あらすじ
ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、人類を脅かす病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、完結!
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Posted by ブクログ
圧倒的に上質なファンタジーを読んだ、読ませていただきました。最高...。
生きること、生かすこと、病の不条理、生命の神秘を、ときに国と国、民族と民族の対立や共生として壮大に、ときに細胞一つひとつの働きとして緻密に描いた物語。
4巻目の解説にもあるが、本書の1番の魅力は、ファンタジーといっても根本的解決の手段を魔法や超常現象に頼らない点。人々や動物が懸命に生きようともがく姿が、または上橋さんが丁寧に描き出す湿った草木の匂いや、部屋に差し込む光の淡い色などの風景が、何か現実世界の延長のような感覚で自身を異世界に投影してくれる。
生きることだけでなく、死ぬこともまた、生き物の身体には、その生のはじめから仕込まれている──
それでも祖国が消えることは、この世に生まれた、たったひとつの形である私が消えることは、哀しいものですよ──
身体の中で起きていることは効率的な生と死の循環であるにもかかわらず、その働きを司っているはずの脳では哀しいと感じでしまうのは、なんとも不思議だなぁ、と思う。
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トマたちは家族だ。
だからこそ、ユナの「あ、にぃちゃ!にぃちゃだ」のところは泣ける。
そして最後も家族としての信頼関係があるから悲壮感が無い。
ああ、ユナたちの続きが読みたい。
でも現時点で無いんだよなぁ。
ミラルたちの話はあるみたいだから、そっちを読もうと思う。
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人体というミクロコスモスと宇宙というマクロコスモス。体の中にいる細菌達のことを見ることは出来ないけれど、自分の身体を一つの国や世界、はては宇宙だと感じることは日々の瞑想中にぼんやりと感じていました。
鹿の王はそんな自分の感覚を分かりやすく言語化してくれた、きっとこの後の人生でも何度も思い返す物語だと思います。非常に面白かったです。
Posted by ブクログ
複雑な糸が解け、全てがつながり、その先にはとにかくあたたかい愛があった。
病、生命という壮大なテーマで、物語のスケールも壮大だったけれど、読み終わった後は不思議と重くならず、しかしタイトルの鹿の王の意味の深さをじっくり味わいながらも爽やさと、切なさ、悲しさ、そして愛情で胸いっぱいになった。
Posted by ブクログ
とうとう長い旅が終わってしまいました。いや、これからも続いていくのでしょう。
私としては寂しい終わりでしたが、ヴァンにとってはやっとゴール?役割?を見つけたということなのでしょうか。
物語を通して、「人は自分の身体の内側で何が起きているのか知ることができない」「人の身体は、細菌やウィルスやらが、日々共生したり葛藤したりしている場でもある」ということを改めて意識しました。
しかもそれを人の社会とも似ているという視点に目から鱗です!
確かに!と思いました。
身体の内部も、人の社会もお互いが影響し合って動いていますもんねー
それにしても、そこからこのファンタジーを生み出すっていう発想がすごいです(°▽°)
Posted by ブクログ
感染症をテーマにした壮大なファンタジーの最終巻
以下、4巻の公式あらすじ
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上橋菜穂子の傑作長編、ついに完結!
ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、
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一国を滅ぼす程に猛威を振るった伝染病が再び発症した経緯
そして、病原菌の拡散とその治療薬の開発を巡る策謀
ファンタジー設定ではあるものの、医療の設定はあくまで現実に即したもので
国の政治や国家間の力関係、各地に住まう人達それぞれの思惑などは現実でも同じような事が繰り広げられている程にリアル
現代でもバイオテロを描いた作品はありますものねぇ
帝国に敗れた部族「独角」を率いた生き残りのヴァン
岩塩坑で謎の獣に襲われ、他の人達は死んだのに生き残る
また、同じく生き延びた子供のユナ
伝染病で都を捨てたが、医療技術と情報収集の技術で影響力を持つオタワル
そのオタワルで医療に携わるホッサル
