上橋菜穂子のレビュー一覧
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四分冊の二冊目。
前巻ラストをきっかけにアイシャはオリエの秘密を知り、自らの能力も改めて知り、オアレ稲の謎と向き合うことになる。
前巻のオアレ稲の特性と香使諸規定の話と同様、旅記と〈幽玄の民〉の話はこれもすんなりとは頭に入らず難儀したが、ともあれ、ようやく物語は動き出す。
オゴダの人々を飢餓から救うためのアイシャたちの行動は、帝国による藩王国支配の構造の隙間を縫うだけに危険を伴い、自分の気持ちを救うだけの単独行は思わぬ展開に。
まあまあ面白くなってきたのだが、バルサやエリンの物語があって、この作者さんに対するハードルが高くなっていることもあり、独特の世界観と描かれる絵柄、渦巻く謀略にスピーディーな展開があっても、まだまだという心持ち。
オラムとともに捕らわれたアイシャが見た、窓の外に広がる光景とは――。 -
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ネタバレ落ちはハッピーエンドで案外あっさりしていた。序盤の野火が狐として助けられたり、小夜と小春丸のやりとりを羨ましそうに遠巻きに眺めていたり、人の姿で小夜を助けてみたり、という小夜にまだ正体を隠していた頃の光景が切なさもありながら微笑ましくて、1番印象に残った。
木縄坊というキャラクターも登場は少しだが、野火と出会うまでの半生が個性的で面白かった。
「むかし、そなたの母の花乃さんがいっていた。霊狐というのは、〈あわい〉で生きる獣なのだそうだ。力のある呪者は〈あわい〉に生まれた子狐を拾い上げて、この世で生きられる呪力を与えるかわりに、狐笛という霊笛に子狐の命を封じこめて、自由に操れる使い魔にしてしまう。呪者の手のなかに狐笛がある……ということは、霊狐の命は呪者の手の中にあるということだ」p265 -
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ネタバレ闘蛇編と王獣編で作者は物語を完結させたという。
この探求編はがらりと雰囲気が変わる。
エリンは監視下に置かれているし、
真王セイミヤは清き心は失っている、
大公シュナンは改革者でなく、政治家になっている。
探求編の始まりは牙の大量死の原因探索にエリンが命じられる。エリンの聡明さにより、原因に迫ることができたが、それを馬鹿正直に報告したことで、エリンは自身を最悪の状況においてしまった。
打開のためにアフォン・ノアに旅立とうとするも、失敗する。王国に捉えられ、軟禁状態の元で、絶対にやりたくなかった王獣で軍団を作る仕事に従事させられる。
探求編のトーンは暗い。 -
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鷹狩りの席に黒狼たちが乱入。
次々と噛まれたり引っ掻かれたりとしたものが、その後、病を発症し死んでいく。
その中で、アカファ人だけは病への抵抗をみせる。
その差が一体なんなのか、黒狼病とはなんなのか、ホッサルは立ち向かっていく。
一方、ヴァンはユナと名付けた女の子と一緒に、途中で助けたトマの家で暮らしていた。
飛鹿の面倒や指南をしながらも、黒狼病の噂を耳にし、また自分自身が変容している感覚にも襲われた時、
谺主からの使者がやってきて、ユナと二人で会いにいくことになった。
コロナ禍を過ごした日々を彷彿とさせる描写の数々。
なんだこれは、コロナじゃないか、となんど思ったことか。
もちろん、人から人に感染しないという点では異なるが、
根本的な対策がなく、ワクチンを…という既視感。
神に背く行いをしたことによる因果応報の病気、ウイルスなどによる病気、と
宗教に則って考える医療集団と、ホッサルのように科学によって理論的に行う集団が印象的だ。
現代社会では、科学的根拠をもとに医療を行っているわけだが、もしかしたら信じる宗教に付随した医療で精神的に救われるという患者もいるのでは?と思った。
謎は謎を呼ぶこの物語。続きが気になる。