作品一覧

  • オープン・ボート、青いホテル、モンスター
    -
    1巻500円 (税込)
    米国の自然主義文学の先駆とされる作家、スティーヴン・クレインの一連の短編の新訳。  アーネスト・ヘミングウェイは二十代の若い作家志望者に助言を求められ、トルストイの『戦争と平和』やドフトエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』など世界文学の古典十六作を示したが、そのリストのトップにスティーヴン・クレインの『青いホテル』と『オープン・ボート』という二つの短編が含まれていた。  クレインは二十八歳で早世したが、フォークナーやヘミングウェイなど後の世代の作家にも大きな影響を与えた。 『オープン・ボート』は、キューバに新聞社の通信員として取材に向かうために乗っていた船が沈没し漂流した末に生還したという作者自身の実体験に基づいている。  クレインはその体験を新聞にノンフィクションの手記として記載し、その半年後に小説『オープン・ボート』として雑誌に発表している。  本書では新聞に掲載された手記と小説の両方を訳出しているので、同じ事故をめぐるノンフィクションとフィクションを読み比べることで、すぐれた作家の創作手法や意識の違いがはっきり読み取れる。 『青いホテル』は逆に心理描写がなく、登場人物の目に見える行動のみを追うことで、東部からの旅行者の不条理な死の顛末を描いている。  『モンスター』はワイロムヴィルという中西部の架空の町を舞台にした作品で、医師の家庭で起きた火災をめぐって、人間の誠実さとは何か、小さな共同体における人の噂や社会の空気、フェイクやヘイトといったものの持つ力などが描かれ、SNS全盛の二十一世紀のネット社会の縮図を見るよう。あまりに現代的で、現代にこそ通じる作品である。
  • 勇気の赤い勲章
    4.0
    1巻968円 (税込)
    戦場での英雄的活躍に憧れ、北軍に志願したヘンリー。進軍の停滞でじらされた末に戦いが始まり、興奮のうちに射撃し続けた彼だったが、執念深く襲いかかる敵軍の包囲に遭うや、高揚はたやすく恐慌へと変わるのであった。南北戦争を舞台に色彩豊かに描かれるアメリカ戦争文学の傑作。

ユーザーレビュー

  • 勇気の赤い勲章

    Posted by ブクログ

    憧れ、不安、不満、高揚、恐怖、恥、誇り、熱狂、狂乱……、南北戦争下の一兵士を通して描かれる、戦争下での兵士の心理の軌跡。
    戦争と兵士たちを冷徹にそして距離を取って、まるで戦火の映像も、そして目には見えない兵士の心象すらも、ドキュメンタリーカメラで写すかのように、詳細に描き切っているように感じます。

    戦場での英雄的活躍に憧れ、軍に入隊したヘンリー。母親から感動的な言葉をかけられるかと思いきや、戦闘になったら自分のことだけを考えるんだよ、と当ての外れた言葉をかけられ、イライラしてしまいます。
    そんな彼ですが、家からの去り際に母が身体を震わせ涙を浮かべている姿を見て、自分の求めているものが恥ずかし

    0
    2020年06月07日
  • 勇気の赤い勲章

    Posted by ブクログ

    戦士1人の視点から南北戦争を描いたアメリカの戦争文学の名作。気持ちの上下動が激しくそのたびに細かい描写がなされる。展開が少し間延び感があったけれど、全体的には面白かった。

    0
    2022年02月20日

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