小説 - 中公文庫作品一覧

  • 小説作法
    -
    1巻1,320円 (税込)
    なぜ、小説を書くのか? 書き続けるために本当に大切なこととは? そもそも、小説とは何なのか、何ができるのか――? 常に現代文学の最前線を疾走し続けた作家が、これからの創作者に向けて伝える窮極のエッセンス。 単著未収録のロングトークを中心に、文体論、作家の個性、絵画・美術といった他ジャンルとの比較など、長年にわたり発表してきた小説論を初めて精選。 さらに巻末には、著者最晩年(2005)における保坂和志氏との伝説的対談「小説の自由」を収録。 本書を読み終えた時、あなたの小説観は確実に何かが変わっている――。 (文庫オリジナル/解説=保坂和志) 【目次】 Ⅰ 小説の文体(一つのセンテンスと次のセンテンス/『考え方』の藤森良蔵/わが精神の姿勢) Ⅱ 小説の新しさ(肉体と精神/日本文学とユーモア/私の小説作法/モデルとプライバシイ/抽象主義の作家たち/共通の心の場とは何か/摩擦音の如きグロテスク/私の考える「新しさ」ということ) Ⅲ 小説の論理(思想と表現/愚劣さについて) Ⅳ 小説と絵画(ゴッホの絵について/エドガー・ドガ/喜怒なきマスクの如く) Ⅴ 小説と芝居(小説と戯曲の間/小説と演劇/初めて戯曲を書いて) Ⅵ 小説と書簡(小説とは何か) Ⅶ トークより(私の小説・評論・芝居(1972)/我々と文学(1972)/カフカをめぐって(1983)/いかに宇野浩二が語ったかを私が語る(1985)/男の領域と女の領域のせめぎあい(1985)/そして小説は生き延びる(2000)/対談・小説の自由(2005))  解説 保坂和志
  • 海神の島
    3.0
    1巻1,320円 (税込)
    一九九九年、沖縄。花城泉は、気が合わぬ姉と妹に挟まれ窮屈さを感じていた。ある日、祖母の漣オバァが三姉妹に告げる。誰かが海神の墓を守れ──と。三人は即座に拒否したが、二十年後、図らずも彼女たちは失われた「海神の秘宝」を追うことに。 汀・泉・澪――一騎当千の花城三姉妹が、沖縄、東京、九州、山口、台湾を縦横無尽に疾駆する! 三人の凄まじいまでの欲望と日米中の思惑が錯綜する、空前絶後の冒険小説。 読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞、週刊文春、週刊新潮、サンデー毎日、週刊朝日、小説現代、ミステリマガジン、SFマガジン、STORY BOX、ダ・ヴィンチ、CREA、ニュータイプ、沖縄タイムス、琉球新報ほか……各紙誌絶賛。山田風太郎賞受賞作家渾身の超大作が待望の文庫化。 カバーイラスト:mocha 【目次】 第一章 失われた秘宝 第二章 三姉妹の夢 第三章 相続人の行方 第四章 古墳は囁く 第五章 銅鏡と貝輪 第六章 暗躍する男 第七章 純白の平和と黒いアイドル 第八章 海神島の正体 第九章 見捨てられた疎開船 第十章 海底の決闘 第十一章 禁断の島へ 第十二章 太古からのメッセージ  解説 爆走するパワフルな冒険小説~「宝探し」の物語~  阿津川辰海
  • ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成
    3.0
    一篇の詩を生むためには、 我々はいとしいものを殺さなければならない これは死者を甦らせるただひとつの道であり、 われわれはその道を行かなければならない ――(「四千の日と夜」より) 『荒地』同人として鮎川信夫らとともに日本の戦後詩をリードした国際的詩人にして、早川書房の初期編集長兼翻訳者として海外ミステリ隆盛の基礎を築いた田村隆一(1923-1998)。 アガサ・クリスティの翻訳に始まり、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の出発、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の創刊……その比類なき体験による、彼にしか語りえない数々の貴重なエピソードとユーモアは、詩(ポエジー)と戦慄(スリル)の本源的考察を通して、やがて21世紀の我々をも刺し貫く巨大な文学論・文明論へと至る――人類にとって推理小説(ミステリ)とは何か? 聞き書き形式でポーからロス・マクドナルドまでのクラシック・ミステリをガイドするロング・インタビュー(旧版『ミステリーの料理事典』『殺人は面白い』所収)を中心に、クロフツ『樽』やクイーンの四大『悲劇』といった翻訳を手がけた名作の各種解説、クリスティとの架空対談、江戸川乱歩や植草甚一にまつわる回想、生島治郎・都筑道夫ら元早川出身者との対談など、推理小説に関する著者の文章を単著初収録作含め精選し大幅増補した、まさに田村流ミステリ論の決定版。生誕100年記念刊行。 【目次】 Ⅰ クラシック・ミステリ・ガイド(インタビュー) Ⅱ 訳者解説(F・W・クロフツ/アガサ・クリスティ/ジョルジュ・シムノン/エラリイ・クイーン) Ⅲ エッセイ・対談(×生島治郎「諸君、ユーモア精神に心せよ」/×都筑道夫「EQMMの初期の頃」) Ⅳ 資料編 〈解説〉 押野武志
