あらすじ
『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』…世界中で愛される著者の最新作!
人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声を香りで聞く少女アイシャ。旧藩王の末裔ゆえ、命を狙われ、ウマール帝国へ行くことになる。遙か昔、神郷よりもたらされたというオアレ稲によって繁栄を極めるこの国には、香りで万象を知る〈香君〉という活神がいた。アイシャは、匿われた先で香君と出会い……。壮大な物語が今開幕!
※この電子書籍は2022年3月に文藝春秋より単行本上下巻で刊行された作品の、文庫版を底本としています。文庫版は4巻構成となります。
単行本『香君 上 西から来た少女』 → 文庫版『香君1 西から来た少女』『香君2 西から来た少女(ともに2024年9月発売)
単行本『香君 下 遙かな道』 → 文庫版『香君3 遙かな道』(2024年11月発売予定)『香君4 遙かな道』(2024年12月発売予定)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最初の数ページでグイッと物語に引き込まれた。
そしてそのまま勢いで最後まで読んでしまった。
ド派手な演出はないけれど、どんどん伏線が張られていく感じがたまらない。
最近わくわくしてない人にオススメしたいファンタジー。
2巻は既に買ってある。
Posted by ブクログ
この本を初めて手に取ったのは、まだ単行本で出版されたばかりの頃だった。
けれど、そのとき私は買わなかった。
当時の私は「本を買う」という行為に満足してしまっていて、
その先にある「読む喜び」を見失っていたからだ。
だからこそ、上橋菜穂子さんの本をそんな自分の手で扱うことが、
どこか申し訳なく思えたのだと思う。
あれから数年がたち、
もう一度「物語」に触れたいという想いが静かに胸に芽生えた。
そのとき自然と思い出したのが、この『香君』だった。
――物語の幕開けは、追われる少女の姿から始まる。
アイシャ。旧藩王の血筋を理由に命を狙われ、捕らえられた少女。
彼女を救ったのは、利用価値を見出した男マシュウだった。
マシュウの親族を名乗り、庭園に身を寄せたアイシャは、
そこで現香君・オリエと出会う。
やがて心を許し、庭園での苦しみを打ち明け、
オリエと共に山荘で日々を過ごすことになる。
一方で、オアレ稲の問題が動き出す。
初代香君の思想を探るカシュガ家の姿が描かれ、
物語は少しずつ、香君という名の重さを浮かび上がらせていく。
その中で、心に深く残った言葉がある。
草木の植え替えをしたアイシャに向けて、オリエが言う。
「ここで暮らすことは、草木にとってだけでなく、あなたにも残酷なことね。」
その一言に、私は胸を打たれた。
「感じる力があるということは、苦しさとも共に生きること」――
そう思っていたアイシャに、
オリエはそっと「生きやすい場所を選んでもいい」と伝える。
その言葉の中に、柔らかな優しさと、生き方の自由が感じられた。
けれど同時に、私は思う。
その優しさは、オリエ自身が“香君”という重い立場から逃れ、
穏やかな時間を与えられていることと無縁ではないのではないか、と。
オリエはアイシャが本当の香君であると知っていたのか。
それとも、マシュウの面影を重ねていたのか。
時間が彼女たちの想いを引き継いでいるのかもしれない。
今の私は、オリエの優しさをただの「優しさ」として受け取れない。
どこかで疑い、ためらう自分がいる。
それはきっと、私自身が人の心を疑うことを覚えてしまったからだろう。
それでも、オリエの言葉が純粋な慈しみであることを信じたい。
その思いを胸に、
私は次の巻へと静かにページをめくっていこうと思う。
Posted by ブクログ
こんなに説得力のあるファンタジーは初めて読みました!
設定にも登場人物の行動にも、世界観にも筋が通っていて、納得できます。ファンタジーなのにとても科学的で、歴史的で、実在する世界と思ってしまうくらい。矛盾点が見当たらず、気持ち良いくらい心にストンとはまりました。
続きが楽しみです!!
Posted by ブクログ
上橋菜穂子の香君を読みました。
ヒロインのアイシャは嗅覚により植物の声が聞けたり周りの状況を把握したりする能力を持っています。
アイシャの住んでいるウマール帝国と周辺の同盟国はオアレ稲という穀物によって繁栄しています。
オアレ稲は遠い昔に香君がこの国にもたらしたのですが、香君の栽培の指示書ではなぜかオアレ稲を弱めるような肥料の与え方が指示されていました。
オアレ稲の収量を増やすために肥料の与え方を変えたことにより、このオアレ稲を食い尽くしてしまう害虫が発生してしまいます。
アイシャたちは穀物の全滅そして飢餓を防ぐためにその対策を模索していきます。
Posted by ブクログ
めっちゃ面白い。
シンプルに物語が面白く、険しいシーンもあるものの優しい雰囲気を感じる。稲の情景のせいだろうか?
