上橋菜穂子のレビュー一覧
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第三巻から単行本では還って行く者と題された後編に入る。東乎瑠帝国の侵略とアカファ王国の生き残りといった様相から各地に存続する民族、兵士たちの巻き返しと怒涛の展開をして行く中で、この物語は人間が如何に病気と闘って行くべきか、生命の存続をどのようにして守って行くのかといった壮大なテーマがあることに気付かされる。
文庫本になって四巻に分割されているが、それぞれのあとがきを読むことで、この物語を落ち着いて理解することの助けになっている。
さあ、バラバラの登場人物たちの関係性が見えてきた。様々な思惑のなかで別々に動いていた人達が一緒になろうとしてきたことも見えてきた。
行くぜ、最終章。
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Posted by ブクログ
戦士団の独角、貴重な岩塩鉱、人を乗せて運ぶ飛鹿。物語を作り上げるパーツは全て謎に包まれてはいるが、何だか魅力的だ。勇敢な戦士達の頭であったヴァンと天才的な医師のホッサルを中心にこのストーリーが展開していく。この未知の国の自然、歴史、文化、生活といったところが紹介されていく。まだまだ物語は四分の1しか見えていないから、感想なんか書けやしない。だがこの物語を読み進めていく時に、またこの章に戻ってくるような予感がする。わかりにくいとかではない、自分が最初に感じたことはどうだったのかを確かめずにはいられないような気がする。そんなあらゆる方向に広がっていく予感がする壮大なストーリーの幕開けの第一巻。
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Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんの新刊!と 触れ込み的な事なにも知らずに、調べもせずに読んだのですが…
はて…?少しお筆が後退されたか?あの『香君』の後に書いたとはおもえないか……と思いつつも 独特のつがい、という言葉を鍵に楽しく読み、物語の終わりへ吸い込まれた。
ラストは素晴らしく、妙に瑞々しい読後感だった。
ようやく最後に
ご自身のあとがき『眠りから覚めた物語』を読んで激しく納得‼️実は26,7年前に雑誌連載した作品だったそう。
まさに、長いながいあいだ 繭の中で守られてきた物語だったのですね……
自分の想像力を全力で起動させて花に吸い込まれてゆく神の蝶と闇の蝶、カタゼリムたちを映像化させながら読むこのファンタジーの醍醐味
そしてやっぱり登場人物や食べ物の名前のマニアックさが唯一無二!上橋さんでした。
イッキ読み
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Posted by ブクログ
ネタバレ非常に完成度の高い上質な物語で、とても楽しめました。少し長くなりますが、個人的に感じたことを書いてみたいと思います。
エリンは「獣ノ医術師」となる道を歩むようになりますが、彼女はなぜその選択をしたのでしょうか。母が闘蛇衆であったからでしょうか、それとも幼少期に見た野生の王獣の雄大さ神々しさに心惹かれたからでしょうか。どちらも違います。エリンは「この世に生きるものが、なぜ、このように在るのかを、知りたい」から、「獣について学ぶことは、きっと、自分が知りたいと思っていることにつながっているはずである」から、カザルム学舎の門を叩くこととなるのです。もちろん、その願いの根底には母ソヨンの死の影響があるのは言わずもがなです。
また、本作のボーイミーツガールとして、王獣リランとの出会いがあるのも忘れてはなりません。身体を負傷し、心にまで傷を負ったリランと向き合い、持ち前の知的好奇心によりその生態の解明をする中で、やがてエリンの願いは「野にうまれたものは、野に在るように」というものに変容していきます。それは物語の紆余曲折を経て、多くの柵に囚われることとなったエリン自身とその家族、夫であるイアルや息子のジェシが、自由にあるがまま生きることができない現実と重なっているのです。
そのような願いを持ったエリンですが、最終的に災いの扉を開き、多くの獣や兵士を死へと導いてしまった彼女を批判することは簡単です。ただ、個人的には、これまで秘されていた知識を明らかにし、「松明の火を、手渡していける人に」エリンがなれたことをこそ、評価したいと思います。知識の断絶を克服したこと、そして彼女の息子であるジェシこそが、「すべての平民が学べる高等学舎の設立」を企図したことは、大変に重要なことと思いました。それは「戦というものが、ひとりの英明な人の英雄的な行為で止められるものではない」からこそ、個々人が学び、考え、実践していかねばならないことだからです。これは全く同じことが、我々の現代社会にも言えるでしょう。知識や歴史は秘匿されるべきではないのです。
なにが言いたいのかよくわからなくなってきましたが、本作がただの児童向けの作品ではないとこは明らかです。もちろん、単にエンタメとして面白いことは間違いありません!