  • 宗方姉妹
    -
    1巻1,320円 (税込)
    終戦後、満洲から引き揚げた宗方家。節子は失業中の夫、病床の父に代わって酒場を開く。妹・満里子は慣れない商売に疲弊する姉を歯痒く思うが、そこへ節子の昔の恋人が現れて……。美しき姉妹を中心に、敗戦後の日本で時流に乗って生きる人と目標を失った人、それぞれの生き方と葛藤が描かれる。小津安二郎監督の映画原作でも知られる長篇に、最晩年に執筆した「序の章」を加えた決定版、初文庫化。巻末に「映画「宗方姉妹」を見て」を付す。〈解説〉與那覇 潤
  • 蕭々館日録 新装版
    -
    1巻1,320円 (税込)
    大正時代末期。作家・児島蕭々の書斎には、九鬼、蒲池ら作家仲間や友人たちが夜ごと集う。蕭々の五歳になる娘、麗子も、岸田劉生の「麗子像」そっくりの恰好で、大人たちの輪の中に加わっている。益体もない話で過ぎてゆく幸福な時間。しかし、この時間も、皆が愛する九鬼に色濃く落ちる死の影も、誰にもとどめることはできない……。芥川龍之介、小島政二郎、菊池寛をモデルに、去りゆく人と終わりゆく時代への愛惜を込めて綴る傑作長編。泉鏡花賞受賞作。〈解説〉久世朋子
  • 盲目物語 他三篇
    4.0
    戦国に名高い美女、お市の方への思慕を盲目の法師に語らせた表題作のほか、戦国時代に材を取った「聞書抄――第二盲目物語」など、歴史ものの傑作。北野恒富の口絵、菅楯彦による挿画(「聞書抄」)を完全収載。ほかに短篇二作、正宗白鳥による文藝時評を付す。〈註解〉明里千章〈解説〉千葉俊二 盲目物語 他三篇 収録作品「盲目物語」「聞書抄 第二盲目物語」「三人法師」「紀伊国狐憑漆掻語」 付録『盲目物語』――「文藝時評」より(正宗白鳥)
  • ホワイト・ティース(上)
    4.0
    ロンドン下町出身の優柔不断な中年男・アーチーと、バングラデシュ出身の誇り高きムスリム・サマード。第二次大戦で親友になったふたりは、ロンドンで新たな人生を模索する。 移民家族が直面する悲喜劇を知的でユーモラスに描く、ジャマイカ系イギリス人作家の衝撃作。カリブ海やインド亜大陸からヨーロッパにわたる壮大な家族の物語を背景に、歴史、信条、遺伝子などさまざまな差異を抱えて混沌の街ロンドンで生きる人々を描く。分断と混沌の深まる時代に希望の光を放つ、21世紀の必読書。全2巻 ブレイディみかこさん推薦! 「この本、いちおう社会派で、すでに古典と呼ばれているんです。 こんなにヤバくて笑えてぶっ飛んでるのに。 繚乱と咲く、移民たちのサーガ! ストリートの歴史はなんと猥雑でカオスなことか。 多文化共生の諸問題をごった煮にしておおらかに笑い飛ばす、才気煥発な本である。」 西加奈子さん推薦! 「これはすべての呪われた、そして祝福された人間の物語だ。 きっと100年後も、200年後も読み継がれるだろう。 人間がどうしようもなく、抗い難く、救い難く、人間でしかないことを、こんなに面白おかしく、鮮やかに、完璧に書かれた小説がこの世界に存在することに感謝したい。 20年前に誕生したこの傑作を、これから初めて読むことが出来る人に嫉妬する。そう思っていたけれど、何度目だって衝撃は変わらなかった。いや、増した。著者が描いたこの世界に、私たちは近づけているのだろうか。」
  • 完全版 若き日と文学と
    -
    1巻1,320円 (税込)
    青春の日の出会いから敬愛する作家、自作まで。親友の二人が闊達に語り合う。ロングセラーに単行本未収録を含む五篇を増補、全対談を網羅した完全版。 Ⅰ 若き日と文学と  まえがき 北杜夫  若き日を回想しながら/トーマス・マンを語る/いささか人生論風に  あとがき 辻邦生 Ⅱ ぼくたちを作ってきたもの トーマス・マンについての対話/長篇小説の主題と技法/『星の王子さま』とぼくたち ぼくたちの原風景/文学が誘う欧州旅行 旧版解説 篠田一士 〈巻末エッセイ〉辻邦生と北杜夫 辻佐保子
