あらすじ
児童文学のノーベル賞にあたる、国際アンデルセン賞作家賞受賞! 世界的注目作家の新たなる代表作。カザルム学舎で獣ノ医術を学び始めたエリンは、傷ついた王獣の子リランに出会う。決して人に馴れない、また馴らしてはいけない聖なる獣・王獣と心を通わせあう術を見いだしてしまったエリンは、やがて王国の命運を左右する戦いに巻き込まれていく――。新たなる時代を刻む、日本ファンタジー界の金字塔。
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最初は本編で完結していたのか!
人間と獣の超えられない壁について、まざまざと描き綴られる。動物を“獣”と表したところにも、そういった弱肉強食の合理的な恐ろしさが言い含められているのかな。
そんな獣と心を通わせたい少女エリンと、彼女を取り巻く政界の思惑とが交錯していくような人生譚。
これから3巻目の『探求編』へ。
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王獣を人に慣れさせてはいけないという決まり。
純粋にリランのことを愛して育てていたのに、政治的な利用をされそうになったり、王獣の本能に恐怖を抱いたり、エリンの思うままにはできない理不尽さ。
政治が絡んだり、過去のことが絡んできたりで世界観がすごくてより面白くなってきた。
最初の闘蛇の謎の死とか、王獣規範のこととか、解き明かされていくのが楽しみ
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神話と歴史、政治劇が複雑に絡み合い、その渦の中で揺れ動くエリンと王獣リランの心の通いに、読みながら一緒に気持ちが揺さぶられ、とても切ない。登場人物それぞれがもつ背景には様々なしがらみがあり、その中で懸命に生きる姿も胸を打つ。何が善で何が悪か、立場によって見方が変わり、それはファンタジーだけれどとても現実的で、没入してページをめくった。
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面白かった!
後半は一気読み。ページをめくる手がとまらんかった。
『香君』にも通じる自然との共生の在り方…考えさせられる。
作者のあとがきを読んで、当初はここで終わりだったと知る。作者のねらいを描き切ったからだそうだ。
そうと知れば、「なるほど」と思うのだが、知らなかったら、絶対、「いやいやいや、その後どうなったん?!」と思うよね。
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圧巻の描写力、ワクワクしてめくる手が止まらない経験は何時ぶりか。
ファンタジーに苦手意識があったが、上橋菜穂子さんの設定力、ありありとエリン達の暮らす様を読者に想像させる筆力に、その熱量に息付く間もなく読み切ってしまった。文章だけで、こんなに繊細な獣の息遣いや美しい野山や渓谷を、描ききれるものか、、、、。
10年も前にアニメ化までされた名作と聞いていたが、なるほどこれは売れるし、願わくばもっと若い時、今ほど娯楽もなく時間もたっぷりあった10代に出会いたかった作品。それでも心強く揺さぶられた。
続編があるとはいえ(まだ未読だが)、あとがきにもあった様に、潔いラストも文句のつけようがない。どうしようもなく、エリンとリランが愛しくて堪らなくなった。
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闘蛇とアルハン、ヨジェの関係など闘蛇編より詳細に書かれておりどんどん物語が面白くなっていく。アルハン、ヨジェやエリン、リランの関係がどうなっていくのか続編がとても楽しみ。
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闘蛇編から王獣編までほぼ一気読み。面白かったー。ずっと先が気になってページめくるのを止められなかった。皆さん獣の奏者面白いってレビューされてたので、期待値も高くなっていたはずなのに、軽くほんとに軽く超えてきた。あとがきで本来なら王獣編で完結だったのを色々なきっかけがあって続編書く事になったとのこと。気になる。すぐに続編へ
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途中、エリンとリランの関係性に不穏な空気が流れて、ページをめくる手が重かったですが、ラストには、読者が待ち望んでたシーンが描かていてただただ感動でした。次巻も楽しみです✨️
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王獣を武器に使うのは…でも、みんなを救うには…
こんな感じで悩み続けたエリンの人生の命題に、燦然と輝くような答え…のようなものを提示しきった本作は、単純に完成度が高すぎる。満足感の奔流に流されるような、華々しい読後感はひとしお。
ここで完結編にしても文句を言う人はほぼいないと個人的に思うような完成度なのだが、探究編、完結編とまだ二冊本は残っている。いやはや、上橋菜穂子、恐るべし……
