あらすじ
小夜は12歳。人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の〈あわい〉に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる……愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。※新潮文庫に掲載の〈「児童文学」という魔法 宮部みゆき〉は、電子版には収録しておりません。
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元が児童書だと思えない大人でも楽しめる呪いに纏わる少女「小夜」が生まれゆえに巻き込まれた人生劇。12歳の時犬に追われる子狐を助けたことにより運命が変わり始めるその子狐はこの世と神の世のあわいに棲む霊狐「野火」だったそうしてお屋敷に閉じ込められている少年小春丸との交流。果たして小夜はどのような結末を迎えるか。自分の出自を知り小春丸を助けたいと思った小夜。だけど敵組織に使役されている小夜に惚れている野火がいてという恋愛模様だがあらすじを全く読んでいなかったためてっきり小春丸とくっつくと思っていたら最初から結ばれぬ恋見ているだけでいいと言っていた野火が大活躍を繰り広げ自分の命がどうなってもいいと野火は小夜を守り通し最終的に小夜が人間をやめ人外となり異種族婚の話として終わる。呪術と政敵争いの政治や少女の淡い恋や野火による異種族からの恋心だが敵通しであったというみんなが好きな物詰め合わせセットで最終的に綺麗によく終わらせられたなと感心するレベルでありこの大がかりなテーマを上手くまとめたこの物語に賞賛を送りたい。そうして児童書の賞を当時見事に取っているからみんな楽しんでいる物を私も楽しめた喜びがある
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兄にとってのベストオブ・ファンタジーが「2分間の冒険」なら私にとってのベストはこの本「狐笛のかなた」
繰り返し読んできたお気に入りの一冊だ。
世界観の描写が自然の細部まで繊細に表現され、呪いと憎しみが渦巻く物語なのに、出てくる風景はどこか柔らかく、美しい。
命を救われた時小夜の温かさを胸に、一途に小夜を見守り続けてきた野火と、その想いに触れ、野火を守りたい小夜。
見返りも求めずに、ただ小夜を守りたいと命をかける野火の姿に本当に切なくなる。
そして覚悟を決め、迷いが消えたの野火の端々に出てくる、小夜と居る時だけの年齢相応の表情や所作にキュンとくる。
誰しもにとって完璧なハッピーエンドではないが、「共に生きる」二人だけの道を見つけた野火と小夜が長く幸せに生きていければいいと思う。
愛し、慈しむことの美しさと切なさに溢れる、この本が大好きだ。
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和製ファンタジー 今作は日本っぽさが強くて、すごく好き
上橋菜穂子作品にしては短いけれど、それでもかなり、作品の世界に引き込まれる
児童文学なので、誰にでも読みやすいと思う
子どもたちみんなに読んでもらいたいな
感動ストーリー
今まで小説を読んで泣くことはなかったですが、ラストにかけてボロボロ泣きました…小夜と小春丸の友情、小夜と野火の友情、恋愛感情を超えた魂の繋がり、残酷な宿命に立ち向かう人々が本当に涙をそそってきました。自分にはありえない話なのにこんなに感情移入できたのが自分の中で新しい発見で好きな小説に入りました!
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上橋菜穂子ファンとしては、面白くて読み応えがある作品でした。子供たちに読んでほしい物語。日本の懐かしい風景を感じとり、物語の世界を楽しむことができた。
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何度目かわからないけど、また読んだ。
小夜と野火の純愛に胸打たれる。
何度読んでも、読み出したら止まらなくなる上橋作品。初めて読むかのように話に惹き込まれ、また一気読みです。ホント大好き!
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久しぶりに読んだが、期間を空けて読んでも本当に面白く、上橋菜穂子さんの描く「なつかしい場所」が好きだなぁと思う。
優しくて芯が強くて正直な小夜も、主を裏切ったら死ぬと分かっていて小夜と小春丸を守ろうとした野火もとても好きだ。
若桜野がどちらの国にも水を運ぶようになったのも、小夜が戦いの道具にされなかったのも、本当によかった。
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物語に引き込まれて読み進めました!
どなたかのコメントにあった、宮崎駿監督で映画化して欲しい、と。本当にそう思います。
児童文学となってましたが、大人でもすごく楽しめました。
娘にもいつか読んで欲しいし、二度三度と再読したい作品です!
