作品一覧

  • だれか、来る
    3.7
    ノーベル文学賞受賞作家の代表作とエッセイ 今年ノーベル文学賞を受賞した、ノルウェーを代表する劇作家の代表作「だれか、来る」とエッセイ「魚の大きな目」を収録。邦訳の単行本は初となる。 シンプルな言葉を繰り返す詩のような台詞で人間の本質を問う「だれか、来る」は、だれもが自分と重ね合わせられる。90年代に発表されるや、世界に衝撃を齎した。リアリズムと不条理演劇の間を往来する作風は、フォッセが、同じくノルウェー出身の劇作家イプセンの再来、〈21世紀のベケット〉などと称されるゆえんでもある。 ベルリン在住の訳者は、著者と20年以上親交を重ねてきた最良の理解者。フォッセは西海岸の周縁に生きる市井の人々の姿を描くために、西海岸の書き言葉ニーノシュクで執筆する。翻訳はドイツ語版から行ない、訳者が著者に直接確認しながら完成させた。エッセイ「魚の大きな目」は、フィヨルドとともにある生活の風景やフォッセの文学観がよくわかる。 巻末の訳者による解説では、文学的出発点になった出来事、原風景、創作のテーマ、影響を受けた世界文学や、主要作品の紹介のみならず、著者との長年の親交のなかでのエピソードから貴重な素顔も伝わってくる。
  • ヨン・フォッセⅠ 名前/スザンナ/ぼくは風
    -
    1巻2,420円 (税込)
    『人形の家』のイプセンの妻の十代、中年、老年を同時に登場させ独白させる『スザンナ』をはじめ、三作を収録したノルウェーのノーベル賞作家による待望の戯曲集。
  • 三部作【トリロギーエン】
    3.8
    1巻3,245円 (税込)
    アスレは不毛な海岸地帯の街をさまよっていた。妊娠中のアリーダを連れ、住居と仕事を探していたのだ。だが、お互いだけが家族の17歳を助けてくれる者はいない。決死の思いの選択は、やがて家族の生に影を落とす。ノルウェーのノーベル賞作家による連作短篇集。

ユーザーレビュー

  • だれか、来る

    Posted by ブクログ

    ノルウェーでのビジネスを始めた2023年に、ハウゲスンで生まれたヨン・フォッセがノーベル文学賞を獲得。必読となり、やっと読む機会が出来た。シンプルな構成ながら全編に潜む不安感がノルウェーの景色とオーバーラップしてくる感覚。でも、日本語訳では真意を伝えきれていないのであろう。

    解説が素晴らしい。特に以下:

    まず、フォッセが執筆に使う特殊な言語“ニーノルシュク"について触れておきたい。ノルウエーには、オスローを中心とした現住民九〇%が話す”ボクモール”(Bokmal)と西海岸で使われる"ニーノルシュク"(Aynorsk)の二つの公用語がある。なぜ二つ?ノルウェーは

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    2025年03月01日
  • 三部作【トリロギーエン】

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    ネタバレ

    連作短編3編
    17才の少年少女が出会って,妊娠した少女と家を無くした天涯孤独な少年が故郷を捨て,新天地でも見捨てられ,少年の殺人と死刑の果てに,少女と生まれた息子は故郷の大人に助けられて娘も生まれて一生を終える.言ってみれば単純な物語が寄せては返す海のように行ったり来たり場所も時間も交わって本当にあった事なのか夢なのかと霧の中に包まれたような味わい.死んだはずの愛しい人の亡霊まで当たり前のようにそこにいて,不思議な世界を漂っているような読書時間だった.

    0
    2024年11月27日
  • 三部作【トリロギーエン】

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2023年「声にならない言葉に声を与えた革新的な戯曲と散文」という評価を受けノーベル賞を受賞したヨン・フォッセの中期代表作『三部作』

    台詞の鍵括弧や句点ピリオドが使われていない散文。ほぼ構成しているのは読点のみになっている。台詞の後に「と考えるアスレ」という感じになっている。
    読みにくいかと思ったがそうでもなった。場面転換が少しわかりにくい箇所があったが、あまり気にならなかった。

    恋人・家族の物語。

    愛のために大罪を犯してしまうのは切ないな。アリーダの思いが色々な言い換え・復唱することですさまじい不安感に苛まれているんだなと感じられた。
    その場にいなくなった人が見える(霊?)自分の中で生

    0
    2024年11月25日
  • 三部作【トリロギーエン】

    Posted by ブクログ

    ぐるぐると円環していくような文章であり物語。
    フィドルは巡り巡って愛の中でまた戻っていき、愛の果てに人は海に帰っていく。

    シェイクスピア曰く「この世は舞台。 男も女も人は皆役者に過ぎない」。

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    2024年10月29日
  • だれか、来る

    Posted by ブクログ

    表題作。シンプルなセリフで紡がれる、彼と彼女の心の揺れ動きが見事だと思う。二人だけの家に来たはずなのに、すべてが安定しているはずなのに、どこかかからやってくる不安。それは外からでもあり、また彼ら自身の内側からでもあることが、短い会話のやり取りから読み取れる。

    0
    2024年10月21日

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