蛭田亜紗子のレビュー一覧
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蛭田亜紗子『共謀小説家』双葉文庫。
先に読んだ『凛』『エンディングドレス』がなかなか良かったので、気になる作家として心に止めていた。『共謀小説家』とは一体どういう小説なのか、興味深いタイトルである。
読んでみれば、明治時代の小説家をモデルにした不思議な夫婦関係を描いた文壇小説といった感じだった。小説家が創作することの難しさ、小説家として大成するために犠牲にする物の多さが描かれる。何とも言えない結末であった。
明治時代、小説家になることを夢見て、愛知県から上京した17歳の宮島冬子は小説家の尾形のもとで、女中をしながら執筆に励む。ある時、尾形の強引な誘いで、ただならぬ関係となった冬子は身籠っ -
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若くして夫に先立たれ死の準備をしていた麻緒。
たまたま手芸店でみつけた死装束を縫う「終末の洋裁教室」に通うようになって、生きる希望や自分を見つめ直し立て直していくストーリー
表紙が可愛くてジャケ買いしたけど、ずっとタイトルをウェディングドレスって空目してたのはここだけの話……笑
終末の洋裁教室では、エンディングドレスを縫う前に、20歳の時に好きだって服、15歳の時に憧れた服…など思い思いに服を作っていきます。
はじめは気の入らない麻緒でしたが、教室の生徒さんや先生、洋裁を通して自分の心の整理がつき生きる意志を持ち始めます。
夫の闘病後の死など重たい話もありますが、麻緒の周りの人々が明る -
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主人公は少し苦手なタイプだったけれども、周囲の人たちがすごく魅力的だったし、死装束を繕うことで、生きることを考え直すことになるのだなとしみじみ。
次々と出される『課題』に自分だったらどんな服と答えるだろうかと考えながら読み進めることもでき、なにかと学びの多い一冊。
何より帯のコメントが山本文緒さんで『人は生まれることも死ぬことも自分では選べないけれど、何を纏って生きるかは選択することができる』
この言葉がなによりも響いた。
2020年の発売の文庫だから、彼女がその時どんな状況でなにを思いながらこの言葉を書いたのかはわからないけれど、今は亡き彼女のこの言葉がより一層刺さる。
何を纏って生きて -
購入済み
読みやすい
女性だけでなく男性も読みやすい恋愛・官能短編集です。
また、ミステリーで見られるような、仕掛け(どんでん返し)ベースでストーリーを作っていると思われる話もあり、そういった所も読者を退屈させません。
一人称も三人称も上手く、筆者の技量の高さが窺えます。
難点としては、個性的なキャラクターが魅力的なのですが、同時に感情移入のしにくさに繋がっていることです。
総評は「比較的、人に薦めやすい官能小説」です笑
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある商店街の物語、第4弾。
戦後の焼跡に24軒集まって始まった商店街ということだったけれど、今では80軒近くの店があるという。
毎回、冒頭に地図が載っているけれど、その本に載っている短編のタイトルのお店だけなので、これは・・・あの物語のお店の場所なのだが・・・と迷ってしまう。
今回の桜さんのように、お店を出て歩きながら紹介してくれると、ふむふむ、川平金物店は、水沢文具店の向かって左隣なのだな?とわかって嬉しい。
今までに登場した、全部のお店が載った大きな地図が見たいなあ〜
老朽化した二階建てで、一階がお店で二階が住居という作りが多い。
看板も古い言葉で、若い -
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ネタバレ夫に病気で先立たれた女性が主人公のお話です。
本の冒頭は運転免許証や保健証の裏に記載されている
亡くなった後の臓器提供について選ぶシーンから物語が始まり、どんな物語だろうか?と興味を引かれました。
周りには元気なふりをしながらも、
仕事を辞め、住んでいた部屋では断捨離を始め、
自らも死ぬ準備をすすめます。
そんな中で出会ったのが「死に装束を縫う洋裁教室」の貼り紙、主人公は自分のエンディングドレスを作る為教室に通い始めます。
すぐにエンディングドレスを作るのではなく、
先生から課せられたテーマを通して、自分の人生を振り何着もの服を作り上げてゆきます。
洋裁教室に通う生徒達は、年齢も生い立ちも -
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夫が闘病の末亡くなり、32歳で未亡人となった麻緒。
深い悲しみと絶望のなか終活を始めるが、「終末の洋裁教室」に通ってみることに。
私は洋裁と聞くだけで拒絶反応してしまうが、「終末の洋裁教室」とは面白い。
ミシンが使えなくても大丈夫なら、覗いてみたい。
教室で出会う、どこか不思議で落ち着いた先生、それぞれが人生の物語をもつ3人のおばあさん達。
毎月の宿題で向き合う洋服と、それと切り離せない人生がなかなか面白い。
年が違えば生きてきた時代も違い、物語も違う。
涙ぐむような話から、応援したくなる話まで、人生って面白いなと思う。
自分だけが不幸で苦しいように感じてしまったり、そればかりではない
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