聞』、『都新聞』などの主筆を歴任、次々と翻訳小説を連載し好評を博す。30歳(1892年)で「万朝報《よろずちょうほう》」を創刊。同紙に『鉄仮面』『巖窟王』『噫無情』など翻訳小説を発表する。
  • 戦争の犬たち【上下 合本版】
    値引きあり
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    独裁者が恐怖政治を敷く西アフリカの新興国に、世界をゆるがすプラチナ鉱脈がある――。その情報を知ったイギリス大資本の会長ジェームズ卿は、ある陰謀を思いつく。ほどなくパリに住む傭兵シャノンのもとへ卿の使者が送られた。巨額の報酬と引きかえに提示された依頼は、軍事クーデーターをおこし、大統領を抹殺することだった。経済格差、東西の対立、独裁など、虚実交えて世界の情勢を見事に昇華させた巨匠フォーサイスの真骨頂。1981年に刊行された文庫に、新たに校正を加えた形で電子版のみ発売。 ※本作品は『戦争の犬たち』シリーズ全2巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
  • デュラスを読む ロル・V・シュタインの連作
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    1巻550円 (税込)
    少女時代の原体験を核として生まれた物語群。テクストを丹念に引用しながら、それらの物語の変貌をたどる。デュラスを追体験し、「書くこと」の不可思議を味わう。
  • ブリュンヒルデ—伝説の系譜
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    1巻3,520円 (税込)
    勇ましき戦乙女(ワルキューレ)か、英雄ジークフリートへの愛に生きる女性か ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』で知られるブリュンヒルデとは何者か。古代ゲルマンから北欧の伝承、中世英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』、現代のアニメーション映画に至るまで、ブリュンヒルデ像の変遷を辿る。 【目次】 第一章古代ゲルマン時代の原型   (第一節 二つのニーベルンゲン伝説の原型、第二節 二つの原型伝説のその後の伝承 第二章 北欧への第一次伝承 (第一節 『歌謡エッダ』におけるブリュンヒルト歌謡、第二節 北欧の散文物語『ヴォルスンガ・サガ』、第三節 スノリの『散文エッダ』) 第三章 北欧への第二次伝承 (第一節 説話集『ティードレクス・サガ』の編纂、第二節 『ティードレクス・サガ』におけるニーベルンゲン伝説、第三節 説話集『ティードレクス・サガ』におけるブリュンヒルトの特徴) 第四章 ドイツ中世英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』 (第一節 『ニーベルンゲンの歌』の成立と伝承、第二節 『ニーベルンゲンの歌』におけるブリュンヒルトの特徴、第三節 「権力」と「愛」の戦いの二重構造、第四節 『ニーベルンゲンの歌』以後の作品) 第五章 近代におけるニーベルンゲン伝承作品 (第一節 ニーベルンゲン伝説の再発見、第二節 ド・ラ・モット・フケーの戯曲『北欧の英雄』、第三節 エルンスト・ラウパッハの戯曲『ニーベルンゲンの財宝』、第四節 フリードリヒ・ヘッベルの戯曲『ニーベルンゲン』三部作) 第六章 ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』四部作 (第一節 楽劇『ニーベルングの指環』四部作の成立過程、第二節 序夜『ラインの黄金』におけるブリュンヒルデ誕生のきっかけ、第三節 第一夜 『ワルキューレ』における戦乙女ブリュンヒルデ、第四節 第二夜『ジークフリート』におけるブリュンヒルデの目覚め、第五節 第三夜『神々の黄昏』におけるブリュンヒルデによる世界救出、第六節 ブリュンヒルデの変容) 第七章 現代におけるニーベルンゲン伝承作品 (第一節 二十世紀における戯曲作品、第二節 ヘルマン・ヘンドリッヒの絵画、第三節 フリッツ・ラング監督の映画『ニーベルンゲン』二部作、第四節 ウーリー・エデル監督の映画『ニーベルングの指環』、第五節 わが国の漫画・アニメ映画、第六節 今後におけるワーグナー楽劇『指環』四部作の上演) ◉著者が語る本書の魅力 ブリュンヒルデと聞けば、まずワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』を思い浮かべるが、そのルーツはゲルマン民族大移動時代にまで遡る。  5、6世紀にライン河畔フランケンの領土でブリュンヒルト伝説が生まれ、それは9世紀以降に北欧へ伝承され、エッダ・サガのかたちで文字に書き留められる。そこではブリュンヒルトは北欧の主神オージンと結びづけられて、戦乙女(ワルキューレ)として登場し、英雄シグルズ(ドイツではジークフリート)に思いを寄せ、彼の妻グズルーン (ドイツのクリームヒルト) に嫉妬を覚え、それが英雄暗殺の原因となり、「災い」を引き起こす女性として描かれている。 