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エマ
『エマ』というのは、だれもが気軽に手にとってみたくなる題名です。そして事実、ジェーン・オースティンというのは、実に気軽に楽しんでもらえる作家なのです。そのうえ彼女ほど、読者の好き勝手な解釈を許してくれる作品を書いた作家もいません。通俗的な恋愛小説ととってくださってかまいません。または、18世紀後半、あるいは19世紀前半の風俗習慣が生き生きと、手に取るように伝わってくる作品と解釈することもできます……要は、多種多様の要素を含みながら、けっして押しつけがましいところがなく、ひたすら読者を楽しませてくれる。それが彼女の作品の素晴らしさなのです。(訳者の言葉より) -
秋の星々の都
時は18世紀末、堕落した革命に絶望したマンフレッド・フォン・ベックは、殺戮の嵐が吹き荒れるパリを脱出。追手を逃れヨーロッパ各地を転々とするうち、飛行船乗りのセント・オドランや絶世の美女であるクレタの女公爵リブッサと出会う。一行はやがて不可思議な別世界のミレンブルク、秋の星々の都へと迷いこむが、女公爵リブッサには、錬金術の秘術をもちいて聖杯を支配し、新世界を創りだそうという驚くべき野望が!? -
クローディアの告白
1982年夏、作家ダニエル・キイスのもとに若く美しい女性が訪ねてきた。4年前に連続殺人事件の容疑者として逮捕され、後に無実と判明し釈放されたクローディア・ヤスコーだった。今こそ事件の真相を語るから、その話と彼女自身のことを本にしてほしいという。やがてキイスが話を聞くうちに、クローディアは精神分裂病に長年悩んできたことが明らかになっていく。ひとりの女性の苦悩から人間心理の複雑さを映し出す問題作。 -
高慢と偏見
まったく、なんて尊大で鼻持ちならない人なのかしら。エリザベス・ベネットは舞踏会で出会ったダーシーの高慢な態度に反感を抱いた。しかもわたしのことを~悪くはないが、あえて踊りたいと思うほどの美人ではない~と言うなんて。いくら大金持ちで地位が高くても、そんな男性はこちらから願いさげだわ。その後ダーシーから気のあるそぶりを見せられるが、エリザベスは決して応じようとはしなかった。そんなときハンサムな将校ウィッカムに出会い、引かれていく。そしてウィッカムからダーシーの悪評を聞き、ダーシーに対してますます反感を募らせるのだが……。 -
五番目のサリー
茶色の目と髪、いつも地味な服を着ているサリー・ポーターは、ニューヨークで働くごく平凡なウエイトレス。だが、彼女には人に言えない悩みがあった。子供のときから、ときどき記憶喪失におちいるのだ。それが原因で仕事も長続きしないし、結婚も破局をむかえてしまった。いまでは、愛する子供たちとも別れて暮らさざるをえない。サリーには知るよしもなかったが、彼女の心のなかにはあと四つの人格がすんでいたのだ…… -
書店主フィクリーのものがたり
かつては愛する妻と二人で売っていた。いつまでもそうすると思っていた。しかし、彼女は事故で逝き、いまはただ一人。ある日、所蔵していたエドガー・アラン・ポーの稀覯本が盗まれる。売れば大金になるはずだった財産の本が。もう、なにもない、自分にはなにも。それでもフィクリーは本を売る。そしてその日、書店の中にぽつんと置かれていたのは――いたいけな幼児の女の子だった。彼女の名前はマヤ。自分も一人、この子も一人。フィクリーは彼女を育てる決意をする。マヤを育てる手助けをしようと、島の人たちが書店にやってくる。婦人たちは頻繁にマヤの様子を見に訪れるし、あまり本を読まなかった警察署長も本を紹介してくれと気にかけて来てくれる。みなが本を読み、買い、語り合う。本好きになったマヤはすくすくと成長し…… -
世界の合言葉は森
森がどんどん消滅していく──植民惑星ニュー・タヒチでは、地球に木材を輸出するため、大規模な伐採作業が進められていた。利益優先の乱開発で、惑星の生態系は崩壊寸前。森を追われた原住種族アスシー人は、ついに地球人に牙をむいた! だが、圧倒的な軍事力を誇る地球人に、アスシー人の大集団も歯がたたない……二つの知的種族とその文明の衝突が生む悲劇を、神話的なモチーフをたくみに用いて描きあげるヒューゴー賞受賞の表題作ほか、辺境の植民惑星に生まれた一人の多感な少女の成長を静謐なタッチで綴る佳品「アオサギの眼」を併録。 -
