あらすじ
ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、人類を脅かす病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、完結!
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鹿の王の意味は早々に明かされた。確かに、犬の王との対比なんだろう。
ヴァンのこの先の人生を暗示してるんだろうな、と思いながら読んでいた。
ヴァンを追っていった人たちとともに、幸せに暮らしてたらいいな…
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とても上質な物語を読んだという素敵な読後感
巻を重ねるごとに読むペースが速くなった
ファンタジーなのに現実離れしていない、地に足が着いた世界というか
自分を犠牲にして何かを助けるのは美学とされがちだけど本当はそうじゃないと示してくれたり、心が浮つくというかそういうことが全くない
真っ直ぐ確実に物語が進んでいく
よくあるバッドエンド、ハッピーエンドとは違う本当になにも矛盾のない終わり方だった
読んで良かった
有意義な時間だった
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「鹿の王」というタイトルから、偉大な動物がテーマなのかと思っていましたが、さにあらず。
人の身体も国も同じようなものだということが大きなテーマ。「人は身体の内でも、外でも共生と葛藤を繰り返しながら生きている」(あとがきより)
また、命は親から伝わるが、どの命も個性を持った唯一無二の命であり、血のつながりにこだわることなく、共に生き、共に支え合う人の集まりが家族なのだということが描かれています。
ヴァンとユナちゃん、サエ、トマたちは、血は繫がらないけど立派な家族。最後はとても心が温まりました。
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自分の命が終わった後も巡っていく命について考えさせられる。
ヴァンの虚しさや悲痛な思いが痛いほど伝わってくる心理描写だった。
ユナが最後まで明るかったのが救い。その先を描かず、広がりを見せようとするところで終わらせるのは、「獣の奏者」通じる技だった。
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死に至る謎のウイルスに対峙する時、人は不安や恐れを抱き、結果、自分と家族だけは助かる道を選ぶのでしょうか。
そうではない事を、この本の主人公達が表してくれていました。
コロナ禍では、国、人種を超えて、世界中の医療、科学、政府、様々な人達が未知のウイルスに向き合い、終息に向かう事が出来ました。
この本が出版された後の現実の話ですが、どこか予言書を見ているような気持ちで読み進めていました。
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圧巻。
ファンタジーであり、心をえぐるような現代の問題とも直面する。
戦争、移民、差別、宗教、倫理観。作品に描き出された世界は、いまの社会を投影しているかのようだ。こうした現代社会に通じる世界観を意識せずにはいられない一方で、気がつけば、そんな第三者的な思考を放り出して、世界に没入し、主人公たちとともに「生きる」とはどういうことなのか、一心に問い続けている。
なかでも、第10章「人の中の森」が印象的だった。そこで静かにかわされる二人の対話は、「生きる」とはどういうことなのか、ひとつの答えが示されていたように思う。
「生まれて来るすべては、そのとき一回しか生まれない個性をもった命」
上橋菜穂子さんの作品は、「守り人」シリーズと『獣の奏者』を読んだことがある。カテゴリーとしては児童文学に分類されるらしいけれど、その枠組みはあまり意味をなさない。年齢ではなく、生きることに引っかかりを覚えた人が手に取る作品だと思う。
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なんとも壮大な世界観で、しっかりと作り込まれた物語性の高くて深淵さをも感じる小説であった。
本屋大賞をも受賞したというのも頷けるものである。
さて最終巻であるが、まさに故郷を失った火馬の民オーファンらの、巧妙な計画で東乎瑠への復讐を、ヴァンが防ぐために、まさに彼が唱える「鹿の王」とも言える行動をとる。
「飛鹿の群れの中には、群れが危機に陥ったとき、己の命を張って群れを逃がす鹿が現れる、群れを支配する者、という意味ではなく、本当の意味で群れの存続を支える尊むべき者」が、鹿の王とのことであれば、まさに、ヴァンはその行動をとることになるのであるが、ここでこの小説が医療にも根源を求めている小説であることからも、この一言は単に表題をさすものでなく、全体を通じて流れるテーマそのものであり、生き物それ自身が成している、身体のどこかで生き死にを繰り返している流動的かつ神秘的に行われているであろうことをも内包しているように思える。
