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ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、人類を脅かす病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、完結!
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「鹿の王 ユナと約束の旅」
2021年9月10日公開 声の出演:堤真一、竹内涼真、杏
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
1~4件目 / 4件
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
圧倒的に上質なファンタジーを読んだ、読ませていただきました。最高...。 生きること、生かすこと、病の不条理、生命の神秘を、ときに国と国、民族と民族の対立や共生として壮大に、ときに細胞一つひとつの働きとして緻密に描いた物語。 4巻目の解説にもあるが、本書の1番の魅力は、ファンタジーといっても根本的...続きを読む解決の手段を魔法や超常現象に頼らない点。人々や動物が懸命に生きようともがく姿が、または上橋さんが丁寧に描き出す湿った草木の匂いや、部屋に差し込む光の淡い色などの風景が、何か現実世界の延長のような感覚で自身を異世界に投影してくれる。 生きることだけでなく、死ぬこともまた、生き物の身体には、その生のはじめから仕込まれている── それでも祖国が消えることは、この世に生まれた、たったひとつの形である私が消えることは、哀しいものですよ── 身体の中で起きていることは効率的な生と死の循環であるにもかかわらず、その働きを司っているはずの脳では哀しいと感じでしまうのは、なんとも不思議だなぁ、と思う。
トマたちは家族だ。 だからこそ、ユナの「あ、にぃちゃ!にぃちゃだ」のところは泣ける。 そして最後も家族としての信頼関係があるから悲壮感が無い。 ああ、ユナたちの続きが読みたい。 でも現時点で無いんだよなぁ。 ミラルたちの話はあるみたいだから、そっちを読もうと思う。
人体というミクロコスモスと宇宙というマクロコスモス。体の中にいる細菌達のことを見ることは出来ないけれど、自分の身体を一つの国や世界、はては宇宙だと感じることは日々の瞑想中にぼんやりと感じていました。 鹿の王はそんな自分の感覚を分かりやすく言語化してくれた、きっとこの後の人生でも何度も思い返す物語だと...続きを読む思います。非常に面白かったです。
複雑な糸が解け、全てがつながり、その先にはとにかくあたたかい愛があった。 病、生命という壮大なテーマで、物語のスケールも壮大だったけれど、読み終わった後は不思議と重くならず、しかしタイトルの鹿の王の意味の深さをじっくり味わいながらも爽やさと、切なさ、悲しさ、そして愛情で胸いっぱいになった。
とうとう長い旅が終わってしまいました。いや、これからも続いていくのでしょう。 私としては寂しい終わりでしたが、ヴァンにとってはやっとゴール?役割?を見つけたということなのでしょうか。 物語を通して、「人は自分の身体の内側で何が起きているのか知ることができない」「人の身体は、細菌やウィルスやらが、...続きを読む日々共生したり葛藤したりしている場でもある」ということを改めて意識しました。 しかもそれを人の社会とも似ているという視点に目から鱗です! 確かに!と思いました。 身体の内部も、人の社会もお互いが影響し合って動いていますもんねー それにしても、そこからこのファンタジーを生み出すっていう発想がすごいです(°▽°)
感染症をテーマにした壮大なファンタジーの最終巻 以下、4巻の公式あらすじ ------------------------- 上橋菜穂子の傑作長編、ついに完結! ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をし...続きを読むかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、 ------------------------- 一国を滅ぼす程に猛威を振るった伝染病が再び発症した経緯 そして、病原菌の拡散とその治療薬の開発を巡る策謀 ファンタジー設定ではあるものの、医療の設定はあくまで現実に即したもので 国の政治や国家間の力関係、各地に住まう人達それぞれの思惑などは現実でも同じような事が繰り広げられている程にリアル 現代でもバイオテロを描いた作品はありますものねぇ 帝国に敗れた部族「独角」を率いた生き残りのヴァン 岩塩坑で謎の獣に襲われ、他の人達は死んだのに生き残る