その他、それぞれの国の首脳、追いやられた部族、密命を受けた人達など、様々な策謀が錯綜する中で、徐々にわかってくる伝染病の背景と治療法の可能性
一番印象的だったエピソードは、薬の投与を認めない清心教医術師の呂邦
無学なようにも思えるけど、筋の通った医療哲学があるように見える
救いたいと願っているのは、命ではなく魂という主張
人はいずれ死ぬわけで、与えられた命をどう全うするかがであって、長短ではない
宗教が入り混じった医療哲学だけど、現代でも倫理に反する治療が行われていないわけで、延長線上では同じ論理体系で語っているように思える
現代においても、輸血を拒み我が子の死を選択する親もいるわけで
この行為を安易にあざ笑ってよいものではないのかもしれない
ホッサルは、現状は対症療法や手探り状態の治療法を試しているが
医療が発展すればいずれ病気の治療法が見つかると思っている
まぁ、実際は現代においても治療が困難で、予防接種で防いでいるような病気もあるわけで、医学が万能なわけではないんだけどね
それでいて、リムエッルの人体実験ともとれる医療行為に抵抗感を覚えている
現代医療では治験にもルールが決められているけど、そんな法がない世界であればそんな方法もある意味では間違いではない
死ぬ可能性が高い病気で、治療薬を試すという行為は後の多くの感染者を助けることにも繋がるけど
でも、試される患者の人権はどうなるのか……
まぁ、本人や家族に同意を得たとことで、医療の知識がない人にとって可能性にかけるのは当然なわけで、選択肢は与えられているようでほぼ一択だけどね
清心教の存在意義としては、そんな医療倫理観への歯止めのの意味もあるのかもしれない
作中には様々な対立が描かれているけど、単純な二項対立になっていない
全員の心の中に「正義」があって、絶対的な正しさはないというのがわかる
文化、風習、宗教観など、様々な背景があって、過去現在未来を含めてそれぞれの思惑がある
アカファ王の選択や敢えて見逃す行為も、為政者として一概に避難されるようなものではない
それよりも、国としては滅んだけど自らの能力で存在意義を示してある程度の地位を築いているオタワルという集団
生物の体内にも細胞内小器官のレベルかられっきとした異種の生物のレベルまで様々な生物が共生している
普段はそんな事を意識しないけど、我々の免疫にしても異物を排除しつつ共生するシステムが組み込まれているわけで
それが国という組織においても存在しえるのは当然でしょうねぇ
でも実際問題、取り込まれるケースの方が多いんですけどね
タイトルの「鹿の王」も意味
「鹿の長」とは異なる存在
自らの命を賭して仲間達を逃がす行動をする個体
果たして、称号なのか、それとも愚かなるものなのか
生態学的には、集団のための利他行動も結局は自らの包括適応度を上げる行為なので、そんなに不思議な行動ではないんだけどね
そんな知識のない人達にとっては英雄的行動に見えるかもしれないし、また考え方によっては無謀な行動にも見えるでしょうね
結局は見る人がどう解釈するかの違いでしかないかもしれない
Posted by ブクログ
映画見たあと全て読み返した。
私がこの本で好きなのは、もちろんファンタジーなところもなんだけど、生きることと死ぬことの意味がそれぞれの文化圏で違うこと、魂のとらえかたが美しいこと、人という生き物は自然の一部でしかないこと、諦めずに生きようと闘いもがいていること、政治の難しさ、独りの無力さ、そういうものが全部綯い交ぜにされて出来ている世界だということ。
噛みしめるみたいに読んだ。
悪者は、どこにもいないんだよね。
Posted by ブクログ
政治、民族、疫病、ナショナリズム、グローバリズム、戦争。。
時代を超えても人間の根底に流れ続ける暗いテーマを見事に描ききる名著。出会えてよかった。
Posted by ブクログ
読み終わった!
世界観素晴らしいしずっと楽しく読めるんだけど、前半の医学知識部分が現代人からすると当たり前すぎて冗長に思えてしまった。
ハッピーエンドでよかった。
Posted by ブクログ
「人はなぜ病み、なぜ治る者と治らぬ者がいるのか」…答を探す医術師。大国に併呑された小国の民族に、同化して生き延びるものとそれが出来ずに滅ぶものがあるように。個と全の共鳴、命を巡る壮大な構図と、人の絆の暖かさ。物語の深さに嘆息。
「鹿の王」(2014)上橋菜穂子
#読書好きな人と繋がりたい
Posted by ブクログ
面白い!医療小説としてのリアリティもあり、現実的なファンタジーだった。
4巻は特に展開も大きくとても満足したが、鹿の王全体で見ると3巻あたりの中弛みもあり、総合すると星4つかなという印象。
Posted by ブクログ
「鹿の王」が本当は何を意味するのか。
どうしようもなく切ない。
だけど、それを理解し、心から感謝し、慕うものは確実にいる。
その後を読者に想像させる終わり方は、悲しみの中に唯一存在する希望のようだった。
Posted by ブクログ