  • レイテ戦記(一)
    3.0
    1~4巻1,320円 (税込)
    戦争は勝ったか、負けたかというチャンバラではなく、その全体にわれわれの社会と同じような原理が働いている――。太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を、厖大な資料を駆使して再現した戦記文学の金字塔。毎日芸術賞受賞作。巻末に講演「『レイテ戦記』の意図」を付す。 (目次より) 第一巻 一 第十六師団 昭和十九年四月五日 二 ゲリラ 三 マッカーサー 四 海軍 五 陸軍 六 上陸 十月十七日―二十日 七 第三十五軍 八 抵抗 十月二十一日―二十五日 九 海戦 十月二十四日―二十六日 十 神風 十一 カリガラまで 十月二十六日―十一月二日 巻末付録 講演「『レイテ戦記』の意図」
  • 怒り(上下合本)
    -
    若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏――。千葉の港町で働く槙洋平・愛子親子、東京の大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた……。 映画も大ヒット。『悪人』を超える吉田修一の代表作!
  • 活きる
    4.2
    1巻1,320円 (税込)
    生と死、愛と別れ、幸福と苦痛、時間の神秘――。四十数年の時を経た今、老人が朗々と民謡を歌い、自らの過去を語る。激動の中国を生き続けた、ある家族の物語。長篇小説『活きる』は、中国著名作家・余華の代表作で、中国および諸外国で広く読まれ、好評を得ている。チャン・イーモウ監督による映画版はカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を獲得。一時的な流行に終わる小説ではなく、いまもなお読み継がれ、今後も中国文学史・世界文学史に残っていくであろう名作である。本国一千万部超のベストセラー、40カ国で翻訳出版。 解説・中島京子
  • ひとびとの跫音(上下合本)
    -
    上下合本で名作一気読み! 正岡子規の詩心と情趣を受け継いだひとびと。その豊饒にして清々しい人生に深い共感と哀惜をこめた、司馬文学の核心をなす画期的長篇。詩人、革命家など鮮烈な個性に慕われつつ、自らは無名の市井人として生きた正岡家の養子忠三郎と周囲の人々の境涯を「人間が生まれて死んでゆくという情趣」を織りなして、香気ただうが如く描く名作。読売文学賞受賞。
  • すばらしい新世界
    4.0
    1巻1,361円 (税込)
    ヒマラヤの奥地へ技術協力に赴いた主人公は、 現地の暮らしに触れ、深く人々に惹かれてゆく―― 人と環境との関わりの先に 新しい世界への光を予感させる長編小説
  • 野生の棕櫚
    4.0
    「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」 1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」) 1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」) 二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。 アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。 本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1940)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。 他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。 また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。 その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。 その本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。
  • 散華 紫式部の生涯(上)
    3.6
