上橋菜穂子のレビュー一覧

  • 香君4 遥かな道

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    やっぱり王の物語って面白いよな~
    アイシャは香君として生きる星のもとに生まれてきて、そこにはやはり王の気質が備わっている必然性がある。食糧問題と政治、信仰心により生まれる人々の暮らしぶりと命のうねりみたいなものを感じられた。著者あとがきにもあったけど、この世界は知らないものがあまりにも多く、植物も昆虫も人も全てが命の連鎖の中に繋がっていること。それを無視しては生きていけないこと。今の時代だからこそ刺さるものがあった。ハガレンでも言ってた「一は全 全は一」を思い出す。

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    2025年12月21日
  • 香君1 西から来た少女

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    上橋菜穂子氏の新作長編ファンタジー。
    香りで万象を捉える「香君」が影響力をもつ国と勇敢な一人の少女の物語。

    国と文化と歴史が緻密な上橋ファンタジーの今回の題材は作物と蝗害。

    国の豊かさに直結する作物に関して深堀った本作は上橋ワールドの相性は抜群。

    魅力的だかどこか不気味なオアレ稲を巡って国内の政から周辺国との国交、さらには未開の地の未知の生物まで拡張されていき、次々と展開が進んでいく構造は見事、この没頭感が上橋作品の一つの大きな魅力に思えます。

    登場人物も言わずもがな魅力的、目的は明確かつ同じであるにも関わらず、それに対する手段や考え方は人や立場によって異なるという部分を、国の歴史や背

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    2025年12月20日
  • 鹿の王 1

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    ちょうど5年前の今ごろ、冬っぽい本がほしい!と買っていた鹿の王。積んだねー5年は。

    ハァ、それにしても読むの楽しすぎてため息がでる。こちらのお話には、鹿、飛ぶ鹿、なんか自我を持ってそうな黒い狼が出てきます。繊細でうつくしい自然描写がすてき。世界観にも、人間の身勝手さにも、気になる続きにも、ワクワクが止まらん。

    ファンタビに跪く麒麟が出てきた時の興奮、味わえるのは日本に生まれたから。日本の上質なファンタジーを楽しめる自分で生まれてきてくれてありがとう。
    自然も、物語も大切にして生きたい。


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    2025年12月17日
  • 鹿の王 1

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    ワクワクドキドキのファンタジー小説でした!
    出てくる人みんな生き様がカッコ良いし尊敬します!
    孤独なヴァンと赤子のユナのやりとりが読んでいて心を温かくさせてくれました。

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    2025年12月14日
  • 狐笛のかなた

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    和風のファンタジー作品です。

    主人公小夜は確かに不思議な力を持っていますが、それ以上に本人の健気な姿勢や優しさ、勇気が状況を変えていきます。
    領土争いや大人の思惑はありますが、純粋な気持ちで動かしていく姿が素敵だと思いました。
    和風のファンタジーなので、どこか懐かしさを感じさせます。

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    2025年12月13日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

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    久しぶりの上橋菜穂子さんの作品!!
    やっぱりすごいですね。
    ファンタジーってその世界観を理解して入り込むまでに時間がかかるのですが、
    上橋さんの作品はスッと入り込める。
    登場人物が巻頭にまとめて書かれているのも助かります。(よく見返すw)

    あと、物語の展開が速くてぐんぐん読めちゃいます。
    闘蛇編はエリンと母親の話~ジョウンとの出会い、別れのシーンまで。
    壮絶な物語ですが、この先どんな風に物語が進んでいくのか楽しみです。

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    2025年12月11日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

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    上橋菜穂子氏のアニメ化もされたファンタジー作品。
    二種の獣とそれぞれを用いる二国、それに巻き込まれる一人の少女の物語。

    上橋菜穂子氏のファンタジー、もう言いたいことは分かりますね?そうです、傑作です。

    圧倒的情報量による緻密な地理・政治設定はそのまま、今作は生き物の生態と歴史を語る側面もあり興味深く、面白いです。

    ただのファンタジックなビーストとして語られがちな創作生物ですが、それを学術的視点から紐解いていくところまで想定して創られたもののリアリティたるや…!