登場人物みな性格がよく、聡明で読んでてストレスがない。
設定や作中の世界情勢が読んでるうちに分かるようになってるのも良い。
誰かに本をオススメするならこれだな
Posted by ブクログ
上橋ファンタジーは自然との共生を毎回考えさせられる。人間のエゴや傲慢さが蓄積して厄災として返ってくる。そんな物語が生き方を考えさせる。
香君は香りをシグナルとして農を守る人たちの物語。この巻はまだ物語の序章で類稀な香りを感知する能力をもつアイシャと香君との出会いが描かれる。イッキ読み間違いなしの面白さ。
Posted by ブクログ
池澤春菜さんの紹介から気になり購入しました!
読書初心者の私でも頭の中に情景が浮かび、読む手が止まらなかったです。初めの数ページを読んだときは「あー難しいのに手をつけてしまった〜」と思いましたが、図や説明を読み返しながら段々と理解ができました。
春先の暖かい太陽の下で読みたい物語でした。
早速(2)を購入しに行きます~
Posted by ブクログ
映像を見てるかのような細かい描写だった
設定に慣れてきてこれから物語が動く!ってところで終わったので早く2巻を買わないと…
これからの方はまとめ買いしてから読み始めるのをおすすめしたいです…!
Posted by ブクログ
どこでもよく育ちよく実るが、実った種籾からは育たないオアレ稲を政治的に利用して、国の覇権を確立しているウマール帝国。そのオアレ稲に虫害をもたらすオオヨマの卵が発見された。自然界の香りを読み取って農業の指示を与える活神の香君も、初代以外は皆政治的に仕立て上げられたもので、先代の死の13年後に生まれ変わるとされ、その年に13歳になる少女の中から、帝国が恩を売りたい国の適当な者を選んで生まれ変わった香君だとし、一切の恋愛を禁じて政治の道具として使う。上橋菜穂子らしい、世界史の一ページのような細かい設定で楽しいし、実際にそういう国がどこかにありそう。ネパールの生き神クマリとか今でもあるし。
そんな中本当に自然界の香りの声が聞こえる少女アイシャが命を救われ、香君オリエのそばで暮らすようになる。この巻は、オリエが本当は香りの声が分からないことをアイシャが悟るか悟らないかのところで終わる。
間引きして日の光がよく当たるようになったところの木は、日光を独り占めしているのであり、周囲が間引きされていなくて病んでいる木の方は実は周囲の木に助けられている、というのは、人間社会の反映だな。
Posted by ブクログ
本屋で平積みされていて気になり購入。
初めての上橋菜穂子の作品のため読みきれるか不安でしたが読み始めてすぐにそんな不安は吹き飛びました。
続きが気になり毎日少しずつですが読み続けました。読みだしたら止まらない!続きが気になってしまいます。
Posted by ブクログ
バタフライ教室のオオブチさんからの本。
久々の上橋菜穂子。
ダメだ。
もう、速攻で上橋菜穂子ワールドに突入して出られなくなる。
どうしてこう、ありえない世界なのに、
あぁ、あそこね。
わかる、あの山は、、、
って思うくらい身近に感じるのか。
初めて読む世界なのに、ほんの数行で
あぁ、あそこの国ってそうだよね。
って思うくらいに想像できて、しかも、当たり前かのように話が進むことに違和感を覚えないほどにどっぷりと上橋菜穂子の世界に浸ってしまうのか。
いつのまにか、上橋菜穂子の頭に住んでる私。
そして、目が離せないのよ。
先が気になって。
4冊セットでもらったんだけど、、、
これは読み終わるまで勉強が手につかないやつではなかろうか、、、、、、
#上橋菜穂子
#上橋菜穂子ワールド
#2行で到着
#あそこね
#山の描写
#目の前に見える
#森から出られなくなる
#なんでなんだろう
#初めて読むのに即座に物語に入り込む
#すごいのよ
#ファンタジーなんだよ!
#考えたこともない世界に飛ばされる
#離陸から2分
Posted by ブクログ
大好きな上橋先生の最新作。単行本が大きすぎたので、ネタバレを避けて文庫本化を待ってました。いままで読んだ守り人シリーズ、獣の奏者、鹿の王に共通する先生の世界観の中に似たように見えて全く違う世界が創られている。
先生は初期段階で主人公が何らかの事件事故に巻き込まれて、仲間と分断される展開を書くことは多いが、今回アイシャが一度死ぬという展開には驚いた。そしてマシュウがすべての線を引いているのではないかと思えてしまうくらい初期からいままで頭が切れすぎるが故に、腹の底が読めない男になっている。
今後の展開が楽しみでありながら、この世界にいきる人々も私たちも、普段感じることのできない万物の香りを感情に置き換えながら想像させてくれるこの作品によって、香りがただリラックス効果や危険と安全を見分けるものではないこと、奥深さを教えてくれることに期待が膨らみます!
Posted by ブクログ
たぶんアジア、古代くらいの世界観なのかな。
少女の冒険目当てで読み始めたんだけど、農政の話がかなり具体的でおもしろい。まだ本当に序盤で、これからどんどん話が広がっていくのだろう。はやく次巻を買いに本屋さんに行かなきゃ!
