上橋菜穂子のレビュー一覧

  • 獣の奏者 II王獣編

    Posted by ブクログ

    堪えていたものがグググっと込み上げてラストのシーンでは涙が溢れた。

    獣と少女が必死に通わせた心の軌跡の物語でもあり、愚かさを繰り返す人間の物語でもあり。
    戦争映画を見ているような気分にもなった。

    後半になるに連れて目が離せなくなって行く。
    主人公のエリンとリランを小さな頃から見守って来た読者にとっては、胸が痛いシーンの連続であったりもした。

    どのシーンでも悔しさと怒りと虚しさが入り混じっていて苦しくなった時が多かった。
    それがラストのシーンでは救われたような、だけど「人間は愚かでごめんなぁ!泣」と叫びたくなるような胸熱シーンに心奪われた。

    これで完結と言っていた作者の気持ちもわかる。

    0
    2024年10月20日
  • 狐笛のかなた

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久しぶりに読んだが、期間を空けて読んでも本当に面白く、上橋菜穂子さんの描く「なつかしい場所」が好きだなぁと思う。
    優しくて芯が強くて正直な小夜も、主を裏切ったら死ぬと分かっていて小夜と小春丸を守ろうとした野火もとても好きだ。
    若桜野がどちらの国にも水を運ぶようになったのも、小夜が戦いの道具にされなかったのも、本当によかった。

    0
    2024年09月17日
  • 獣の奏者 外伝 刹那

    Posted by ブクログ

    この外伝が読めて本当に良かった
    本編では語られなかったエリンとイアルの馴れ初めも嬉しかったし、エサル師の若い頃もよかった
    あの経験をしているからこそのエサル師の考え方があるんだなぁとしみじみ思う
    1番嬉しかったのはソヨンとエリンの話
    本編でのソヨンはエリンにだけじゃなくすべてのものに対して淡々としており、エリンに愛はあるんだけどどこか血が通っていないというか…冷めたイメージが拭えなかったのだけど、今回の短編を読んですごく嬉しくなった
    私にとってこの話も外伝自体も〈余分な一滴〉ではなく、必要なものだった
    この外伝を読んだからこそ本編での違和感や理解できなかった心情なんかもスッと胸に入ってきたので

    0
    2024年09月14日
  • 狐笛のかなた

    Posted by ブクログ

    物語に引き込まれて読み進めました!
    どなたかのコメントにあった、宮崎駿監督で映画化して欲しい、と。本当にそう思います。
    児童文学となってましたが、大人でもすごく楽しめました。
    娘にもいつか読んで欲しいし、二度三度と再読したい作品です!
    久々に大満足の読後感でした♪

    0
    2024年09月14日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

    Posted by ブクログ

    夢中で読み漁ったのが懐かしい。情景がありありと目に浮かぶ繊細な文体。映画を見てるようで、数年前に読んだのにまだ鮮明に輪郭を保って覚えてる。

    0
    2024年09月13日
  • 獣の奏者 III探求編

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    闘蛇編、王獣編が完璧すぎる世界観だったけどこれはさらに上を行くかもしれない
    今回は前作から10年ほどすぎエリンはイアルと結婚し、息子のジェシが生まれている
    国も真王と大公が結婚しており、様々な変化があった
    王獣リランもその後さらに子を産んだようで平和な日々が続いているようだった
    だけど闘蛇村の一つで牙が大量死する事件が起き調べるよう命がエリンに下ったところから物語は加速を増していく
    ある事からエリンが闘蛇を操れる事がバレてしまう
    いよいよ、想像していた最悪の状況となる…
    イアルとエリン全て話さずとも何を考えているのか理解しているところは、強い絆で結ばれてるんだなぁと読む度に思う
    王獣軍を作らな

    0
    2024年09月04日
  • 青い鳥文庫版 (総ルビ)獣の奏者(8)