また、同じく生き延びた子供のユナ 伝染病で都を捨てたが、医療技術と情報収集の技術で影響力を持つオタワル そのオタワルで医療に携わるホッサル その他、それぞれの国の首脳、追いやられた部族、密命を受けた人達など、様々な策謀が錯綜する中で、徐々にわかってくる伝染病の背景と治療法の可能性 一番印象的だったエピソードは、薬の投与を認めない清心教医術師の呂邦 無学なようにも思えるけど、筋の通った医療哲学があるように見える 救いたいと願っているのは、命ではなく魂という主張 人はいずれ死ぬわけで、与えられた命をどう全うするかがであって、長短ではない 宗教が入り混じった医療哲学だけど、現代でも倫理に反する治療が行われていないわけで、延長線上では同じ論理体系で語っているように思える 現代においても、輸血を拒み我が子の死を選択する親もいるわけで この行為を安易にあざ笑ってよいものではないのかもしれない ホッサルは、現状は対症療法や手探り状態の治療法を試しているが 医療が発展すればいずれ病気の治療法が見つかると思っている まぁ、実際は現代においても治療が困難で、予防接種で防いでいるような病気もあるわけで、医学が万能なわけではないんだけどね それでいて、リムエッルの人体実験ともとれる医療行為に抵抗感を覚えている 現代医療では治験にもルールが決められているけど、そんな法がない世界であればそんな方法もある意味では間違いではない 死ぬ可能性が高い病気で、治療薬を試すという行為は後の多くの感染者を助けることにも繋がるけど でも、試される患者の人権はどうなるのか…… まぁ、本人や家族に同意を得たとことで、医療の知識がない人にとって可能性にかけるのは当然なわけで、選択肢は与えられているようでほぼ一択だけどね 清心教の存在意義としては、そんな医療倫理観への歯止めのの意味もあるのかもしれない 作中には様々な対立が描かれているけど、単純な二項対立になっていない 全員の心の中に「正義」があって、絶対的な正しさはないというのがわかる 文化、風習、宗教観など、様々な背景があって、過去現在未来を含めてそれぞれの思惑がある アカファ王の選択や敢えて見逃す行為も、為政者として一概に避難されるようなものではない それよりも、国としては滅んだけど自らの能力で存在意義を示してある程度の地位を築いているオタワルという集団 生物の体内にも細胞内小器官のレベルかられっきとした異種の生物のレベルまで様々な生物が共生している 普段はそんな事を意識しないけど、我々の免疫にしても異物を排除しつつ共生するシステムが組み込まれているわけで それが国という組織においても存在しえるのは当然でしょうねぇ でも実際問題、取り込まれるケースの方が多いんですけどね タイトルの「鹿の王」も意味 「鹿の長」とは異なる存在 自らの命を賭して仲間達を逃がす行動をする個体 果たして、称号なのか、それとも愚かなるものなのか 生態学的には、集団のための利他行動も結局は自らの包括適応度を上げる行為なので、そんなに不思議な行動ではないんだけどね そんな知識のない人達にとっては英雄的行動に見えるかもしれないし、また考え方によっては無謀な行動にも見えるでしょうね 結局は見る人がどう解釈するかの違いでしかないかもしれない
映画見たあと全て読み返した。 私がこの本で好きなのは、もちろんファンタジーなところもなんだけど、生きることと死ぬことの意味がそれぞれの文化圏で違うこと、魂のとらえかたが美しいこと、人という生き物は自然の一部でしかないこと、諦めずに生きようと闘いもがいていること、政治の難しさ、独りの無力さ、そういうも...続きを読むのが全部綯い交ぜにされて出来ている世界だということ。 噛みしめるみたいに読んだ。 悪者は、どこにもいないんだよね。
政治、民族、疫病、ナショナリズム、グローバリズム、戦争。。 時代を超えても人間の根底に流れ続ける暗いテーマを見事に描ききる名著。出会えてよかった。
読み終わった! 世界観素晴らしいしずっと楽しく読めるんだけど、前半の医学知識部分が現代人からすると当たり前すぎて冗長に思えてしまった。 ハッピーエンドでよかった。
「人はなぜ病み、なぜ治る者と治らぬ者がいるのか」…答を探す医術師。大国に併呑された小国の民族に、同化して生き延びるものとそれが出来ずに滅ぶものがあるように。個と全の共鳴、命を巡る壮大な構図と、人の絆の暖かさ。物語の深さに嘆息。 「鹿の王」(2014)上橋菜穂子 #読書好きな人と繋がりたい
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鹿の王(角川文庫)
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上橋菜穂子
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