    目を瞑れば生命力に満ちた闘蛇と王獣が動く姿がありありと浮かんでくるほどです。

    本編の構成もとてつもなく素晴らしく好き…

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    2025年12月06日
  • 狐笛のかなた

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    ネタバレ

    元が児童書だと思えない大人でも楽しめる呪いに纏わる少女「小夜」が生まれゆえに巻き込まれた人生劇。12歳の時犬に追われる子狐を助けたことにより運命が変わり始めるその子狐はこの世と神の世のあわいに棲む霊狐「野火」だったそうしてお屋敷に閉じ込められている少年小春丸との交流。果たして小夜はどのような結末を迎えるか。自分の出自を知り小春丸を助けたいと思った小夜。だけど敵組織に使役されている小夜に惚れている野火がいてという恋愛模様だがあらすじを全く読んでいなかったためてっきり小春丸とくっつくと思っていたら最初から結ばれぬ恋見ているだけでいいと言っていた野火が大活躍を繰り広げ自分の命がどうなってもいいと野火

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    2025年12月01日
  • 獣の奏者 II王獣編

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    最初は本編で完結していたのか!
    人間と獣の超えられない壁について、まざまざと描き綴られる。動物を“獣”と表したところにも、そういった弱肉強食の合理的な恐ろしさが言い含められているのかな。
    そんな獣と心を通わせたい少女エリンと、彼女を取り巻く政界の思惑とが交錯していくような人生譚。
    これから3巻目の『探求編』へ。

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    2025年12月01日
  • 香君1 西から来た少女

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    最初の数ページでグイッと物語に引き込まれた。
    そしてそのまま勢いで最後まで読んでしまった。
    ド派手な演出はないけれど、どんどん伏線が張られていく感じがたまらない。
    最近わくわくしてない人にオススメしたいファンタジー。
    2巻は既に買ってある。

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    2025年11月26日
  • 香君4 遥かな道

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    ネタバレ

    一度は静まったはずの天炉のバッタ。
    けれど物語は、まるで風が巻き戻るように、
    再び羽音が空を覆うところから始まりました。
    この巻があるということは、きっとまだ世界には揺らぎが残っている――
    そんな予感を胸の奥で鳴らしながら、私はページを開きました。

    バッタたちは、生き抜くために、より大きく、より強く変わっていた。
    その変化を知ったアイシャは、御前会議で
    「国中のオアレ稲を焼くべきだ」と進言します。
    それを実行できるのは、皇帝か香君の言葉だけ。
    オリエとマシュウは策をめぐらせ、
    香君としての言葉が民に届く場を用意しようとします。

    しかしその思いを察したイール・カシュガは、
    オリエに毒を盛ると

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    2025年11月24日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

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    たぶん読むのは人生で3回目くらいだが、上橋菜穂子作品の中でやはりダントツに面白い。精霊の守り人シリーズも傑作だが、主人公と舞台が移り変わる複雑さがないぶん読みやすい。結末を知っているとどこが悲劇の分岐だったのだろうと、想いを馳せながら読めるのも良い。

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    2025年11月17日
  • 香君3 遥かな道

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    ネタバレ

    「なにか呼んでいる、遥か遠いものを」
    その帯を目にした瞬間、胸の奥で小さな気配が動きました。
    ――呼ばれてはならないものが、呼び出されてしまうのだ、と。

    ミリアに攫われたアイシャたちが見た、
    海辺で風に揺れるオアレ稲。
    本来そこにあるはずのない生命の姿。
    そして、〈絶対の下限〉を越えて育てられた稲が放つ、
    「来て」と囁くような気配。
    応じる生き物のいないその声は、
    ひどく静かで、どこか不吉でした。

    やがて見えてきた“救いの稲”という名。
    政治のために掲げられた旗のようなその言葉の下、
    遠い異郷からマシュウの父が戻る知らせが届きます。
    そこで出会ったのは、マシュウに似た男と、
    空気をざわめか

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    2025年11月14日
  • 鹿の王 1

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     その壮大にして芳醇な世界観に、まさにこれが小説と評すべき一冊であろう。
     例えば「東乎瑠(ツオル)」「飛鹿(ピユイカ)」などなど、この呼び方からして何処からその発想を得たのか、これほどの世界観を創り出せることに驚嘆の一言である。
     著者の上橋菜穂子さんは文化人類学専攻で、アボリジニーの研究者とのことなので、そういった民族的な言語を活かし物語に深みを出しているのかなど、勝手な想像をしてしまう。
     岩塩鉱で奴隷となっていた主人公ヴァンに対して、まるで意思があり、動物の如く襲来した「黒狼熱(ミツツアル)」という感染病に次々と人々が死にゆく姿は、まるで少し下火とはなったものの、今でも脅威でもあるコロ

