ヨンフォッセのレビュー一覧

  • だれか、来る

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    ノルウェーでのビジネスを始めた2023年に、ハウゲスンで生まれたヨン・フォッセがノーベル文学賞を獲得。必読となり、やっと読む機会が出来た。シンプルな構成ながら全編に潜む不安感がノルウェーの景色とオーバーラップしてくる感覚。でも、日本語訳では真意を伝えきれていないのであろう。

    解説が素晴らしい。特に以下:

    まず、フォッセが執筆に使う特殊な言語“ニーノルシュク"について触れておきたい。ノルウエーには、オスローを中心とした現住民九〇%が話す”ボクモール”(Bokmal)と西海岸で使われる"ニーノルシュク"(Aynorsk)の二つの公用語がある。なぜ二つ?ノルウェーは

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    2025年03月01日
  • 三部作【トリロギーエン】

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    ネタバレ

    連作短編3編
    17才の少年少女が出会って,妊娠した少女と家を無くした天涯孤独な少年が故郷を捨て,新天地でも見捨てられ,少年の殺人と死刑の果てに,少女と生まれた息子は故郷の大人に助けられて娘も生まれて一生を終える.言ってみれば単純な物語が寄せては返す海のように行ったり来たり場所も時間も交わって本当にあった事なのか夢なのかと霧の中に包まれたような味わい.死んだはずの愛しい人の亡霊まで当たり前のようにそこにいて,不思議な世界を漂っているような読書時間だった.

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    2024年11月27日
  • 三部作【トリロギーエン】

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    ネタバレ

    2023年「声にならない言葉に声を与えた革新的な戯曲と散文」という評価を受けノーベル賞を受賞したヨン・フォッセの中期代表作『三部作』

    台詞の鍵括弧や句点ピリオドが使われていない散文。ほぼ構成しているのは読点のみになっている。台詞の後に「と考えるアスレ」という感じになっている。
    読みにくいかと思ったがそうでもなった。場面転換が少しわかりにくい箇所があったが、あまり気にならなかった。

    恋人・家族の物語。

    愛のために大罪を犯してしまうのは切ないな。アリーダの思いが色々な言い換え・復唱することですさまじい不安感に苛まれているんだなと感じられた。
    その場にいなくなった人が見える(霊?)自分の中で生

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    2024年11月25日
  • 三部作【トリロギーエン】

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    ぐるぐると円環していくような文章であり物語。
    フィドルは巡り巡って愛の中でまた戻っていき、愛の果てに人は海に帰っていく。

    シェイクスピア曰く「この世は舞台。 男も女も人は皆役者に過ぎない」。

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    2024年10月29日
  • だれか、来る

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    表題作。シンプルなセリフで紡がれる、彼と彼女の心の揺れ動きが見事だと思う。二人だけの家に来たはずなのに、すべてが安定しているはずなのに、どこかかからやってくる不安。それは外からでもあり、また彼ら自身の内側からでもあることが、短い会話のやり取りから読み取れる。

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    2024年10月21日
  • だれか、来る

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    タイトルとノルウェーのフィヨルドが舞台とだけで読む。
    本を開いてみて初めて戯曲と知る。しまった!
    ところが、この戯曲は読みやすくて助かる。
    情景が、舞台が、ありありと浮かぶ。

    フィヨルドの暗い海を前に、
    人は人を信じ切れない、孤独な存在・・・
    と、いうことなのかな・・・

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    2024年02月13日
  • だれか、来る

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    ネタバレ

    ヨン・フォッセの「だれか、来る」の表題作を読みました。

    戯曲です。

    彼と彼女は、とても辺鄙なところに新しく買った家の前に立ち、問答をします。

    「だれもやってこない家 おれたちが 一緒にいられる家」
    「きっと だれかやってくる」

    そして、家の元の持ち主の男が現れて、彼女と話します。

    彼は彼女の気持ちが男にあったのだと弱々しく責め立てるのです。

    彼女は一瞬いなくなります。

    そこで、彼は独白をする。

    「おれたちは二人きり いつまでも」

    そうして彼女は姿を現し、関係は修復されました。

    彼女は、家の周りにだれもいないことに寂しさを訴えておりました。彼は、彼女の姿が見えなくなると、突然

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    2024年01月07日
  • 三部作【トリロギーエン】

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    演劇出身の作家の作品なので散文のようにみえる。日本語で翻訳されているせいか、作品の間も呼吸も沈黙も掴みどころがなくなってしまった。空気を味わうタイプの小説らしいが、内容はそんなに面白みはない。文学の構造味わうのが好きな人向け。

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    2025年11月01日
  • だれか、来る

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    今月、佐々木敦さんが演出される作品とのことで先に読んでみた。ゴドーのような不条理な芝居戯曲だが、わかりやすいかもしれない。

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    2025年09月01日
  • 三部作【トリロギーエン】

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    ノルウェーのフィヨルド付近を舞台に、若い男女の無鉄砲なふるまいと、著者がよくテーマにしている生者と死者のやり取りが描かれた作品。古い時代背景とはいえ、簡単に人を殺めてしまうことが描かれていて少しやりきれない部分があった。日本でも昔はそんな風だったんだろうなと思う。戯曲調で、台詞の部分から登場人物のことを推測するので、自分にとっては新たな読み物という感じがした。

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    2025年05月06日
  • だれか、来る

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    ノルウェーのフィヨルドが舞台の戯曲。逃れてきた男性と女性が嫉妬のため相手を疑ってしまうやり取り。よくわからないところもあるけど、解説を読んだりノルウェーのような緯度の高い地域の気候や風景を思い浮かべると、作品の深い部分がにじみ出てくるような感じがする。

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    2025年05月06日
  • だれか、来る

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    2023年度のノーベル文学賞受賞者のヨン・フォッセの処女戯曲。ノルウェーのさびれた海岸の一軒家に来た男女が、ようやく二人きりになれる、と安堵する一方、だれか来る、と怯える。人間の孤独と不安を描く。登場人物は3人だけ、名前もない。セリフは少なく、大きな出来事は何も起きない。詩のような劇だ。さらに、原作は、ノルウェーの西海岸の言葉を基にした書き言葉(話し言葉ではない)「ニーノルシュク」で書かれているという。それでは、戯曲を読んで理解することは不可能ではないか。舞台を見ればなにがしかが伝わるかもしれない。上演が待たれる。

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    2024年05月31日