あらすじ
ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、人類を脅かす病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、完結!
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Posted by ブクログ
なんとも壮大な世界観で、しっかりと作り込まれた物語性の高くて深淵さをも感じる小説であった。
本屋大賞をも受賞したというのも頷けるものである。
さて最終巻であるが、まさに故郷を失った火馬の民オーファンらの、巧妙な計画で東乎瑠への復讐を、ヴァンが防ぐために、まさに彼が唱える「鹿の王」とも言える行動をとる。
「飛鹿の群れの中には、群れが危機に陥ったとき、己の命を張って群れを逃がす鹿が現れる、群れを支配する者、という意味ではなく、本当の意味で群れの存続を支える尊むべき者」が、鹿の王とのことであれば、まさに、ヴァンはその行動をとることになるのであるが、ここでこの小説が医療にも根源を求めている小説であることからも、この一言は単に表題をさすものでなく、全体を通じて流れるテーマそのものであり、生き物それ自身が成している、身体のどこかで生き死にを繰り返している流動的かつ神秘的に行われているであろうことをも内包しているように思える。
また最後にホッサルが思った
「そうだ。・・・・・・あの男はもう、独角じゃない」
という言葉から、単にヴァンは戦士の頭領という意味あいというものでなく、新たに全く異なった、人としての、家族としての繋がりを得て、まさにヴァンは「独」ではないのであろう。
これ程までに織り込まれた小説に出会えたことに感謝である。
Posted by ブクログ
様々な種族か登場し、種族間の争い・葛藤が繰り広げられるが、最後に森に消えたヴァンをまた様々な種族の者が彼を追って森に入る。最後は読者に想像させる終わり方だが、彼らがおそらくは幸せに暮らしたであろうと思うとともに、この世界も同様に種族同士が手を取り合い、発展していくことを予感させる。
ヴァンはまさに「鹿の王」と呼ぶにふさわしい。