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    2025年11月12日
  • 香君2 西から来た少女

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    ネタバレ

    「香君は、③と④は違うサブタイトルなのに、どうして①と②はどちらも『西から来た少女』なのだろう。」
    そんな小さな疑問を胸に、私は本を手に取った。
    読めばきっとわかるのだろうと、想いを馳せながらページをめくる。

    物語は、オリエが本当の香君ではないことをアイシャが知る場面から始まる。
    マシュウの計画、オアレ稲の秘密、香りを感じる力――
    その一つひとつが、アイシャの出自の謎へと繋がっていく。
    やがて彼女は、初代香君もまた西から来たのだと知り、
    その血の流れと、自らの歩む道とが交差していることを悟る。

    マシュウたちとともに、人々を飢えから救うために動き出したアイシャは、
    祈願の鳩の占い師として、山

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    2025年11月10日
  • 獣の奏者 外伝 刹那

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    獣の奏者外伝。エリンとイアルの馴れ初めやエサル師の若い頃の話などを含む4篇が収録された短編集。エリンがどのような気持ちでジェシを産むこと決めたのか、そんな葛藤が心に響きました。またエサルの少女時代の恋愛が切なく、彼女の決意に感動した。ストーリーは前巻で完結済みだが、キャラクターの人物像の深掘りによって、より獣の奏者が好きになれます。

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    2025年11月10日
  • 香君1 西から来た少女

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    ネタバレ

    この本を初めて手に取ったのは、まだ単行本で出版されたばかりの頃だった。
    けれど、そのとき私は買わなかった。
    当時の私は「本を買う」という行為に満足してしまっていて、
    その先にある「読む喜び」を見失っていたからだ。
    だからこそ、上橋菜穂子さんの本をそんな自分の手で扱うことが、
    どこか申し訳なく思えたのだと思う。

    あれから数年がたち、
    もう一度「物語」に触れたいという想いが静かに胸に芽生えた。
    そのとき自然と思い出したのが、この『香君』だった。

    ――物語の幕開けは、追われる少女の姿から始まる。
    アイシャ。旧藩王の血筋を理由に命を狙われ、捕らえられた少女。
    彼女を救ったのは、利用価値を見出した男

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    2025年11月08日
  • 獣の奏者 II王獣編

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    王獣を人に慣れさせてはいけないという決まり。
    純粋にリランのことを愛して育てていたのに、政治的な利用をされそうになったり、王獣の本能に恐怖を抱いたり、エリンの思うままにはできない理不尽さ。
    政治が絡んだり、過去のことが絡んできたりで世界観がすごくてより面白くなってきた。
    最初の闘蛇の謎の死とか、王獣規範のこととか、解き明かされていくのが楽しみ

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    2025年11月06日
  • 狐笛のかなた

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    兄にとってのベストオブ・ファンタジーが「2分間の冒険」なら私にとってのベストはこの本「狐笛のかなた」
    繰り返し読んできたお気に入りの一冊だ。

    世界観の描写が自然の細部まで繊細に表現され、呪いと憎しみが渦巻く物語なのに、出てくる風景はどこか柔らかく、美しい。

    命を救われた時小夜の温かさを胸に、一途に小夜を見守り続けてきた野火と、その想いに触れ、野火を守りたい小夜。
    見返りも求めずに、ただ小夜を守りたいと命をかける野火の姿に本当に切なくなる。
    そして覚悟を決め、迷いが消えたの野火の端々に出てくる、小夜と居る時だけの年齢相応の表情や所作にキュンとくる。

    誰しもにとって完璧なハッピーエンドではな

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    2025年11月03日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

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    星5じゃたりない。
    大好きな友達が勧めてくれた本、とっっっっても素敵で大好きな本になりました。記憶なくして何度でも読みたい。
    上橋さんの造る文章の全てが綺麗で素敵!

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    2025年10月31日