13世紀初頭になると、古代ゲルマン伝説はドイツで中世英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』へと発展し、英雄ジークフリート暗殺の物語は定着する。  この英雄ジークフリート物語はその後もさまざまに語り継がれ、19世紀にはワーグナーが北欧のエッダ・サガと『ニーベルンゲンの歌』を素材に用いて、楽劇『ニーベルングの指環』四部作を完成させて、新しいブリュンヒルデ像を創り上げる。ワーグナーではブリュンヒルデは古代ゲルマンの勇壮なワルキューレとして登場し、エッダ・サガに見られる「嫉妬」を覚えて「災い」をもたらす女性の性格を持ち合わせるとともに、ジークフリート誕生の際には母性的な愛でもってその誕生を見守り、長い眠りから目覚めるとその英雄と愛で結ばれ、英雄暗殺ののちには「自己犠牲」によって世界を救う「永遠に女性的なるもの」の象徴となる。ワーグナーのブリュンヒルデは古代ゲルマン時代から語り継がれているさまざまなキャラクターを網羅しているところに特徴がある。 ワーグナーのあとには、それを素材として戯曲、小説、映画、漫画、絵画等で新しいブリュンヒルデ像が創り出されている。ブリュンヒルデはさまざまな姿に変貌していくのであり、そこにブリュンヒルデの魅力がある。
  • タゴール 10の物語
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    アジアで最初のノーベル文学賞作家タゴールの代表的短篇10篇。 ベンガル語からの完訳。 タゴールのすごさ、文学の本当の面白さ・深さが詰まっています。 [目次] 郵便局長   坊っちゃまの帰還  骸骨  カーブルの行商人  処罰  完結  夜更けに  飢えた石  非望  宝石(モニ)を失って  解説  訳者あとがき

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  • 逸脱のフランス文学史
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    1巻1,980円 (税込)
    『聖アレクシス伝』『狐物語』からパトリック・モディアノ、アニー・エルノーまで。新たな角度から提示される、わくわくするフランス文学講義! レーモン・クノーやジョルジュ・ペレックらによる前衛的な実験文学集団「ウリポ」。 言語に秘められた潜在的可能性を追求した彼らの営為を研究してきた著者が、「ウリポ」の視点からフランス文学史を新たに捉え直す。古典から現代作品まで25の名作でたどるフランス文学案内。 「私がウリポの作家たちを身近に感じるのは、彼らが深刻さを拒んでいるからです。この深刻さというやつは、フランス文学の風土のいたるところで感じられるもので、ちょっとは自分を皮肉る必要がありそうなときでも消えはしません」(イタロ・カルヴィーノ) 【目次】 【紹介される作品】 フランソワ・ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』 ジャン=ジャック・ルソー『告白』 ドニ・ディドロ『運命論者ジャックとその主人』 スタンダール『パルムの僧院』 オノレ・ド・バルザック『従兄ポンス』 シャルル・ボードレール『悪の華』 ギュスターヴ・フロベール『感情教育』 ギュスローヴ・フロベール『ブヴァールとペキュシェ』 ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』 レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』 アンドレ・ジッド『贋金つかい』 マルセル・プルースト『失われた時を求めて』 アニー・エルノー『戸外の日記』 ほか 【著者】 塩塚秀一郎 1970年、福岡県北九州市生まれ。専門は近現代フランス文学。 東京大学教養学部(フランスの文化と社会)卒業。同大学院人文 科学研究科修士課程(仏語仏文学専攻)修了。パリ第3大学博士 (文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書に 『ジョルジュ・ペレック 制約と実存』『レーモン・クノー 〈与太郎〉的叡智』、訳書にジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』『煙滅』、レーモン・クノー『あなたまかせのお話』『リモンの子供たち』(日仏翻訳文学賞受賞)などがある。
  • 二人の女王
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    「ソロモン王の洞窟」の続編。アラン・クォーターメンはカーティス卿、グッド大佐、ズールー族酋長ウンスロポガスに声をかけ再び東部アフリカへ。マサイ族との戦いのあと、一行は地下河川を経て未知のズー・ヴェンディス国に達する。その国の住民たちは好戦的な白人で、双子の姉妹ニレプタとソライスによって統治されていた。姉妹はカーティス卿に魅せられ熱烈な恋心を抱くが、卿が受け入れたのはニレプタだった。ニレプタが高地の支配者ナスタを拒絶したことをきっかけに、国はニレプタ/カーティス/クォーターメン連合軍対ソライス/ナスタ軍に分かれて内戦に突入する。ニレプタは激戦に勝利を収め、司祭たちの暗殺の企てを退けてカーティスと王位に就くが、多大な犠牲も払わなければならなかった。