また最後にホッサルが思った
「そうだ。・・・・・・あの男はもう、独角じゃない」
という言葉から、単にヴァンは戦士の頭領という意味あいというものでなく、新たに全く異なった、人としての、家族としての繋がりを得て、まさにヴァンは「独」ではないのであろう。
これ程までに織り込まれた小説に出会えたことに感謝である。
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最終巻。半日で読み終えてしまった。
国によって異なる医療の在り方があって、文化や暮らしがあって、その中で自分たちの暮らしを手放さざるを得なくなった人々。
全ては思い通りにはいかないし、最善だと考えて行動していても、それが個人の死によって成り立っていては意味がないのでは、と思う。
だけどその中でも人が人を想う気持ちがきらきら光って希望のように思える、そんなお話でした。
素晴らしかった、超現実的なファンタジーだったなぁ。
微生物によって支えられている身体は、国や土地そのもので、人と自然は繋がっていることを改めて感じました。
血縁も、一緒に暮らすことでできる絆も、今隣にいてくれる愛猫の尊さも、全てひっくるめて大切だ。
なんだかいい大晦日。
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圧倒的に上質なファンタジーを読んだ、読ませていただきました。最高...。
生きること、生かすこと、病の不条理、生命の神秘を、ときに国と国、民族と民族の対立や共生として壮大に、ときに細胞一つひとつの働きとして緻密に描いた物語。
4巻目の解説にもあるが、本書の1番の魅力は、ファンタジーといっても根本的解決の手段を魔法や超常現象に頼らない点。人々や動物が懸命に生きようともがく姿が、または上橋さんが丁寧に描き出す湿った草木の匂いや、部屋に差し込む光の淡い色などの風景が、何か現実世界の延長のような感覚で自身を異世界に投影してくれる。
生きることだけでなく、死ぬこともまた、生き物の身体には、その生のはじめから仕込まれている──
それでも祖国が消えることは、この世に生まれた、たったひとつの形である私が消えることは、哀しいものですよ──
身体の中で起きていることは効率的な生と死の循環であるにもかかわらず、その働きを司っているはずの脳では哀しいと感じでしまうのは、なんとも不思議だなぁ、と思う。
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ファンタジーだけど現実離れしていない物語。
国、氏族の思惑、争いの話しと感染症について探っていく医療ミステリーのような…
登場人物や地名国名がたくさんでついていくのも大変!
人間の身体と国をリンクさせて物語りが進んでいく。
命を繋ぐとは… 「鹿の王」とは…
結末は…? 続きが気になる。
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ファンタジーだと思って読み始めたら、「病」と「死」について深く考えさせられた。
菌の存在すら一部の人間しか認知していない世界でのウィルスや薬についての解説が、自分の現実での病への理解を具体的なものにした。
そこにある死は理由があるのか。その解明はミステリーのような面白さがあった。
また、作者のあとがきにおける作者の母君の病についてのエピソードが、自分の母と重なり涙が出た。
綿密な世界観から、もう一度読めば一読目では気づかなかった発見があることが感じられ、何度読んでも面白い本だと思われる。
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ホッサルとヴァンがついに相見え、キンマの犬を使ったシカンたちの計画が明らかになるにつれ、物語が加速していった。群れを守るために自らを犠牲にする鹿を敬意を持って「鹿の王」と呼ぶが、それを単に美化するだけでなく、それによって犠牲になる命について考えさせる描写もあったのが印象的だった。
絶望の中に生きていたヴァンが大切なものを守るために決断を下し、また残された者も悲嘆に暮れているわけではなく、ヴァンを追うという前向きな終わり方だったのが良かった。後日談?かわからないが、もう一冊あるようなので、読みたいと思う。
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3巻から少し時間が空いたけど、やっぱり面白い。特に前半のヴァンとホッサルの対話や、まだ火馬の民の企みが終わってないと分かる物語の展開点は面白かった。
