上橋菜穂子のレビュー一覧
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・浮き籾
タンダとバルサの幼少期。タンダの才能の片鱗が見える。2人は幼い頃から仲がよい。バルサも戦闘能力も子供離れしている。どこかの民俗学の引用か、農業の説明はあまりぴんとこなかった。
・ラフラ
肝心のゲーム「ススット」のルールや概要がわからないので、そこに疑問が生じる。始めの説明ではサイコロを振って運任せ、のような説明があるのだが、中盤以降はススットの達人の戦術の見事さの描写が目立つ。これはどういうことなのか。「ラフラ」と呼ばれる達人クラスになるとサイコロの目を自由自在に出せるとのことなので、自分がしたい戦略を実現できるようなコマの動きが可能なさいの目を、自分の意志で出しているということなのか。ということは上級者どうしの対戦では、さいころの目は自由自在に出せるのが前提、あとは対戦者の知略の勝負ということになる。これじゃあ、サイコロなんていらなくなるのでは。
ロタ王国にはチェスみたいなゲームもあるとどこかで書かれていたが、それで競った方がわかりやすいような気がしないでもない。
・流れ行く者
護衛士の厳しい現実にバルサが直面。護衛士たちと雇い主、もちろん腕が立つことは重要だがそれにもまして信頼というのが大事、という台詞が良かった。相変わらずジグロが格好いい。
堕ちていく人間の描写もあるんだが、もう少し人間のクズさがあっても良かったかな、なんて思った。
・寒のふるまい
タンダは本当に優しい男である。 -
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完結である。
イーハン
ヒュウゴ
これしかないか…という結末に落ち着く。合理性としては充分。お疲れ様、チャグム。そして、ロタのイーハン王子。この人が一番大人なような感じがした。非常に好人物。
毎回、思うのだがこの作品はクライマックスがけっこう終盤にある。一冊の3分の2くらいあたりで「おっ、けっこう盛り上がるな、ここから。しかし、どうやってこの盛り上げを上手く処理して収束するのか」なんてシーンがあったりする。で、この作品はそのあたりをどうしているのかというと、淡泊に収束させる、そんな感じなのだ。その点がなんだか気になってしかたない。もったいないというか、もうちょっと詳細を書いてほしいというか。
タンダ。トロガイ師匠に伝達は惜しくもできず、ひたすら不遇な巻だった。タンダと会話していたあの兵法に詳しい正規兵はあれだけの登場だったのか。
チャグムが父親である帝と対面するところからタルシュ兵が流されるところまで、ここが秀逸、白眉。あとがきにもあったけど父に別れを告げるあの一言、ああするしかなかったよなぁとしみじみ。
この巻でも思ったのだけどアスラ兄妹って、なんかこの物語の登場人物一覧の中でちょっと浮いているように感じる。
タルシュの内部事情、跡継ぎ問題がちらほら出てくる。ここが面白い。ヒュウゴもちらっと登場し熱弁。
いったん、タルシュは落ち着いたもののこれからどう動くのかそれも気になる。
チャグムが妹弟を連れて、花畑に行くシーン。
四路街が燃やされるという暴挙。 -
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ロタ王国が本格的に登場。ロタにはロタなりの苦労があることがわかる。作品に登場する国にはそれぞれの事情があることが面白い。バルサとタンダである。アスラとチキサに都合良く出会ってしまう。チャグムのときと同様にいきなりの肩入れ。肩入れしすぎ。ロタの隠密であるカシャルの言うとおりにしていれば、こんなトラブルはなかった。もしくはここまで大きくはならなかったんじゃないか?などと思ってしまう。
マーサのところを旅立つところでこの巻は終わり。マーサはいいキャラクターだ。こんなやり手の女将キャラはいろんな作品で見うけられるが、マーサもいい描写をされている。正しい筋道を好むけど、それでいて融通も利き、適度なしたたかさも兼ね備えている。
アスラは恵体なので、この作品だけでなくこれかも出てきてほしい。
しかし、このシリーズとか全般で思うのは、女性の描写に対する簡素さ。アスラは美人美人と言われるが「女性の美」に対して作者自身が無頓着ということでそのあたりが少し残念。