Posted by ブクログ
ファンタジー小説で大切なのって場面をいかにイメージさせられるかだと思う。
それが凄くスムーズにできたし、そういう書き方をされているのかなと感じた。
楽しかった。
Posted by ブクログ
会社の先輩からお借りしました。
自分では絶対手を出すことが無いファンタジーです。
人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声を聞くことができるアイシャという少女が主人公。
オアレ稲に纏わる米騒動なのかしら?
まだ物語は序盤で、登場人物の紹介と、国の背景程度。
先輩にお借りした本は4冊。
ここからどんなふうにお話が展開するのか?
会社で、私の席の隣の島は総務課です。
総務課では排水処理などの作業をしてくださる社員も居るのですが、排水の臭いが体に纏わりつくのか?
夏などは、その方が席に戻ると、事務所の人間がみんな別の場所に逃げ出すほど。
私はというと、その人の臭いを何も感じないのです(^◇^;)
香水の匂いは苦手で、割と遠くても嫌だな、、、って思ってしまうのですが、臭いにおいには鈍感なようで、めっちゃ助かっています。
ってことは自分が臭くても気づかないってこと!?ある意味危険ですね。゚(゚´ω`゚)゚。
Posted by ブクログ
『鹿の王』以来、久々の上橋 菜穂子さんの新シリーズ作品。
植物や昆虫の世界を香りで感じて世の中をよむという設定は、『精霊の守り人』でいうところの星読博士に雰囲気が似ているなぁと思いました❗️
本書はまだまだ序盤ということで、大きな動きはありませんが、何やら不穏な空気も感じられて、ちょっと心配になります。
オリエとアイシャが幸せな人生を送れることを願っています❗️
Posted by ブクログ
嗅覚が並外れていて香りで様々な意味を知る少女が主人公の上橋ファンタジー最新作。
『香君』という題名だけど主人公は香君ではない。(この先どうなるのか分からないけど)
文庫の第一巻は、まさしく始まりの巻で、キャラと世界観の説明に大半が割かれていて、ラストでようやく物語が少し動き出した感じ。
それでも、オアレ稲という特別な稲にはなんとなく遺伝子操作の香りがするしオオヨマと言う害虫には蝗が連想される。
なんとなく物語の方向は見えた気がするけれど、この先、起こるであろう災害に、主人公の少女や香君がどんな役割を果たして、どんな謎が明らかになっていくのか楽しみ。
さあ、次行こう!
Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんの作品が大好きな母のおすすめで手に取った作品。
視覚よりも香りによって、世界を鮮明に感じることが出来る少女アイシャが、帝国の神である香君として崇め奉られている少女オリエと出会うまでが一巻。
出てくる登場人物の名前や、帝国の仕組み、帝国と藩王国の関係性など、覚えるべきことが少し複雑で最初は混乱するが、読んでいるうちに慣れてくる。
まだまだ物語は序章。
Posted by ブクログ
疲れた……。読み進めていっても、なかなか興味が湧かず、途中時間が空いちゃいました。で、最後まで読んで、ホント最後、面白くなってきました!2巻、この勢いで読みたいです。
Posted by ブクログ
ファンタジーは映像で慣れていて小説で情景描写をつかむまで少し時間がかかる。登場人物も国の名前も覚え難くて…(^_^*)
けど、だんだんつかめてきたぞ!想像力を働かせて続きを楽しもう。
Posted by ブクログ
面白かった。
世界観に入り込むのに少し時間がかかったけど、『獣の奏者』の著者の方が作る世界だから、多少わからなくても考え込まずに受け入れようと思いながら読んだ。
『獣の奏者』のときもそうだったけど、政治とそれをとりまく自然環境を密接に描くのがこの人ならではの世界だよなーと感じた。
現代社会だと人間が作り上げた閉じられた社会に目を向けがちだけど、本当は自然や動植物が複雑に絡み合っていて、わたしたちの世界を作り上げているんだな〜と感じさせてくれる。
自分は自然の営みの一部なのだな、という感覚というか。
あと相変わらず出てくるご飯がおいしそう。
続きも読むぞ。
Posted by ブクログ
物語に入り込むのに時間がかかってしまった。
『香りの声がうるさい』という表現がまたいい。
まだまだ序盤なので、ゆっくり続きを読んで行こうと思う。
Posted by ブクログ
この作者さん、お久し振りの長編。15歳の少女アイシャが、弟とともに何者から逃げ、そして捕らえられたところから始まる物語。
読み進めば、旧藩王の末裔ゆえ命を狙われた彼女が、人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声を香りで感じ取れることが知れてくる。
ウマール帝国成り立ちの経緯、属国の動向、国の中枢に食い込む新旧カシャガ家の人々、そして、国を繫栄させた奇跡の稲・オアレ稲&国を庇護する美しい活神〈香君〉オリエの秘密…。
単行本の上下巻が文庫になって四分冊の一冊目は、そうした物語の背景が語られて、お話としてはまだこれから。オアレ稲の特性と香使諸規定の話はすんなりとは頭に入ってこなかった。
匿われたアイシャがオリエと出会い心安らかに過ごす菜園に発生した斑蛾の幼虫。さてさて、これからどうなるの?