久々に大満足の読後感でした♪
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小学生の自分が1番好きだった本。
追われるようにページをめくって、胸が高鳴った幼い日々を、今もよく覚えている。
10年以上ぶりに読み返すことには勇気を要したけれど、全くの杞憂だった。
なんなら、上橋菜穂子さんの描くファンタジーが、児童文学の域を保ちつつ、広がる世界の広さが想像力の限界を試しに来る、この心地の良さが今も自分の中にあることを再確認しただけ。それだけで、涙が出るくらい嬉しかった。
なんて優しくてあたたかくて、切ない気持ちに
させてくれるお話なのだろう。
ともすればややこしい領地争いや人間関係を、易しすぎる言葉も使わずにこれ程上手く伝えられるのは、もう本当に上橋先生ならではだと思う。
すごいのが、各登場人物の心の中に読者をすっと引き入れてくださる力。
小夜の、野火の、玉緒の想いに胸がいっぱいになりました。
そして鈴と火縄坊。決して登場時間が長くないキャラクターに、これほど心惹かれることもそうない。上橋先生が描くキャラクターには、魂が吹き込まれてでもいるのかしら。
1クールでアニメ化するのにぴったりすぎる設定と分量なのに、調べたら舞台化しかしていなかった。うーん!逆に舞台だとこの切なさが伝わらないような気がするけれど、、?
書きながら思い至ったのですが、私が異種族間の恋愛が好きなのは、このお話が起点なのかも。
ロード・オブ・ザ・リングのアラゴルンなど、、、。
いつ読んでもこの作品が好きだと言えるように、自分の心を大切にして、日々を過ごしていけますように。
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1ページ目から面白い。そのまま夢中で一気読み。
鹿の王、香君、守り人シリーズと読んできたけど、どれも大好きだけど、負けず劣らず本作も凄く良かった。なんで今まで読まなかったんだろう。もし上橋作品読んだ事無い人がいたら、まずこの作品を薦めることにする。
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買った覚えがないけど家にあった。
初めての作家さん。
児童文学、ファンタジー系の作家さんらしく。
面白かった!
霊狐だったり、心が読めたり、中国のフュージョン時代劇な感じ。ドラマ化して欲しい!
小夜と野火がせつないけど、ハッピーエンドで良かった。
結末は満足だけど、続編も期待してしまう名残があるし、小春丸ももっと見たい。
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上橋菜穂子さんの世界は初めてです
野間児童文芸賞受賞作品
これは児童対象だけでは終わらない、大人でも充分過ぎる程楽しめる和製ファンタジー、そして純愛物語だと思います
古き日本が舞台の郷愁を誘う世界観
豊かな自然と美しい風景描写
狐や天狗の和テイストが不思議な世界へ、そして何処か子供の頃へタイムスリップしたような懐かしい感覚を取り戻してくれました
<聞き耳>の才をもった12歳の少女・小夜
怪我をした一匹の霊狐・野火を助けたことからこの物語が始まります
やがて、隣合うニ国の争いに巻き込まれていきます
小夜を一途に想い、命懸けで守る野火
野火を信じる真っ直ぐな小夜
二人の孤独で健気な燃え上がる愛を中心に物語は展開していきます
想像していたエンディングとははるかに違い、何かもの寂しい感覚でありました
小夜が選んだ生き方に彼女の温かさを感じたとともに、若干12才の少女が選んだ道だと思うと胸が痛くなる思いでした
そして、ラストにこの展開を持って来る作者の発想に脱帽しました
いつの間にか野火に気持ちを持っていかれ、読み終わって半日経った今も、野火(狐)の日向の匂いがしそうなうなじの毛並みの絵面が、脳内の50%程占めています 笑
次は何を読もうかな
Posted by ブクログ
ファンタジーと分かって読み始めても、通勤電車の中でさえ、その景色が見えてくるくらい夢中になり、何度も自分がどの駅にいるのか分からなくなった。誰かを想う気持ちが強いとこんな事も起きるんだ、と悲しいのか嬉しいのかも分からなくなった。
だけど、2人にとっては良かったんだな、と思えた。