本書は壮大な医療ファンタジー。医療の原点と進歩について考えさせられる内容であった。身近で大切な人と毎日楽しく生きたい、という素朴な想いを誰しもが持っているはずなのに、いつしか自分の地位や見栄や欲望をまとい傲慢になってしまうのが人間。人間以外の生物、鹿や犬、ウミウシやウイルスの生き方から、改めて生きるとはどうゆうことか、大切なのものは何かを諭された。
Posted by ブクログ
心に残った言葉。
ある種の暗い諦観を常に心に持ちながら、それでも、絶望したり、放り投げたりせずに、ひたすら患者に向き合い続ける医師たちが、医学をここまで連れてきたのだろう、と思うようになった。
人の生命、生きることの意味を問われたような気がする。
Posted by ブクログ
なんて壮大で心奪われる物語なんだろう。気になっていたけど予備知識なしで読み始め3巻まで一気読み。
今出会えたからよかったのかも。
4巻では政治的な問題も孕んで悲しい展開に
謎の疫病
現代の世界で起きているいろんな悲しい出来事を予見していたかのような物語で、悲しみや恐ろしさと今、目の前で起こっているような感覚から、世界に引き込まれていった。
2015年本屋大賞受賞作
ファンタジー作品では初だそう
Posted by ブクログ
20240512
1冊目を読み進めた時にはこんなに壮大な物語だったなんて思いもしなかった。毎度ドキドキハラハラさせられ、まるでマンガを読んでいるような展開。また、さすが日本医師会の日本医療小説大賞を受賞した作品。病のメカニズムや新薬開発のバックグラウンドが非常にリアルに描写されていた。
剣も矢も人を殺すことには変わりはない。ただ病は人を選ばない。一旦広まれば止めようもなく何の関わりもない人を殺していく。
生き物は皆、病の種を身に潜ませて生きている。そいつに負けなければ生きていられるが、負ければ死ぬ。
当たり前のことだけど、自然の節理、そんな中でも人が大切にすること、したいことは何かを気付かされた一冊だった。
Posted by ブクログ
相変わらず通勤電車の中で読むんだけど、1冊はページ数も少なく軽いので持ち運びには苦労しなかった。
やはり単行本より文庫本を読むのが正解だな、っていう前置きは置いておいて、本屋大賞を受賞してる作品なんだよね。
久し振りのファンタジー小説で面白かった。
1巻目は面白くて読むのが勿体無いと思う程で、独特の地名や民族名、名前を覚えるのに苦労したけど、この独特さも非現実的なファンタジーとして良かった。
民族間での争いはやはり強いものは強く、大逆転なんてありえないけど、どこかでこの無念さを晴らす出来事は読んでみたかった…侵略者相手だからね。
犬と深い森に入ったヴァンの後を追う者達も気になるが、争いの元が去った今は続編はないんだろう。
でも、犬に噛まれて感染する症状や抗体の話はまるである意味コロナと似ており、発刊されたのが2014年なのにこの近似感を思ったことに驚いた。
Posted by ブクログ
やはり面白い。最後は想像に任せてという感じだが、ヴァンを取り巻く人々のあたたかさにほっこりする。独角という寂しい哀しいものが背中を覆っていたのに、彼のその人柄が誠実さ優しさが周りの人が彼を放っておかない存在にした。人として素晴らしい人だなあ。もしかしたらそれは妻子を亡くしたことからも来ているのかもしれないけど。
Posted by ブクログ
信仰、民族、科学が絡み合っていて、存在しない世界の話でも近しい感覚で読み進めることができた。
ファンタジーとしては地味な印象ではあるけれど、実に細やかに丁寧に人々が描かれていて飽きることもなかった。
大国と小国、部族民族、争い憎み合いやがて混ざり合って行く様が切なく暖かかった。
Posted by ブクログ
鹿の王、読み切った。
展開も早くどんどん読み進められて、電車で移動する時に読むのにちょうどいい感じ。
読みやすいけど、話の内容は結構深刻で、人の命、死生観などがテーマのようで、今の自分にとってとても感慨深いお話だった。
生物の輪廻まで感じる直のファンタジーと思う。
いい本だった。
Posted by ブクログ
ついに完結しました。
ファンタジーではありますが、それは世界観が架空というだけで、とてもリアリティのある物語でした。
政治、民族紛争、個人の想い、人の体。
それぞれが複雑に絡み合って、最終局面に向かっていきます。
長いですが、良い本でした。
Posted by ブクログ
2014年刊行。
上橋奈穂子の長篇ファンタジー。
2015年の本屋大賞、日本医療小説大賞を受賞。
舞台は東乎瑠(ツォル)帝国に支配された地・アカファ。
アカファ内トガ山地の氏族出身で、故郷を守るための精鋭部隊「独角」のリーダーであったヴァンは、東乎瑠軍との戦争に敗北した後、アカファ岩塩鉱で奴隷として働かされていた。