    1~2巻1,430~1,540円 (税込)
    藤原氏の一門ながら無欲恬淡な漢学者の娘として生まれた小市は、幼い頃から和歌や漢籍を学び並外れた才能を発揮した。 姉弟や伯母とともに暮らすなかで、疫病の流行や治安の悪化、勢力抗争に明け暮れる人々の浮き沈みを犀利なまなざしで見つめながら、自らの生きる道を模索していく。 永遠の名作を紡ぎ出した一人の女性の生の軌跡をたどる歴史大作。上巻では少女時代から20代までを描く。
  • ゆめはるか吉屋信子 秋灯机の上の幾山河(上)
    -
    1~3巻1,430円 (税込)
    私なりの吉屋さんをさぐりあてたい――。吉屋信子(一八九六~一九七三)を敬してやまない著者が、満を持して贈る本格評伝。栃木女子高校時代から頭角を現した信子は、竹久夢二の誘いで上京し、生きる道を模索する。岡本かの子や野上弥生子らとの出会い、『花物語』の連載。やがて長篇小説の懸賞応募を目指すが、父の危篤の報が……【全三巻】
  • 若い読者のための世界史 改訂版
    4.5
    歴史は「昔、むかし」の物語。さあ今から昔話をはじめよう――。『美術の物語』の著者がやさしく語りかけるように、時代を、出来事を、そこに生きた人々を活写する。ネアンデルタール人の登場から自ら体験した第二次大戦まで。一九三六年の初版刊行から半世紀を経て復刊されて以来、各国で読みつがれてきた“物語としての世界史”の古典。文庫上下巻を合本とし、最新版を参照して訳文を見直した、待望の改訂版。 目次 1 「昔、むかし」 2 偉大な発明者たち 3 ナイル川のほとり 4 日月火水木金土 5 唯一の神 6 だれもが読める文字 7 英雄たちの時代 8 けたちがいの戦争 9 小さな国のふたつの小さな都市 10 照らされた者と彼の国 11 大きな民族の偉大な教師 12 偉大なる冒険 13 新しい戦い 14 歴史の破壊者 15 西方世界の支配者 16 よろこばしい知らせ 17 帝政のローマ 18 嵐の時代 19 星夜のはじまり 20 アッラーの神と預言者ムハンマド 21 統治もできる征服者 22 キリスト教の支配者 23 気高く勇敢な騎士 24 騎士の時代の皇帝 25 都市と市民 26 新しい時代 27 新しい世界 28 新しい信仰 29 戦う教会 30 おぞましい時代 31 不幸な王としあわせな王 32 その間に東欧で起こったこと 33 ほんとうの新しい時代 34 暴力による革命 35 最後の征服者 36 人間と機械 37 海の向こう 38 ヨーロッパに生まれたふたつの国 39 世界の分配 40 わたし自身が体験した世界史のひとこま
  • 酒宴/残光 吉田健一短篇小説集成
    -
    1巻1,430円 (税込)
    翻訳から批評へ、随筆から小説へと自在に横断し、独自の文学世界を築き上げた文士・吉田健一。その小説家の誕生を告げる第一短篇集『酒宴』(一九五七年)と第二短篇集『残光』(一九六三年)の全一七篇を収める初期短篇小説集成(『吉田健一全短編集』改題)。〈解説〉富士川義之 ■目次 逃げる話/マクナマス氏行状記/夏は暑い/アドニスとナスビ/マッチ売りの少女/沼/百鬼の会/酒宴/ロッホ・ネスの怪物/国籍がない大使の話/春の野原/辰三の場合/流れ/出廬/残光/空蟬/邯鄲
  • 愛なき世界(上下合本)
    5.0
    恋のライバルが、人類だとは限らない。洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。見た目が殺し屋の教授、サボテン好きの後輩男子たちと研究に没頭する本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか――藤丸青年の求愛行動から真理の探究まで、すべての事件は研究室で起きている。世界の隅っこが輝きだす植物学会賞特別賞受賞作。〈付録〉「藤丸くんに伝われ 植物学入門(上・下)」〈解説〉伊与原新
  • 盤上の向日葵(上下合本)
    4.7
    埼玉県天木山山中で発見された身元不明の白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが捜査を開始した。 駒の来歴を追う地道な捜査から浮かび上がってきたのは、世紀のタイトル戦に臨む異端の天才棋士・上条桂介の壮絶な半生だった。 奨励会を経ず、実業界から異例の転身を果たした上条と、遺留品の駒の足取りを追って日本中を駆け回る二人の刑事。彼らの歩みが交錯し、物語は衝撃の結末へ――!!