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獣の奏者とは、操者の事だった。
最後、エリンを救ったリランに大号泣。
王獣と心を通わすことができるエリンの過酷な運命を辿る壮大な物語。政治や医術を織り交ぜながらファンタジーを作るんだな上橋菜穂子は。
はあ、つぎも楽しみ。
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エリンと王獣の物語なんだけど、やっぱりエリンよりも母ソヨンの方が好き。だからか、そこまでエリンに感情移入できなかったな。
とはいえ、とても面白い。
娘にもいつか読ませたい。
2011/5/25
Posted by ブクログ
堪えていたものがグググっと込み上げてラストのシーンでは涙が溢れた。
獣と少女が必死に通わせた心の軌跡の物語でもあり、愚かさを繰り返す人間の物語でもあり。
戦争映画を見ているような気分にもなった。
後半になるに連れて目が離せなくなって行く。
主人公のエリンとリランを小さな頃から見守って来た読者にとっては、胸が痛いシーンの連続であったりもした。
どのシーンでも悔しさと怒りと虚しさが入り混じっていて苦しくなった時が多かった。
それがラストのシーンでは救われたような、だけど「人間は愚かでごめんなぁ!泣」と叫びたくなるような胸熱シーンに心奪われた。
これで完結と言っていた作者の気持ちもわかる。
だけど「駄作と言われてもいい!エリンやリラン、その他のキャラクターのその後を知りたい!」という読者の意見に自分も加担しただろう。
勿論、その後の全巻購入済みなのでこれから読むのが楽しみだ。
そして上橋奈緒子さんの他の作品も読みたくなり、私はすっかりファンになったようだ。
Posted by ブクログ
久しぶりにすごく面白い作品に出会えてとても幸せ。
学校で出会った王獣の子供リランと、竪琴を使って意志を交わせるようになったエリン。
その強大な力のために、権力争いに巻き込まれてしまう。
しかしいくら懐いてもリランは獣。トラブルでリランに左腕を食いちぎられてしまう。
描写が生々しく、臨場感のあるト書きに惹かれて一気読み。人物も魅力的。展開はやや予測通りだが、とても面白く満足。
Posted by ブクログ
ここまで洗練され完璧な世界観に浸れたことが嬉しすぎて改めて作者さんの文才の凄さとこの物語を作品として世に出してくれた事に感謝
今回はエリンが人間の汚い部分に触れ大人へと成長していく
リアンとの絆を履き違えてはいけない
エサルの助言の意味をある事件をきっかけに痛感するエリン
自分の理想と現実は違うのだと理解し、絶望するもそれでも自分のしたことの重大さを受け入れ覚悟する姿はかっこいい
段々と過去に何があったのか、王獣規範の本当の意味が明かされる
過去の人々の願いは時代が移ろう中で少しずつ忘れ去られていき、過ちが繰り返されるのもまた人間の性なんだろうなぁと思うと虚しくなると同時にだからといってどうしようもないなと感じてしまう
エリンの成長の他に国政が変化しつつあり、それに巻き込まれるエリンとリラン
闘蛇や王獣の戦闘シーンで人はいつの時も欲にまみれた生き物であることを思い知らされる
イアルとエリンのお互いを想う気持ちは純粋で守ってあげたい気になる
Posted by ブクログ
著者は本来この王獣編で終わりのつもりだったらしいです。長い話が無理な方はこの2巻まで読んでみてもいいと思います。
ファンタジーの世界の話ですが、内容は大人も子供も楽しめる、それぞれの年齢で違う楽しみ方ができる本でした。
人間の醜さに立ち向かう女性エリンの人生の生き様に深く心に刺さるものがありました。静かにひたむきにそして力強く生きるエリン。
過去の悲しい辛い経験で時に悩まされるエリンですが、それを乗り越えようとして生きる姿に感動しました。
Posted by ブクログ
一貫して、獣はそして人はどう在るべきか、一つの考え方を示してくれる。そのメッセージを、これ程魅力的なストーリーに乗せられる作者にただ脱帽です。
4巻が一番泣けます。
アニメ「獣の奏者 エリン」を見てから読むと、
イメージしやすく読みやすいです。
また、多くの図書館では、
こちらの版が多いと思われます。
https://www.amazon.co.jp/獣の奏者-完結セット-全5巻-上橋-菜穂子/dp/406939270X/ref=pd_aw_sbs_5?_encoding=UTF8&pd_rd_i=406939270X&pd_rd_r=ff93e70b-171d-4387-ae33-7a45fc1e0a1d&pd_rd_w=dJALm&pd_rd_wg=oY5Zq&pf_rd_p=2eb5268e-6ff8-4b13-8822-fcfaa9eea37e&pf_rd_r=4PRM5QYV2EW0P58GA21F&psc=1&refRID=SG3VZXJQR5TWTQJ0HHFC
最終章の4巻が泣けます。
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エリンがカザルム王獣保護場の教師となり、王獣の飼育に成功。王獣が政治利用されはじめるところまで。少しずつ運命の歯車が重なってラストに繋がっていくのを感じる。!