ある晩、謎の獣の群れが岩塩鉱を襲撃し、人々を次々と噛んでいった。その後、岩塩鉱で謎の病気が流行し、ヴァン一人だけが生き残る。
ヴァンは、岩塩鉱から逃亡を図り、その途中で同じく生き残った幼子のユナと出会う。彼はユナを連れて逃亡を続けることを決める。
一方、オタワル人の天才医術師ホッサルは、岩塩鉱で発生した謎の病の噂を聞きつけて、調査を開始する。
ホッサルは調査の結果、この病が250年前にオタワル王国を滅ぼした「黒狼病(ミッツアル)」である可能性に気づき、これに有効なワクチンの開発に着手する。
本作は、ヴァンとホッサルを主人公として、主に彼らの視点を切り替えながらストーリーが進行する。
文庫版で四巻にまたがる長編であり、作り込まれた世界と設定が特徴的。
ストーリーの主軸は「黒狼病」の謎と、アカファ内の陰謀を明らかにすることであるが、そこにこの色々な要素が複雑に絡み合い、重厚な物語となっている。
例えば、オタワルは250年前に滅んだ王国でありながら、医術や工学などの先進的な技術をもっているため、東乎瑠の支配下にありながら特権的な立場を与えられていた。
医術に関しても東乎瑠より圧倒的に進んでいるが、東乎瑠では「清心教医術」が権力を持っており、ワクチンや血清などの「不浄な」治療を行うオタワル医術を目の敵にしていた。
このような、かつてから存在していたこの世界における、ある種の「歪み」がストーリーに絡み合うことで、本作を奥深しいものにしている。
全体的に固有名詞が多いので、世界観に入り込むまでに少し時間は掛かるが、クセは少ないので、集中して読めば問題なく理解できる。
非常によく纏まっているし、面白かったのだが、個人的にはあまり嵌ることができなかった。
何故かを考えてみた。
本作は上品に、うまく纏まっているのだが、そこに作者の思想やこだわりをあまり感じなかった。
個人的には、作者の偏った思想や思考、病的なこだわりや偏執的エネルギアを感じる作品の方が好きなのだと。それらを本作に見いだせなかったから、物足りなさを感じたのではないかと思った。
その意味では、外伝の方が好みだった。
本作は面白い。しかしそれは、暇つぶし、エンタテインメント的な面白さであり、それは私が求めている読書体験とは方向性が異なる。
私は、フィクションを経由して得ることができる、日常生活では手に入らない「何か」を求めているのだ。
皮肉にも、それを気づかせてくれた小説だった。
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最終巻。ヴァン軸とホッサル軸が合わさって進んでいく。勢力の関係図が複雑でちょっと難しい。ラストがかなり解釈や想像の余地を残す描き方で、私としてはスッキリしなかった。きちんと決着まで描いてほしかった。
Posted by ブクログ
かつて人と獣が共に生きる地を描いた小説『鹿の王』。上橋菜穂子が紡いだ物語は感染症と闘う人々の姿を通じて命の重さを問う。主人公は愛する者を守るため必死に抗いその歩みは読者に「生きるとは何か」を突きつける。文明が進んでも病や災禍は人間を試す。だが互いを思いやる心があれば困難も越えられると教えてくれる。疫病の記憶が新しい今だからこそこの物語の響きは深い。結局強さとは孤立にあらずつながりにあるのだ。
Posted by ブクログ
うたわれるものに近い作品だった。病魔との戦い、部族との戦い、未知の獣との戦い、そして神となり世界を諌める戦い。
最後の終わり方もまさにそれ。作者が外国の民俗学を学んでいると後書きに書いてあったから、この描写の仕方も納得だった。
展開については4巻またがった割には、と思うのはいささかわがままだろうか
Posted by ブクログ
3.5
タイトルから想像していたストーリーと全く違っていた。いい意味で裏切られた。まさかの医療ドラマだとは思わなかった。安定した面白さがずっとあって読みやすかった。
3.5にした理由は結末が私の好みでなかったから。
ハッピーエンド中なので最後ばヴァンとユナとサエがで会うところまで見たいと思ってしまった。でももう寂しい独角じゃなくてよかった
Posted by ブクログ
ついにヴァンとホッサルが対面。
その一方で、火馬の民のオーファンは、故郷を取り戻すべく策略を企てていた。
それに気づいたヴァンは動き出すことになる。
完結作。
追うものと追われるものとして読んでいたためか、
ヴァンとホッサルの間に流れる穏やかな雰囲気に、意外性を感じた。
なぜ病は起きるのか? どうして治るものと治らないものがいるのか?との議論の末に出てくる「鹿の王」という作品タイトルと同じ言葉がついに明かされる。
家族を失い、今まで独りで生きてきたヴァンの周りには、
多種多様な人々が集まり、いつしか家族になっていった。
当初は、抜け殻のような心を持ち、ただその日その日を生きていたヴァンであったが、
慕われ必要とされ、みなでヴァンを迎えに行く光景に、
「よかったな」と不思議な安堵を覚えた。