  • 富士
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    悠揚たる富士に見おろされる戦時下の精神病院を舞台に、人間の狂気と正常の謎にいどみ、深い人間哲学をくりひろげる武田文学の最高傑作。自作を語る「富士と日本人」、担当編集者・村松友視によるエッセイ「終章のあとのエピローグ」などを収めた増補新版。
  • ゆりかごで眠れ(上下合本) 新装版
    -
    南米コロンビアで凄絶な幼少期を過ごしながらも、マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、幼い娘を伴い来日した。目的はライバル組織に裏切られ、警視庁に勾留されている部下の奪還と復讐、日本での勢力拡大。だが、もうひとつ目的が……。人の心の在処を追い続ける著者の、揺るぎなき原点にして、傑作巨篇。
  • 新装版 久遠(上下合本版) 刑事・鳴沢了
    -
    1巻1,650円 (税込)
    「最大の報復、それは刑事としてのプライドを奪うこと」。 堂場瞬一史上売上NO.1シリーズ、衝撃の最終巻。 突如、了の自宅を訪れた青山署の刑事たち。了が前夜会っていた情報屋の岩隈が殺害され、その容疑をかけられたのだった。次々と狙われていく関係者たち、残された謎の符号「ABC」――。背後に潜む復讐者の正体とは? 刑事として生まれた男、最大にして最後の事件。
  • 雪の階(上下合本)
    -
    1巻1,826円 (税込)
    親友の死は本当に心中だったのか。天皇機関説をめぐる華族と軍部の対立、急死したドイツ人ピアニストと心霊音楽協会、穢(けが)れた血の粛正をもくろむ「組織」(グルッペ)……。謎と疑惑と陰謀が、陸軍士官らの叛乱と絡み合い、スリリングに幻惑的に展開するミステリー。柴田錬三郎賞、毎日出版文化賞をダブル受賞、ミステリー各誌ベストテン入り!〈解説〉加藤陽子
  • 少女架刑・透明標本 吉村昭自選初期短篇集(全)
    -
    1巻1,848円 (税込)
    『戦艦武蔵』以前の吉村文学の中核をなす自選短篇集。太宰治賞受賞作「星への旅」、 三島由紀夫が激賞した「死体」、芥川賞候補作「鉄橋」「透明標本」など、一九五二年から六六年までの十四編を収める。〈巻末エッセイ〉「遠い道程」。〈解説〉荒川洋治 ■目次 死体/青い骨/さよと僕たち/鉄橋/服喪の夏/少女架刑/星と葬礼/墓地の賑い/透明標本/電気機関車/背中の鉄道/煉瓦塀/キトク/星への旅/〈巻末エッセイ〉遠い道程
  • 浪漫疾風録/星になれるか(合本)
    -
    1巻1,936円 (税込)
    翻訳ミステリ雑誌『EQMM』編集長を経て日本におけるハードボイルド小説の先駆者となった直木賞作家の自伝的実名小説。 一九五六~六四年の疾風怒濤の編集者時代を描いた『浪漫疾風録』と、『傷痕の街』でのデビュー後、六四~七八年の綺羅星のような作家たちの交遊を描いた『星になれるか』の合本。 ■目次 ◎『浪漫疾風録』 地獄へようこそ/悪戦苦闘/汗みどろの日々/粋で貧乏で/色やら恋やら/走り出す人々/ミステリ戦国時代/さらば編集者/あとがき ◎『星になれるか』 星になれるか/面白き罪/バンコク有情/ドリアンの謎/モンスターの尻尾/独り砂漠を/甘美なる腐敗/回帰への終章
  • 美味礼讃 増補新版
    -
    新しい料理の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである――。1825年に刊行された『味覚の生理学』は、日本では『美味礼讃』の訳書名で知られてきた。美食家としての情熱と蘊蓄を科学的知見をもとに掘り下げ、食べることが人間と社会にとっていかに重要であるかを説いた美味学の古典。大胆な編集にもとづき、平易な訳文・親しみやすい解説を施した新版。
