上橋菜穂子のレビュー一覧
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ネタバレ守り人シリーズ、3作目。
これまでの2作と違い、そんなに血生臭い感じはしない。バルサの槍も今回はそんなに活躍しない。
今回は、トロガイ師やタンダの生い立ちもわかってくる。
これまでよりもっともっと異質な世界の幻想的なお話。
正直なところ、私の想像力がついていかないところがあって、
何度も頭の中に疑問符が浮かび、「えっと、で、この人は、何だっけ?どんな役目?」と、何度も立ち止まってしまっては、やはりよくわからず読み進め、そんなことを繰り返しているうちに読み終わってしまった感じ。
夢に囚われて現実世界に魂が戻ってこない。そんな世界を描いているという捉え方は端的に言い過ぎだろうか。タンダは、夢の世 -
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ネタバレずっと気にはなっていたけれど、シリーズの多さに身構えてしまい、それとなく読むことを避けていた作品。でもついに、上橋さんの「鹿の王」と「狐笛・・・」を読んで、手を出すことになってしまった。私にとっても長い旅になりそう(笑)
端的に言って、素晴らしいファンタジーだった。これまで読んだ2作品よりも、よりファンタジーだったと私は思った。すごい世界観。圧倒的な世界観。この世界観とストーリー展開の完成度は言わずもがなだと思うけれど、物語の端々で人間の機微が巧みに表現されていたり、人間世界の真理をつく表現があったり、はっとさせられることが多かった。この世のものでないものの卵を勝手に宿され、運命に翻弄され -
購入済み
獣の奏者
子供の頃、アニメ版を見ていたのでいつか本も読んでみたいと思いながらなかなか読めずにいましたが、5冊合本版の電子書籍があると知り、即購入しました!
子供の頃に理解出来なかった事が理解できたり、
違う捉え方ができたりと、楽しく読ませていただきました。
中々また読みたい!と思える本に出会ったことはありませんが、獣の奏者は定期的に読み返したいです -
ネタバレ 購入済み
なんとなく読んでしまう小説です
上橋菜穂子さんの作品に慣れている方であれば面白く感じると思います。
主人公であるヴァンの虚無と悲哀から始まり、身内となりえる人たちとの交流。
そしてヴァンが各地をさすらう根幹となる、黒狼熱という病魔がどうして生じたのか…
誰も望んでいなかったのに、侵略と支配の歴史が人々に変革を求め、病魔が生まれてしまう偶然と必然。
タイトルの鹿の王も、分かりやすいヒロイズムに対してのアンチテーゼを問いかけている印象です。
物語の面白さという意味では、私は「精霊の守り人」や「獣の奏者」の方が好きです。
なので、上橋さんの作品に慣れていない方には本小説はあまりお勧め出来ないです。
ただ、その辺の表現 -
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蓑虫の雌の生態は、悲劇なのだろうか・・・。女性である上橋さんはふと考える。昆虫が4億年かけて選択したかたちが、あの生態なのだと考えたら?上橋さんにそう語りかける津田先生は優しい。
患者の看取りを重ねてきた津田先生と、向こう側とこちら側を考える上橋さん。なぜ人は死を恐れ、受け入れ難いのか。
答えのない会話を、往復書簡という形で応酬する。
それは対談よりも、もう少し考える時間がある。そして、相手の文章を何度も読み返して返事をかける。
それでも話が噛み合わなかったり、お互いの興味に流れたりして一貫性がないことも多かった。
それでも、ここには考える種が多く残っている。ラインをつけて、後からもう一度読ん -
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『守り人』シリーズや『鹿の王』の作者として知られる上橋菜穂子さんと、聖路加国際病院の医師である津田篤太郎さんとの往復書簡。上橋菜穂子ファンとしては、物語の背景となる作者の思想を知ることができる貴重な本です。
タイトルに「生と死を巡る対話」とあるように、人間の生と死や身体について、文学、医学はもちろん、生物学、文化人類学、社会学といった多様な視点から、二人が自由に語っています。織りなされる二人の対話の中から、ふと心に残る文章やフレーズが出てきて、自分の死生観が改めて問い直されるのを感じました。
特に、「人の心は生きたいと願う一方で、身体は時が来れば崩壊するよう促してくる。生まれた瞬間から、私 -
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2015年1月、上橋菜穂子さんの母親の肺ガン罹病がわかります。その後の数ヶ月間は、娘はありとあらゆる手立てを尽くしてかけがえなのない生命を救おうとしますが、80代の身体とは思えないほど進行は速く、半年ほどして彼女は絶望の縁に立ちます。その時に出会った漢方医学の津田医師との、お互い看護と治療をしながら、母親の最期を看取りながらの往復書簡の内容です。
テーマは必然「生と死を巡る対話」となりますが、お互いの教養の広さと深さを知った上での対話は、人類学から生物学を踏まえた哲学的思考、或いは古典音楽からAIの話題まで縦横に語られます。
わたしも、父親の死を看取ることで、その時は少したいへんでしたがそ