ノーサンガー・アベイ
本作は、十七歳のキャサリンを主人公に、前半はファッショナブルな温泉保養地バースを舞台に、後半はグロスターシャ―の裕福な地主の家ノーサンガー・アベイに場所を移して、繰り広げられる。バースでは裕福な地主アレン夫妻や新興ブルジョアのソープ一家を中心に、社交場や遊歩道などを舞台に都市小説風の展開を見せ、ノーサンガーでは怪奇小説的要素を加えて、古い屋敷を舞台に、裕福な地主の生活ぶりを浮かびあがらせる。平凡なキャサリンが自分で判断のできる一人前の女性に成長していく過程がていねいに描かれるが、軽い喜劇的な気分にも満ちている。「高慢と偏見」「知性と感性」「エマ」「マンスフィールド・パーク」「説きふせられて」に継ぐ本作で、オースティンの全長編は完結する。 -
ノーサンガー僧院――恋と勘違いが、こんなにも愛おしい
近代イギリス長編小説の頂点とうたわれる ジェーン・オースティンの6作品のうち、 初期に執筆されたもの(出版は著者の没後となった)。 ゴシック小説の影響を受けた若い女性キャサリン・モーランドの成長物語で、 文学に熱中する自身の姿を投影し現実との違いを描いている → 夢見がちな女性への風刺を込めて。 当時人気を集めていたゴシック小説のパロディで、 主人公(ヒロイン)を中産階級出身の目立たない平凡な少女に設定し、 そのロマンチックな妄想・好奇心をさらけ出すことによって、 18世紀の小説の慣行をその冒頭から変えた。 「200年経っても色褪せない」とうたわれる天才作家の、執筆の原点となる名作。 オースティンの作品は、 すべて平凡な田舎の出来事を描いたものであり、 求めた題材の範囲は非常に狭く、 いずれも登場人物は名家の娘と牧師や軍人などの紳士で、 この男女が紆余曲折を経てめでたく結婚して終わる。 オースティンは「田舎に3、4の家庭があれば小説にもってこいの材料になる」、 と述べているが、そこでの人間の姿を徹底的に描き尽くし、 人間性の不変さを示し、心理写実主義の先駆ともされている。 一連の作品は、 英文学古典の一つとして高く評価されていて、 初級の講義から各国の学会での高度な研究に至るまで多くの大学でオースティンの作品が取り上げられている。 バースのゲイ・ストリートには現在、ジェーン・オースティン・センターがあり、様々な資料を展示する他、 研究・啓蒙活動が行われている。 「君の心の庭に忍耐を植えよ、その草は苦くともその実は甘い」は彼女の言葉である。 ※2016年以降に流通している10ポンド紙幣の肖像画に、 ジェーン・オースティンが採用されている。 ■著者 ジェーン・オースティン 英国南部ハンプシャー州生まれ。 18世紀から19世紀イングランドにおける田舎の中流社会を舞台として、 女性の私生活を結婚を中心に皮肉と愛情を込めて描き、 その作品は近代英国長編小説の頂点とみなされている。 また英語における自由間接話法(描出話法)の発達に大きく貢献したことでも知られる。 主要作品は、本書のほか『誇りと偏見』『エマ』『マンスフィールド荘園』『説得』『理性と感性』など。 -
始まりの場所
ヒューは最初、ただの森だと思った。アメリカの地方都市の郊外なら、どこにでもありそうなありふれた森……。だが、ここに来てさわやかな小川の流れに身を任せると、まるで心が洗われるような気がする。なんどか訪れるうちに、奇妙なことに気がついた。朝だろうが昼だろうがいつ来てもこの森は“たそがれ”の時間なのだ。しかもここへ来ると、いつも時計が止まってしまう……そんなある日、ヒューはそれまでだれ一人見かけず、自分だけの場所だと思っていたこの“始まりの場所”で一人の少女に出会った。その時は、やがて二人して、恐るべき冒険の旅に出ることになろうとは、思いもしなかったのだが……。SF界の女王アーシュラ・K・ル・グィンが“アナザー・カントリー”へとあなたを誘う、傑作ファンタジイ! -
フロス河の水車小屋
