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Posted by ブクログ
斎藤先生と上橋菜穂子さんの対談番組から、本にした児童書。
お二人の大ファンなので、いいおっさんが読んでみた。やっぱいい、二人になると倍!
素晴らしい!!
斎藤先生の言葉から
子供向けの本だと、生態系のピラミッドのてっぺんに人間が堂々と描かれてたりしますが、私はあの絵は間違っていると思う。ピラミッドのてっぺんどころか、もはやピラミッドから大きく外れてしまって、ピラミッドを丸ごと足蹴にして全部ぶっ壊すことができるくらい、人類は文明という強大な力を持つ「神」になってしまっている。それなのに自分たちがなにをしているのか気づきもせず、自覚もないまま、際限なく破壊を繰り返している。
Posted by ブクログ
NHK対談番組「Switch」の内容に往復書簡等を加筆して本にしました。斎藤慶輔さんは釧路湿原野生動物保護センターの獣医師でオオワシやシマフクロウなどの治療・保護をしてきた人。上橋菜穂子さんの「獣の奏者」の監修をしたことが奇縁で対談に至りました。
上橋菜穂子さんについては、あと1-2冊読めばコンプリートになります。それほど寡作なのです。彼女の新居の書棚がチラリと出てくるけど、専門書関係だけで700冊ぐらいあるらしい。彼女の書くのはファンタジーですが、なんでもアリではない、「特に、命あるものの生き死にに関わることで、うそは絶対に書きたくない」と決意しています。最新作の「鹿の王」で大部分を占める医療行為のほとんどがリアルなのは、そういうわけです。もっととんでもない医療設定があれば、主人公ヴァンのラストも変わったのかもしれません。「作者の都合」からウソは書かない作家なのです。
リアル「獣の医術師」というべき斎藤慶輔さんと話すことで、上橋菜穂子さんは、様々な創作のヒントを貰ったに違いありません。
例えば、
・人間の赤ちゃんを助ける保育器は、シマフクロウを助ける機器として転用している。
・林道を歩いていると、子供がしゃがんでいると思って近づいたら、ふわっと飛んでシマフクロウだったと気がつく。
・猛禽も人と同じ構造をしているところがあり、古武道のように関節技をかけることもある。
‥‥やがて、彼女の作品に生かされる日が来ることを願います。
異分野の2人が、対話をすることで、大切なことの答えを見つけ出してゆく過程も書いています。
(1)ワシもフクロウも、治してくれた医者にお礼は言わない。医者も自分がしたいからしている。何故、人だけが、傷ついた他者を治したいと思うのか?いずれ死んでしまう命なのに、どうして見捨てることができないのか?(上橋→齋藤)
(2)日本で生まれ育ったのに、どうして越境し、背景が異なる人たちが生きてゆく世界を描こうとしたのか?(齋藤→上橋)
1番目の問いに対して齋藤さんは丁寧に回答を試みようとします。いろいろ書いているし、齋藤さんは決してこういう言い方はしていないのですが、結局は「それは人間の業だ」と私は思う(←失礼)。詳しくは読んでください。
2番の問いに対して、上橋さんも丁寧に答えます。「もし日本を舞台にした物語を描いてしまったら、日本の読者はきっと、自分のよく知っていることと照らし合わせて読んでしまう」。そうしたら、ファンタジーの魅力が激減すると思っているのらしい(←私はそうは思わない。特に舞台が弥生等の古代ならば。けれどもそれは私の勝手な意見ですね)。彼女に影響を与えた本がトルーキン「指輪物語」と、ローズマリ・サトクリフ「第九軍団のワシ」「ともしびをかかげて」「運命の騎士」なのも関係するのかもしれない。そして境界線の人々に興味を持つ。
小学生高学年向きの本。これを読んで、獣医師や作家を目指す子どもが出てきたら僕も嬉しい。それから、これを読んでフィールドワークに出るような学問を目指したならば嬉しい。私にとっては、ともかく上橋菜穂子ワールドが広がってためになりました。
Posted by ブクログ
作家で文化人類学者の上橋菜穂子氏と、獣医師で釧路湿原野生生物保護センターの猛禽類研究所で、絶滅危惧種の猛禽類と向き合いながら環境保全活動もしている齊藤慶輔氏がNHKの番組で対談したものと、お互いに聞かれたことの答えを文章にしたもので構成されている。番組の対談は、第1章の前に上橋氏が釧路を訪ねたもの。第4章の後に、齊藤氏が上橋氏の書斎を訪ねたものになり、1章は、どうやって物語を書いていくのか?2章は、なぜ治したいのか?3章は、鳥の目線で描く事、4章は、二つの世界の境界線で。となっている。
どんなに困難でも逃げるという道はとれず、今いる目の前の者に精一杯答える事しか選択できない。今、溢れている水をすくったところで、元栓を閉めなければ水はまた溢れていく、そこを考えると、環境問題も考えなければ、また、違う種や、考えの人も、同士なのだから、相手の気持ちを思いやるなど、考え深いとテーマが綴られている。
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小説・文芸
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