上橋菜穂子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
圧倒的な世界観
人間中心の世界に、疑問を投げかけてくる物語
作者 上橋菜穂子さんは児童文学者、SFファンタジー作者であり、文化人類学者
前作「鹿の王」では「日本医療小説大賞」を受賞
そして、児童文学のノーベル賞と言われる
「国際アンデルセン賞」も受賞しています
人間が自分たちの都合に合わせて自然のバランスを崩したその結果は自分たちへと戻される
この社会を成立させる為、支配者の決断は何が最善なのか!
読みながらどう決断すればいいのか、分からないながらずっと考えてしまいました
温暖化による気候変動や地球環境も心配だし
食糧の自給率も低いし先が心配になります
文庫版は4冊になっていて、それぞれ春夏秋冬を表している、とても美しい表紙です
忙しい時期ちょっと一冊読んでみよう!
は要注意❗️
合わせて900ページ超ですが、先が気になって止まらない(特に後半)
ファンタジーというジャンルなのですが、小さな影響ながら自分の生き方を考えさせられました -
Posted by ブクログ
上橋 菜穂子さんの超長編ファンタジー作品
主人公は少女エリン
巨大なヘビ「闘蛇」を操って戦争をする世界で
闘蛇を育て飼育する村で母と2人で暮らす
母は獣医でありエリート闘蛇キバの面倒を見る仕事をしている
やがてキバの死をきっかけに母とエリンの運命は大きく変化していく
母の死後、様々な運命に翻弄され、母と同じ獣医を目指すエリンは
闘蛇をも凌駕する王獣にも触れ獣を戦争に利用するので無い道を考えるようになる
王獣と心通じる唯一の人となったエリンは、王国の、世界の存亡をも握るようになり
そして運命に翻弄される。。。
エリンの一生と想像を絶する世界観が五感をくすぐるファンタジー
児童書ですが夢中になって読む面白さでした -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとも壮大な世界観で、しっかりと作り込まれた物語性の高くて深淵さをも感じる小説であった。
本屋大賞をも受賞したというのも頷けるものである。
さて最終巻であるが、まさに故郷を失った火馬の民オーファンらの、巧妙な計画で東乎瑠への復讐を、ヴァンが防ぐために、まさに彼が唱える「鹿の王」とも言える行動をとる。
「飛鹿の群れの中には、群れが危機に陥ったとき、己の命を張って群れを逃がす鹿が現れる、群れを支配する者、という意味ではなく、本当の意味で群れの存続を支える尊むべき者」が、鹿の王とのことであれば、まさに、ヴァンはその行動をとることになるのであるが、ここでこの小説が医療にも根源を求めている小説であることからも、この一言は単に表題をさすものでなく、全体を通じて流れるテーマそのものであり、生き物それ自身が成している、身体のどこかで生き死にを繰り返している流動的かつ神秘的に行われているであろうことをも内包しているように思える。
また最後にホッサルが思った
「そうだ。・・・・・・あの男はもう、独角じゃない」
という言葉から、単にヴァンは戦士の頭領という意味あいというものでなく、新たに全く異なった、人としての、家族としての繋がりを得て、まさにヴァンは「独」ではないのであろう。
これ程までに織り込まれた小説に出会えたことに感謝である。
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Posted by ブクログ
最終巻。半日で読み終えてしまった。
国によって異なる医療の在り方があって、文化や暮らしがあって、その中で自分たちの暮らしを手放さざるを得なくなった人々。
全ては思い通りにはいかないし、最善だと考えて行動していても、それが個人の死によって成り立っていては意味がないのでは、と思う。
だけどその中でも人が人を想う気持ちがきらきら光って希望のように思える、そんなお話でした。
素晴らしかった、超現実的なファンタジーだったなぁ。
微生物によって支えられている身体は、国や土地そのもので、人と自然は繋がっていることを改めて感じました。
血縁も、一緒に暮らすことでできる絆も、今隣にいてくれる愛猫の尊さも、全てひっくるめて大切だ。
なんだかいい大晦日。
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Posted by ブクログ
ネタバレオリエさま、幸せになって欲しい…とずっと思いながら読んでいたので本当によかった…。
海外の蝗害のニュースを見たことがあったから、あっこれは…とうっすら思いながら読み進めていた。
何のために存在するか分からない規則がより現実的な損得勘定の前に徐々に失われてしまうのも仕方のないことだと思うし、被害を直接目にしていない人をいくら説得したところで分かりました稲を焼きましょう、とはならないのも当然だよなとは思いつつ、災厄を予期していても、やがてそれが現実になっても対応が後手後手になってしまうのがとても歯痒かった。
しかしああなる前にアイシャたちに他に何ができたか?と考えると、何もない…というか既にできる限りのことはしていたので、やっぱり防ぎようはなかっただろうな…。
終盤、アイシャは神郷に向かうのだろうかと思っていたので、彼女が天炉のバッタの行方を追うという選択をしたとき、そっちに行くんだ?と意外に思った。
けれど、オリエたちと出会い心を通わせ協力してきた日々があったからこそ、異郷ではなくこちら側の世界で生きる人として現実的な道を選べたんだろうな、と納得はできた。
表立って力を振りかざすようなことを好まない性質のアイシャが覚悟を決めて香君として力を示すシーンはすごく格好良かったし、それでも自分は神ではない、ただ香りの声を伝えることができるだけだとして、一人の人間であり続けたのが彼女らしくてとても良かった。やっぱりオリエとアイシャは似ている。
全体的なストーリーの作りとして、この状況下ではそうするしかないよな、そちらが最善だよな…という一本道を歩かされているような感覚があって、アイシャの自由な意思で選択ができた場面ってほとんど無いんじゃないか?という感じがする。だからヒシャの来た方へと遡るか彼らを追いかけるかの選択が、アイシャが自分の意思で選びとった数少ない分岐点として強く印象に残ったのかもしれない。
マシュウとオリエは幸せになったけれどアイシャはどんな人生を歩むんだろうか。
女性にのみ強く遺伝する稀有な能力となれば、カシュガ家あたりの誰かと番い娘を産むよう強いられることにならないのかな…それはそれで誰にも理解されない孤独から解放されるのかもしれないが…幸せでいて欲しい…。
話の流れで十分察することができる部分についても念を押すように登場人物に語らせているシーンが結構あって若干冗長に思えたけど、幅広い年齢の読者がいるだろうことを考えれば妥当かなと思うし、幅広い年齢層に読まれて欲しいなと思った。