上橋菜穂子のレビュー一覧
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上橋菜穂子さんのデビュー作『精霊の木』の2年後に出版された初期の作品。
社会に出てからまったく本を読んでいなかった私が、数年前に上橋菜穂子さんの『守り人』シリーズを読んだことで、本を読む楽しさを思い出すことができ、読書にハマるきっかけとなりました。
そんな、私にとっては特別な上橋さん。上橋さんの描いた小説は全部読みたい!と言うことで、まだ未読だった最後の一冊を中古ですがゲット。
夫がおそろしい大蛇だとわかったのちも愛しつづけ、子を産んで育てたという娘の伝説『あかぎれ多弥太伝説』を基にした古代の日本が舞台のファンタジーです。
上橋さんの初期の作品ということで、まだ話の展開があまり洗練されていない印象で、読み始めてしばらくは物語の世界になかなか入り込めずちょっと苦労しました。
でもやっぱり、人と自然と崇高な存在との共存や葛藤だったり、人の弱さと強さとが上橋さん独特な世界観の中で描かれていて、あぁ、ここから守り人や獣の奏者へ続いていくんだなぁと感慨深く感じました。 -
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獣の奏者シリーズの上橋菜穂子さんのエッセイ集。アルスラーン戦記も、ロードス島戦記も食い入るように読み、ファンタジーの世界にどっぷりと浸かった記憶。小学校から中学校にかけて、本当にこんな小説がかけたらと、ノートに自分で小説を描き始めた。そんな記憶を改めて目覚めさせてくれたのが、獣の奏者シリーズだ。優しい文体、心地よいリズムと愛の物語。このファンタジーを生んだのは、異国の地で育んだ出会いと感性だったんだとわかる。作家というのは楽しい経験も悲しい経験も、作品を育てるための糧になる。だからこそ、海外を転々として、そこでの匂いや食事やありとあらゆる生活に目を向けているような気がする。
上橋さんの幼少期のスコットランドの経験やオーストラリアでの生活が原体験となって、小説の舞台になっているのを感じた。お会いしたことはないのだけど、きっと大きな大きな宇宙のような景色を持っていらっしゃる方なんだろうな。 -
Posted by ブクログ
私の好きな、上橋菜穂子作品の「らしさ」が織り込まれている世界観。他の作品と比べれば確かにやや読みづらいところもあるが、初期作品ということで、納得できる。
実際、民俗学などをより理解できていれば、さらにこの作品を読み解くヒントになり得るのかもしれないが、そう言った知識がなくとも、まるで実際に語りかけられているように読み進めることができた。
この話自体はある程度もととなる話はありつつも、資料の少なさなどから、フィクションで肉付けられた部分が多いとのことだが、「この話、柳田国男あたりが伝承として書いてなかったっけ」なんて思ってしまうようなリアルさがある。
それは、(その数少ない資料を読み込んだ上での)事実から地続きのフィクションであるということ、そして、空気の生々しさ、まるでムッと漂ってくるような人間と、そして精霊たちの気配にある。もしくは、私自身の中にある「畏れ」を呼び起こすからかもしれない。
現代で宗教といえばどうしても、大きな組織か、もしくは怪しい信仰宗教となってしまった。だが、我々が信仰する宗教とは、そういった「名のついたもの」ばかりだろうか?
我々自身がこころのなかで信仰している、名もつけられないカミの存在が、この本の生々しさをより一層際立たせているように思う。
また他の作品を読み直したくなってきた。彼女の本を母国語で読めることが、本当にうれしい。 -
Posted by ブクログ
先の精霊の守り人で登場した大呪術師トロガイの秘密がこの巻で明かされます。52年前のトロガイの娘時代に遡り、何故呪術師となったのかが語られるのですが…
バルサがユグノという素晴らしく声の良い歌い手と出会った頃、トロガイの弟子であるタンダの姪、カヤが突然眠りから覚めなくなります。カヤの眠り続ける原因を探るタンダは、花番の罠に引っ掛かり、恐ろしい化け者の体にされてしまいます。バルサはタンダを救うべく花守りと死闘を繰り広げます。
夢の世界は誰でも心地よく、覚めないで欲しいと思うけれど、いつまでもその世界にいるわけにはいかない。人生の先を見てしまい空しさに囚われてしまうと魂は、時に抜け出して異世界を彷徨うかもしれません。
今回読んだ本は軽装版でしたので、ところどころに挿絵があり、物語の雰囲気がよく伝わってきました。上橋さんの創作こぼれ話も興味深い中身でした。