  • ノーサンガー・アベイ
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    本作は、十七歳のキャサリンを主人公に、前半はファッショナブルな温泉保養地バースを舞台に、後半はグロスターシャ―の裕福な地主の家ノーサンガー・アベイに場所を移して、繰り広げられる。バースでは裕福な地主アレン夫妻や新興ブルジョアのソープ一家を中心に、社交場や遊歩道などを舞台に都市小説風の展開を見せ、ノーサンガーでは怪奇小説的要素を加えて、古い屋敷を舞台に、裕福な地主の生活ぶりを浮かびあがらせる。平凡なキャサリンが自分で判断のできる一人前の女性に成長していく過程がていねいに描かれるが、軽い喜劇的な気分にも満ちている。「高慢と偏見」「知性と感性」「エマ」「マンスフィールド・パーク」「説きふせられて」に継ぐ本作で、オースティンの全長編は完結する。
  • ロード・ジム(上)
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    コンラッドはこの作品によって、海洋冒険物語を、名誉と勇気、忠節と裏切りの深い意味をもつ物語に変えた。理想主義肌の商船の一等航海士ジムは、沈没の運命にあった「パトナ号」と船客たち八百人を見捨てることで、若き日の栄光への夢を見捨てた。法廷で「臆病」の烙印を押されたとき、ジムは極東での放浪の暮らしに活を見出そうとする。スマトラのパトサンで原住民から伝説的な名声を得たジムは理想的な統治者としてふるまうが、悪漢ブラウンの出現で…。コンラッドの『闇の奥』と同じ語り手マーロウは、社会に拒否されながら、なお償いへの欲求につかれた男の、不可思議な心のうちに探りをいれていく。ポーランド生まれの英国の作家コンラッドの「密偵」「闇の奥」と並ぶ代表作。
  • フラニー/ズーイー
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    これは、対をなす2編の物語である。鋭い感受性を持てあます女子学生フラニーは、折角の週末のデートも、相手のレーンとのエゴの衝突だけに終ってしまう。傷心の妹に、俳優で五つ年上の兄ズーイーは、思いの限りをつくして、生きることの意味を悟らせ、周囲と融和させようと懸命に説得する。寡作と孤高で知られる人気作家が、現代の若者の心理を鋭くとらえた一対の名作!
  • ガリバルディ回想録
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    イタリアに限らず、世界中でガリバルディの名前のついた通りや公園などがいたるところにある。それほどガリバルディは世界中で慕われた人物である。アレクサンドル・デュマのガリバルディに関する本は本書『ガリバルディ回想録』と『ガリバルディ千人隊』の二作品ある。『ガリバルディ回想録』はまさしくガリバルディ の正伝となっていて、ガリバルディが一八〇七年七月二十二日にニースで生まれてから一八四九年六月三十日までの記録である。我々はこの『ガリバルディ回想録』を日本語で出版することで満足するが、その理由は、第二巻『ガリバルディ千人隊』は一八六〇年の第二次イタリア独立戦争当初の一年間弱だけだからである。この貴重なガリバルディ伝を日本語にすることでガリバルディ理解が深まることを期待しています。
  • ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林
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    1巻2,090円 (税込)
    北京へ、ニースへ、降りしきる雪の中へ、そして日本の桜の下へ。 シャーマニズムの香り濃い故郷瀋陽の街から、青年は逃奔するーー 鄭執は作家・脚本家・映像作家として活躍する中国の若きクリエイター。80後(バーリンホウ)世代※の旗手。 初邦訳となる本書には、中国東北部の中核都市である故郷・瀋陽の街から、あるいは鬱々と・あるいは劇的に・あるいは飄々と逃奔する青年を主人公とする、三つの物語を収録。 (※80後世代:80年代後半生まれ。中国の一人っ子政策の申し子で、他の世代より恵まれた経済環境に育ち、国際的な視野も経験も十分とされる) 【各作品紹介】 「ハリネズミ」 シャーマニズムの色濃い街で繰り広げられる不条理な茶番劇。周囲から変人扱いされてきた伯父と内向的な主人公が40歳の年の差を超えてかわす魂の交流。 「モンテカルロ食人記」 厳しい受験戦争に疲弊した主人公。その鬱屈する愛憎の相剋から溢れ出すエネルギーが巻き起こす、吹雪の街の奇譚。 「森の中の林」 「四人で五つの良い目を持つ」という祖父、父、息子、三世代の家族。それぞれの人生と愛、そして一つのミステリー。

