上橋菜穂子のレビュー一覧

  • 獣の奏者(3)

    ネタバレ 無料版購入済み

    エリンは獣医学部へと進学し…

    エリンとジョウンの過去が交錯し、ジョウンの教育者としての能力の高さが判明しますね。教え子にはなまじ公平に接していたので出来の悪い息子持ちの高級官僚に疎んじられ……まぁ学校組織とかには如何にもありそうなエピソードは、原作者の経験とも関連していたのかもしれません。
    エリンは勉強し続けて亡き母のようにもなりたいとの思いが強くなり、王獣の面倒をみるべく、寄宿舎付きの学校へと入りますね。
    良質な作品ですね。TVアニメは配信されていないようですが、見てみたくなりますし、原作も然りですね。

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    2023年01月19日
  • 獣の奏者(2)

    無料版購入済み

    王獣がカッコよくてイイですし…

    やはりだんだんと作品世界が広がりますね。ミツバチの生態等は現実世界とさほど差がないようです。主人公、とても好奇心旺盛で聡明っぽいですね。
    巻末には原作者とまんが担当者の対談等も再録されているのが良いです。
    王国の警備兵や、王族その他も出てきますし、森の中で遭遇する王獣も良いですね。
    良質で丁寧な作品ですね。

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    2023年01月19日
  • 獣の奏者(1)

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    東洋風ファンタジーの幕開けで

    龍のいる世界で、霧の民、その他、水田に恵まれている中央の国と、そことは異なる辺境よりの土地と。良い舞台ですね。
    原作者の作品も未読なのですが、丁寧な作画に惹き込まれますね。主人公の女の子も過酷な運命に翻弄されそうで、母は命を賭してでも守るべきものは守ったらしいのですが、詳細はまだ見えませんね。
    もう少し読み進めば一定、見えてくるのでしょうね。

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    2023年01月19日
  • 鹿の王 水底の橋

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    途中まで読んでいて完全に上下巻だと思い込んでいたぐらい一冊なのに深みのある医療ファンタジー。前作に世界観をきっちり描いているからその分スッキリとしている。水底の橋というモチーフが凄くしっくりとくる作品でした。一見繋がっていないし、渡ることはできないが、水の底では繋がっている。そして、かつては水の底ではなく繋がっていた。そのようなモチーフがとてもよく合い、よかった。ただ前作でも思っていたが、主人公がいまいちよく分からない性格で、これはわたしとの相性かもしれないが、脇にいる人々が輝いてみえた。

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    2022年11月29日
  • 月の森に、カミよ眠れ

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    初めて作者の本を読んだ。この世界観、探していたものだった。聴き慣れない名前や言葉に理解が追いつきにくかったけれど、本当に素敵な世界観だった。

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    2022年10月30日
  • 隣のアボリジニ――小さな町に暮らす先住民

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    人類学者の卵だった著者がオーストラリアに滞在し、街に住むアボリジニとイメージのなかのアボリジニのギャップにショックを受けながら、友情を通して〈理想の先住民〉ではない隣人としての姿を少しずつ知っていく過程を綴った体験記。


    管啓次郎の『本は読めないものだから心配するな』で紹介されていたので手に取ったのだけど、本当にいい本だった。文章は優しくとても読みやすく書かれていながら、オーストラリアに限らずありとあらゆる文化において他者を尊重するとはどういうことなのか、考えるヒントをくれる一冊だと思う。
    文化人類学というものがそもそも西洋のアカデミズムに拠っているという問題がある。先住民に〈野生〉の理想を

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    2022年09月24日
  • 月の森に、カミよ眠れ

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     大ファンである上橋菜穂子さんの初期作品。テーマなどは上橋作品そのものなのだが、最新作の「香君」などと比較すると、色々と分かりにくい印象。 
     デビュー作の「精霊の木」でも感じたが、「書きたいこと」と「ページ数」が整合していないのだろう。「荒削りでもデビュー作が一番面白い」という話はよく聞くが、この作品は逆で「テーマや面白さを伝える筆力が執筆当時は十分ではなかった」のだろう。