    Posted by ブクログ

    壮絶なエリンの人生が描かれた話でした。
    人間の身勝手な意志によって他の生き物が命を落としたり、本来の野生の姿を失ってしまうことは実際の世界にも通じるものがあるのではと考えさせられました。
    また、1人では多くの人々を劇的に変えることはできなくても、エリンの意思が息子や様々な人に受け継がれ、少しずつ世界が変わるきっかけになったことがとてもかっこよく、またエリンがしたことが着実に世界に影響を与えているということに感動しました。
    人と獣の繋がりから世界のありようにまでつながるとても素晴らしい話でした。

    0
    2024年09月01日
  • 青い鳥文庫版 (総ルビ)獣の奏者(4)

    Posted by ブクログ

    エリンとリランには意思を伝えることができても決して超えられない人間と獣という隔たりがあり、完全にお互いを理解することはできないはずだが、それでもリランがエリンを守ったことに感動した。

    0
    2024年08月31日
  • 青い鳥文庫版 (総ルビ)獣の奏者(3)

    Posted by ブクログ

    王獣であるリランと心を通わせることに成功したエリンだが、それによって王獣を操る方法を見つけてしまいそのことによって王国の争いに巻き込まれていくというストーリー。
    単純に主人公が生き物と触れ合っていく話ではなく、強い力を持つ王獣が王の権威を象徴するということや、王獣を操ることができることを知られることと王を守ることで葛藤している様子がとても面白く、深いストーリーに引き込まれる。

    0
    2024年08月31日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

    Posted by ブクログ

    友人から誕生日プレゼントでもらって取っておいた本。
    闘蛇を操る母を見て育ったエリンだったが、母の壮絶な死を目にし、逃げた先で出会ったのは王獣という美しいケモノだった。
    久しぶりのファンタジーで、夢中になって読んだ。聡いエリンの成長が楽しみだ。
    早速続きを購入した。

    0
    2024年08月31日
  • 獣の奏者 II王獣編

    Posted by ブクログ

    久しぶりにすごく面白い作品に出会えてとても幸せ。

    学校で出会った王獣の子供リランと、竪琴を使って意志を交わせるようになったエリン。
    その強大な力のために、権力争いに巻き込まれてしまう。
    しかしいくら懐いてもリランは獣。トラブルでリランに左腕を食いちぎられてしまう。

    描写が生々しく、臨場感のあるト書きに惹かれて一気読み。人物も魅力的。展開はやや予測通りだが、とても面白く満足。

    0
    2024年08月31日
  • 風と行く者

    Posted by ブクログ

    ジグロの娘かもしれないサダン・タラムの頭エオナを守るため、護衛を引き受けるバルサ。
    ジグロとサリから感じる大人の雰囲気と、それを見つめる16歳のバルサの気持ちが、なんとなく複雑なことがよく分かる。
    ジグロが覚悟を決めてバルサを育てていることが分かる過去話は面白い。
    もう一度、最初から読み返そうかな。

    0
    2024年08月30日
  • 獣の奏者 II王獣編

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ここまで洗練され完璧な世界観に浸れたことが嬉しすぎて改めて作者さんの文才の凄さとこの物語を作品として世に出してくれた事に感謝

    今回はエリンが人間の汚い部分に触れ大人へと成長していく
    リアンとの絆を履き違えてはいけない
    エサルの助言の意味をある事件をきっかけに痛感するエリン
    自分の理想と現実は違うのだと理解し、絶望するもそれでも自分のしたことの重大さを受け入れ覚悟する姿はかっこいい
    段々と過去に何があったのか、王獣規範の本当の意味が明かされる
    過去の人々の願いは時代が移ろう中で少しずつ忘れ去られていき、過ちが繰り返されるのもまた人間の性なんだろうなぁと思うと虚しくなると同時にだからといってどう