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  • ピロスマニ 放浪の画家と百万本の薔薇
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    女優マルガリータとの運命的な出会いと失恋、別れ。失意のうちに世捨て人として孤独に人生を終えたピロスマニの人生が甦る感動のグラフィックノベル。 ピカソが絶賛し、ジョージアでは国民的人気を誇る放浪の画家ピロスマニ。彼がモデルとなった名曲「百万本のバラ」は歌手・加藤登紀子によって日本でも大ヒット、現在も歌い続けられている。 ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使推薦!! ニコ・ピロスマニの絵は一度観ただけで心に届く不思議な力を持っています。愛に人生を捧げたピロスマニは、同時に貧しく世にも儚い生涯を送ることになったのです。この本では、我らが愛する「ニコ」という人物を垣間見ることができます。 【あらすじ】 小さな店を営みながら貧しくも気ままに暮らす画家ニコは、街にやってきたフランス人女優・マルガリータに運命的な恋をする。毎日毎日贈りものを届け、ついには自分の店まで売り払って荷車9台分の赤いバラを贈ろうと思いつく。ジョージアで愛される偉大な画家ニコ・ピロスマニが人生を捧げた、マルガリータへの愛の物語。 【目次】 ピロスマニ 放浪の画家と百万本の薔薇 訳者あとがき 【著者】 ギオルギ・ガメズ ジョージアのアーティスト。漫画家兼イラストレーターとしても活躍。トビリシ国立美術アカデミーを卒業。街角の壁から書籍、雑誌の表紙、印刷物、オンラインメディアなどで活動。 児島康宏 コーカサスの言語の研究者。ジョージア(グルジア)文学・映画の翻訳。福井県あわら市出身。トビリシ在住。
  • マルセイユの秘密
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    本書はエミール・ゾラが一八六七年から一八六八年にかけて世に問うた長編小説『マルセイユの秘密』の全訳である。厳密に言えば、本書は初版から十七年以上経て再刊された一八八四年の再版である。この頃のゾラはルーゴン・マッカール叢書を次々に世に出して、自然主義文学の代表作家として世界的に有名になっていた全盛期にあった。百五十年以上前に書かれた弱冠二十七歳の駆け出しの作家の小説とは思えない極めて現代的なシリアスな内容である。貴族と平民の身分違い結婚をめぐるトラブルに端を発し、婚資と未成年の後見人制度、高利貸から不動産取引詐欺、ギャンブル依存症、公証人の詐欺、宗教者の欺瞞まであばいている。さらに歴史的事件としてバリケード闘争とコレラ・パンデミックを背景にしている。まるで現代の日本の深刻な社会問題を予見しているかと思われるほどの若きゾラの筆力と構想力には舌を捲く。『マルセイユの秘密』は、今こそエミール・ゾラの文学作品の中で正当な地位を占めるべきである。
  • ブラック・オーダー破壊指令(上)
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    オプ・センター・シリーズ最新刊 巨匠トム・クランシーの ノンストップ軍事サスペンス! 暗殺された海軍情報局の工作員と調教師。 国家の危機に「あのチーム」が始動する! 海軍を退役してフィラデルフィアの海軍支援施設で働いていたアトラス・ハミル元大佐が自宅の寝室で殺された。犯人はハミルの妻に「戦争は始まっている」と軍に伝えるよう言い残して立ち去る。 時を経ずして、ハミルに秘密任務を与えて調査に当たらせていた海軍情報局のベッキー・ルイス少佐も謎の焼死を遂げる。 ミドキフ大統領は、事件の背後に「ブラック・オーダー」を自称する反社会的組織が存在している事実を確信するに至り、特殊作戦チーム、ブラック・ワスプを招集することを決意する……。
  • ニューヨークホテル物語 ホテルが見た混乱に満ちたアメリカの一世紀
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    1巻1,760円 (税込)
    いつになったら安定するのか?ホテルが見たアメリカ社会の終わりなき混乱模様。 1929年10月下旬、突如、ザ・グレート・ディプレッション(世界大恐慌)に襲われ、アメリカ全土の8割ものホテルが倒産。その後、第二次大戦がもたらした好景気と最重要兵器として磨かれた航空技術により復興を果たすも、人種&性&宗教・差別、ユニオン闘争、ベトナム戦争、オイルショック、同時多発テロ、住宅バブル、リーマンショックなど、断続的に勃発する大混乱にホテルは翻弄され続けてきた。最高峰と称されるニューヨークのホテルも例に漏れず、倒産および消滅の危機に直面。だが、「このホテルは絶対に守りぬく」と、卓越した能力を持つスタッフ親子3代の働きにより、かろうじて難を乗り越える。ニューヨークのホテルマンが、ホテルを舞台に混乱続きのアメリカ社会を綴ったヒストリカル・フィクション。

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