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    2022年09月18日
  • 鹿の王 水底の橋

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    やっぱり上橋さんの描く物語は、小説の世界の素晴らしさを改めて感じさせます。何といっても世界観がいい。全く架空のファンタジーの世界ですが、見ているように情景が思い浮かびます。医学の宗派を巡る対立と政治的な陰謀とが絡まったストーリー。政治的な部分は、少しややこしく感じましたが、それをおいても十分楽しめました。互いを認め合ってお互いの技術を高めるとか、自分のいる世界から思い切って飛び出してみることって素晴らしいなぁと思ったストーリーでした。

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    2022年09月14日
  • 風と行く者

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    ネタバレ

    前作「炎路を行く者」に収録されている「十五の我には」で、サダン・タラムという人たちが出てきて、「はて、こんな人たち、今まで出てきたっけな?」と思っていたら、本作で出てきた。

    あとがきによると、本作を書き始めたものの行き詰って、本作の一部として「十五の我には」が先に出来上がったそうな。
    毎度のことながら、上橋さんの頭の中はどうなっているのか。あれやこれやと辻褄が合わなくならないほど、世界観が完成しているのかと、ため息が出る思いだった。

    タルシュとの戦後、タンダと向かった草市で偶然にもサダン・タラムを助けることになり、さらにそのまま旅を護衛することとなったバルサは、20年前ジグロとともにサダン

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    2022年09月07日
  • 守り人シリーズ電子版 11.守り人短編集 流れ行く者

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    ネタバレ

    バルサがジグロと共に、追手から逃れて暮らしていた頃が描かれている短編集。

    タイトルのとおり、村や家族から疎まれたり、離れてしまったりした流れ者が描かれる。

    タンダの親戚のおじちゃんオンザ、老女賭事師のアズノ、年老いた護衛士スマル・・・

    これは児童文学の域を超えている。私だって、正確に読み取れたかどうか(読書に「正確さ」もないとは思うけれど)自信がない。「ん?」と立ち止まって、上橋さんの意図をくみ取ろうとしたこと数回。

    人間の良い面も悪い面も上橋さんの手にかかってしまえば、フラットに描かれ、一度しか登場していない人物も人間としての温度を持ったひとりの人となり、読者の心に住み着いてしまう。

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    2022年08月22日
  • 獣の奏者(1)

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    絵が綺麗。

    上橋菜穂子さんのファンなので漫画版も読んでみました。原作ファンとしては少し物足りないところもありますが、アジアンファンタジーの世界観が絵として再現されているのは見ていて楽しかったです。

    #深い

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    2022年09月28日
  • 守り人シリーズ電子版 9.天と地の守り人 第二部

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    ネタバレ

    チャグムとバルサは、カンバル王に会うために北へ向かう。
    タルシュの刺客に追われ、追いつかれ、カシャルに助けられ、牧童たちに助けを請い・・・

    これまでの物語で出てきた人たちが再び登場して、チャグムとバルサに関わってくる。こんな楽しさはこのシリーズが長く、壮大だからこそ。

    絶大な力を誇るタルシュに北の国々はどう立ち向かっていくのか。もう八方ふさがりか、枝国になるのが最善でなくても生き残る道なのか、ハラハラしながら読み進めた。

    まるで歴史小説のようだったところに、異なる世界ナユグの影響がこちらの世界にも大きな影響を及ぼすことがわかってくる。絶妙なタイミングで上橋ファンタジーが・・・!

    北から

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    2022年07月25日
  • 守り人シリーズ電子版 8.天と地の守り人 第一部

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    ネタバレ

    いよいよラスト三部作に突入。

    前作「蒼路の旅人」で海に飛び込んだチャグムを追ってバルサが動き出した。
    チャグムの計画は、たくさんの複雑な各国の事情や、チャグム自身が新ヨゴ皇国ですでに死んだ者として扱われている事実、また、予想以上のタルシュの力の及び方を前に思ったようには進まない。
    なんと、カンバル王側近にもタルシュの息がかかっていた・・・!

