上橋菜穂子のレビュー一覧
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最終巻。半日で読み終えてしまった。
国によって異なる医療の在り方があって、文化や暮らしがあって、その中で自分たちの暮らしを手放さざるを得なくなった人々。
全ては思い通りにはいかないし、最善だと考えて行動していても、それが個人の死によって成り立っていては意味がないのでは、と思う。
だけどその中でも人が人を想う気持ちがきらきら光って希望のように思える、そんなお話でした。
素晴らしかった、超現実的なファンタジーだったなぁ。
微生物によって支えられている身体は、国や土地そのもので、人と自然は繋がっていることを改めて感じました。
血縁も、一緒に暮らすことでできる絆も、今隣にいてくれる愛猫の尊さも、 -
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ネタバレオリエさま、幸せになって欲しい…とずっと思いながら読んでいたので本当によかった…。
海外の蝗害のニュースを見たことがあったから、あっこれは…とうっすら思いながら読み進めていた。
何のために存在するか分からない規則がより現実的な損得勘定の前に徐々に失われてしまうのも仕方のないことだと思うし、被害を直接目にしていない人をいくら説得したところで分かりました稲を焼きましょう、とはならないのも当然だよなとは思いつつ、災厄を予期していても、やがてそれが現実になっても対応が後手後手になってしまうのがとても歯痒かった。
しかしああなる前にアイシャたちに他に何ができたか?と考えると、何もない…というか既にでき -
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上橋菜穂子氏の新作長編ファンタジー。
香りで万象を捉える「香君」が影響力をもつ国と勇敢な一人の少女の物語。
国と文化と歴史が緻密な上橋ファンタジーの今回の題材は作物と蝗害。
国の豊かさに直結する作物に関して深堀った本作は上橋ワールドの相性は抜群。
魅力的だかどこか不気味なオアレ稲を巡って国内の政から周辺国との国交、さらには未開の地の未知の生物まで拡張されていき、次々と展開が進んでいく構造は見事、この没頭感が上橋作品の一つの大きな魅力に思えます。
登場人物も言わずもがな魅力的、目的は明確かつ同じであるにも関わらず、それに対する手段や考え方は人や立場によって異なるという部分を、国の歴史や背 -
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上橋菜穂子氏のアニメ化もされたファンタジー作品。
二種の獣とそれぞれを用いる二国、それに巻き込まれる一人の少女の物語。
上橋菜穂子氏のファンタジー、もう言いたいことは分かりますね?そうです、傑作です。
圧倒的情報量による緻密な地理・政治設定はそのまま、今作は生き物の生態と歴史を語る側面もあり興味深く、面白いです。
ただのファンタジックなビーストとして語られがちな創作生物ですが、それを学術的視点から紐解いていくところまで想定して創られたもののリアリティたるや…!
目を瞑れば生命力に満ちた闘蛇と王獣が動く姿がありありと浮かんでくるほどです。
本編の構成もとてつもなく素晴らしく好き…
前 -
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ネタバレ元が児童書だと思えない大人でも楽しめる呪いに纏わる少女「小夜」が生まれゆえに巻き込まれた人生劇。12歳の時犬に追われる子狐を助けたことにより運命が変わり始めるその子狐はこの世と神の世のあわいに棲む霊狐「野火」だったそうしてお屋敷に閉じ込められている少年小春丸との交流。果たして小夜はどのような結末を迎えるか。自分の出自を知り小春丸を助けたいと思った小夜。だけど敵組織に使役されている小夜に惚れている野火がいてという恋愛模様だがあらすじを全く読んでいなかったためてっきり小春丸とくっつくと思っていたら最初から結ばれぬ恋見ているだけでいいと言っていた野火が大活躍を繰り広げ自分の命がどうなってもいいと野火
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ネタバレ一度は静まったはずの天炉のバッタ。
けれど物語は、まるで風が巻き戻るように、
再び羽音が空を覆うところから始まりました。
この巻があるということは、きっとまだ世界には揺らぎが残っている――
そんな予感を胸の奥で鳴らしながら、私はページを開きました。
バッタたちは、生き抜くために、より大きく、より強く変わっていた。
その変化を知ったアイシャは、御前会議で
「国中のオアレ稲を焼くべきだ」と進言します。
それを実行できるのは、皇帝か香君の言葉だけ。
オリエとマシュウは策をめぐらせ、
香君としての言葉が民に届く場を用意しようとします。
しかしその思いを察したイール・カシュガは、
オリエに毒を盛ると -
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ネタバレ「なにか呼んでいる、遥か遠いものを」
その帯を目にした瞬間、胸の奥で小さな気配が動きました。
――呼ばれてはならないものが、呼び出されてしまうのだ、と。
ミリアに攫われたアイシャたちが見た、
海辺で風に揺れるオアレ稲。
本来そこにあるはずのない生命の姿。
そして、〈絶対の下限〉を越えて育てられた稲が放つ、
「来て」と囁くような気配。
応じる生き物のいないその声は、
ひどく静かで、どこか不吉でした。
やがて見えてきた“救いの稲”という名。
政治のために掲げられた旗のようなその言葉の下、
遠い異郷からマシュウの父が戻る知らせが届きます。
そこで出会ったのは、マシュウに似た男と、
空気をざわめか