蛭田亜紗子のレビュー一覧
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2020年、6冊目は、中一冊で蛭田亜紗子。
就活中の上原沙矢は、束の間の二人旅のために、恋人、宮澤拓真の住む北海道へ旅立つ。しかし、仕事に忙殺される拓真。結局沙矢は、石北本線で単身網走を目指す。途中、廃止が決まった金華駅で下車する沙矢。そこで常紋トンネルの歴史と、かつて網走にあった遊郭に興味を持つ。
コレまで読んできた蛭田亜紗子作品とは、テーマも、文体も、重みが違う。
メインパートは、大正期の娼妓、胡蝶(八重子)と、帝大生でありながら、タコ部屋で土工夫として働くことになってしまった、鱗太郎の話。
個人的に、胡蝶はじめ、網走の遊郭、「宝春桜」のパートが特に好き。流され生きてきたが、息子の -
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2020年、4冊目は追いかけてる作家の一人、蛭田亜紗子。
真嶋麻緒、32歳、未亡人。夫に先立たれ、自らも後を追おうとしている。首吊り用ロープを買いに来た手芸店で、「終末の洋裁教室」のポスターを見かける。それは死に装束を自作するための教室だった。
先に言っておきます。個人的には、これまで読んだ、蛭田亜紗子女史の作品では、ピカ一です。
荒んだ麻緒が立ち直る物語、とベタな展開になるコトは、簡単に想像出来る。それでも、「終末の洋裁教室」の他の生徒達の言動等々で、麻緒の心情が徐々に変化していく様が、文面にキチンと表れている。
「終末の洋裁教室」の小針講師のエピソードはちょっと手を広げ過ぎかな⁉️ -
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日々の発言に信頼のおけるフォロワーさんが絶賛していたのと、舞台が北海道だったこともあり、手に取ってみました。
遊郭、タコ部屋…タコ部屋はなんとなくあったんだろうなぁと想像ついてたけど、遊郭は最近まで北海道にもあったことを、歴史としても知らずにいて、これを機に調べてみたら、実は実家の通りにもあったことがわかって激しく驚き。
半分都市伝説みたいに、地元にもある「人柱」の件も、これを読むと現実味が増し。
激動の時代を生きた男たち女たちと、今を生きる男たち女たちが交差することで、いつの時代も生きるのは大変で、だからこそ生きなければ…みたいな、落としどころとしてはきれいにまとまっていて、かつ、描写 -
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蛭田亜紗子『凜』講談社文庫。
何となく『凛』というタイトルに惹かれて購入。最初は裏表紙に紹介されている内容と少し違うかなと思ったのだが、こういう構成なのかと納得。
上原沙矢の生きる平成から昭和、そして八重子の生きる大正と少しずつ遡り、北の大地で激動の時代を駆け抜けた逞しい女性の物語が描かれる。
八重子の壮絶な物語には、それなりに興味を覚えたのだが、平成時代の上原沙矢の物語は必要だったろうか。上原沙矢の物語があることで作品としての起承転結が曖昧になっているように感じた。また、八重子の時代に描かれる麟太郎の物語も読み終えると蛇足のように思えてしまう。
就職活動と卒業論文作成を控える大学生の -
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2017年、30冊目は、『自縄自縛の私』『人肌ショコラリキュール』以来、久々の蛭田亜紗子。連作短編6編+α。
今回はタイトルのみ
となりの芝生はピンク
お客さまの声はこちらまで
カフェ女につけ麺男
月下美人と斑入りのポトス
不肖の娘
愛を振り込む
私たちはきっと前進している
蛭田亜紗子作品では、今のところ、ベストと言ってイイだろう。
短編ながら、ソレなりの読み応え&展開、表現がある。ソコのトコは既読2作品以上と言える。各話それぞれ面白いし、納得の仕上がり。さらに、『地獄への道は善意で舗装されている』の一節でもぅ、☆☆☆☆★評価決まり。
コレも、官能期待すると、大外しします。おそらく、タ -
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蛭田さんの描くエロさのなかにある毒々しさがツボ。
たとえば一番初めの短編・あなたモドキ。元彼(実際はやり捨てされただけの元彼でも何でもない男)の顔に似ているからというだけの理由で付き合っている今彼。優しくて料理も上手い。そんな素敵な彼は実は裏の顔があって、超束縛男。束縛を表立ってすることはせず、彼女に高カロリーな食事を与え太らせ醜い姿にすることで誰にも近寄らせはしないという計画を企てているような腹黒男だったーーとか。
バイブに名前つけたりとか、いろいろシュールだったりするところが好き。
表紙がエッチすぎてカバーなしでは持ち歩けないね、、 -
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著者が、自分と年の近い同じ元広告代理店勤務の女性というところに惹かれてなんとなく購入。(わたしは現役ですが・・・)
フィクションだけど舞台が同じ業界だったりシンパシーはあるもののあくまで舞台設定の話。それより物語の本論は特殊な性癖を持つ人々の孤独と、自分の特殊性を後ろめたく思いながらも心の何処かで露呈されてしまうことを願う自己矛盾。スリリングであると同時に、その危うさにそこはかとなく、抑圧された社会の中で生きる人の強さを感じます。
オムニバス的R18短篇集。でも全然卑猥じゃない。むしろ特殊な嗜好性の向こうに、人の心の奥深くにある寂しさや誰かを求める気持ちの純粋さがあぶり出されるので読み終わ -
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スカイツリーを見上げる 下町の片隅に、ひっそりと 息づく商店街『 明日町こんぺいとう商店街』。シリーズの4作目です。金平糖の角は24個。24軒のお店が集まっていて、今回はその中から7軒のお店のハートフルなエピソードが収められています。
お店ごとに作家が交代するのがこのアンソロジーの特徴で、私は前川ほまれさんの描いた 5軒目の『インドカレー ママレード』が心に残りました。
2軒目の蛭田亜紗子さんの『ツルマキ履物店』の回はちょっとテイストが違い「あら?」と思いましたが、色々な作家さんを読めるのがこのシリーズの良さなので、こんなテイストもありだな、と思いました。
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