作品一覧

  • ドクトル・ガーリン
    5.0
    1巻5,720円 (税込)
    G8首脳のクローンと医師ガーリンは、核攻撃を避けるため北へ向かう。謎のコロニー、日常化する戦争、サーカス、巨人女……。『青い脂』の衝撃が近未来の異世界に響きわたる集大成的傑作。
  • ロシア文学の怪物たち
    -
    1巻1,870円 (税込)
    『青い脂』(ソローキン)や『穴持たずども』(マムレーエフ)など“怪作”を翻訳してきた著者による「悪」のロシア文学入門。 虚無的な現実を覆う皮膜の下で蠢く怪物たちの饗宴。間違いない、本書は毒にも劇薬にもなりうる。━━━━━木澤佐登志 ロシア文学は現実の不確かさを読者に突きつけ、世界の裂け目に開いた深淵を露わにする。 『青い脂』(ソローキン)や『穴持たずども』(マムレーエフ)など“怪作”を翻訳してきた著者による「悪」のロシア文学入門。 誤解を恐れずに書くが、ロシア文学は危険だ。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって現実に世界秩序が大きく揺れ動いている今日、それは劇薬ですらあるかもしれない。(「はじめに」より) 【目次】 はじめに プロローグ 悪との遭遇 第1章 ペテルブルグの幽霊 ゴーゴリ『外套』 第2章 怠惰と実存 ゴンチャロフ『オブローモフ』 第3章 病める地下室男の独白 ドストエフスキー『地下室の手記』 第4章 もはや死はない トルストイ『イワン・イリイチの死』 第5章 世界がひずむ音 チェーホフ『六号室』 第6章 「われら」と「彼ら」のはざまで ザミャーチン『われら』 第7章 不可能性の怪物 マムレーエフ『穴持たずども』 第8章 空虚への解脱 ソローキン『マリーナの三十番目の恋』 第9章 もう一つの九〇年代 ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』 第10章 回帰する亡霊 エリザーロフ『図書館大戦争』 第11章 可能性としての女性文学 ナールビコワ『ざわめきのささやき』/トルスタヤ『クィシ』/スタロビネツ『むずかしい年ごろ』 おわりに あとがき ブックガイド 【著者】 松下隆志 1984年、大阪府生まれ。専門は現代ロシア文学・文化。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、岩手大学准教授。著書に『ナショナルな欲望のゆくえ ソ連後のロシア文学を読み解く』(日本ロシア文学会賞受賞)、訳書にソローキン『吹雪』『親衛隊士の日』、『青い脂』(共訳)、ザミャーチン『われら』、マムレーエフ『穴持たずども』など。
  • 親衛隊士の日
    3.8
    1巻1,408円 (税込)
    2028年に復活した帝国では、親衛隊士たちが特権を享受している。貴族や民衆への暴力、謎の集団トリップ、真実を見通す点眼女、蒸風呂での奇妙な儀式。ロシアの現在を予言した傑作長篇。
  • われら
    3.5
    1巻1,166円 (税込)
    地球全土を支配下に収めた〈単一国〉では、24時間の各人の行動は、食事から性行為まで、すべて合理的に管理されている。その国家的偉業となる宇宙船〈インテグラル〉の建造技師であるД-503は、古代の風習に傾倒する女I-330に執拗に誘惑され……。『一九八四年』『すばらしい新世界』に先駆けるディストピア小説の傑作。
  • テルリア
    3.0
    1巻3,080円 (税込)
    21世紀中葉、近代国家が崩壊し、イスラムの脅威にさらされる人々は、謎の物質テルルに救いを求める。異形の者たちが跋扈する「新しい中世」を多様なスタイルで描く予言的長篇。
  • 青い脂
    3.7
    1巻1,650円 (税込)
    七体の文学クローンが生みだす謎の物質「青脂」。母なる大地と交合するカルト教団が一九五四年のモスクワにこれを送りこみ、スターリン、ヒトラー、フルシチョフらの大争奪戦が始まる。

ユーザーレビュー

  • ドクトル・ガーリン

    Posted by ブクログ

    2021年に出た本作は2010年に出た中編『吹雪』の10年越しの続編。
    前作は吹雪の中をひたすらさまよい続ける物語だった。主人公のドクトル・ガーリンが本当に目的地にたどり着ける
    のだろうか、という不安を抱きながら、セキコフという御者にネチネチと愚痴と悪態を付きながら旅を続ける。
    『ドクトル・ガーリン』でもあの厭味ったらしい主人公のネチネチとした愚痴を聞かされ続けるのだろうなあ、なんて思っていたのだが、全然違っていた。むしろかなりポジティブなキャラクターに変わっていて、一体お前に何があったんだ、と気になるくらい。
    また主人公同様に物語もカラッとした明るさがあった。ソローキンにしては珍しく感じたけ

    0
    2025年09月17日
  • 青い脂

    Posted by ブクログ

    未来から過去へ、そしてまた未来へ戻る時系列に少々体力を使った。
    ソ連時代の社会的リアリズムと実在したあらゆる人物たちが、ドストエフスキーよりも多く出てくる。
    注釈でロシアの歴史の勉強になった。
    歴史や人物などかなり詳しく書かれていた。
    エロ・グロ・ナンセンスなので、サド的要素があり好みが別れると思うけど、愛が好きなので大変楽しみながら読めた。

    0
    2023年12月30日
  • 親衛隊士の日

    Posted by ブクログ

    ロシアの小説の翻訳だ。作品は2006年に登場したそうだ。2020年代後半を想定していると見受けられる、所謂「近未来SF」ということになる小説だと思うが、何か独特な、やや不気味な感じもした物語だ。“物語”というよりも、「独特な“近未来”への予感めいた想像に一定の形を与える文章」というような気がしないでもなかった。所謂「“ディストピア”な物語」というような感なのかもしれない。
    本作冒頭に近い辺りから読み始めて、何やら酷く不思議な気がした。作中世界の独自な通称を冠せられているような場合も在るが、それでも「現代」の様々な小道具が普通に使われているように見受けられる。その他方で、何やらやっていることが「

    0
    2022年09月17日
  • 親衛隊士の日

    Posted by ブクログ

    帝政下の親衛隊士たちの敵対者への恐るべき残虐行為と歪んだ疑似家族的愛情が同居する世界を描き出す。
    この非論理的な暴力を、東大先端研准教授 小泉悠氏の指摘する「ロシアのプーチンはヤクザの親分である」がなければ読めなかった作品。
    幾度も挫折しそうになったおぞましい表現の数々は、しかし、現代の悲劇を驚くほど正確に予言していた。ロシアのウクライナ侵攻、国際的な孤立(EUからの拒絶)、そしてブチャでの虐殺や子どもの誘拐といった非人道的な残虐行為の数々。武装集団ワグネルのプリゴジンの暗殺も衝撃を与えたであろう。
    この小説は、単なるグロテスクな物語ではなく、ロシアへの理解に一助となり、暴力行為は映画「時計仕

    0
    2025年10月24日
  • われら

    購入済み

    ザミャーチンの、まあ唯一と言ってもよいだろう代表作でありディストピア小説。
    当時の社会情勢や、これを執筆するにあたり影響を受けたであろう他のロシア文学作品などと比較し解読するとまた違った面白さがわかる。

    0
    2025年05月03日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!