最後は完結ぽくないというか、まだシリーズが続きそうな感じのまま終わったな。
ホッサルのお祖父様リムエルの企みも性急だった気がする。遺伝病である若年性認知症とかがもっと伏線として効いてくるかと思ったけどそんなことなかった。
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3巻まで完璧だったのだが、
最大最悪の群れ(国)の危機を捨て身で救ってこそ鹿の王なのに、オーファンもシカンも小物すぎ。本当の敵は病いで生死感を問う部分が強すぎた印象。
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終わり方が、残念だった。ちゃんと書いてほしかった。
最後まで、どえなるんだ!っていう、期待が続いていました。
ファンタジーを、想像しながら読み勧めていくのは、私には難しいので、どれくらい読みきれて理解しているのか?と思うくらい、複雑なストーリーだと思った。
それほどの、ストーリーを産み出している作家さんは、ほんとにすごいです。
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タイトルの鹿の王の意味合いは何度か提示されてきたけれど、こんな結末になるとは思わなかった。次の「水底の橋」で匂わせてくれないかなぁと淡い期待を持って続けて読んでしまおう。
家族や氏族、根付いた土地が絶対的な世界で、血の繋がりのないヴァンやユナが家族として受け入れられていくのは象徴的だし、医師たちの100%純粋ではない職業的探究心みたいなものを垣間見れたのも興味深かった。
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ここまでくると、キャラ一人一人が好き過ぎて、完結しないでくれ、という願いが強く、読み進めも牛歩になる。壮大なテーマなので、ナウシカ以上の映画になる期待してしまうが、映像化はしないでほしい願望が勝つ。とにかく面白かった。
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3でよくわからなかった事情が4で整理された。
ファンタジーのジャンルだが、魔法の力で問題は解決しない。架空の世界で起きている出来事というだけで、内容は現実的である。
↓
以下ネタバレです
森へ入ってしまったヴァンを、ユナたちが探しに行くことが、唯一の希望。
ただ、意識障害(裏返る)が起こった直後にサエと出会うが「触れたら犬に戻れない(?)」とヴァンが感じたことが心配。だからユナ達に会えても、一緒に帰ることを拒否しそう。森の中でユナたちがヴァンを見つけても、もうそれはあのヴァンではなくなっているのではないか?黒狼病ウィルスによって引き起こされた意識障害と、まだ治っていない怪我のせいでヴァンの命が危ない。ヴァンは不思議な力で犬を導いているのではなく、ヴァンはただ「犬に好かれる人」「動物の心に寄り添えるのが上手な人」。
作中に出てくる抽象的な表現を言葉そのまま受け取って読んだらそれはそれで面白いファンタジーになるとは思う。しかし私は違う。
1から4まで読んで、作品の中に「神」だの「呪い」だの宗教的な言葉が出てきて
それで解決されたらただのおとぎ話じゃんか、と思っていた。しかしそれぞれに説明がついた。著者さんは文章の中でそのヒントをくれている。それに気づいた私はラッキーだ。そしてその事がこの作品のいいところだと思う。私は今まで宗教的な表現を受け入れるのが難しかった。でもそれだと面白みのない人間と思われやしないか?と思っていて最近の葛藤だった。しかしこの本を読んで、これからは他者や物語の中で宗教的な表現を使っても自分なりにそれらを現実の言葉で消化できるようになったと思う。それが今回の1番の学び。
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ついに、最終巻を読み終えた。
ファンタジー物を読みたいと思い、手を取ったのが始まりで、その期待を裏切らない緑と光に溢れた綺麗な世界観だった。その中で、人々の営みや、病に対する医学の対処が面白かった。
人間の体の中で、全体の生命を維持し続けるために、活動する器官や菌、全体の生命のためなら、縮小、絶滅も起こりうる。
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様々な種族か登場し、種族間の争い・葛藤が繰り広げられるが、最後に森に消えたヴァンをまた様々な種族の者が彼を追って森に入る。最後は読者に想像させる終わり方だが、彼らがおそらくは幸せに暮らしたであろうと思うとともに、この世界も同様に種族同士が手を取り合い、発展していくことを予感させる。
ヴァンはまさに「鹿の王」と呼ぶにふさわしい。