  • アマゾニア
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    16世紀、太古からの伝説が未だ息づくアマゾン河流域――女人族の〈泉の部族〉は精霊の庇護の下、豊かに暮らしていた。大弓部隊隊長・赤弓は、家族を殺された怨みから宿敵〈オンサの部族〉を倒し、一族に平和をもたらす。その直後、大河を下り、飢えたスペイン人たちが現れた。赤弓は一行を撃退するが、傷を負って取り残された黒髭の男を見た 守護精霊〈森の娘〉は、なぜか掟を破り、彼を部族に迎え入れるよう命じる……。濃密な生命と精霊に満ちた密林に展開する魂の喪失と再生の物語。

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  • 中国の古代文学(一・二) 一 神話から楚辞へ/二 史記から陶淵明へ
    -
    1巻2,566円 (税込)
    (一)神話から楚辞へ 中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれた。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界。 (二)史記から陶淵明へ 古い国家の羈絆から解き放たれ、自らの運命に生きはじめた孤独な生活者たち。彼ら「士人」は体制への埋没を拒否し、自然の情感に沿って天の道に合しようとした。「天道是なるか非なるか」と厳しく問うことによる文学精神の成立から、現実を避けて桃源郷を求める創作詩にまでいたる、文化の道筋を探る。 (全二巻)
  • バルザック(上下合本)
    -
    『ゴリオ爺さん』『谷間の百合』ほか全九一篇、登場人物二〇〇〇人による壮大な「人間喜劇」を構想したバルザック(一七九九―一八五〇)。富と名声を求めて旺盛な創作活動に邁進し、天才と俗物の間を生きた。その彼を終生敬してやまなかった伝記作家が、五一年の生涯を情熱的に描いた遺作にして最高傑作。〈解説〉宮下志朗 目次 第一篇 青春と初舞台    第一章 少年期の悲劇    第二章 運命への早まった問いかけ    第三章 オラース・ド・サン・トーバン小説工場    第四章 ベルニー夫人    第五章 商業的幕間狂言    第六章 バルザックとナポレオン   第二篇 仕事部屋のバルザック    第七章 三十男    第八章 書斎のうちとそと    第九章 カストリー侯爵夫人    第十章 バルザック自己の秘密を発見す   第三篇 小説を地で行く    第十一章 未知の女    第十二章 ジュネーヴ    第十三章 ウィーンの別れ  第四篇 小説家バルザックの栄光と悲惨  第十四章 破局の年一八三六年  第十五章 イタリア旅行  第十六章 転機の年  第十七章 サルデーニャの銀山  第十八章 芝居の投機 第五篇 『人間喜劇』の作者  第十九章 ハンスカ夫人征服の戦い  第二十章 『人間喜劇』  第二十一章 最初の挫折  第二十二章 蒐集家バルザック 第六篇 事の成就と終り  第二十三章 最後の傑作  第二十四章 ウクライナのバルザック  第二十五章 結婚と帰国  第二十六章 おわり
  • ホワイト・ティース(上下合本)
    -
