あらすじ
国際アンデルセン賞(児童文学界のノーベル賞)受賞!作家になりたくて、でも、甘ったれの幸せな「夢見る夢子さん」のままじゃ作家には絶対なれないと思っていた10代。自分で自分の背中を蹴っ飛ばし、外の世界に触れ、文化人類学の道を志した20代。そして、その先に待ち受けていた「作家として生きつづける」という新たな登り坂……。壮大な物語世界を生んだ作家の道程が問いかける、「読むこと」「書くこと」「生きること」とは。
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Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんがどのように育ち、何に触れて何を感じたかを知ることが出来てとても興味深かったです。
特に目からウロコだったのが、物語を読むことで色んな体験や知識を手に入れることができるが自分自身ではなんのリスクも負わずに受け取れるのはずるいという考え方です。私は、読書をすることで登場人物が体験したことや、感じたこと、様々な知識を得ることができることに有難みを感じていましたがそのような考え方を今まで感じずに与えられていたんだと思いました。だからこそ、物語の中で体験してきたことの大切な部分を、生身の自分で体験してみようという、上橋さんの考えが素敵だと感じました。ぜひ、私も臆病な自分がいたら「靴ふきマットの上でもそもそしているな!」と自分を鼓舞して1歩踏み出してみたいと思いました。この本に出会えた事に感謝するだけではなく、私も自分の物語を生きるために、前に進むために頑張ります。
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文化人類学者でもある作者の鋭い感受性、五感を刺激する平易で具体的な言葉遣いがどのように育まれたのかが、とても優しい言葉で沁み込んできます。
永遠と一瞬、語られるものと語りえぬものなど、絶えず大きな視点を意識されているからこそ、壮大な物語が生まれてくるのだなぁ、と感じ入りました。
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面白かった。若い頃の思い上がりをそのまま話してくれて、いいのかな、誰かわからない相手にこんなに自分のこと話してくれて。スーパーマンじゃないバルサが生まれたのも納得した。
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ファンタジーものが好きで、どちらかというと空色勾玉のような古代日本をベースとしたファンタジーのほうが好きだが、上橋さんの精霊の守り人シリーズも好きだった。初めて知ったのだが、完全に現実世界とは別の世界のことを書いたファンタジーは「ハイ・ファンタジー」と言うんだね。
しかし完全に別世界といっても、さまざまな民族文化や世界の世俗を参考にしているわけで、そのために上橋さんの民族文化の研究がまさに役立っている。沖縄の神話をベースにしたファンタジーとか書いてみたいなと思うのだが、相当のフィールドワークが必要なんだろうな。
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作家・上橋菜穂子の作家になるまでの生い立ちや、作品創作についてのインタビューをまとめた本。なぜ本人によるエッセイという形でなく他人の手を介する形にするのだろうという疑問がありましたが、あとがきに相当する部分を読むと、インタビューという形で他人が介することで引き出されるものもあり、自分のことを自分で語る以上のものが出てくるのだということがわかり、なるほどと目から鱗の落ちる思いでした。
上橋菜穂子の作品には「こちら側」と「あちら側」の境界線が舞台となることが多く、またその両方を行き来する人が出てくることも多いです。それが魅力となっているのですが、これを読むとなるほどここからあの物語たちが生まれてくるのかと思わされます。
作家になりたくて作家になるにはどうすればいいのかを考え進んでいく。まっすぐな想いはまっすぐな眼差しとなり突き進む指針となる。その指針は今この時に物語が好きだという子らや、作家になりたいと思う子らの指針ともなるのでしょう。
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上橋菜穂子さんが、作家になるまでに至る幼少の頃からの経緯を語り、インタビュアーが本にまとめた一冊。
小さな頃に昔話を語ってくれた祖母のことや、読書が大好きで行動することは苦手だったこと。
あこがれの作家、ボストン夫人に会いに行った話や、大学で文化人類学を学び、やがて研究者になる話等々。
精霊の木や守り人シリーズを書いた背景が目に浮かぶように、この一冊に詰め込まれています。