Posted by ブクログ
おすすめされたため読んでみた。
呪者の使い魔である霊狐の野火と、人の心の声が聞こえてしまう小夜が、2つの国の争いに巻き込まれながらも、憎しみからの自由を勝ち取る物語。
この作品は児童書として有名らしいが、恨み合い無益な争いを続けることが悲劇を生んでしまうことを、大人である自分も学びを受けた。
どこかノスタルジックな雰囲気もある作品。
最後はとても心温まる締めくくりで、心地よい読後感を味わいました。
種
種を超えた愛。
読み進めるうちにいつの間にか,野火の恋が実るよう祈っていた。
悲劇的な結末にならなくて本当に良かった。
怨みを乗り越えて未来へと歩むことの難しさと大切さを痛感した。
Posted by ブクログ
再読
巨大なファンタジー群を持つ上橋さんには珍しく独立した和風ファンタジー。
けれどいかにも上橋さんらしい、大きな存在(国家間の争いとか)に翻弄される主人公たちが、なにを選び、どう生きていくかを描いた物語。
ラノベ脳的には途中、小夜と野火と小春丸との三角関係になるのかなと思うのだけどそんなことはなく(^^)、
これは小夜と野火の純愛物語なのだ。
自分を捨ててでも相手を助けたい。その想いは、終始物語の底に佇む暗い死のイメージの中でひと光の輝きを放っている。
ラストがまたいかにも上橋さんらしい。
手放しのハッピーエンドでもなく、かと言ってバッドエンドでもない。
幸せの中にある彼女らを見る時、読者もまた癒やされるのだ。
Posted by ブクログ
何作目かの上橋作品。
これまでの作品がどれも優しく良質であったので、もうフラットな心では手に取ることが出来ない。どうしても面白い作品を期待してしまう。
この作品も読み始めからしっかり心を掴んでくる内容になっている。
多くの上橋作品の根底に共通する世界観(穏やかで自然豊かな非西洋(アジア・オセアニアやアメリカ)の中世風な世界)を持ちながら、それぞれが独特の個性を持ち魅力的な世界。
優しく、時に強く、親しみやすいのにこちらも個性的で引き込まれる(そしてイライラしない!)キャラクター達。
Posted by ブクログ
風景や状況などの表し方が本当に美しい。
最近ミステリを読むことが多かったけど、やっぱりファンタジーは没入度がすごい。
また、上橋さんの作品に触れ、心が綺麗になった気がした…
登場人物では玉緒が好き。
血の通ってないような冷血なイメージから、野火と小夜を助けてくれる優しさのギャップがたまらなかった。
あと、野火と小夜のやり取りは優しくて、愛おしかった。
あとがきに、心の底にある風景が紡ぎ出す何かを描きたかったとあった。
それで小説が完成するんだから…次元が違う…
切ない恋のお話しと聞いていたのでハッピーエンドでは無いと思っていたら、まさかのハッピーエンド。
心が温まった。
大切に取っておきたい一冊です。
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「呪い」の呪縛を解くことができるのででしょうか。生まれ落ちて、すぐに使い魔とされた霊狐・野火。主の元での生活以外を知らないで育った。早くに親を亡くし、産婆とともに村の外れで暮らす少女・小夜。母親から異能を受け継いでいる。
小夜は、怪我をした野火を偶然助けたことで、二人の運命は重なり始める。
日本の山村風景、生活、日本の文化を織り込んでのファンタジー。
彼らは、領土を巡る地権争いに巻き込まれていく。決して、犯行できない主従関係をふたりの未来のために、呪いを解く術を探す。
もう少し読みたいぐらいのボリューム感。野間児童文芸賞受賞作。児童文学としてジャストサイズなのだと思います。母親を思う心、友情、愛情、誰かを守るために戦い抜く意思。ハリーも指輪も良いけれど、和風ファンタジーもお勧めしたい。
作中に、神の世とこの世の境界的な場所として「あわい」が登場してきます。このふたりの避難場所にもなるのですが、最近はあまり聞かなくなった言葉です。間というより、少し重なっているというような。昔、赤ちゃんをおぶって、包むものをあわいと言った様な覚えがあるのだけど、方言だったのか調べてもわからなかったけれど、微妙なニュアンスの良い言葉だと思いました。
Posted by ブクログ
上橋さんのファンタジーが大好きなので読んだけどやっぱり面白かった!