    ロンドン下町出身の優柔不断な中年男・アーチーと、バングラデシュ出身の誇り高きムスリム・サマード。第二次大戦で親友になったふたりは、ロンドンで新たな人生を模索する。 成長したアーチーの娘・アイリーとサマードの双子の息子・ミラトとマジドは、遺伝子工学者のチャルフェン一家と関わり、生命倫理にふれる研究をめぐる問題の渦中へ……。 移民家族が直面する悲喜劇を知的でユーモラスに描く、ジャマイカ系イギリス人作家の衝撃作。カリブ海やインド亜大陸からヨーロッパにわたる壮大な家族の物語を背景に、歴史、信条、遺伝子などさまざまな差異を抱えて混沌の街ロンドンで生きる人々を描く。分断と混沌の深まる時代に希望の光を放つ、21世紀の必読書 ブレイディみかこさん推薦! 「この本、いちおう社会派で、すでに古典と呼ばれているんです。 こんなにヤバくて笑えてぶっ飛んでるのに。 繚乱と咲く、移民たちのサーガ! ストリートの歴史はなんと猥雑でカオスなことか。 多文化共生の諸問題をごった煮にしておおらかに笑い飛ばす、才気煥発な本である。」 西加奈子さん推薦! 「これはすべての呪われた、そして祝福された人間の物語だ。 きっと100年後も、200年後も読み継がれるだろう。 人間がどうしようもなく、抗い難く、救い難く、人間でしかないことを、こんなに面白おかしく、鮮やかに、完璧に書かれた小説がこの世界に存在することに感謝したい。 20年前に誕生したこの傑作を、これから初めて読むことが出来る人に嫉妬する。そう思っていたけれど、何度目だって衝撃は変わらなかった。いや、増した。著者が描いたこの世界に、私たちは近づけているのだろうか。」
  • 散華 紫式部の生涯 (合本)
    5.0
    1巻2,970円 (税込)
    藤原氏の一門ながら無欲恬淡な漢学者の娘として生まれた小市は、幼い頃から和歌や漢籍を学び並外れた才能を発揮した。 姉弟や伯母とともに暮らすなかで、疫病の流行や治安の悪化、勢力抗争に明け暮れる人々の浮き沈みを犀利なまなざしで見つめながら、自らの生きる道を模索していく。 永遠の名作を紡ぎ出した一人の女性の生の軌跡をたどる歴史大作。上巻では少女時代から20代までを描く。
  • 「スカイ・クロラ」シリーズ 全6巻合本版
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    1巻3,300円 (税込)
    ※中公文庫「新装版 スカイ・クロラ」シリーズ全六巻を合本。既刊電子版と内容に変更はありません。※ 最終作まで思いどおりに展開できた作品で、これ以上のものを書くのは、今後は難しいかもしれません。 ――森博嗣(巻末インタビューより) 大人になれない僕たちは、戦闘機に乗り戦うことしかできないのだ――永遠の生命を持つ子供たち「キルドレ」が戦争を請負う社会。指令を受け空へ出勤し、夜は同僚たちと歓楽街へ出かける。そんな彼らにとって生死とは、そして自我とは。戦闘機を駆る子供と地上で暮らす大人たちの物語。著者最高傑作シリーズ! 収録作品 ナ・バ・テア None But Air  〈解説〉吉本ばなな ダウン・ツ・ヘヴン Down to Heaven  〈解説〉室屋義秀 フラッタ・リンツ・ライフ Flutter into Life  〈解説〉荻原規子 クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky  〈解説〉押井守 スカイ・クロラ The Sky Crawlers  〈解説〉鶴田謙二 スカイ・イクリプス Sky Eclipse(短編集)  ジャイロスコープ Gyroscope  ナイン・ライブス Nine Lives  ワニング・ムーン Waning Moon  スピッツ・ファイア Spit Fire  ハート・ドレイン Heart Drain  アース・ボーン Earth Born  ドール・グローリィ Doll of Glory  スカイ・アッシュ Ash on the Sky  〈解説〉杉江松恋 巻末インタビュー(聞き手:清涼院流水) 『ナ・バ・テア』について 『ダウン・ツ・ヘヴン』について 『フラッタ・リンツ・ライフ』について 『クレィドゥ・ザ・スカイ』について 『スカイ・クロラ』について 『スカイ・イクリプス』について