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歴戦の勇士、全体を統べるのではなく、全体を生かすために戦う者、鹿の王。病に罹る者、罹らぬ者、病から治る者、治らぬ者。その違いは何か。思想的な問答が続く前半。それぞれがそれぞれの思惑で動き、陰謀と策略、大展開が待つ後半。ヒーローはヴァン、ヒロインはサエ。ホッサルもいい働きをし、ミラルもそれを助ける。国と民と家族。すべてを丸く治めるエンディング。最終巻がよかった。
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『鹿の王』は 2014 年に刊行された作品だが、コロナ禍を経験した現在の読者には、当時よりもさらに強いリアリティをもって読める作品になっているように感じた。未知の感染症への恐怖、情報や知識をめぐる混乱、そして医療と政治の関係などは、まさに私たちが近年経験したことと重なる部分が多い。
上橋菜穂子さんは人類学を研究していたこともあり、本作はファンタジーでありながら、単なる空想世界ではなく、どこか昔話や神話を読んでいるような感覚があった。民族や文化、信仰や伝承が自然に織り込まれており、人間社会の成り立ちそのものを見つめているようにも感じる。
読んでいてまず印象に残ったのは、多様な動物が登場する世界観だった。狼、犬、キンマの犬、火馬、飛鹿などが登場し、人間だけが世界の中心ではないことが強く意識される。動物たちは単なる背景ではなく、人間といろいろなかたちで共生し、人間もまた自然の一部でしかないことを示しているようだった。自然を支配する存在としてではなく、自然と共に生きる存在として人間を描いている点に、人類学者としての上橋さんの視点を感じた。
登場人物の中で最も興味を惹かれたのはヴァンである。彼の魅力は、相手の身分や立場にかかわらず、一人の人間として接するところにあると思う。奴隷として生き、戦士として戦い、さまざまな立場を経験してきたからこそ、人を上下で判断しないのだろう。また、ヴァンは単に英雄として描かれているのではなく、境界を越える存在として描かれているように感じた。民族や国家、身分といった枠組みの間を行き来しながら生きる彼の姿は、分断が進む現代社会において示唆的でもある。
さらに印象的だったのは、ヴァンとユナの関係である。血のつながりはないにもかかわらず、ヴァンは命をかけてユナを守ろうとする。親子とは何かという問いに対して、本作は血縁よりも「誰を守ろうとするのか」という関係性の方が本質的なのではないかと語りかけているように思えた。
医療者たちの葛藤も本作の大きな見どころだった。特にホッサルとミラル、あるいはホッサルと祖父との考え方の違いは、現代の私たちにも問いを投げかけているように思う。病を根本から解明し未来に希望を託そうとする姿勢と、限界を認めながら目の前の患者を救おうとする姿勢。その対立を見ていると、現実社会における「未来のために現在を犠牲にするのか、それとも今ここにある課題に向き合うのか」という問題を連想した。私には加速主義をめぐる議論とも重なって見えた。どちらが正しいという話ではなく、長期的な視点も目の前の実践もどちらも必要なのだろうが、自分自身はどちらかと言えば後者、目の前のことに向き合う考え方に共感する。
また、本作では病そのものも単なる敵として描かれていない点が興味深かった。病は生物学的な現象であると同時に、民族の歴史や生活環境、政治状況とも深く関わっている。ホッサルは病を理解しようとし、政治は病を利用しようとし、人々は病を恐れる。その複雑な構図は、コロナ禍で私たちが経験した現実とも重なるように感じられた。
最近はリベラルと保守について考える機会が多いが、『鹿の王』にもその対立を考えるヒントがあるように思う。リベラルとは人間の平等を重視する立場であり、保守とは受け継がれてきた伝統や文化を重んじる立場だと私は理解している。本作の登場人物たちは、そのどちらか一方に単純には分類できない。例えばホッサルは身分や民族にとらわれず知識を求める点ではリベラル的だが、一方で先人たちが積み重ねてきた医術や文化も尊重している。作品全体を通して語られているのは、変化だけでも伝統だけでも社会は成り立たず、その両方が必要だということなのではないだろうか。
そう考えると、『鹿の王』は感染症や医療を描いた物語であると同時に、人間と自然、民族と民族、伝統と変化といった対立するもの同士の関係を描いた物語だったように思う。そしてヴァンやホッサルは、それらの境界を越えて他者を理解しようとする存在として描かれていた。だからこそこの作品は、分断が目立つ現代において、「異なるものとどう共生するか」という普遍的な問いを私たちに投げかけているように感じた。
Posted by ブクログ
えっこれで終わり?と驚いてしまった。
何とか話に付いていこうと読み進め、途中から面白くなっていましたが、最終的にファンタジーなのに話を広げすぎて、医療、人種迫害、スピリチュアルに裏切りが何度も重なり、誰が何をしたかったのか分からなくなりました。