一巻完結なので色々急ぎ足で進んだ感は少しあったけど、小夜と野火のお互いを想い合う様子をキュンとしながら読んでた。
ファンタジーの世界での恋愛物語からしか得られない栄養がある。
架空の世界であるからこそ登場人物の感情の動きに疑いが1ミリも生まれなくて素直に物語を楽しめるから好き。
Posted by ブクログ
例えば。もののけ姫だったり、バジリスクだったり。
似たような何かを思い浮かべることをできるんだけど。どれとも違って。
呪術。という、不思議な力をもった人と、霊狐という妖怪に似たものと。そういう、普通の人からずれたモノたちが交差して、紡いでいく感情というのが確かにあって。優しい気持ちになる。
恨みは何もうまない。逆らえない絶対の権力も存在する。でも、どうありたいかで変えられるものもある。
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昔の日本のような架空の時代のファンタジー。狐の男の子と呪師の女の子が惹かれ合う話。ハッピーエンドでホッとした。
日本史苦手な私には登場人物の名前が覚えにくくて、これ誰だっけ…という場面もあった。
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落ちはハッピーエンドで案外あっさりしていた。序盤の野火が狐として助けられたり、小夜と小春丸のやりとりを羨ましそうに遠巻きに眺めていたり、人の姿で小夜を助けてみたり、という小夜にまだ正体を隠していた頃の光景が切なさもありながら微笑ましくて、1番印象に残った。
木縄坊というキャラクターも登場は少しだが、野火と出会うまでの半生が個性的で面白かった。
「むかし、そなたの母の花乃さんがいっていた。霊狐というのは、〈あわい〉で生きる獣なのだそうだ。力のある呪者は〈あわい〉に生まれた子狐を拾い上げて、この世で生きられる呪力を与えるかわりに、狐笛という霊笛に子狐の命を封じこめて、自由に操れる使い魔にしてしまう。呪者の手のなかに狐笛がある……ということは、霊狐の命は呪者の手の中にあるということだ」p265
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武家の時代の日本を舞台としたファンタジー。
呪師により使い魔とされた霊狐の少年。自らの出生の秘密を知らない少女。封印された屋敷から出ることが許されない少年。子供時代に偶然であったことから、長く続く領地を巡る争いに巻き込まれていく。
暗闇の山中での戦いなど血なまぐさくシーンが多いのだが、〈あわい〉と呼ばれる異空間の存在などあり作品全体では陰鬱としたところはなくどこか幻想的。お互いの正体や運命に徐々に気づく前半から一転、解決に向かう後半は少し展開が早かった。
Posted by ブクログ
和製ファンタジー。随所に日本らしさを感じる世界観で、守り人シリーズと同様にクオリティの高い作品であることに間違いはない。特に人と動物を峻別して考えないという感性には、ノスタルジーを感じて良かった。ただ、やはり好みで言うと、洋物のファンタジーの方が自分は魅力を感じる。理由はまだわからないが、おそらく日本文化と独特のある種の閉鎖的な世界観にワクワクしないのかもしれない。自分はもっとダイナミックで開放的な世界観が、少し抽象的ではあるが、好みである気がする。
Posted by ブクログ
私の中ではバルサとエリンの2つのお話だけでもう確固たるものがある、この作者さん。
その初期の作品であるこの本は、先日のフォローしている方のレビューを読んで手に取った。
亡き母から人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を受け継いでいる小夜、この世と神の世の〈あわい〉に棲む霊狐・野火、森陰の屋敷に幽閉されている少年・小春丸、ある夜、この3人が偶然出会ったところから始まる物語。
彼らは隣り合う2つの国の争いに巻き込まれていくが、過去の因縁の渦に巻き込まれながらも懸命に生きようとする小夜に、使い魔として生きながら彼女に寄り添おうとする野火、彼に毒づきながらも理解を示す玉緒の変化など、それぞれの健気な心情と行動はバルサやエリンの話に似通ったところもあり、この時代不詳だが美しく妖しい日本を舞台にした物語を楽しむことが出来た。
現在の作者の手際を思えば、小夜が持つ力のすべてが描き出されたわけではなかったように思えることや小春丸がなんだか置き去りにされてしまったような筋書きにはいささかの不満が残るところはあり。