運命の激流、許されぬ恋、新訳決定版 19世紀半ば、セント・オグズの町はずれを流れるフロス河と、代々受け継がれてきた水車の周辺を庭にして、トムとマギーは育った。お転婆な妹を兄がからかい仲よく遊ぶ牧歌的な生活は、父がある裁判に負けたことから一変。マギーは質素な禁欲生活を送るようになるが、やがて兄の元学友で父の宿敵の息子フィリップや大好きな従妹の婚約者スティーヴンに出会ったことから、運命がさらに大きく動き出す……。 本書は、夏目漱石が読むべき英国女性作家に挙げ、プルーストやヴァージニア・ウルフなど後の欧米文学に大きな影響を与えた作家の、最も自伝的とされる作品である。マギーに投影される著者の膨大な教養は、既訳書では長い訳註つきで物語が分断される形で紹介されることが多かったが、本書では生き生きした描写、脚注なしでスムーズに読め、心に深く響く。激しく切ない愛の物語、新訳決定版。 -
分別と多感
19世紀のイギリス。知性と思慮深さを備え、自制心の強い姉エリナーは、控えめだが誠実な青年エドワードと静かな愛を育んでいた。一方、華やかな容貌と多感な性格を持ち合わせた妹マリアンは、10歳年上の実直なブランドン大佐から思いを寄せられていたが、散歩の途中で出会った若々しく情熱的な青年ウィロビーと恋に落ちる。やがて次々と発覚する意外な事実が、二組の恋人たちを波乱へと巻き込んでゆく。分別を持つがゆえに愛を抑えようするエリナーと、感情のままに愛をぶつけるマリアン。対照的な姉妹が互いを見守りながらたどり着いた愛と結婚の真理とは? -
誇りと偏見
誤解・妨害・障害を超えて恋を成就させる過程を丁寧に描き、 現在でも映画化・ドラマ化が引きもきらない人気作品。 『ブリジット・ジョーンズの日記』の元ネタとなった作品としても有名。 中流階級の次女エリザベスと、上流階級の紳士・ダーシー。 格の違いによるプライドと偏見が邪魔をして、 出会ったときにはお互いに反目しあった2人だが、 エリザベスの知性と快活さにダーシーは惹かれていく。 ■主な登場人物 ●ベネット家 ・ベネット氏(ハーフォードシァの地所邸宅ロングボード・ハウスの主) ・妻ベネット夫人 ・長女ジェーン(二十二歳。ベネット嬢) ・次女エリザベス(リジ―、エライザとも呼ばれる。二十歳。この小説の主人公) ・三女メァリー(読書好き。知識、芸事が自慢) ・四女キャサリン(キティ―とも呼ばれる。十七、八歳) ・五女リディア(十五、六歳) ●ルーカス家 ・サー・ウィリアム・ルーカス(受勲士(ナイト)、ルーカス・ロッジの主) ・妻ルーカス令夫人 ・長女シャーロット(二十七歳。ルーカス嬢。エリザベス・ベネットの親友) ・次女マライア その他、息子、娘が数人。 ●ビングリー家 ・チャールス・ビングリー(二十二歳。地所邸宅ネザフィールドの借り主。遺産十万ポンドを所有) ・ハース氏とルイーザ・ハースト夫人(ビングリーの姉夫婦) ・キャロライン・ビングリー(ビングリー嬢。ビングリーの妹。二万ポンドの持参金を持つ) ●ダーシー家 ・フィッツウィリアム・ダーシー(二十八歳。ダービシァのペンバリー荘園の主、年収一万ポンド。母(故人)は伯爵(故人)の上娘) ・ジョージアナ(十六歳。ダーシー嬢。ダーシーの妹) ・レノルズ夫人(ペンバリー荘園の女中頭) ・アンズリー夫人(ジョージアナの付添人) ・ヤング夫人(ジョージアナの元家庭教師兼付添人) ●デ・バーグ家 ・キャサリン・デ・バーグ令夫人(キャサリン令夫人。ロージンズ荘園の主。伯爵の下娘でアーシーの母方の叔母) ・アン・デ・バーグ(デ・バーグ嬢。キャサリン令夫人の娘。ダーシーの従妹) ・フィッツウィリアム大佐(現在の伯爵次男。三十〇歳くらい。キャサリン令夫人の甥。ダーシー、ジョージア、アンの従兄) ●コリンズ家 ・ウィリアム・コリンズ氏(二十五歳。ケント州ハンスフォードの牧師。ベネット氏の従弟、ロングボーンの後継者) ●著者 ジェーン・オースティン ●翻訳 パーカー敬子 -
ママは何でも知っている
毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。ママは“簡単な質問”をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件をいともたやすく解決してしまう。用いるのは世間一般の常識、人間心理を見抜く目、豊富な人生経験のみ。安楽椅子探偵ものの最高峰と称される〈ブロンクスのママ〉シリーズ、傑作短篇8篇を収録。 -
