上橋菜穂子のレビュー一覧
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読み終わってしまった… ひとつの物語に幕が下りた。
喪失感がすごい… そしてその圧倒的なスケールから齎されるインパクトは暫く消えることはなさそう。
最後にきっとヴァンたちは再会できたと信じてる。
この仕事をしていて、医術師のように病気に魅了されるといったことはあまり経験はないが、それでも病は奥深いなと感じることがある。
ちょっと変わった患者と関わると、病がこのような人となりにさせるのかこのような人となりだから病に罹ってしまうのかと考えることがある。
この感覚は現実であろうとファンタジーの中であろうと感じるものなんだと思うととても面白く感じる。
良い作品だった…
感染症は怖いぞ!! 耐性菌ヤバい!! -
Posted by ブクログ
ネタバレある帝国の食を支えるのは穀物のオアレ稲。そのオアレ稲に虫がつき不作に。その問題の解決を試みるのは香りを通して植物の声を聞く能力を持っているアイシャ。植物との対話を重ねある策を実行に移すもどうにも時間がかかる。その時仲間と共に虫に負けない奇跡の稲を見つける。その稲でいっときは帝国を救うものの新たな災いがアイシャたちを襲う。目先の利益ばかりを追う役人に翻弄された帝国の行方はいかに。信仰、権力闘争、食糧が複雑に絡む壮大なファンタジー小説。
自分にとって初めてのファンタジー小説。最初はどういう舞台設定でどんな展開になるのか想像できず離脱しそうになった。けれどもオアレ稲を巡る災いが発生し始めてからの展開は早くワクワクするものがあり、文字通りページを捲る手が止まらなかった。1巻に1週間以上かかったのに3,4巻は2日で読み切った。 -
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ネタバレ上橋菜穂子さんの世界観はやっぱり好きだ!
小夜の純粋さ、野火の一途さ、人間の欲望と怨みが絡まった世界観。本当に良い塩梅で組み合わさっていて素敵な一冊。小夜と野火の互いを想い合う気持ちが美しすぎて涙腺にくる。傷を負って、霊的な障壁を破った痛みを堪えながら小夜を守る野火の愛が堪らない。傷を舐めてるのを想像したらちょっと可愛い。
玉緒さんがまた良いキャラしてて好きだった。敵だけど敵じゃない、サッパリしてる姉御。
風景描写がこれまた素敵。山間の昔ながらの風景と神秘的な森が脳裏に浮かぶ。上橋菜穂子さんの小説に出てくるご飯は文字だけで美味しそうに思える。食べてみたい。
ラストシーンは野火の夢(小夜と同じ種族でいたい&子どもを育てる)が叶ってて良かった。天涯孤独だった小夜も、もう一人じゃなくなって幸せそうに思えた。 -
Posted by ブクログ
上橋直子氏の『狐笛のかなた』は、人の心が聴こえてしまう「聞き耳」の力を持つ少女・小夜(さよ)と、人間に追われ傷ついていたところを彼女に救われた霊狐・野火(のび)が紡ぐ、切なくも美しい和風ファンタジーの傑作である。
本作の最大の魅力は、隣り合う国の陰謀や「使い魔」を操る呪術合戦といった重厚な世界観の中で描かれる、言葉を超えた命の繋がりだ。本来であれば相容れない「人間」と「霊狐」という異種の存在が、過酷な運命に巻き込まれながらも、互いを命がけで庇い合う姿が心を揺さぶる。
特に、使い魔との凄惨な戦いの中で、自らの体を傷つけ、力を削ぎ落としながらも人の形をとって小夜を守ろうとする野火の覚悟と献身は胸を打つ。ハッピーエンドという言葉だけでは括れない、痛みを伴う代償があるからこそ、二人が辿り着く結末には圧倒的な重みと感動が宿っている。
『精霊の守り人』や『獣の奏者』で知られる上橋作品ならではの緻密な自然描写と人物造形が見事に結実した一作であり、大人にこそ読んでほしい至高の物語である。