上橋菜穂子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ非常に完成度の高い上質な物語で、とても楽しめました。少し長くなりますが、個人的に感じたことを書いてみたいと思います。
エリンは「獣ノ医術師」となる道を歩むようになりますが、彼女はなぜその選択をしたのでしょうか。母が闘蛇衆であったからでしょうか、それとも幼少期に見た野生の王獣の雄大さ神々しさに心惹かれたからでしょうか。どちらも違います。エリンは「この世に生きるものが、なぜ、このように在るのかを、知りたい」から、「獣について学ぶことは、きっと、自分が知りたいと思っていることにつながっているはずである」から、カザルム学舎の門を叩くこととなるのです。もちろん、その願いの根底には母ソヨンの死の影響があるのは言わずもがなです。
また、本作のボーイミーツガールとして、王獣リランとの出会いがあるのも忘れてはなりません。身体を負傷し、心にまで傷を負ったリランと向き合い、持ち前の知的好奇心によりその生態の解明をする中で、やがてエリンの願いは「野にうまれたものは、野に在るように」というものに変容していきます。それは物語の紆余曲折を経て、多くの柵に囚われることとなったエリン自身とその家族、夫であるイアルや息子のジェシが、自由にあるがまま生きることができない現実と重なっているのです。
そのような願いを持ったエリンですが、最終的に災いの扉を開き、多くの獣や兵士を死へと導いてしまった彼女を批判することは簡単です。ただ、個人的には、これまで秘されていた知識を明らかにし、「松明の火を、手渡していける人に」エリンがなれたことをこそ、評価したいと思います。知識の断絶を克服したこと、そして彼女の息子であるジェシこそが、「すべての平民が学べる高等学舎の設立」を企図したことは、大変に重要なことと思いました。それは「戦というものが、ひとりの英明な人の英雄的な行為で止められるものではない」からこそ、個々人が学び、考え、実践していかねばならないことだからです。これは全く同じことが、我々の現代社会にも言えるでしょう。知識や歴史は秘匿されるべきではないのです。
なにが言いたいのかよくわからなくなってきましたが、本作がただの児童向けの作品ではないとこは明らかです。もちろん、単にエンタメとして面白いことは間違いありません!
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Posted by ブクログ
ネタバレ通勤時に読むため文庫版に切り替え。格段に読みやすくすいすい読めた。
バッタが出てきた瞬間の血の気の引く感じやばかった
ゴールデンカムイで蝗害の恐ろしさを知ってたから…??マシュウの父が見つかったとき服にもついてたみたいな表現を見て、史実で服さえ食らってくるバッタの恐ろしさが思い出された。
アイシャが自分の実行してることに対してなんでわかってくれないんだ、という考えから相手がわかってくれないってなんで思い込んでたんだろうと恥じ入るような気持ちになったシーン、すごく共感できるシーンだった。正しいことしてると信念を持って行動しているときほどこんな気持ちになるよね
アイシャがえらかったのは、そこからちゃんと相手とも対話しようとしたところ。相手のおじさんも大人だったね
「交渉するべきはまずは藩王だったんだ」と気づくシーンとか、新社会人のときの思い出にも通ずるところがある
政治的な動きもよく描写されてるなと感心しながら読んだ。そこまで複雑なことは書いてないんだけど、それでも現実社会にもありうる地政学や権力者のパワーバランス、帝国のリスクが落とし込まれてるなと思った。作者の方が世の中をどのように見ているのか気になった。
すごくいいところで終わったので続きが気になる
アイシャが困難を乗り越えてみんなと幸せを掴むことができる香君になれますように…… -
Posted by ブクログ
本編が個人的にちょっと消化不良な終わり方だったので、番外編どうかなーと不安を抱えながら読んだのですが、予想外に良かった…!
オタワル医術と清心教医術、ホッサルとミラルの身分違いの恋、どちらも本編で続きが気になっていたので、今回の話の中心となっていて嬉しい!
オタワル医術と清心教医術が完全に理解し合う日はまだまだ先、というかそんな日は訪れないのかもしれないけれど、ホッサルの言うように、無理に統合せず、お互いがお互いにとって思いがけなかった視点を持ち続けていたほうがいい、というのには同意。
オタワル医術と清心教医術、ホッサルやミラルが架け橋となってくれたらいいな。
ホッサルが意外とヘタレというか意気地なしで、同じ女性としてミラルに同情してしまうところはあったけれど、そんなホッサルのことも受け入れて上手くやっていけそうなくらい強くて懐が深くて、ミラルのかっこよさに痺れる。
こちらも明るい未来が見える終わり方で安心。
引き続き似たような名前の人物が多くて、あれ?この人はどんな人でどの立場の人だっけ?とちょこちょこ読み返したりもしましたが、本編より特殊な単語や国名が少なかったのでわりとすんなり読めました。
本編の主人公ヴァンについてや、あの疫病騒動についてなどは一切触れられていないので、ちょっと寂しい。 -
Posted by ブクログ
ヴァンとユナの久しぶりの再会、そしてついにホッサルとの邂逅!
ユナが拐われてからけっこうすぐ再会できると思っていたら、思ってたより時間がかかってヤキモキしていたのでホッとした。
久しぶりのユナ可愛い。
ヴァンとホッサルがこれからどういう関係になるのか気になる!
そして病の流行の理由も判明し、政治面のしがらみなども見えてきた。
今まで氏族を追いやり土地や生活を奪っている侵略者だと思っていた東乎瑠が実は政治や経済面を整えている一面があることも知り、東乎瑠も、氏族も、アカファもそれぞれの正義の元に動いているために事態が複雑になっているんだなと。
病の流行は止められるのか、薬は完成するのか、政治面のしがらみはどうなるのか、気になることがいっぱいです。
最終巻でどういう終わり方をするのか、すごく楽しみ! -
Posted by ブクログ
1巻より本格的に物語が動き出し、病は自然発生なのか?人為的なものなのか?
人為的なのだとしたら、一体誰がなんのために?と、謎が謎を呼ぶ展開に。
ファンタジーと医療に加えて、ミステリー要素っぽいのも加わってきた。
いまだに特殊な造語には慣れないのだけど、だんだん氏族同士の繋がりや力関係とか、地形などが把握できてきて、話に没頭できるようになってきた。
ただ、黒狼だったり山犬(オッサム)だったり、黒狼と山犬を掛け合わせた半仔(ロチャイ)だったり、きっと重要なんだろうけど似たような動物が多いのと、読み方の難しさも相まって正直雰囲気でふわっと読んでしまってるところもあります…笑
ヴァン&ユナも、ホッサル&マコウカンも、どうなっちゃうの?!というところで終わるので、引き続き3巻も読み進めます!