体調の悪いときに読み始めたけれど、一気に読んでしまった、心が奮い立ってくる本でした。
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人が全身全霊でモノを書いていくとは
どういうことかを
学んだような
作家が生きてきた過程そのものが
あの作品に こんなふうに昇華されていくのだ
あの作品の 背景はここにあったのだと
綴っておられる
上橋菜穂子さん
改めて 上橋作品のファンであることを
再認識してしまいます
Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんが小説を書くようになるまでのインタビューをまとめた1冊。
物語への思いや今までの読書体験、上橋菜穂子さんが今に至るまでの物語。
自然や、生き物、人へ向ける眼差しはこのようにして培われ、物語に生きてきていたのだと感慨深いものがある。
ファンタジーは今まで手に取ることのほとんどなかったが、上橋さんの著書は一通り読んでいる。ファンタジーとはいえすぐそこに実際にありそうに感じられる人々の息づかい、生活の描写、その筆力に引きずり込まれる。そしてその根底にある想いはこの本の中にあるように「境界線を越えて交わろうとすること」なのかもしれない。
○ひとりの人間が考える事と、群れとしての人類が起こすことは、必ずしも一致しない。戦争や公害、あるいは原発の問題を例にひくまでもなく、人類の歴史は、そうしたことを繰り返してきたのです。
○誰もが自分の命の最前線に立っているのなら、それぞれに境界線を揺らす力、境界線の向こう側に越えてゆく力を持っているんじゃないか。相手を否定したり、恐れたり、あるいは自分の領分を守るために境界線を強くするのではなく、境界線を越えて交わっていこうとする気持ちを持てたら、どんなにいいだろう。
○経験は大切です。でも、べつに、人と逢う事をたくさんしなければいけないというわけでなくて、むしろ、人と同じ事をしていながら、そこには人と違うものを感じ取る事の方が大切だと思います。
講談社 2013年 10月15日 装画:辻恵 装丁:田中久子
Posted by ブクログ
上橋さんが小説を書くようになるまでのお話を書いた本。
ひとつひとつの経験を通じて納得することができました。
「上橋さん、引き返すならいまよ。今ならまだまともな人生が待っているわよ。」
何の保証もあるわけではないのに、就職する道を棒に振って、作家や研究者を目指した上橋さん。
目指す道は違いますが、つい自分をそこに重ね合わせてしまいました。
余白やひらがなをうまく使っていて、とても読みやすいな、と感じました。
上橋さんの作品は読んだりしたことがなかったのだけれども、読みたいなと思いました。
Posted by ブクログ
上橋さんはほとんどぜんぶ読んでいるけれど、上橋さん個人のことは、対談などでうかがい知るほかは何も知りませんでした。こどもにも読めるように平易に書いてあるのに、大人が読んでも面白い。上橋さんの描く物語には、これだけ重厚なバックボーンがあったのだと、驚きの連続でした。世界観や地球環境、現代の社会問題なども、人類学者としての目線でさらりと語られていましたが、ことばを選ぶのは難しいはずです。
上橋さんが古武術によって身体の動きを知っていたので、バルサの殺陣も息を呑む緊張が生まれていたのだと、あらためて知りました。
物語を聞かせ続けてくれたおばあさま、好きでたまらなかった本。必死になって身体を動かし続けたこと。
それらが謙虚に語られています。上橋さんはインタビューを受けたので、書いた人は違うのですが、上橋さんを浮かび上がらせて、見事な構成だと思いました。
上橋さんの物語は、この後もずっと語られてゆくことでしょう。それは上橋さんの人生そのものだから。
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上橋菜穂子さんが作家になるまでの生い立ちを、インタビューして本にしたものです。
だから、上橋さんが書いた本ではなく、まさに上橋さんの本!ってことになりますね。
小説を書く時に、嘘をつきたくないという言葉がとても印象に残りました。
ファンタジーを書いてるから、嘘の部分もあるんだけど、根っこの部分では嘘をつきたくないんだそうです。
上橋さんが書くものは全て実体験に基づいているから、こんなにも心を揺さぶる小説が書けるのか!上橋菜穂子さんの謎がひとつ解けました。
この本は、インタビューだからなのか、本当に上橋さんが話してくれていて、それを聞いている感覚になります。
人柄もよく伝わってきました。
それと、上橋さんがどういう想いで本を書いたのかを聞くと、また違った目線で物語を感じることができる気がします。
守人シリーズは一冊読んで挫折したけど、また読んでみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
