上橋菜穂子のレビュー一覧
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ネタバレ 無料版購入済み
エリンは獣医学部へと進学し…
エリンとジョウンの過去が交錯し、ジョウンの教育者としての能力の高さが判明しますね。教え子にはなまじ公平に接していたので出来の悪い息子持ちの高級官僚に疎んじられ……まぁ学校組織とかには如何にもありそうなエピソードは、原作者の経験とも関連していたのかもしれません。
エリンは勉強し続けて亡き母のようにもなりたいとの思いが強くなり、王獣の面倒をみるべく、寄宿舎付きの学校へと入りますね。
良質な作品ですね。TVアニメは配信されていないようですが、見てみたくなりますし、原作も然りですね。 -
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王獣がカッコよくてイイですし…
やはりだんだんと作品世界が広がりますね。ミツバチの生態等は現実世界とさほど差がないようです。主人公、とても好奇心旺盛で聡明っぽいですね。
巻末には原作者とまんが担当者の対談等も再録されているのが良いです。
王国の警備兵や、王族その他も出てきますし、森の中で遭遇する王獣も良いですね。
良質で丁寧な作品ですね。 -
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東洋風ファンタジーの幕開けで
龍のいる世界で、霧の民、その他、水田に恵まれている中央の国と、そことは異なる辺境よりの土地と。良い舞台ですね。
原作者の作品も未読なのですが、丁寧な作画に惹き込まれますね。主人公の女の子も過酷な運命に翻弄されそうで、母は命を賭してでも守るべきものは守ったらしいのですが、詳細はまだ見えませんね。
もう少し読み進めば一定、見えてくるのでしょうね。 -
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Posted by ブクログ
人類学者の卵だった著者がオーストラリアに滞在し、街に住むアボリジニとイメージのなかのアボリジニのギャップにショックを受けながら、友情を通して〈理想の先住民〉ではない隣人としての姿を少しずつ知っていく過程を綴った体験記。
管啓次郎の『本は読めないものだから心配するな』で紹介されていたので手に取ったのだけど、本当にいい本だった。文章は優しくとても読みやすく書かれていながら、オーストラリアに限らずありとあらゆる文化において他者を尊重するとはどういうことなのか、考えるヒントをくれる一冊だと思う。
文化人類学というものがそもそも西洋のアカデミズムに拠っているという問題がある。先住民に〈野生〉の理想を -
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ネタバレ前作「炎路を行く者」に収録されている「十五の我には」で、サダン・タラムという人たちが出てきて、「はて、こんな人たち、今まで出てきたっけな?」と思っていたら、本作で出てきた。
あとがきによると、本作を書き始めたものの行き詰って、本作の一部として「十五の我には」が先に出来上がったそうな。
毎度のことながら、上橋さんの頭の中はどうなっているのか。あれやこれやと辻褄が合わなくならないほど、世界観が完成しているのかと、ため息が出る思いだった。
タルシュとの戦後、タンダと向かった草市で偶然にもサダン・タラムを助けることになり、さらにそのまま旅を護衛することとなったバルサは、20年前ジグロとともにサダン -
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ネタバレバルサがジグロと共に、追手から逃れて暮らしていた頃が描かれている短編集。
タイトルのとおり、村や家族から疎まれたり、離れてしまったりした流れ者が描かれる。
タンダの親戚のおじちゃんオンザ、老女賭事師のアズノ、年老いた護衛士スマル・・・
これは児童文学の域を超えている。私だって、正確に読み取れたかどうか(読書に「正確さ」もないとは思うけれど)自信がない。「ん?」と立ち止まって、上橋さんの意図をくみ取ろうとしたこと数回。
人間の良い面も悪い面も上橋さんの手にかかってしまえば、フラットに描かれ、一度しか登場していない人物も人間としての温度を持ったひとりの人となり、読者の心に住み着いてしまう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチャグムとバルサは、カンバル王に会うために北へ向かう。
タルシュの刺客に追われ、追いつかれ、カシャルに助けられ、牧童たちに助けを請い・・・
これまでの物語で出てきた人たちが再び登場して、チャグムとバルサに関わってくる。こんな楽しさはこのシリーズが長く、壮大だからこそ。
絶大な力を誇るタルシュに北の国々はどう立ち向かっていくのか。もう八方ふさがりか、枝国になるのが最善でなくても生き残る道なのか、ハラハラしながら読み進めた。
まるで歴史小説のようだったところに、異なる世界ナユグの影響がこちらの世界にも大きな影響を及ぼすことがわかってくる。絶妙なタイミングで上橋ファンタジーが・・・!
