あらすじ
アスレは不毛な海岸地帯の街をさまよっていた。妊娠中のアリーダを連れ、住居と仕事を探していたのだ。だが、お互いだけが家族の17歳を助けてくれる者はいない。決死の思いの選択は、やがて家族の生に影を落とす。ノルウェーのノーベル賞作家による連作短篇集。
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Posted by ブクログ
連作短編3編
17才の少年少女が出会って,妊娠した少女と家を無くした天涯孤独な少年が故郷を捨て,新天地でも見捨てられ,少年の殺人と死刑の果てに,少女と生まれた息子は故郷の大人に助けられて娘も生まれて一生を終える.言ってみれば単純な物語が寄せては返す海のように行ったり来たり場所も時間も交わって本当にあった事なのか夢なのかと霧の中に包まれたような味わい.死んだはずの愛しい人の亡霊まで当たり前のようにそこにいて,不思議な世界を漂っているような読書時間だった.
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2023年「声にならない言葉に声を与えた革新的な戯曲と散文」という評価を受けノーベル賞を受賞したヨン・フォッセの中期代表作『三部作』
台詞の鍵括弧や句点ピリオドが使われていない散文。ほぼ構成しているのは読点のみになっている。台詞の後に「と考えるアスレ」という感じになっている。
読みにくいかと思ったがそうでもなった。場面転換が少しわかりにくい箇所があったが、あまり気にならなかった。
恋人・家族の物語。
愛のために大罪を犯してしまうのは切ないな。アリーダの思いが色々な言い換え・復唱することですさまじい不安感に苛まれているんだなと感じられた。
その場にいなくなった人が見える(霊?)自分の中で生きている描写が多数使われていた。
Posted by ブクログ
ぐるぐると円環していくような文章であり物語。
フィドルは巡り巡って愛の中でまた戻っていき、愛の果てに人は海に帰っていく。
シェイクスピア曰く「この世は舞台。 男も女も人は皆役者に過ぎない」。
Posted by ブクログ
演劇出身の作家の作品なので散文のようにみえる。日本語で翻訳されているせいか、作品の間も呼吸も沈黙も掴みどころがなくなってしまった。空気を味わうタイプの小説らしいが、内容はそんなに面白みはない。文学の構造味わうのが好きな人向け。