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獣の奏者Ⅱ。真王と大公、王獣と闘蛇という対立で物語が進むため、分かりやすくて物語に入り込みやすかった。特に主人公エリンが後半に進むに連れて王獣と繋がることを恐れ、リランとの関係が悪化しつつあるのではないかと心配したが、その分最後にリランがエリンを助けるシーンに感動した。人間と王獣にはどうしても分かり合えない壁がありつつ、それでもエリンとリランの間には、切れない絆があるのだろうなと感じました。
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エリンとリランにどうか幸せが訪れますように、と祈りを捧げるような気持ちで王獣編を読み終わった。とても嬉しい終わり方でしたが、続刊があるということで…!早く読みたいような、一旦この余韻を味わいたいような。ユーヤンが好きなので、どこか出てきてくれたら嬉しいな。
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うん、面白い。
誰が裏切るのかとか、どういう展開になるのか、先の展開はある程度予想がついた。が、そんな事は本書の面白さとは関係ない。
描かれている世界や人物が非常に魅力的で、主人公のエリンから目が離せない。
非常に楽しく読ませてもらった。電車の遅延も今日は許そう。
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『獣の奏者 2 王獣編』読後感想と考察:エリンの成長と物語の深淵
上橋菜穂子さんの壮大なファンタジー『獣の奏者』シリーズ。その第二作目にあたる『獣の奏者 2 王獣編』は、前作を遥かに凌駕する物語の深さと、登場人物たちの成長、そして緻密に練り込まれた舞台設定が読者を魅了し、時間を忘れさせるほどの没入感を与えてくれます。
物語の核心へ:王獣を巡る謎とエリンの成長
本作の中心となるのは、神秘的な存在「王獣」と、その謎に迫るエリンの物語です。前作から著しい成長を遂げたエリンは、本作でさらに強く、そして深く物語に関わっていきます。彼女の内面の葛藤や、背負う責任の重さが丁寧に描かれることで、読者はエリンの心情に深く共感し、物語に引き込まれていくでしょう。
「王獣」は、その神秘的で圧倒的な存在感で物語を牽引するだけでなく、エリンの成長を促す重要な役割を果たします。王獣を巡る対立、そして社会の動きは、物語に複雑さと深遠なテーマを与え、読者に多くの示唆を与えてくれます。
登場人物たちの成長と人間関係:エリンを取り巻く人々
本作では、エリンと彼女を取り巻く人々との人間関係がより深く掘り下げられています。王獣に関わる人々との絆は、物語を豊かにするだけでなく、それぞれのキャラクターが抱える苦悩や葛藤を描き出すことで、物語に深みを与えています。
特に、エリンの師であるエサルとの交流は、彼女の成長に大きな影響を与えています。エサルの教えは、エリンの人間性を形成する上で重要な要素であり、読者にとっても心に残る場面となるでしょう。
時代背景と創作の深層:ファンタジーを超えたテーマ性
『王獣編』は、単なるファンタジー小説に留まらず、複雑な社会問題や文化的背景を織り交ぜることで、現実社会への深い洞察を与えてくれます。王獣の扱いを巡る争いは、現実の歴史や社会の矛盾を映し出し、読者に鋭い視点を与えてくれます。
王獣は、単なるファンタジー世界の生き物ではなく、社会や権力の象徴として描かれています。人間が自然を支配することへの警鐘とも言える本作は、倫理的な問題や力の不均衡による不正義について、私たちに深く考えさせるきっかけを与えてくれるでしょう。
現実の問題との共鳴:現代社会への問いかけ
物語に込められた自然や動物、そしてその管理というテーマは、現代の環境問題や動物愛護の議論と深く共鳴します。王獣という力を持つ存在を通して、人間社会における自然との向き合い方を問いかけています。