  • ファウスト 悲劇(第1部・第2部 合本)
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    不朽の大作を、読売文学賞を受賞した翻訳史上画期的な名訳で贈る。第一部第二部の合本版。 (第一部) あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。巨匠ゲーテが言葉の深長な象徴力を駆使しつつ自然と人生の深奥に迫った大作。訳者による解説「一つの読み方」を付す。 〈巻末エッセイ〉河盛好蔵・福田宏年 (第二部) 無垢な少女グレートヒェンを悲運のどん底に落とし心身ともに疲れきったファウストは、しかし「最高の生き方をめざして絶えず努力をつづけよう」と決意する。第一部の執筆後、二十年以上の休止を挟み、死の前年に完成に至った壮大な戯曲の第二部。 〈巻末エッセイ〉中村光夫
  • ゆめはるか吉屋信子(上中下合本) 秋灯机の上の幾山河
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    1巻3,850円 (税込)
    歴史に戦争に女同士の恋愛に……大好きな作家の人生を辿るおせいさんのまなざしが熱く、やさしい。 ――柚木麻子(上巻帯より) 男性中心の文壇に挑み続けた二人の女性作家。信子と聖子の「出会い」から生まれた奇跡のような評伝。 ――斎藤美奈子(中巻帯より) 大正、昭和と絶大な人気をほこった小説家・吉屋信子を敬愛してやまない著者が、その真の姿を描き尽くす。 栃木女子高校時代から頭角を現した吉屋信子は、竹久夢二の誘いで上京し、生きる道を模索する。『花物語』の連載から、やがて本格的な長編小説の執筆、そして流行作家へ。長谷川時雨、林芙美子、宇野千代ら作家や、生涯のパートナー門馬千代など、同時代に生きた女性達の姿も活き活きと描かれる。 吉屋信子の本格評伝にして、近代女性文壇史。さらには作家・田辺聖子が、男性中心の文壇で軽視されがちだった信子の作品に光を当てるフェミニズム文学批評の書。 〈解説〉上野千鶴子
  • レイテ戦記(全四巻合本)
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    1巻5,280円 (税込)
    中公文庫『レイテ戦記』全四巻を合本したものです。既刊電子版と内容に変更はありません。 太平洋戦争最悪の戦場・レイテ島での死闘を、厖大な資料を駆使し、鎮魂の祈りを込め描く戦記文学の金字塔。毎日芸術賞受賞作。巻末に、講演「『レイテ戦記』の意図」、インタビュー「『レイテ戦記』を語る」、大西巨人との対談「戦争・文学・人間」、エッセイ「『レイテ戦記』を直す」を付す。 一 第十六師団 昭和十九年四月五日 二 ゲリラ 三 マッカーサー 四 海軍 五 陸軍 六 上陸 七 第三十五軍 八 抵抗 九 海戦 十 神風 十一 カリガラまで 十二 第一師団 十三 リモン峠 十四 軍旗 十五 第二十六師団 十六 多号作戦 十七 脊梁山脈 十八 死の谷 十九 和号作戦 二十一 ブラウエンの戦い 二十二 オルモック湾の戦い 二十三 オルモックの戦い 二十四 壊滅 二十五 第六十八旅団 二十六 転進 二十七 敗軍 二十八 地号作戦 二十九 カンギポット 昭和二十年一月二十一日―四月十九日 三十 エピローグ  連載後記  あとがき  改訂版あとがき  補遺  講演「『レイテ戦記』の意図」  インタビュー「『レイテ戦記』を語る」(聞き手・古屋健三)  対談「戦争・文学・人間」(大西巨人・大岡昇平)  エッセイ『レイテ戦記』を直す 付録  太平洋戦争年表  レイテ島作戦陸軍部隊編成表  書誌

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