H27.2.18
上橋さんの生き方そのものが物語のあちこちに展開されている。体験にそって、言葉に換えられているというのは臨場感溢れていて引き込まれる。
Posted by ブクログ
物語を書いてみたいと、作家になりたいと読書が好きな子供なら一度位は思ったことがあるのではないだろうか。
それでも読む側のままの人と、物語を生み出す人の違いってなんだろうと思ってた答えが、この本からおぼろげに見えてきた気がする。
自分の好きなこと、興味があることを突き詰めて行く強さ、一歩を踏み出す勇気。上橋さんは家でぬくぬくミルクティーを飲んでいたいタイプといいながら、毎回悩みながらも自分で自分を鼓舞して、温かい場所から抜け出し、自分を新たな場所へ運んでいる。
「経験は大切です。でも、べつに、人と違うことをたくさんしなければいけないということではなくて、むしろ、人と同じことをしていながらわ、そこに人とは違うものを感じ取ることの方が大切だと思います。」
どんな人間にも話したい思いや考えや物語が頭の中に詰まっていて、物語はそこにあるはず。ただ、「一言主」になり、自分の気持ちや興味があることを掘り下げられなければそこで終わってしまう。自分自身に興味をもち自分を理解した上で、周りのことに興味をもち広げていける人、そして最後までやり通す粘り強さがある人が、自分の頭の中にある物語を他の人が読める「本」という形にできるのだろう。
これから作家になろうとしてる人にも、なにか始めたいと思っている人にも、上橋さんが手を差し伸べて一緒に頑張りましょうと言ってくれているような本でした。
靴ふきマットの上でもそもそしていないで、自分で自分の背中を蹴っ飛ばして、一歩新しい場所に踏み出したくなります。
Posted by ブクログ
自分がどうして上橋さんの本を好きなのかよくわかりました。私自身、大学で史学に在籍しながらも、卒論で書きたいテーマを教授に相談したら「それは民俗学ですね」といわれたことを思い出しました。
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上橋菜穂子さんの作品の、一人一人の登場人物たちが、なぜあんなに生き生きと胸に迫るか、それがよくわかる。すべての人物が、上橋さんの分身だからだ。自分が行動して得た、喜び、悩み、痛み、苦しみ。それら一つ一つが登場人物となって立ち現れる。
何歳になっても、どんな状況になっても、現実から目を背けないで、自分の目で心で物を見る勇気をもらった。
Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんがどのようにして素晴らしい作品たちを生み出していったのか。こちらを読んで、ルーツを知れたのが嬉しかったです。
影響を受けた本や学んできた事を知り、ここからバルサやエリンや小夜が生まれたのだと、とても不思議な気持ちになりました。素敵な作家さんであることが大変良くわかる本でした。
「境界線の上に立つ」登場人物が多い事への疑問も解消できた気がします。
Posted by ブクログ
「精霊の守り人」の作者、上橋菜穂子さんが語る、どうやって作品を生み出しているのかと、どうやって作家になったのか。
繰り返し尋ねられては断り続けてきた彼女がアンサーとして出した一冊。
研究者にもなれない、作家にもなれない、と涙が止まらなかった日々や、研究者としてオーストラリアをひたすらハンドルを握り走り続けた日々とその時の思いを、率直に語ってくれています。
「子どものころ、時を忘れて物語にのめりこんだように、私はいまも、物語を生きるように、自分の人生を生きているような気がします。」p171
簡単な道などない。一歩踏み出した先に、次の道が開ける。
「古くてあたらしい仕事」を読んだ時と似た読後感。その人が語る、仕事とは、生きがいとは。
「物語にしないと、とてもつたえきれないものを、人は、それぞれに抱えている。」
だから、私たちは物語を読み、自分自身の物語を生きている。
それぞれが抱えた物語を、大切にできる世の中であってほしい。そんなことを思った。
Posted by ブクログ
「上橋さんの物語が好き」という立場からも、「ソーシャルワークに携わるひとり」という立場からも、心に響くお話でした。
人を、社会を、文化を、どのように見るか。
それを見る「わたし」はどう在るか。
ひとりの人としてのお話と、文化人類学に基づくお話。
それらが融合して、「自分はどうだろう」と考えが引き出され、あたたかく勇気づけられる一冊でした。
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幼い頃の体験から始まり、小説家に至るまでの道程。
経験の大事さ、読者に対する心遣いなど、
作家を目指す人には良い道しるべとなる内容です。
巻末の“上橋菜穂子が読んだ本”のブックリストは、