Posted by ブクログ
テーマも壮大だし、世界観も奥行きがあったし、すごく読み応えがあった。
でもなんだろう、物語の壮大さに対して話が淡々と進んでいくのと、なんせ国や氏族同士のしがらみが複雑なので登場人物に感情移入することが難しく、読み終えた後、心を震わせるほどの感動はなかった。
未知の病の流行というテーマがファンタジーとしては斬新で心惹かれるものがあったのですが、途中から氏族の思惑が絡まり最終的には氏族と国、人と人の話に行き着いて、なんとなく私が求めていたファンタジーからは逸れてしまった。
個人的な好みではなかった、というだけの話なのだけど。
きっとユナたちはヴァンと無事に再会してオキに帰るんだろうなと自分の想像で補うことはできるんだけど、そこもだし、東乎瑠とアカファの関係とか、ムコニアの侵攻とか、薬は無事完成したのかとか、気になるその後が書かれていないので、全部すっきりして読み終わりたかったなーというのが本音です。
番外編までまとめ書いしたけど、番外編ではヴァンとユナは登場せず、ホッサルとミラルがメインということを後から知ったので、そちらはどういう話になるのか…
楽しめたらいいな…
Posted by ブクログ
面白かったが、ちょっと最後までおしきれなかったてすね。読んでいてだれてしまいました。3巻ぐらいまでは盛り上がったのですが、少し残念。でも世界観のスケール感は大きくよかったです。
Posted by ブクログ
鹿の王4。シリーズ全体を通して、ウイルスに対抗するための医学の裏側を覗くことができたような気がします。現実でもコロナウイルスの蔓延が記憶に新しいですが、現実と物語がリンクして、より味わい深く感じた。物語としては含みを持たせるような終わり方で、ヴァンと無事に出会いたの気になります。タイトルの「鹿の王」とは、自身の命をなげうっても仲間のために行動できる者であり、それをけっして美化していない部分が印象深かったです。
Posted by ブクログ
2014年刊行。
上橋奈穂子の長篇ファンタジー。
2015年の本屋大賞、日本医療小説大賞を受賞。
舞台は東乎瑠(ツォル)帝国に支配された地・アカファ。
アカファ内トガ山地の氏族出身で、故郷を守るための精鋭部隊「独角」のリーダーであったヴァンは、東乎瑠軍との戦争に敗北した後、アカファ岩塩鉱で奴隷として働かされていた。
ある晩、謎の獣の群れが岩塩鉱を襲撃し、人々を次々と噛んでいった。その後、岩塩鉱で謎の病気が流行し、ヴァン一人だけが生き残る。
ヴァンは、岩塩鉱から逃亡を図り、その途中で同じく生き残った幼子のユナと出会う。彼はユナを連れて逃亡を続けることを決める。
一方、オタワル人の天才医術師ホッサルは、岩塩鉱で発生した謎の病の噂を聞きつけて、調査を開始する。
ホッサルは調査の結果、この病が250年前にオタワル王国を滅ぼした「黒狼病(ミッツアル)」である可能性に気づき、これに有効なワクチンの開発に着手する。
本作は、ヴァンとホッサルを主人公として、主に彼らの視点を切り替えながらストーリーが進行する。
文庫版で四巻にまたがる長編であり、作り込まれた世界と設定が特徴的。
ストーリーの主軸は「黒狼病」の謎と、アカファ内の陰謀を明らかにすることであるが、そこにこの色々な要素が複雑に絡み合い、重厚な物語となっている。
例えば、オタワルは250年前に滅んだ王国でありながら、医術や工学などの先進的な技術をもっているため、東乎瑠の支配下にありながら特権的な立場を与えられていた。
医術に関しても東乎瑠より圧倒的に進んでいるが、東乎瑠では「清心教医術」が権力を持っており、ワクチンや血清などの「不浄な」治療を行うオタワル医術を目の敵にしていた。
このような、かつてから存在していたこの世界における、ある種の「歪み」がストーリーに絡み合うことで、本作を奥深しいものにしている。
全体的に固有名詞が多いので、世界観に入り込むまでに少し時間は掛かるが、クセは少ないので、集中して読めば問題なく理解できる。
非常によく纏まっているし、面白かったのだが、個人的にはあまり嵌ることができなかった。
何故かを考えてみた。
本作は上品に、うまく纏まっているのだが、そこに作者の思想やこだわりをあまり感じなかった。
個人的には、作者の偏った思想や思考、病的なこだわりや偏執的エネルギアを感じる作品の方が好きなのだと。それらを本作に見いだせなかったから、物足りなさを感じたのではないかと思った。
その意味では、外伝の方が好みだった。
本作は面白い。しかしそれは、暇つぶし、エンタテインメント的な面白さであり、それは私が求めている読書体験とは方向性が異なる。
私は、フィクションを経由して得ることができる、日常生活では手に入らない「何か」を求めているのだ。
皮肉にも、それを気づかせてくれた小説だった。