マンスフィールド・パーク
作者オースティンの作品は、すべて田舎に住む紳士階級の適齢期の娘たちの身の振り方を中心とし、それを取り巻く田舎の小世界の人間関係を題材としている。本作の主人公ファニー・プライスをめぐる物語もまったく同じである。彼女は伯母の嫁ぎ先のバートラム准男爵家に引き取られる。きびしい伯母の監視の目があるなか、ファニーはバートラム家の2人の兄弟と2人の姉妹、そこに顔を出す親友知人らとのさまざまな関係のなか日々を送る。ファニーはいつしか次男エドマンドに恋心をいだくようになったが……オースティンならではの皮肉とユーモアが光る代表作のひとつ。その世界では、「金のために結婚するのは愚かなことながら、金なしで結婚するのは、なお愚かなこと」(ある批評家の言)なのである。 -
理性と感性
200年前も恋する乙女たちは何かと大変でした 19世紀イングランドの田園を舞台に、 対照的な姉妹の恋と結婚への道を描く、 オースティン作品で最初に刊行された傑作。 オースティンの作品は、すべて平凡な田舎の出来事を描いたものであり、 求めた題材の範囲は非常に狭く、いずれも登場人物は名家の娘と牧師や軍人などの紳士で、 この男女が紆余曲折を経てめでたく結婚して終わる。 オースティンは「田舎に3、4の家庭があれば小説にもってこいの材料だ」、 と述べているが、そこでの人間の姿を徹底的に描き尽くしており、 人間性の不変さを示し、心理写実主義の先駆ともされている。 一連の作品は、 英文学古典の一つとして高く評価されていて、 初級の講義から各国の学会での高度な研究に至るまで多くの大学で オースティンの作品が取り上げられている。 バースのゲイ・ストリートには現在、ジェーン・オースティン・センターがあり、 様々な資料を展示する他、研究・啓蒙活動が行われている。 「君の心の庭に忍耐を植えよ、その草は苦くともその実は甘い」は彼女の言葉である。 *2016年以降に流通している10ポンド紙幣の肖像画に、ジェイン・オースティンが採用されている。 ■著者 オースティン,ジェーン(Austen,Jane) 1775-1817。英国南部ハンプシャー州生まれ。 18世紀から19世紀イングランドにおける田舎の中流社会を舞台として、 女性の私生活を結婚を中心に皮肉と愛情を込めて描き、 その作品は近代英国長編小説の頂点とみなされている。 また英語における自由間接話法(描出話法)の発達に大きく貢献したことでも知られる ■翻訳 パーカー敬子(パーカーケイコ) 1957年東京女子大学文学部英米文学科卒業、カナダに渡る。 1964年にトロント王立音楽院よりARCT (Associate of the Royal Conservatory of Toronto) の教師資格を得て、46年間音楽理論を主として教授。 2016年に同音楽院より第一回Teacher of Distinction賞を受賞。 1950年代後期よりジェーン・オースティン研究を始め、 1981年にJane Austen Society of North America(JASNA)に入会。 1998年よりバンクーバー近辺の日系シニアの為に「音楽の会」(コロナ禍で休会中)を、 また2011年からは「ジェーン・オースティンを英語で読む会」を主催、現在に至る (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
ロカノンの世界
全世界連盟から派遣されたフォーマルハウト第2惑星調査隊は、隊長のロカノンを残して全滅した。この惑星にひそむ連盟への反逆者が、調査隊を襲ったのだ。なんとかこの事実を母星に知らせようとするロカノンだったが、通信装置を破壊されてしまっていた。使用可能な装置は調査隊を攻撃した反逆者の手もとにしかない。ロカノンは、この星のヒューマノイド──風虎に乗り、空を翔けるアンギャール族の協力を得て、未踏の大陸の果てまでも反逆者を捜し求めるが…その後のル・グィンの物語世界の基調をなすSF界の女王の記念すべき長篇第1作!