北から -
Posted by ブクログ
ネタバレいよいよラスト三部作に突入。
前作「蒼路の旅人」で海に飛び込んだチャグムを追ってバルサが動き出した。
チャグムの計画は、たくさんの複雑な各国の事情や、チャグム自身が新ヨゴ皇国ですでに死んだ者として扱われている事実、また、予想以上のタルシュの力の及び方を前に思ったようには進まない。
なんと、カンバル王側近にもタルシュの息がかかっていた・・・!
誰にどんな思惑があって、どことどこがつながって・・・あぁ、もう混乱!
私の頭では一度さらっと読むだけでは、あちこちにほころびがあって、読みながら頼りない記憶をさぐる、読み進める、一度頭の中で整理してみる、読み進める、記憶をさぐる、頭の中で整理・・・んあ -
Posted by ブクログ
読んだというよりは、パラパラと楽しんだ程度だけれど、架空の料理を今の日本で手に入る材料でなんとか作り出す、なんて、その発想と努力がすごいと思った。
どの食べ物も物語の雰囲気は壊さず、美味しそうな写真とともにレシピが掲載されていて、思った以上に楽しめた。
やはり、読んだことのあるシーンでその食べ物の記憶が残っているレシピは興味深く見てしまう。「あぁ、あの時の、あの美味しそうなアレ・・・!」と。
・ノギ屋の弁当風鳥飯
・タンダの山菜鍋
・ロッソ
・胡桃餅
などなど。
レシピやその料理が出てくるシーンの抜粋とともに、上橋さんのエッセイ風の文章(フィールドワークの話やスイス・アーミー・ナイフを常備し -
Posted by ブクログ
ネタバレ上橋さんの頭の中はいったいどうなっているのか。
新ヨゴ皇国、サンガル王国、カンバル王国と出てきて、今度はロタ王国という国がでてきた。
どの国にも独自の王家の歴史と伝統、そして伝説や伝承があり、同じ(かどうかも定かではないけれど)異界を、「ナユグ」、「ナユーグル」、「ノユーク」とそれぞれの言葉で表わす、などという、見事にリアルな世界観で物語が成り立っている。一体どうしてひとりの人が、こんな壮大な世界を考え出せるのだろう。
冒頭のシンタダン牢獄の惨劇や、スファルが鷹に魂を乗せて空からバルサを追うシーンなどからは、「鹿の王」を少し思い起こした。
本作でバルサが守ることになる、アスラ、チキサ達「タ -
Posted by ブクログ
ネタバレ守り人シリーズ、4作品目。
これまで、新ヨゴ皇国、カンバル王国が舞台だったのが、一気に世界が広がっていく。と同時に、侵略、戦争といったきな臭いものが漂ってくる。
2つの序章の、読む側を惹きつける強さが素晴らしい。哀しい運命のエーシャナと、これまた悲しい運命になってしまったスリナァ。ここから、バルサやチャグムとどう繋がっていくのか、先を急ぎたくなる見事な書きっぷり。
チャグムの新ヨゴ皇国と、隣国で多くの島を有して海を抱くサンガル王国の王家のあり方の違いなどが見事に描かれている。上橋さんの知識の深さに圧倒される。フィールドワークが源泉になっているようにも感じた。
終盤になって、あれ、これ、