また、エリンが直面する選択の難しさや、彼女の信じる正義と社会の期待とのギャップは、私たち自身の日常にも通じる普遍的なテーマです。これらのテーマは、読者に深い余韻を残し、物語の世界を深く考察するきっかけとなるでしょう。
結び:『王獣編』が問いかける、私たち自身の生き方
『獣の奏者 2 王獣編』は、上橋菜穂子さんの壮大な世界観と、人間ドラマの繊細な描写が融合した傑作です。エリンを中心に展開される物語は、ファンタジーの枠を超え、現代社会にも通じる深いメッセージを伝えてくれます。
本作が問いかけるのは、人間と自然の関係、権力と倫理、そして私たち自身の生き方です。この物語は、単なる冒険譚ではなく、私たちがどのように生き、選択し、世界と向き合うべきかを深く考えさせてくれるでしょう。
まだ『獣の奏者 2 王獣編』を読んだことがない方は、ぜひ手に取ってみてください。この物語が持つ深い感動と考察は、あなたの心を揺さぶり、新たな発見を与えてくれるはずです。
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争いのきっかけは勘違いや小さい事から始まる。
国を守ると言うことは一体どういう事なのか。
エリンとリランの絆が深くなっていく一方、どうしても本能で制御できない部分もある。
祖先が作った規範は良くも悪くも、争いを避ける上では必要だったのでしょう。
国を守る為にはやはり戦いが必要。
そして、これはイアルといい感じなのでは。
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コレはハマりますね!
エリンがリランに『やられた』のにはびっくりさせられましたが……とにかく『読みやすい』のが最良。
次は3部作目にチャレンジします。
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物語の終盤、戦場の真ん中で矢に射られようとするエリンを王獣のリランが助ける場面。
リランは、器用に、舌でエリンの身体を転がしていく。最後に口の中で落ち着いた身体の位置は、矢傷がリランの牙にもどこにさわらぬ、横向きの姿勢だった。
人間の身体を咥えて、舌で転がすという表現を見て、初めて空を飛ぶ王獣という生き物の巨大さを感じた。物語ではこれまでも、エリンがその背に跨って空を飛び、その硬い皮膚が矢を弾き、軽々と生き物の骨を噛み砕く王獣が描かれてきた。それだけでも、十分に王獣という架空の鳥の恐ろしさが伝わっていたつもりでいたが、「牙のない口の奥、歯肉のあいだ」に人を一人咥えられるという描写で、初めてその実感を得たような気がした。
そんな巨大な獣を前に、「ロン、ロロン……」と竪琴を鳴らしながら近づいていくエリンの姿は、やはり印象的だった。リランに咥えられ、助けられたとき、エリンは思う。
(どんな気持ちで……)
リランは、こんなことをしているのだろう。
リランは、どんな気持ちで、自分を助けたのだろう……。
我が子でもなく、親でもなく、伴侶でもないのに、なぜ。
あれほど憎んでいる音無し笛を吹き、鞭で叩くようにして従わせたのに、なぜ。
結局、獣の気持ちはわからない。物語の中盤、王獣たちが最も嫌う音無し笛を吹こうとした獣使いを襲ったリランは、自分に愛情を持って育ててくれたエリンの左手を骨ごと噛みちぎってしまう。どれだけ情をもって接しても、獣は獣なのだと諦めたエリンは、最後にその情をもって獣に救われる。
だからこそ、物語を締めくくることになるエリンの決意は、とても固いものに見える。
おまえにもらった命が続くかぎり、わたしは深い淵の岸辺に立って、竪琴を奏でつづけよう。天と地に満ちる獣に向かって、一本一本弦をはじき、語りかけていこう。
未知の調べを、耳にするために。
結局、分からないからこそ、語りかけ続けるしかないのである。
解説にある通り、この物語には、少女だったエリンの成長以外にも、王国の成り立ち、王獣規範の謎、政治、さまざまな要素が輻輳している。ただ、その中でもやはり心に残るのは、少女だったエリンと、幼い王獣だったリランとの絆だったように思う。
限られた言葉だけでしか意思を疎通できない人と獣の物語を楽しんでほしい。