    誰にどんな思惑があって、どことどこがつながって・・・あぁ、もう混乱!
    私の頭では一度さらっと読むだけでは、あちこちにほころびがあって、読みながら頼りない記憶をさぐる、読み進める、一度頭の中で整理してみる、読み進める、記憶をさぐる、頭の中で整理・・・んあ

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    2022年07月19日
  • 獣の奏者(3)

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    こんなに高評価の小説のコミカライズも珍しいんではないでしょうか?
    原作者の作家さんの意見も気になります。

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    2022年07月01日
  • 獣の奏者(2)

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    壮大な歴史スペクタクルが紙上で繰り広げられて、目が離せませんでした。これは原作を読まないといけないなと思いました。

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    2022年07月01日
  • バルサの食卓

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    読んだというよりは、パラパラと楽しんだ程度だけれど、架空の料理を今の日本で手に入る材料でなんとか作り出す、なんて、その発想と努力がすごいと思った。
    どの食べ物も物語の雰囲気は壊さず、美味しそうな写真とともにレシピが掲載されていて、思った以上に楽しめた。
    やはり、読んだことのあるシーンでその食べ物の記憶が残っているレシピは興味深く見てしまう。「あぁ、あの時の、あの美味しそうなアレ・・・!」と。
    ・ノギ屋の弁当風鳥飯
    ・タンダの山菜鍋
    ・ロッソ
    ・胡桃餅
    などなど。

    レシピやその料理が出てくるシーンの抜粋とともに、上橋さんのエッセイ風の文章(フィールドワークの話やスイス・アーミー・ナイフを常備し

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    2022年06月30日
  • 守り人シリーズ電子版 5.神の守り人  上  来訪編

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    ネタバレ

    上橋さんの頭の中はいったいどうなっているのか。
    新ヨゴ皇国、サンガル王国、カンバル王国と出てきて、今度はロタ王国という国がでてきた。
    どの国にも独自の王家の歴史と伝統、そして伝説や伝承があり、同じ(かどうかも定かではないけれど)異界を、「ナユグ」、「ナユーグル」、「ノユーク」とそれぞれの言葉で表わす、などという、見事にリアルな世界観で物語が成り立っている。一体どうしてひとりの人が、こんな壮大な世界を考え出せるのだろう。

    冒頭のシンタダン牢獄の惨劇や、スファルが鷹に魂を乗せて空からバルサを追うシーンなどからは、「鹿の王」を少し思い起こした。

    本作でバルサが守ることになる、アスラ、チキサ達「タ

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    2022年06月27日
  • ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話

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    副題に「生と死をめぐる対話」とあるが、対談ではなく往復書簡という形式になっている。テーマは重いが、エッセイとして読むこともできる。
    上橋氏が他界されたお母様を心から愛しておられることが文章、行間から伝わってきた。
    無論悲しい話なのだが「これほど親を愛せるのか」という点では羨ましいとさえ思った。

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    2022年06月25日
  • 守り人シリーズ電子版 4.虚空の旅人

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    ネタバレ

    守り人シリーズ、4作品目。

    これまで、新ヨゴ皇国、カンバル王国が舞台だったのが、一気に世界が広がっていく。と同時に、侵略、戦争といったきな臭いものが漂ってくる。

    2つの序章の、読む側を惹きつける強さが素晴らしい。哀しい運命のエーシャナと、これまた悲しい運命になってしまったスリナァ。ここから、バルサやチャグムとどう繋がっていくのか、先を急ぎたくなる見事な書きっぷり。

    チャグムの新ヨゴ皇国と、隣国で多くの島を有して海を抱くサンガル王国の王家のあり方の違いなどが見事に描かれている。上橋さんの知識の深さに圧倒される。フィールドワークが源泉になっているようにも感じた。

    終盤になって、あれ、これ、

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    2022年06月20日
  • バルサの食卓

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    上橋さんの作品に出てくる料理を題材にした料理エッセイ。ファンタジー世界の食べ物の再現を試みる、という発想が凄い。
    料理は不得手のため「作ってみよう!」とまではいかなかったが、面白く読めた。

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    2022年06月19日