自分のと半数近くがダブっていて嬉しかったです♪
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上橋菜穂子さんの名著「獣の奏者」「精霊の守り人」が生まれ、育まれるまでの道程を、幼少の頃の体験から、文化人類学研究者へ進むところ、作家デビューまでその時の気持ちや想いを中心に振り返って行く。
まるで目の前に獣がいるかのような、そんな表現ややさしい文体をどうやって作って行ったかに興味があった。上橋さんは、幼少の頃から本の虫。勇気も希望も本から得た。指輪物語などの海外の名作をむさぼるように読んで、その世界観を空想の中で育てて来たイメージだ。夢見る夢子さんと自称するほどの、夢見がちな少女。本をいつか書けるという夢。そこに疑問を持たずに、様々な努力が帰結していった結果、アンデルセン賞受賞作家が出来上がって行く。父親が画家だったことも、影響を与えた一つだろう。アートに触れる機会が多かったのかもしれない。また、海外に行ける財力もまた彼女を支援したことの一つかもしれない。
物語ることは、彼女にとって空想の世界を具現化したもの、溢れ出てくるものであると思う。たくさんのドラマが、自分にとって作品へのアイデアやヒントになっていく。ただ、漫然と生きるのではなく、夢に向かってしっかりと生きること。それが物語ることの源泉であると語ってくれていると思う。戸田奈津子さんが、夢はいつかかなうなんて甘すぎる、夢がかなわないかもしれないと思って、それでも準備する。いつまでも、その機会を待って、待って、夢はかなうかもしれないというものよと。日本人の女性は強いんだなあ。
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著者の自伝的なお話。子供の頃から今に至るまでを物語る。勇気が出た。もっと自由に考えて、一歩踏み出してもいいんじゃないかと思えた。まだ遅くないかな。どうすれば開けるのかわからないけど、できることを考える。できないできないと諦めて、勝手に落ち込んで、周りに八つ当たりするのをやめたい。自分の環境を再確認して、悩むのではなくもう一度考え直す。読書は学ぶためと言いつつ、でもやっぱり基本楽しむものだ。私にとって。自分の一歩を考えよ。
Posted by ブクログ
2015年2月22日
私も物語を書いてみたい。
そして書き始めている。
岡田淳さん曰く低空飛行でも飛び続けること。離陸はパワーがいるから。
上橋菜穂子さんのようななフィールドワークも古武術もしてない私は物語に遠いかなぁ。
でも今書いている物語を終わりまで書き続けてみようかな。この本に後押しされたから。
Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんが作家になるまでの歩みをまとめた1冊。
「おばあちゃんとわたし」という子供の頃の上橋さん(めっさ可愛い)が登場するお話から始まるこの本は、上橋さんがとてもたくさんのものへの憧れを持っている人であること、臆病な自分を何とか奮い立たせて世界を広げてきたことを教えてくれる。
どのエピソードもキラキラと輝いていた。
上橋さんは「靴ふきマットの上でもそもそしているな!」と自分自身に活を入れるそうなのだけど、実際に靴ふきマットの外に飛び出すのにどれほどの勇気が必要なのか。
やはり臆病者の私には勇者にしか見えないのだった。
だからこの本を上橋菜穂子さんという1人の勇者の物語として私は読んでしまった。
あと、やはり広くて深い世界の物語として。
上橋さんの物語は私に世界の広さを教えてくれる。
自分と異なる他者の中にある世界の広さ。そして深さ。
あの物語がどこからやってきたのかの答えの一部がこの本の中にある。
あるんだけど、それだけじゃない。
この本にも世界が広がっている。
上橋さんは本当にすごい。やはり勇者にしか見えないのだった。
Posted by ブクログ
上橋さんの作品から滲み出る上橋さんの人柄が伝わってくる本でした。
自分を大事に育んでいる、コツコツと育てられて、同じことを作品にもしている、そんな印象でした。
2023.12.29
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Posted by ブクログ
「精霊の守り人」シリーズなどで有名な上橋菜穂子さんの、自伝的なエッセイ集。インタビューをベースにまとめたこともあり、とても読みやすく、そしてとても生き生きと女史が語っている姿を感じられる構成になっているので、とても好感を持てた。
作家になる、という事を超えて、夢を持ちつつも踏み出すのを躊躇してしまう思春期の子たちに読んで欲しい一冊。
Posted by ブクログ
小中学生児童が読むべきですね。振り返って伝えたい言葉。伝わらない言葉。この歳だから激しく共鳴出来るんだけどね。。児童の1人でも刺激になれば。。