    0
    2024年08月27日
  • 狐笛のかなた

    Posted by ブクログ

    小学生の自分が1番好きだった本。
    追われるようにページをめくって、胸が高鳴った幼い日々を、今もよく覚えている。

    10年以上ぶりに読み返すことには勇気を要したけれど、全くの杞憂だった。
    なんなら、上橋菜穂子さんの描くファンタジーが、児童文学の域を保ちつつ、広がる世界の広さが想像力の限界を試しに来る、この心地の良さが今も自分の中にあることを再確認しただけ。それだけで、涙が出るくらい嬉しかった。

    なんて優しくてあたたかくて、切ない気持ちに
    させてくれるお話なのだろう。
    ともすればややこしい領地争いや人間関係を、易しすぎる言葉も使わずにこれ程上手く伝えられるのは、もう本当に上橋先生ならではだと思う

    0
    2024年08月23日
  • 狐笛のかなた

    Posted by ブクログ

    1ページ目から面白い。そのまま夢中で一気読み。
    鹿の王、香君、守り人シリーズと読んできたけど、どれも大好きだけど、負けず劣らず本作も凄く良かった。なんで今まで読まなかったんだろう。もし上橋作品読んだ事無い人がいたら、まずこの作品を薦めることにする。

    0
    2024年09月01日
  • 獣の奏者 IV完結編

    Posted by ブクログ

    最後エリンがなくなってしまって悲しい、、、気になり過ぎてぶっとうしで読んでしまった。エリンは死んでしまったけどなぜかバッドエンドとは思えない結末⁉︎

    0
    2024年08月17日
  • 獣の奏者 IV完結編

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エリンの息子ジェシは、母が王獣の訓練をする姿を見たいがために立ち入りを禁止されていた森にこっそりと入って盗み見をしていた。エリンや護衛兵たちはそのことに気がついていたが、母と過ごす時間の少なかった幼いジェシを思うと、注意もしづらく、黙認していた。
    ある日、その森の中からジェシの悲鳴が聞こえる。慌てて悲鳴の方へとエリンが走ると、大量の火蟻に身体中を噛まれ悶えるジェシの姿があった。一命を取り留めた息子を連れて、火蟻に襲われた森へとエリンは向かい、森の生き物たちの危険について、生態について、ジェシに話して聞かせる。

    狂乱する闘蛇と王獣を止め、死ぬ、エリンの最期も心に残った。それでも、この物語の中で

    0
    2024年08月08日
  • 獣の奏者 I闘蛇編

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     子供の頃からずっと読んできた作品。本棚を片付けたら、獣の奏者が出てきて、久々に読んでみた。
     やはり、上橋菜穂子先生の作品は描写が美しい。例えば、「湖畔にすくっと立つサロウの大樹が、満開の時を迎えていた。湖に張り出した枝にびっしりと咲いている白い綿毛のような花が、朝の光を浴びて、ちらちらと輝いている」。自分の目の前に大樹が聳え立つ湖があって、白い花が光り輝いているように感じられる。自分が獣の奏者の世界に入り込んだような感覚になる。
     大人になってから読むと、子供の頃とは違う目線で物語を見ていた。子供の頃はエリンに感情移入をして、母と別れる辛さを思い涙していた。しかし、今はソヨンが骨に刻むよう

    0
    2024年08月04日
  • 明日は、いずこの空の下

    Posted by ブクログ

    眼差しは優しく、語り口はのどかに、さりげなくとんでもない体験を爽やかに。
    作者の穏やかな人柄が伝わる文章で、気楽に楽しく、でも少し考えさせられながら読めました。

    0
    2024年06月25日
  • 物語ること、生きること

    Posted by ブクログ

    文化人類学者でもある作者の鋭い感受性、五感を刺激する平易で具体的な言葉遣いがどのように育まれたのかが、とても優しい言葉で沁み込んできます。
    永遠と一瞬、語られるものと語りえぬものなど、絶えず大きな視点を意識されているからこそ、壮大な物語が生まれてくるのだなぁ、と感じ入りました。

    0
    2024年06月16日